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AIが人間を超える?それはあり得ないと主張する人の意見と理由まとめ

AIが人間を超える?それはあり得ないと主張する人の意見と理由まとめ

AI(人工知能)が人間を超える知性を持つ、いわゆるシンギュラリティがやってくる!そんな議論が至るところで繰り広げられています。ウソでしょ?と疑いたくなりますが、AI(人工知能)のあまりにも急速な発展に、どうしても不安になっちゃいますよね。

そもそも「シンギュラリティ」とは、2045年頃までに、全人類を合わせた知能を超える知能を持つAI(人工知能)が誕生し、そのAI(人工知能)が自分自身よりも能力の高いAI(人工知能)を作り出すようになる、ということなんです。なので、私たち人間の発想を超えた事がらも、AI(人工知能)は生み出すようになるかもしれませんし、人間にとって予測できない社会になっていくとも考えられています。

「じゃあ、もう人間は黙って見ているしかないの?」とあきらめ気味になってしますが、安心しましょう!「AI(人工知能)が人間を超えるはずがない!」と主張する人も少なくないんです。

そこで今回は、「AI(人工知能)が人間を超えるなんてあり得ない!」と主張する人の意見と、その理由も合わせてお伝えしていきましょう。まず、「AI(人工知能)が人間を超えることはない!」と主張する人の意見から見ていきます。

「AI(人工知能)が人間を超えるなんてあり得ない!」と主張する人の意見

AI(人工知能)には目標や欲求がない~スタンフォード大学のジェリー・カプラン教授の意見~

目標のイメージ

人工知能の権威であるジェリー・カプラン教授は、シンギュラリティがすぐに訪れることはないし、それは「誇張された話」と指摘しています。

なぜかというと、そもそも「AI(人工知能)は人間ではないので、人間と同じように考えない。それにロボットには独立した目標および欲求がない」と述べています。目標がなければ、ロボット自体が何かを生み出すことは難しいでしょう。

一方で「AI(人工知能)が人間を超える!」とよく言われるのは、映画とかエンターテインメント作品、根拠のないメディア記事、AI(人工知能)研究者の誇張されたアピールの3つが原因としています。確かに、ロボットが人間を襲うような映画も多く、つい思い出しちゃいますよね。

AI(人工知能)が無限に進歩することは無理~グーグル研究本部長(ピーター・ノーヴィグ氏)の意見~

進歩のイメージ

グーグルのピーター・ノーヴィグ氏によると、「シンギュラリティとは無限に進歩が続き、向上が永遠に右肩上がりに続くこと意味するが、物事は改善してもあるところにくると、どうしても横ばい状態にならざるを得ない状況になる。永遠に無限に、進歩が続くことには無理がある」と話しています。

また、「AI(人工知能)はあくまでも人間が使えるツールであって、完全に人間を代替するものではない。囲碁など、ある特定の分野では人間を超えることもあるが、それによって、人間の生き方や価値は変わらない」と発言しています。人間の価値はかわらない!なんて、ちょっと嬉しいですよね。

AI(人工知能)は計算能力が向上しただけ、人間より賢くなったわけではない  ~『AI原論』の著者 情報学者 西垣通氏の意見~

数学のイメージ

空前の「AI(人工知能)ブーム」に待ったをかけている西垣氏は、「AI(人工知能)の計算能力が爆発的に向上しただけ」と少し冷めた目で見ています。

たとえばグーグルのAI(人工知能)は「猫」を認識させるのに、16台のプロセッサを備えたコンピューターを1000台くらい用意して、3日間計算し続けやっと「猫」の概念がわかったわけですが、人間なら小さいこどもでもすぐに「猫!」とわかってしまいます。こんな大掛かりな計算をしないとAI(人工知能)は「猫」が認識できません。

こうしてみると確かに、人間の脳はモノの特徴を認識する能力がずば抜けていますよね。

また、西垣氏はコンピューターの計算量が増え、しかも超高速で処理できるようになったことで、「AI(人工知能)の質も変化して、人間に近づいたような幻想を引き起こしているだけ!」とも言及しています。つまり、「量」をこなすだけでは、「質」は変わらないということです。

