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知っていそうで実は知らないエバンジェリストの役割とスキルとは

知っていそうで実は知らないエバンジェリストの役割とスキルとは

最近ではAI(人工知能)やIoTなど、新しい技術がどんどん登場していますよね。でも、自分で調べていてもよくわからない、実際に導入したけどうまく使いこなせていないなど感じる方もいるかもしれません。

そんな時に必要になるのが、「エバンジェリスト」。もしかしたら、「名刺でそんな肩書きの人と会ったことがある」という方もいるでしょう。エバンジェリストは、新しい技術やわかりにくい・知られていないことを中立的な立場から伝える人のことを言います。実は、今エバンジェリストになる人が登場したり、どんどん表舞台に登場しています。

この記事では、そんなエバンジェリストがどんな仕事なのか、どんな活用ができるのかを紹介します。そのため、今後あなたの企業の商品・サービスの検討に役立つかもしれません。また、エバンジェリストを社内で設置したり、自分のキャリアとしてエバンジェリストを目指すのも良いでしょう。

そんなわけで今回は、今話題になっている「エバンジェリスト」とはどんな職種なのかを解説しましょう。なお、この記事ではIT業界での話題をメインに取り上げます。

エバンジェリストの意味とは、その仕事内容も含めて解説

キリストのイメージ

エバンジェリストとは、難しい技術や考えをわかりやすく伝える「伝導者」のことです。

エバンジェリストという言葉は、もともとはキリスト教を広める人という意味で使われていました。そのきっかけとしては、16世紀にドイツの哲学者ルターは、自分のことを「聖書の教えを広める人(福音主義者)」という意味でエバンジェリストという名前を使ったことです。そのような意味では、日本にキリスト教の教えを広めたフランシスコ・ザビエルもエバンジェリストと言えるかもしれません。

そして、「教えを広める」という意味が現代のビジネスに転じて、IT技術や他の商品・サービスについてわかりやすく啓蒙活動をする人のことをエバンジェリストと呼ぶようになりました。特に新しい技術がどんどん誕生している今、エンジニアや開発者からエバンジェリストになる人や、エバンジェリストを設置する企業が増えているのだとか。

エバンジェリストの仕事内容

では、実際にエバンジェリストがどんな仕事を行っているのかについてお伝えします。

イベントでのプレゼンテーション

エバンジェリストの主な仕事として、イベントにおいて業界の市場や製品・サービスの解説をします。例えば新しい製品やサービスの発表会、カンファレンスなどで製品の紹介だけでなくメリット、背景なども交えて伝えるのがエバンジェリストです。かつ、そのイベントの規模は数千人の大規模なものから、小規模なものまで様々です。人によっては、年間の講演回数が200回近くになることもあるのだとか。

もちろんプレゼンテーションそのものだけでなく、プレゼンテーションに使う資料作成・機材の準備・プレゼンにおける練習などもエバンジェリストの仕事です。

商品やサービスのデモンストレーション

多くの人が商品やサービスの宣伝をされると、「実際どうなんだろう?」と気になったり、口コミを調べたりしますよね。エバンジェリストは、商品やサービスの魅力を伝えるために実際に使って、発信します。それも、自社の商品・サービスだけでなくて他社の商品・サービスを使って比較することもあります。

この目的としては、自社の商品・サービスの魅力は比較して把握するためです。例えばボールペンの場合、書きやすさ、インクのなくなりにくさ、持ち歩きやすさなど様々な視点から比較できますよね。エバンジェリストはその商品やサービスの良さ・課題などを徹底的に調べて、体験して伝えます。

社内向けのマーケティング

エバンジェリストは社外での活動はもちろんですが、社内でも活動しています。それは自社で開発した製品・サービスをどのように売り出すのかを社内の勉強会などで伝える役割です。

自社の商品・サービスの強み・課題を把握できれば、今後の自社の開発に役立つことは間違いありません。また、商品の強みを使ってどのような そうにアプローチするのかを考えるヒントになるでしょう。

エバンジェリストと営業、広報の違いとは

とはいえ、ITのことをわかりやすく伝えるだけなら、営業や広報でも良いのではないかという疑問を抱える方もいますよね。エバンジェリストは、営業とも広報とも違った立ち位置になっています。その違いを、エバンジェリストと営業、広報と対比させながら説明しましょう。

