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ドローンで農薬散布したら楽すぎた! 知られざるAI×農業の世界

ドローンで農薬散布したら楽すぎた! 知られざるAI×農業の世界

農業の担い手が不足し、日本の農業に危機が迫っているといわれて久しいですが、最近では農業に興味を持つ若者たちも現われ、脱サラして農業に従事するという人もいます。ですが、一方で農業がたいへんな仕事であることもまた事実ですよね。

朝は早いですし、作物によっては結構な力仕事で、無理な姿勢をすることも多いので腰痛になったりもします。品質を高めるために無農薬を貫こうものなら四六時中、害虫の動向を注視しなければなりませんよね。

そんな中、AI(人工知能)の技術を使って農業の仕事を効率化しようという動きが高まっており、それは農家の負担を軽減するのにも役立っているのです。そこで今回は、そんなAI(人工知能)を使った新しい農業への取り組みについて、さまざまな事例をもとにご紹介していきましょう。

オプティム「ドローン農薬散布防除サービス」でピンポイント農薬散布

ドローンが散布するイメージ

AI(人工知能)を使った農業の取り組みの1つめは、株式会社オプティムの「ドローン農薬散布防除サービス」です。これは文字通り、上空からドローンを使って農薬散布を行うのですが、メリットはそれだけではありません。

ドローンの使用目的はただ農薬散布をするのではなく、事前に病害虫などがいるのかどうかを検知することから始まります。病害虫がいなければ農薬を散布する必要はありませんし、病害虫がいたとしても、その部分にだけピンポイントで農薬を散布することができるのです。

農薬を大量に散布すると、農作物に農薬が残留してどうしても品質が低下してしまいます。しかしこのシステムでは必要な箇所に必要なぶんだけ農薬を使えばいいのですから、必然的に農薬の量を減らすことができます。病害虫がいなければ、完全無農薬で収穫を迎えることも可能ですよね。

またオプティムでは、このシステムを使って収穫した農作物を市場価格で買取り、「スマート米」といったようにブランド化して売り出すという仕組みを導入しています。

農家にとっては農薬にかかるお金も、農薬散布にかかる手間も減らすことができ、また収穫した農作物の販路も保証されるというメリットが、オプティムにとっては減農薬で収穫した農作物を、農家からダイレクトに入手できるというメリットがあるというわけです。

スカイマティクス「葉色解析サービス いろは」で作物の様子が一目瞭然

いろはのサービスイメージ

AI(人工知能)を使った農業の取り組みの2つめは、スカイマティクスの「葉色解析サービス いろは」です。これはドローンによる空撮を使って、農作物の葉色などの生育状況を把握しようというもの。

これまで膨大な数のキャベツや白菜といった葉物野菜の生育状況を、ひとつひとつ見ていかなければならなかった手間をかけることなく、2週間に1度ほどの撮影によって農作物の生育状況を余すことなく把握することができるのです。

とくに飲食店などに直接卸す場合は、契約どおりの出荷量を安定して確保する必要があります。そのためには、農作物がちゃんと育っているのかきちんと把握しなければなりません。まとまった出荷量を確保するため、多くの農作物を育てている農家ほど、そのためにかけなければならない負担が大きくなります。

しかしこのシステムを使えば、ドローンが撮影した画像をもとに生育状況を分析し、育成状況が悪いと判断した農作物だけ肥料を増やすなど、ピンポイントに対応できるので、時間も手間も大幅に減らすことが可能となるのです。

セラク「みどりクラウド」でビニールハウス内の異常を瞬時に察知

みどりクラウドのイメージ

AI(人工知能)を使った農業の取り組みの3つめは、セラクの「みどりクラウド」です。温湿度計や日射量計、二酸化炭素測定器などが入ったセンサーボックスで、これをビニールハウスに設置することで、ハウス内の様子を確認することができます。

ビニールハウス栽培といえばハウス内では温度管理が重要なのですが、たとえば夏場にハウス内の温度が上がりすぎたり、逆に冬場に温度が下がりすぎた場合など、瞬時に異常を検知して利用者に知らせてくれるのです。

もちろんセンサーは24時間稼働しており、異常があればいつでも知らせてくれます。またウェブカメラも内蔵しており、ハウス内がどのような状況になっているのかを映像で確認することも可能です。

