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シンギュラリティは来ないので大丈夫です!と断言できる理由とは

シンギュラリティは来ないので大丈夫です!と断言できる理由とは

私たちの身近にあるコンピュータやAI(人工知能)の知性が人間を超えるというシンギュラリティ。当初は2045年に到来すると予想されていましたが、AI(人工知能)の進歩があまりに著しいため、最近ではそのシンギュラリティの到来が早まるとまで言われています。

これまで、人間の仕事を奪われるといったものから、AI(人工知能)に人間が支配されるというSF映画のようなものまで、さまざまな危機がささやかれてきました。実際に「仮面ライダーゼロワン」をはじめとしてシンギュラリティを扱ったマンガやドラマも登場しており、多くの人にその存在が知れ渡っていますよね。

一方で、シンギュラリティは来ないと断言する人もおり、危機感をあおる風潮に警鐘を鳴らしてきました。果たしてシンギュラリティはなぜ来ないと言われているのか、気になってくる人もいるはず。

そこで今回は、シンギュラリティは来ないと述べる専門家の意見と、そう断言する根拠についてお伝えしましょう。

AI(人工知能)の学習能力には限界がある

学習のイメージ

AI(人工知能)の学習能力には限界があり、シンギュリラリティは来ないと断言するのは、国立情報学研究所(NII)のセンター長・新井紀子教授です。

国立情報学研究所は「東ロボくん」というAI(人工知能)搭載ロボットを開発、東大合格を目指すというプロジェクトを開始。当初の大学入試センター試験では高得点をマークし、大きな期待も寄せられていました。

しかし5年にわたって数々のチャレンジを行うも、しだいに成績は伸び悩み、結局は東大入試突破という目標を達成できず、プロジェクトは終了します。

新井教授は、東ロボくんの学習能力には限界があると述べました。それはAI(人工知能)が「物事を理解する」という能力を持たないことです。実際に東ロボくんは文章の意味を理解できなかったため、それまで学習していない問題や、はじめて出てきた傾向の問題にあたると解答することができませんでした。

シンギュラリティが到来した世界ではAI(人工知能)が、自分で自分自身の知性や機能を向上させていくとされていますが、自分の能力や問題点を理解できないのでは、自分の弱点を補強したり、能力を向上させたりすることはできません。

新井教授は、たとえ画像認識や音声認識ができるようになっても、それはあくまでパターンを学習しているにすぎず、言語や相手の言葉の意味を理解できることにはつながらないとも述べています。理解するというのは人間の持つ知性の中でも重要な位置を占めており、それができないAI(人工知能)が人間を超えることはない、つまりシンギュラリティは来ないというわけです。

※さらに詳しい話はこちらの記事でも取り上げています

 AI(人工知能)は人間のような考える力がない

考えるイメージ

著書「人間さまお断り」の中で、AI(人工知能)が人間の仕事を奪い、未来の消費活動がごく少数の富裕層でほとんどを占められると述べたジェリー・カプラン教授も、シンギュラリティは来ないと断言しています。

カプラン教授は韓国で行われた特別講義「人工知能を再考する」の中で、

  • 科学的事実に基づいていないドラマや映画などによる拡散
  • 根拠に基づいていない記事などによる拡散
  • AI(人工知能)研究プロジェクトに選ばれるため、研究者が過度にアピールしている

といった原因により、AI(人工知能)の情報が誇張して伝えられていると指摘。AI(人工知能)は未来を明るくさせるためのもので、恐怖を与えるのではなく、利用方法やよい世界を作ることを考えるべきであると述べました。

AI(人工知能)は機械的にデータを蓄えて知識を増やしていきますが、人間と同じように考えることはできません。したがって、AI(人工知能)の知識はあくまで人間が有効活用するためにあるとカプラン教授は言います。

またAI(人工知能)には人間のような欲求を持つことも、自分自身に目標を課すこともありません。たとえ知識が蓄積されたとしても人間の知能を超えることはないし、自分自身で学習していくこともないとも言及しました。

しかし一方で、「シンギュラリティは来ないけれども、AI(人工知能)が思わぬ副作用をもたらしたり、AI(人工知能)が悪用されることについての規制をしなければならない」としています。そうなると、シンギュラリティは来なくても私たちがAI(人工知能)の使い方を気を付けなければなりませんよね。