まず、エバンジェリストと営業の違いは「ターゲット」です。営業は1対1、ないし1対複数のように、ターゲットの数が少ないです。加えてターゲットがどれだけ知識があるのか、ニーズは何かなど特定されている状況が多いです。

これに対して、エバンジェリストは対象は大きく「その技術・サービスを知らない人」になります。そのため、講演やプレゼンなど不特定多数に向けた仕事が多くなる傾向があります。

また、営業は自社(あるいは他社)の商品やサービスを売る、広報は自社のブランドを広め、価値を高めると言った目的がありますよね。そうなると、どうしても「自社の製品・ブランドがよい」という視点に偏りがちになります。例えば商品の説明においても、メリットを力説してデメリットを少なめにする、などの工夫をすることもあるかもしれません。

エバンジェリストは、技術・商品・サービスなどを中立的に見ます。例えば企業のエバンジェリストは自社の商品でも、他社の商品と比較したメリット・デメリットをしっかり提示して、自社の商品の課題を出すこともあります。

また、お客様の説明としてエバンジェリストが営業同行することもあります。その場合は、営業でお客様の要望をしっかりヒアリングしながら、エバンジェリストが技術に対して説明をします。こうすると、お客様である企業もより納得して商品・サービスを選んだり新しい技術の導入に踏み切ることができるでしょう

今、エバンジェリストが必要とされる理由とは

ITのイメージ

今、エバンジェリストが必要な理由とは、次々に新しいIT技術や商品・サービスが登場しているからです。

例えば、IT技術について考えてみましょう。IT技術においてはAI(人工知能)やIoTなど、今では様々な技術が誕生していますよね。しかし新しく登場した技術に対して、そもそもその存在を知らない、難しくてよくわからない、いまひとつ使いこなせないという方が増えています。

まえだまえだ
まえだまえだ

私たちお多福ラボもAI(人工知能)を開発する企業ですが、どうやってAI(人工知能)を導入すれば良いのかわからないという問い合わせが多いです。

※お多福ラボがどんな企業なのかについてはこちらの記事へ

そんなITの技術を正しく普及するために、エバンジェリストがいます。エバンジェリストなら難しいITの技術をわかりやすく伝えるので、企業で導入する必要があるかどうか、うまく使えるかどうかの判断がしやすくなります。また、今まで知らなかった商品・サービスを知る機会も与えてくれるでしょう。

エバンジェリストがいることのメリット

勉強のイメージ

では、社内にエバンジェリストがいることのメリットについて解説しましょう。

本当に納得できる商品・サービスを導入できる

そもそも企業が新しい技術を導入するときは、何かしらの課題を解決したいときですよね。そんな時に他の企業から営業の話を聞く場合、営業している企業での目線で話が進むので、「本当にこの選択で大丈夫か」「このまま導入して、何かデメリットがあるのではないか」と考える方もいるかもしれません。

エバンジェリストは中立的な立場で商品・サービスの紹介します。また、その情報から客観的に商品・サービスを選んだり、新しい技術への導入の判断がしやすくなったります。そのため、「導入後に、今までの課題を解決できない」などの食い違いが減り、より納得できる商品・サービスを選べるようになるでしょう。

製品やサービスのクオリティ向上につながる

よく自社で製品やサービスを開発したときに、「他社よりも優れている」と考えますよね。もちろん、自社の製品やサービスを自信を持って発信することは大切です。しかし、他社との比較や市場の調査ができていないと、せっかくの製品やサービスが広まらないこともあります。

エバンジェリストは、最新のIT技術や業界に対して専門的な知識を持っています。そのため、市場で行われていることと自社のサービスを客観的に見ることができるので、同業他社に足りない点、また優位になる点を見つけられます。そうすると、その足りない部分を次の製品・サービスで開発するときにアップデートする、自社のマーケティングに生かすなどの行動につなげらるでしょう。

つまり、エバンジェリストがいることで製品やサービスのクオリティを磨くのにとても役立つに違いありません。

社内のスキル共有に役立つ

例えば新しい技術が発明された、製品やサービスが発売されたなどの情報は新聞・本・あるいは営業さんから聞くケースが多いですよね。でも、その仕入れた情報は個人単位で止まってしまい、社内で共有されないケースが多々あります。