農家ではハウス内のクーラーやボイラーが落ちてしまい、温度が上がりすぎたり下がりすぎたりして農作物を傷めてしまうこともあります。しかし、このシステムがあればハウス内にいなくても、ハウス内に異常がないかつねに確認できますから、負担がかなり減りますよね。

ボッシュ「プランテクト」で病害を高精度で予測

プランテクトのイメージ

AI(人工知能)を使った農業の取り組みの4つめは、ボッシュの「プランテクト」です。こちらもビニールハウスに設置するもので、「みどりクラウド」と同様に温湿度系や二酸化炭素測定器などの計器が入っています。

「プランテクト」の大きな特徴は、AI(人工知能)によって農作物が病害にかかっていないかをいち早く知ることができるということにあります。またデータが蓄積されることで、病害がひどくなったり、あるいは病害にかかってしまう前にリスクを検知することができるようになります。

病害が発生する前に農薬を使うなど、効果的な対策をとることができますから、病害で廃棄せざるを得ない農作物も減り、農家の負担を減らすだけでなく、収穫量の増加にもつながりますよね。

NTTテクノクロス「デジタル目勘」で体重測定の苦労が軽減

デジタル目勘のイメージ

AI(人工知能)を使った農業の取り組みの5つめは、NTTテクノクロスの「デジタル目勘」です。こちらは養豚業においてとても重労働である、豚の体重測定をラクにしてくれるというもの。

豚は前にしか進めないため、体重計まで誘導させるのがかなりたいへんです。慣れた人でも1頭あたり3分ほどかかる豚の体重測定を、「デジタル目勘」を使えば、1頭あたり1分にまで削減できます。

出荷時の豚の体重によって等級が左右されるため、養豚業にとって体重測定は欠かすことができません。しかし重労働なうえ、体重測定にまる一日かかることもある負担の大きい作業です。

しかしこのシステムによって作業時間や負担を軽減できるうえ、ベストな体重で出荷して収益増にも期待できるのです。

inaho「自動野菜収穫ロボット」で収穫作業がラクチンに

自動野菜収穫ロボットのイメージ

AI(人工知能)を使った農業の取り組みの6つめは、inahoの「自動野菜収穫ロボット」です。こちらはアスパラガスの収穫作業を、AI(人工知能)を搭載したロボットによって自動化しようというもの。

アスパラガスの収穫はしゃがんでするため、腰にかかる負担がかなり大きいのがたいへんです。しかも収穫作業が全作業の半分近くを占めるというのですから、自動で収穫できるようになれば、負担がかなり減りますよね。

天候の影響を受けやすい屋外で野菜を認識するために、画像認識だけでなく赤外線センサーなどを使用したり、また自動運転にも使われている技術を使って、野菜の葉や茎、収穫物などを区別することもできます。

現在はアスパラガスだけですが、いずれはナスやピーマン、キュウリなどの野菜にも対応する予定ですから、今後は多くの農家がキツい収穫作業の肉体的負担から解放されますね。

AI農業のまとめ

さて、AI(人工知能)を使った農業の取り組みについて、さまざまな事例をもとにご紹介してきました。

  • オプティムの「ドローン農薬散布防除サービス」は、空撮によって農薬散布の必要があるかを判断し、自動で農薬を散布できる
  • スカイマティクスの「葉色解析サービス いろは」は、空撮によって農作物の生育状況を離れたところから把握することができる
  • セラクの「みどりクラウド」は、ビニールハウス内に設置したセンサーなどで、ハウス内の温度などの状況を携帯電話から知ることができる
  • ボッシュの「プランテクト」もビニールハウス内にセンサー類を設置するが、こちらは農作物が病害にかかっていないか知ることができる
  • NTTテクノクロスの「デジタル目勘」は、養豚業にとって重労働である豚の体重測定にかかる作業時間と身体的負担を軽減してくれる
  • inahoの「自動野菜収穫ロボット」は、アスパラガスの収穫作業をロボットが代わりにしてくれる

とかく農業はキツくて大きな収入にならないというイメージがつきまとっていましたし、農業従事者の高齢化も問題とされてきました。

しかしAI(人工知能)を使った農業の取り組みが進んでいくことで作業のキツさから解放され、また効率よく収穫できるようになれば品質も向上し、収穫量も増えるでしょう。そうなれば大きな収入を得られる農家さんも、これからどんどん登場してきますよね。AI(人工知能)の発達とともに、農業に従事したい人が増え…新たな農業の可能性が広がっていきます。

<参考サイト>

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