AI(人工知能)の進化は永遠には続かない

ロボットの進化のイメージ

アメリカにおいて「AI(人工知能)の教科書」とも呼ばれる本の著者であり、現在はGoogleの研究本部長を務めるピーター・ノーウィグさんも、シンギュラリティは来ないと言います。

シンギュラリティの前提として「AI(人工知能)の進歩が永遠に続く」ということがあげられますが、ノーウィグさんは進歩が永遠に続くことはなく、必ずどこかで進歩の限界がやってくると述べました。

またAI(人工知能)はすさまじいスピードで知識を蓄積していますが、どうしてもそのことばかりに目が向いてしまうという問題点も指摘しています。蓄積された知識から対応策を導き出すことはできても、それによってどのような影響が及ぶかというところまでAI(人工知能)は考えることができません。

ノーウィグさんは、AI(人工知能)は今まで人間がやってきたことすべてに取って代わるような万能なものではなく、あくまで特定の分野において課題を解決するために人間が使うツールであると言っています。

また、AI(人工知能)の発展によってAI(人工知能)に仕事を奪われる職種も出てくるかもしれませんが、それに代わる新しい職種も次々に登場するので、人間が必要とされなくなることはないとも述べています。つまりシンギュラリティは来ないけれども、私たちがどう生きていくかが考える必要があるかもしれません。

AI(人工知能)をまとって、人間は進化する

人間の進化のイメージ

デジタルゲームにおけるAI(人工知能)の専門家で、「ファイナルファンタジー15」のAI(人工知能)を開発した三宅陽一郎さんは、また別の意味でシンギュラリティは来ないと述べました。

三宅さんもノーウィグさんと同様、AI(人工知能)の進化と人間の進化の差が開き続けるというシンギュラリティの理論に異を唱えています。しかし三宅さんは、人間もまたAI(人工知能)を装備することで能力を拡張することができ、人間の知能もまた、AI(人工知能)によって飛躍的に向上することが可能になると言います。

シンギュラリティについて述べたカーツワイル氏も、人間の脳にAI(人工知能)を埋め込むことができるようになると述べていました。確かに、AI(人工知能)の知能を持った人間が、AI(人工知能)よりも劣るというのは考えにくいですよね。

将来的には人間の身体にAI(人工知能)をまとわせることで、外国語を勉強しなくても自動的に母国語に翻訳してくれたり、地球上で起こっているあらゆることを見ることができるようになるかもしれません。

このようなAI(人工知能)によって能力を拡張された人間が社会に溶け込んでいくため、人間にとってAI(人工知能)が脅威となるようなシンギュラリティは来ないというのが、三宅さんの意見なのです。

とはいえAI(人工知能)の技術を身にまとって、今までできなかったようなことができるようになるというのは、考えるだけでもワクワクしますよね。

まとめ

さて、シンギュラリティは来ないと述べる専門家の意見と、そう断言する根拠についてお伝えしてきました。

  • 「東ロボくん」の研究に携わった新井教授は、AI(人工知能)の学習能力には限界があると述べている
  • スタンフォード大学のカプラン教授は、AI(人工知能)は人間のように考える力を持たず、自律的に進化していくことはないと言及した
  • Google研究本部長であるノーウィグさんによれば、AI(人工知能)の進化は永遠に続くものではないとのこと
  • ゲームにおけるAI(人工知能)を開発した三宅さんは、AI(人工知能)による技術をまとうことで、人間自身も進化すると述べた

どの専門家の言葉にも共通しているのは「AI(人工知能)は決して万能なものではないし、AI(人工知能)を使うのはあくまでも人間である」ということです。

AI(人工知能)が人間にとって脅威になるとあおりたてるような論調に踊らされるのではなく、AI(人工知能)についての正しい知識を身につけて、AI(人工知能)を使いこなせる人間になることが大事ですよね!

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  1. 通りがかり より:

    × 国立情報学研究所(Nii)
    ○ 国立情報学研究所(NII)

    > たとえ画像認識や音声認識が
    > 外国語を勉強しなくても

    アンダーラインが単語の途中からになっています。

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