最近では毎日のように「AI(人工知能)」「IoT」という言葉を耳にしますよね。「第3次ブーム」とも言われるAI(人工知能)は、いよいよ実用化され活用事例も増えてきました。身近なところではiPhoneの「Siri」やスマホのAI(人工知能)搭載アプリ、銀行や店頭での案内役として活躍している「Pepper」などでしょうか。自動運転車はすでに試運転もされていますよね。
このように、私たちのまわりにAI(人工知能)が支えているサービス事例は、実はあっと驚くほどたくさんあるのです。AI(人工知能)とモノをインターネットでつなぐIoTが結びつくことで、私たちの生活はますます便利になってきました。
そして、AI(人工知能)とIoTの活用は、実際のビジネスに応用されているだけでなく、実験段階、研究段階のものもたくさんあります。そこで今回は、こんなこともできるの!とワクワクするような事例をいくつかご紹介しましょう。
AI(人工知能)とIoTで冷蔵庫がレシピを提案 食材のムダもなくなりエコにつながるうれしい事例!
主婦にとって、毎日の献立には頭を悩ましますよね。シャープ株式会社は2014年にIoT対応冷蔵庫を発売しましたが、2017年には扉に液晶画面を搭載し、音声はもちろん、スマホのようにタッチ操作で献立を調べることができるAI(人工知能)冷蔵庫を発売しました。
冷蔵庫は旬の食材を使ったおすすめメニューも表示され、ヘルシオ/ホットクックや鍋/フライパンなど、使う調理器具も選択できるようになりました。ヘルシオ/ホットクック調理を選択すると、後は食材を入れてスタートボタンを押すだけ。冷蔵庫とホットクックはインターネットでつながっていて、勝手に調理をしてくれます。献立から調理までサポートしてくれる冷蔵庫というわけです。
それだけではありません。冷蔵庫を使えば使うほどユーザーの好みに合ったレシピを提案してくれるようになります。AI(人工知能)がユーザーの多く選んだメニューを分析し、この食材は常にストックされているだろうと推測するのです。また、その食材を使った別メニューを提案したり、効果的な保存方法なども伝授してくれます。残ってしまった食材を有効活用できるメニューも教えてくれ、気づくと冷蔵庫の中もすっきり!エコにもつながるでしょう。
また冷蔵庫の「献立ナビ」のメニューを選ぶと、必要な食材の買い物メモがスマートフォンに送られます。その購入履歴から消費サイクルをAI(人工知能)が学び、そろそろなくなりますよ~と「買わなきゃナビ」が告知してくれるのです。買い忘れがなくなり便利ですよね。他にも外出先から、「冷蔵庫にケーキあるよ」などメッセージを送る機能があり、共稼ぎ家庭には喜ばれるでしょう。
食材の管理や献立のアドバイスはもちろん、食材のムダもなくなり家事の時短にもつながるAI(人工知能)搭載冷蔵庫。食材を冷やすための家電から、家事のよきアドバイザーに進化しつつあります。
AI(人工知能)とIoTとの組み合わせで価格決定!次世代店舗の驚くべき事例!
消費期限切れの弁当は一日で、どのくらい破棄されているのでしょうか。消費期限が迫ると自動的に破棄されるお弁当は、本当にもったいないものですよね。値引きシールを貼る手間もかかります。そこでローソンはAI(人工知能)が価格調整をする仕組みを導入しました。
具体的には、弁当など消費期限が短い商品にまずスポットをあてました。商品に消費期限などの情報を書き込んだICタグを付けておきます。天井に設置した読み書き機で常にICタグの情報を把握しておきます。棚には電子棚札を取り付け、天井の制御機からの無線信号を受けて価格が自動に変更できるしくみになっています。
ICタグからの情報を受けてAI(人工知能)が、売れ残りも多いしそろそろ値下げをしようか、などタイミングを計って価格調整してくれるというものです。IoTで得た情報をAI(人工知能)が分析し、忙しい従業員の代わりに働いてくれます。顧客にとっても従業員にとっても嬉しいサービス事例ですよね。
まだまだ実験段階ですが、商品をいつ、いくらで売れば一番儲かるのか、AI(人工知能)が判断してくれる未来も近いでしょう。
日本初のAI(人工知能)警備ロボット2020年に向け発進!
2020年のオリンピック・パラリンピックでは多くの訪日観光客が集まると予想されますよね。鉄道会社でも、警備員や職員の負担が増えるため、何らかの対策が必要とされているでしょう。
そこで開発されたのがAI(人工知能)警備ロボットです。東京都立産業技術研究センターや西武鉄道などが実証実験を始めました。実験が行われたのは、西武新宿駅の改札の外にあるコンコース。ここは階段やスロープはもちろん、ひっきりなしに人が行き交う難所です。AI(人工知能)警備ロボットは立体空間で人の動きを感知するセンサーとAI(人工知能)監視カメラを搭載しています。
警備ロボに、駅構内の地図情報も入力し、構内の監視カメラ映像を送ることで情報を分析し自律移動も可能になりました。人間のような「眼」を持つことで、ドローンのように人が操縦する必要もないのです。
ここからがすごいところ。警備ロボはAI(人工知能)によって、いつもと違う「異状」を検知してくれるのです。駅の中で人が一定時間以上しゃがみこんでいる、喧嘩が起きている、車いすに乗った人が立ち往生しているなどを検知して駅員のスマートフォンに知らせます。また正面に付いたボタンを押せば、遠くにいる駅員とも話すことができます。緊急時には助かりますよね。AI(人工知能)の学習機能によって、どんどん判断精度も上がり、誤った対応も減っていくでしょう。
AI(人工知能)とIoTの組み合わせにより、駅の中でたくましく動き回る警備ロボットが2020年に活躍している姿を早く見たいものです。
AI(人工知能)とIoTでタクシー需要の予測も可能に!