※これに対する反論も一部こちらの記事で取り上げているので、気になる方はこちらも見てみましょう

次は、AI(人工知能)で東大合格を目指すプロジェクトでお馴染み、新井紀子氏の主張です。

人間の脳を数式に置き換えることができない限り、AI(人工知能)は人間を超えない!~AI(人工知能)で東大合格を目指す新井紀子氏の意見~

数式のイメージ

AI(人工知能)将棋や囲碁がプロに勝利するようになったことで、AI(人工知能)も東大に合格できるんじゃない?と予想して始まったプロジェクト。そこで登場したAI(人工知能)東ロボくんは、過去問というビックデータを使えば簡単に問題も解けるでしょ!と期待されました。でも、、、どうしても偏差値65の壁は超えられず、今のところは惨敗です。

なぜなら、AI(人工知能)東ロボくんは英語の試験で、暑い日に「寒くて、飲み物を頼んだ」という文章を、文法的にはおかしくないけれど、常識的におかしいことには気づかずに正解にしてしまいました。人間なら暑いときに、寒くないことはわかりますが、こんな当たり前のことがAI(人工知能)には難しいのです。

悲しいことに、AI(人工知能)東ロボくんはあくまで計算機で、暗記は得意でも、人間らしい微妙な感覚や意味を理解できるしくみが入っていなかったのです。

※詳しくはこちらの記事でも取り上げています

この結果から、新井氏は「AI(人工知能)が人間と同じくらいの知能を得るには、私たちの脳が、意識しているにしろしていないにしろ、認識していることをすべて計算可能な数式に置きかえなくてはならない。今のところそれは難しいので、シンギュラリティは来ない」と断言しているんです。

ここまで「AI(人工知能)が人間を超えることはない!」と主張する4人の意見を紹介してきました。よくよく読んでみると、理由は4つほどあることに気づきました。以下にまとめてみましょう。

「AI(人工知能)が人間を超えるなんてあり得ない!」と主張する理由とは

理由1.AI(人工知能)は人間ではないので、目標や欲求を持てないから

競争のイメージ

AI(人工知能)ロボットは人間にとって便利だから、利益や効率がアップするからなど、人間の都合のいいように作られていますよね。人間には向上心があるので、「あの企業を抜きたい」「もっと新しいロボットを作って、世間をアッと言わせたい」といろんな欲求や目標があります。

でも、AI(人工知能)は人間に教えられた通りのことしかできません。しかも「心」がないので、競争心や目標なども持っていないでしょう。シンギュラリティは自分よりも能力の高いAI(人工知能)を作り出す!という意味ですが、今のAI(人工知能)にそのような気持ちを持たせることは難しいのです。そういう意味では、AI(人工知能)は人間を超えることは困難と言えます。

夢や目標、欲求を持つということは、人間だけの特別な能力なんです。この能力があるからこそ、人間社会はどんどん便利になっているんでしょう。

理由2.映画やメディア記事などに影響されて、SF的な世界を妄想しているだけだから

SF映画のイメージ

AI(人工知能)のロボットといえば、どうしてもSF映画の中のロボットを想像してしまいますよね。最初は人間に従順でも、次第に反逆して最後は人間とロボットとの壮絶な戦い…これはもう、何年か先の地球なのかも?と不安になるのは当たり前です。

それに、ディープランニングによって自分で考えて行動するAI(人工知能)ができた!と聞くと、とうとう何でもできるロボットの出現か!とパニックになっちゃいます。しかしAI(人工知能)を作り出すのはあくまでも人間。なのでAI(人工知能)が勝手に暴走して、人間を超えて滅ぼしてしまうってことはないでしょう。ただ悪意のある人間が「邪悪なロボット」を作るという危険性はあります。