エバンジェリストは、社外だけでなく社内でも最新技術に対するプレゼンテーションや勉強会を開催します。すると、社内でも今まで知らなかった技術や競合の動きを見ることができるので、開発やマーケティングに生かせるようになるでしょう。

エバンジェリストに必要とされるスキル

プレゼンのイメージ

そんなエバンジェリストになるために、どんなスキルが必要になるのかについてお伝えしましょう。

難しいことを理解して、わかりやすく伝えるスキル

エバンジェリストは「難しいことをわかりやすく伝える人」なので、まずは難しい知識を自分の言葉で噛み砕けることが大切です。そのためには、まず自分の言葉でしっかり理解して、説明できるスキルを身に付けましょう。

それに合わせて、どんな流れで話すか、どんな内容で話すかなどを作るプレゼンテーションスキル、営業で使われるようなコミュニケーションスキルなども重要になります。つまり、「相手がどんなことを知りたいか」「それに対して、どう伝えれば相手に伝わるか」などをしっかり考えて話せることが、エバンジェリストの第一条件とも言えるでしょう。

最新知識と探究するスキル

エバンジェリストは、その業界に詳しいことが大前提です。例えばIT企業のエバンジェリストなら、システムやWebなどの仕組みなどの前提知識が必要です。実際に現在エバンジェリストになっている人は、エンジニアや開発を行っている人がなる傾向があるのだとか。

また、それに伴って最新のIT業界の知識も必須。古い知識だけでは、新しい技術に対応できません。そのため業界の知識に対する探究心をしっかり持って、わからないことは自分から調べましょう。

代表的なエバンジェリスト

人物のイメージ

エバンジェリストはまだ登場したばかりの職種ですが、実はすでに第一線で活躍するエバンジェリストもいます。そこで、次で代表的なエバンジェリストについて紹介しましょう。

IT技術だけでなく、プレゼンの技術を広めるエバンジェリスト

エバンジェリストの中で最も有名であるのが、西脇資哲さんです。西脇さんはもともと業務ソフトの開発エンジニアでした。そこから日本オラクルでのプロダクトマーケティング担当を経験し、現在は日本マイクロソフト株式会社のエバンジェリストを行っています。

仕事内容は主に自社のサービスのプレゼンや、社長との営業に同行してサービスの説明を行っています。また、ラジオ番組でアイドルグループの乃木坂46と共演する、などIT外での活躍も行っているのだとか。

さらに。西脇さんはIT技術を広めるだけでなく、プレゼンの方法などのセミナーを行っています。エバンジェリストで得たプレゼン、デモンストレーションの経験を生かし、セールストークのコツやプレゼンテーションのトレンドなどの講義を行ったり、書籍にまとめています。その中で代表的な書籍は、エバンジェリストの仕事内容だけでなくプレゼンの技術やスケジューリングの技術を網羅した「エバンジェリストの仕事術」。

Amazon.co.jp: エバンジェリストの仕事術 : 西脇 資哲: 本
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このようなノウハウは営業や広報の人だけでなく、幅広いビジネスパーソンに役立つに違いありません。

まえだまえだ
まえだまえだ

個人的にはプレゼンがすごく苦手だから、こういう人たちのノウハウは知りたいところ・・・!

クラウドサービスの良さを布教したエバンジェリスト

現在はドライブや写真など、様々な点でクラウドサービスが使われていますよね。そんなクラウドサービスの良さをいち早く見つけ、仕組みやメリットを伝えたエバンジェリストがいます。それが、元Amazon Data Service Japanにいた玉川憲さんです。

玉川憲さんは、大学生時代にVRの研究を行っていました。そこから日本IBM株式会社で研究を行っていましたが、あるとき「世の中の流れを知る必要がある」と感じ、コンサルティング、営業、マネージャーなどを経験し、アメリカで経営学の修士を取得したのち、エバンジェリストになりました。2010年にはAmazon Data Service Japanに入社し、クラウドービスのメリットを伝えました。

また、マーケティングではTwitterやFacebookをいち早く活用したり勉強会を全国で開催するなどの取り組みを行いました。その中でもクラウドサービスの威力を発揮したのが、2011年におきた東日本大震災です。