「タクシーに乗りたい人の前にタイミングよく現れる!」そんなタクシーがあればありがたいですよね。AI(人工知能)とIoTで、タクシーの顧客数を予測する事例です。
東京無線は、NTTドコモの需要予測サービス「AI(人工知能)タクシー」を導入しました。タクシーが走る近辺エリアの500メートル四方ごとに30分後の客の数を予測して車内のタブレットに表示するというものです。
「AI(人工知能)タクシー」は過去のタクシーの運行実績データから、客の多い場所、時間帯を予測します。またスマートフォンの位置情報から人数、人の動きをキャッチし、気象情報、電車の運行情報も参考にします。イベント情報も参考にし、30分後の人の動きをAI(人工知能)が予測していきます。人が集まるところへ、車を走らせればいいわけです。
AI(人工知能)とIoTの導入で、新人運転手の1日の売り上げが5000円以上アップしたあした。タクシーの待ち時間も短縮し、利用者、ドライバー双方にとって嬉しい事例となっているでしょう。
AI(人工知能)とIoTにより物流倉庫の作業効率アップの事例!
インターネット販売で商品を購入すると、あっという間に手元に届きますよね。しかし近年、商品の量が莫大になり配達時間指定も難しくなってきました。そこで解決策として、スマート・ロジスティクス(最新技術を用いて、物流の流れやコストの効率化を図ること)という考え方が注目をあびています。
AI(人工知能)とIoTで、製造業における倉庫を効率化した具体的な事例をお伝えしましょう。倉庫内で作業をしている従業員にセンサーをつけます。従業員の一日の行動をAI(人工知能)に分析させることで、常に混み合う作業場所、時間が特定でき問題点も明らかになりました。AI(人工知能)の提案でレイアウトを変えるなどの改善によって、作業効率も向上したのです。
また倉庫内で人とロボットが連携して働いている場合、人とロボットがぶつからないような動線を作ることもできます。従来はモノの場所が固定されていたため、特定のエリアに人が集中し、ロボットと危うく衝突!という危険性もありました。AI(人工知能)が翌日の発注状況に合わせて効率化を分析し、ロボットがモノの場所、棚の位置を並び替えていきます。すると人の動きもスムーズになり仕事の時短にもつながるようになりました。
インターネットなどで注文した商品がスムーズに配送されてくると、私たち消費者にとっても嬉しいですよね。日立物流など多くの製造業や物流センターなどが、AI(人工知能)とIoTを取り入れ始めています。作業員の働きやすい環境をつくることで、効率もアップした事例でした。
さて今回は、AI(人工知能)とIoTの組み合わせで、実際に応用されている事例と、実験段階、研究段階の事例も合わせてご紹介しました。
AI(人工知能)とIoTは、企業の様々な現場に活用され始めています。新聞やインターネット記事などでは、毎日のように新しい事例も掲載され驚かされますよね。
IoTは「身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながる」仕組みのことです。IoTは「知ること」と「操作すること」を得意としており、住まい、交通機関、自動車、物流、農業、医療など幅広い分野で活用されています。
AI(人工知能)は今まで人がやってきたことを、より短時間で正確にこなしてくれるだけではなく、データから情報を引き出し、こんな相関関係があるよ!と見つけてくれます。また自ら学習することで、解析能力もどんどん向上していきます。
こうしたAI(人工知能)とIoTがつながることで、ますます私たちの生活は快適になっていくでしょう。今まで当たり前と思っていたことが、数年先にはなんて不便なことをしていたのだろう…と思っているでしょう。
AI(人工知能)とIoTによって生活が便利になると、自由な時間も増えていくでしょう。「自分は人間として何ができるのか」「何をやらなくてはいけないのか」など、AI(人工知能)に負けないよう、人間としての生き方を考えてみるのも良いかもしれません。
AIビジネス研究会 (2016).『 60分でわかるAIビジネス最前線』 (株)技術評論社
吉田琢也 (2018).『まるわかり! 人工知能 ビジネス戦略 2019』 日経BP社
日経産業新聞 (2018/11/1)
なぜ? 「AI冷蔵庫」が「調理家電」とつながると、食材のムダが減るふしぎ
西武新宿駅にやってくる日本初の“AI警備ロボ” 不審者を見つけても「網は投げません」
新しい技術による物流の自動化と効率化!スマート・ロジスティクスが描くよりよい未来
スマート・ロジスティクスのテクノロジー:日立物流