でもそのロボットですら人間が制御しているんですから、暴走し続けることはない!と信じたいですよね。

理由3.そもそも、シンギュラリティと呼ばれるような無限な進歩はありえないから

進歩のイメージ

シンギュラリティは技術的特異点ともよばれ、AI(人工知能)のような科学技術が、自らより優れた科学技術を作れるようになるポイントのことです。このポイントを超えると進化は無限に続くわけですが、物事が永遠に進歩していくことは無理があるという考え方です。

これはいろんな観点から見ていくことができますが、たとえば物理的観点からだと「あらゆる指数関数的成長は永遠に継続することはできない」とされています。ちょっと難しいですが、化学反応や細胞分裂、生物の個体数などは、一定の期間には爆発的に増えても、その後はかならず停滞し崩壊していきます。テクノロジーの世界でも同じことがいえるということですよね。

理由4.人間の脳は数値化できず、AI(人工知能)に人間の思考すべてを教え込むことができないから

考えることのイメージ

AI(人工知能)は日々進化していますが、AI(人工知能)家電が「お帰りなさい!」「今日の献立は○○どうですか」など親身に提案してくれても、結局はコンピューターなんです。

つまり、コンピューターは数学の言葉だけを使って動いているので、人間が何気なくやっているような常識的なことが、計算可能な数式に置き換えることができないと、コンピューターに教え込むことはできません。

これまで、人間の脳は進化の過程で遺伝子を取捨選択して、音楽、アート、経営、リーダーシップなど、数え切れないほどの機能を身に付けてきました。ですが、それを数値化してAI(人工知能)に入れ込むことは困難なんです。

将来、AI(人工知能)はある特定の分野では人間の能力を超えることはできても、人間の知能と同じレベルを持ったAI(人工知能)は生まれない。すなわち、AI(人工知能)が、すべての分野で人間を超えることはあり得ないと考えられています。

まとめ

さて今回は、「AI(人工知能)が人間を超えるなんてあり得ない!」と主張する人の意見と、その理由も合わせてお伝えしてきました。まず「AI(人工知能)は人間を超えない」とする人の意見を簡単にまとめてみましょう。

  • AI(人工知能)は、人間と同じように考えないし、目標や欲求がない。SF映画や根拠のないメディア記事などに影響を受けているだけ
  • AI(人工知能)が無限に進歩することは無理。どんなに改善しても横ばい状態になってしまう
  • AI(人工知能)は計算能力が向上しただけ。コンピューターの計算量が増えることで「質」が変化することはないし、より人間に近くなるわけでもない
  • 人間の脳を数式に置き換えることができない限り、AI(人工知能)は人間を超えることはできない。なぜならコンピューターは数学の言葉だけを使って動いているから

これらの主張から、AI(人工知能)が人間を超えることはあり得ない理由を4つ考えてみました。

  1. AI(人工知能)はあくまでも計算機。人間の脳を計算可能な数式に置き換えることはできないし、人間の脳と同等レベルのAI(人工知能)は作れない
  2. AI(人工知能)は人間ではないので、目標や欲求を持てず自ら進化していくことは考えられない。
  3. そもそも、シンギュラリティと呼ばれるような無限な進歩はありえない
  4. 映画やメディア記事などに影響されて、SF的な世界を妄想しているだけ

「AI(人工知能)が人間を超えることはない!」と主張する人はまだまだたくさんいて、いろんな意見もあります。とにかく未来のことなので、何が正しいのか、正しくないのかなんて誰にもわかりません。

ただ、今回一つ言えることは、人間の脳はすごい!ということです。なぜなら「犬」でも「うさぎ」でも何でもあっという間に認識できますし、人をいたわったり、相手の身になって考えることも自然にできますよね。

近未来、AI(人工知能)はある特定の分野の仕事を完璧にこなせるようにはなるでしょう。その代わり、今ではまだ思いつかないような、人間にできてAI(人工知能)には絶対できないような仕事が、うじゃうじゃ増えているんじゃないかと期待できるに違いありません。

これから先、AI(人工知能)が人間を超えるかどうかはわかりませんが、それでも未来は明るいような気がしますよね。

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