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AIが弁護士の仕事を代行?AIの頭脳が人を救ってくれる時代に

AIが弁護士の仕事を代行?AIの頭脳が人を救ってくれる時代に

弁護士といえば、知的で高度な専門職というイメージがありますよね。能力の高い人間にしかできないエリートの仕事でしょ!と思ってる方も多いはず。でもAI(人工知能)はそんな弁護士の仕事でも肩代わりしてくれるような、驚くべき時代になりました。

弁護士の仕事は、テレビでよく見かけるように、かっこよく法廷で被告人の弁護をするだけではありません。膨大な文書の中から訴訟に関係のある証拠を探したり、資料を整理したり、下調べに多くの時間を費やすような地道な仕事が、実際は多いのです。

また弁護士は「民事事件」や「刑事事件」などの訴訟を扱うだけではなく、企業間の取引で交わされる、契約書の作成やチェック作業など細かな仕事も多いのが現実です。

そして弁護士の仕事のうち、資料の分析や検索などは人よりもAI(人工知能)の得意分野ですよね。これを生かしAI(人工知能)が、弁護士という知的でプロフェッショナルな仕事のサポートをしてくれるサービスが始まっているのです。

このようなサービスを使ってAI(人工知能)が弁護士の仕事を代行だなんて、何ができるのか気になりますよね。そこで今回は弁護士の契約書作成や、訴訟に必要な証拠を探し出す仕事を実際に支えているAI(人工知能)をご紹介しましょう。

AI(人工知能)が契約書をチェック!

契約書チェックイメージ

冒頭でもお話しましたように、弁護士の仕事はテレビドラマの中のように、罪を犯した人を助けたりする刑事事件だけではありません。

弁護士には、将来裁判にならないように、企業間の契約内容や契約書の作成をサポートしていくという重要な仕事もあります。契約書を交わすには、法律の専門的な知識が必要で、ベンチャー企業やスタートアップ(新しいビジネスで急成長している企業)では、これが大きな壁になっているのです。

契約に詳しい弁護士に依頼すると、数万円はかかり1回きりとは限りませんし、予算的にも厳しいですよね。それに弁護士も人手不足でなかなか対応するのにも限られるし、完璧な契約書作成には大変な時間がかかるでしょうし…。

このような法務の様々な課題を解決するために、リーガルテック(ITを活用した法律関連サービス)分野の救世主となるサービスが続々と出てきました。

ここからは、AI(人工知能)による契約書作成のサポートなど、弁護士の仕事を代行してくれるサービスをご紹介しましょう。

LegalForce

LegalForce(リーガルフォース)とは、2人の弁護士が2017年に創業した契約書の内容をAI(人工知能)が精査するというサービスです。

これは契約書の内容をAI(人工知能)が分析し、「不利な条文がないか」「欠落している条項がないか」を約1秒でチェック。抜け漏れも指摘してくれるというサービスです。完全に法務担当者や弁護士の代替をするわけではありませんが、人間のチェックとAI(人工知能)のチェックを合わせることで、完璧な契約書レビュー(再調査)を作り上げるというものです。

AI(人工知能)によって契約書レビュー(再調査)の精度、速度が上がり法務担当者や弁護士は、他のもっと高度な仕事に時間を使えるようになります。

主に大企業の法務部門や法律事務所などの法律専門家の活用を見込んでいますが、現在すでに150社を超える企業が利用しています。価格は月10万円と少しお高めですが、将来は中小企業向けに価格を抑えたサービスも予定されています。

そして2018年11月には、LegalForceを使った異色の対決イベントも開かれました。

その名も、現役弁護士とAI(人工知能)との「契約書タイムバトル!」弁護士とAI(人工知能)との対決なんて夢のようですよね。

対決の内容は、AI(人工知能)と弁護士が契約書をチェックし、問題点の発見を競うというもの。今回は残念ながら人間に軍配が上がりましたが、AI(人工知能)は学習することでますます強くなるので、近い将来人間の能力を上回るかもしれません。

AI-CON(GVA TECH株式会社)

つづいてご紹介するのは、GVA TECH株式会社が提供する「AI-CON」です。

「AI-CON」は現役弁護士が立ち上げたAI(人工知能)契約書レビューサービス。サービスにログインし、Wordファイルなどをアップロードすれば、不利な条項を一目で確認できる上に、リスクが大きい条文の修正案まで提示してくれるというものです。

弁護士が立ち上げたサービスだけあって、AI(人工知能)によるリスク判定に加え、最終チェックは弁護士が直接目を通し確認しているため、精度も高く安心できます。弁護士による目線チェックがサービスに含まれているなんてお得感がありますよね。