当時、サイトがみられない、立ち上がらないという問題がたくさん起こりました。そこで玉川さんがAmazon Data Service Japanの管理職の人に連絡し、クラウドのリソースをすぐ無料で開放しました。そしてエンジニアたちが無償でサーバー移行を手伝い、クラウドのサーバーが使われるきっかけを作りました。
まえだまえだ
まえだまえだ

今クラウドサービスが普及しているのも、こうして良さを普及したり使う機会があったりするからこそかもしれません。

自治体で初!神戸市の魅力を発信する2名のエバンジェリスト

この事例はIT業界ではないのですが、2020年に神戸市が「チーフ・エバンジェリスト」を設置しました。これは、全国の自治体で初になるとのこと。

もともと神戸市は地方都市なので、経済の流れが東京に偏ってしまうことが課題でした。そこで、その経済の流れを神戸にも向けると言う目的でエバンジェリストを募集しました。

そして任命されたのが、乾さん・栗山さんの2名です。乾さんはもともと金融事業で企業への投資、マレーシアでの法人の立ち上げなどに関わっていました。一方の栗山さんはもともと食品会社に勤務していました。ここで商品開発・営業企画・マーケティングなど幅広い経験を積みつつ、まだ世に知られていなかった「アマニ油」を世の中に広めました。

神戸市のエバンジェリストの役割として、神戸のブランドや魅力を発信、民間企業との提携や企業誘致などがあります。現在乾さんはIT・テクノロジーのスタートアップ企業をサポートする部署に所属し、神戸市への企業誘致や人材を集めることを目的に活動しています。対する栗山さんは、神戸への移住や観光を通して人を集めることをテーマとして活動しています。

まえだまえだ
まえだまえだ

確かに、住んでいるところを選んだり企業を引っ越す、起業するときに、様々な情報が必要となりますよね。そんな中で、エバンジェリストなら様々な情報を知っているので、参考になるでしょう。

エバンジェリストの今後

発信するイメージ

エバンジェリストは、今後もどんどん広まる可能性があります。特にITの業界では、どんどん新しい技術が登場しているのに対して知識が広まっていない課題があります。そのような状況だと、せっかく開発した技術が無駄になってしまいますよね。

エバンジェリストは、私たちがより良い商品・サービスを選んだり、企業のサービスの改善に役立てたりにつながります。また、エバンジェリストからの情報を元に、がさらに新しい技術について知りたいと感じるかもしれません。

まえだまえだ
まえだまえだ

特に今求められているのは、AI(人工知能)やIoTなど様々なサービスに関するエバンジェリストじゃないかと個人的には考えています。

またエバンジェリストはITの業界に限らず、自治体や企業の広報・営業として幅広い業界で活躍する可能性があるでしょう。神戸市の事例のように、ともすれば埋もれがちになってしまう自治体の魅力や活用方法などを発信する役割もあります。このようなエバンジェリストは、私たちが知らない技術やものを知るきっかけを与えてくれるに違いありません。

当メディア(AIZINE)を運営しているAI(人工知能)/DX(デジタルトランスフォーメーション)開発会社お多福ラボも、わかりにくいことをわかりやすく伝えられるようなエバンジェリストのような立ち位置を目指しています。AI(人工知能)の導入で困っている際は、まずご相談ください。

AI(人工知能)/DX(デジタルトランスフォーメーション)開発のお多福ラボ

さて、今回は「エバンジェリスト」とはどんな職種なのかを解説しました。ここで、今回の内容について振り返りましょう。

  • エバンジェリストとは、難しいことをわかりやすく伝える「伝導者」のこと
  • エバンジェリストの仕事内容は、プレゼンテーション、デモンストレーション、社内向けマーケティングへのアドバイスがある
  • エバンジェリストに必要なスキルは、難しいことをわかりやすく伝えるスキル、最新知識を身につけるスキルがある
  • 代表的なエバンジェリストとして、西脇さん、玉川さん、乾さん、栗山さんがいる
  • エバンジェリストは、今後どんどん需要が高まるだろう

エバンジェリストはまだ登場したばかりの職種でありながら、これから必要とされるでしょう。

私たちの住む世界では、今次々に新しい商品・サービスが開発されています。エバンジェリストは私たちに「こんなに便利なものがある」ことを教えてくれたり、「この商品の実際はこんな感じ」などの現状を教えてくれる役割があります。私たちも、ぜひエバンジェリストの情報を参考に良い選択を行いましょう。

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