「AI-CON」の特徴は、コストをあまりかけられない中小企業に向けたサービスをメインとしています。大手企業とスタートアップとの契約内容は、知識が豊富な大手企業がどうしても有利になりますよね。この知識格差を解決するために立ち上げたサービスで、スタートアップでも気軽に利用することができるのです。

通常は数日かかる書類作成が、最大でも数時間でできます。価格も1件あたり5千円からとリーズナブルです。弁護士が今までかけていた時間の10分の1ほどで契約書レビュー(再調査)ができ、型にはまった契約書であれば若手弁護士でもチェックできるというわけです。

契約書レビュー(再調査)のような、仕事のパターンが決まっていて、マニュアル化しやすい作業をAI(人工知能)に任せることで、弁護士は依頼人からの聞き取りなど、人間にしかできない仕事に専念できますよね。

コスト削減を目指すスタートアップの企業はもちろん、多忙な弁護士にとっても嬉しいサービスとなっていくに違いありません。

次に、いよいよ弁護士の主たる業務である「裁判」の案件についても、AI(人工知能)が活用されている事例をご紹介しましょう。

AI(人工知能)が資料やメールから証拠を探す!

証拠探しイメージ

ワシントン市内にある大手法律事務所、ベーカー&ホステトラーは3~4年前からAI(人工知能)を利用したシステムを導入しています。このAI(人工知能)システムを手掛けたのは、株式会社 FRONTEO(東京)です。

もしかして、AI(人工知能)ロボットが勝手にしゃべって、裁判を進めてくれる?……と思うのはまだ早いかもしれません。ここで活躍しているのは、膨大な資料やメールから訴訟に必要な証拠物を探し出してくれるAI(人工知能)なのです。

AI(人工知能)は過去の膨大な判例をすべて記憶しているので、人間が分厚い資料をめくって調べる時間とは、比べ物にならないくらい早く証拠物を探し出してくれるのです。また人間のような余計な感情も持たないので、合理的な判断もしてくれますよね。それに24時間疲れなく働いてくれるのもありがたいです。

米国では日本に比べ訴訟案件が多いので、裁判所も弁護士もパンク気味。そこでAI(人工知能)を導入したところ、弁護士の作業が圧倒的に減り、泊まり込んで仕事をする若い弁護士もいなくなりました。

このようにAI(人工知能)を弁護士の仕事に活用すれば、弁護士の負担も減りコストも下げられるので、一般庶民でも気軽に弁護士に依頼できるようになるでしょう。

またFRONTEOのAI(人工知能)は、証拠物の発見作業で蓄積した大量のデータから、人間の「暗黙知」(経験的に使っているが、言葉では簡単に言い表せないような知識)を学習し、人間に近い判断ができるようになるとのこと。

将来、人間の持つ「勘」のようなものを備えたAI(人工知能)になるのでしょうか。何だかこの被告人は嘘をついているんじゃないかな…など勘の鋭いAI(人工知能)が出現したら、少し焦りますよね。

もしかしたら、人間と同じような「感覚」を持ったAI(人工知能)弁護士ロボットが、法廷で熱弁を振るうようになるかもしれません。

まとめイメージ
以上、今回は弁護士の仕事を支え、代行してくれるAI(人工知能)をご紹介しました。

今のところAI(人工知能)ができる弁護士の仕事は

  • 企業間などで取り交わす契約書の内容精査、作成支援
  • 膨大な資料、メールから訴訟のための証拠物を探し出す

などですが、このようにマニュアル化されている仕事は、ますますAI(人工知能)が肩代わりしていくでしょう。

弁護士の仕事の20%以上ともいわれる資料探しですが、AI(人工知能)は瞬時に必要物を見つけ、人間のように睡魔に襲われることなく、長時間正確に働いてくれますよね。AI(人工知能)の頭脳が多忙な弁護士を救ってくれる時代になったのです。

またAI(人工知能)の活用によって、これからの弁護士の働き方はどんどん変わっていきますよね。弁護士に必要な法律の専門知識の学習や書類の分析をAI(人工知能)に任せることで、弁護士は依頼人の話を聞き相談にのるような、人とのコミュニケーションに多くの時間を使えるようになるでしょう。

もし、AI(人工知能)がこのままさらに進化し続けると、AI(人工知能)検事やAI(人工知能)弁護士が出現して、法廷で戦っているかもしれません。ホワイトカラーの代表格である弁護士の仕事がなくなる可能性も、否定できませんよね。

弁護士にかかわらず、これからは「人間にしかできない仕事」を見つけていくことが大切になるでしょう。

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