テクノロジー

AI革命で人類がデータに駆逐される!?君は生き残れるか!

シンギュラリティのイメージ

IT革命に続く、AI革命の中で「シンギュラリティ(技術的特異点)」という言葉を聞いたことのある方もいますよね。

このシンギュラリティ(技術的特異点)とは、未来学者のレイ・カーツワイル氏が提唱した「人工知能の知性が人類の知性を越える時点」を指す言葉です。

1990年代のIT革命が成熟し、AI革命が進行している現代、情報技術およびAI(人工知能)は指数関数的に成長を続け、人間の脳が持つ能力を超え、そして認知能力、問題解決といった能力でさえ、AI(人工知能)が人類を超越してしまうと言われています。この技術的な特異点こそがシンギュラリティであり、2045年にシンギュラリティに到達するといわれているのです。

ですから、AI(人工知能)が人間を超えるとどうなるのかと疑問に感じたり、漠然とした不安が生じたりするのも当然ですよね。

そこで今回は、AI革命の中で、人類の立ち位置がどのように変わっていくのかについて、AI(人工知能)の現状や我々ができることについても触れながら見ていきましょう。

AI(人工知能)の現状

AIのイメージ

そもそも、AI革命とは言うけれど現在AI(人工知能)はどれほど進歩しているのでしょうか。

2016年3月に「アルファ碁(AlphaGo)」が囲碁におけるトップ棋士に勝利したというニュースはご存知の方も多いことでしょう。チェスや将棋においてはそれ以前にトップ棋士がAI(人工知能)によって破られているが、対局のパターン数がけた違いに多い囲碁において、AI(人工知能)が人間を凌駕するには時間がかかると思われていたため世界に衝撃を与えました。

そしてその後も、AI(人工知能)は成長を続け、様々な分野で活躍しています。

例えば、米アップル社の「Siri」、ソフトバンクの「ペッパー(Pepper)」などが身近な例として挙げられるでしょう。それだけでなく、自動運転や医療への応用、業務の自動化など非常に広い分野で活用が始まっています。
2015年に発表されたオックスフォード大学の研究によると、AI(人工知能)によって、現在の労働のうち49%は代替されてしまうとのこと。

実際、AI革命の進展に大きな影響を与えた「ディープラーニング」と「ビッグデータ」ですが、これらの技術により、現在のAI(人工知能)は、人間の計算力や記憶力、分析力を凌駕するだけでなく直感や感のような能力でさえ再現できるようになったのです。

このように聞くと、将来自分の仕事がなくなってしまうのではないかと不安になってしまいますよね。しかし、安心してください。

確かにAI(人工知能)の能力はある分野では人間を超えていますが、それらをひとつのAI(人工知能)が汎用的に行うことはできませんし、それぞれに人間のアシストが必要なのです。さらに言えば、AI(人工知能)を作るにおいても、扱うにおいても人間の意思決定が必要になってきます。

AI(人工知能)を、どのような分野でどのように使用するか、あるいは使用しないかは、あくまでも人間が設定するもので、私たち人間を含む生命体は、生存を優先したり社会組織が利益の最大化を追求したりするような個体としての最終的な意思を持っています。

しかし、AI(人工知能)はそのような意思を持っておらず、与えられた目標に沿った解を提示するだけ。したがって、実用化が期待されるそれぞれの分野において、目標を適切に定めることは人間の役割なのです。

ですから、たとえシンギュラリティ(技術的特異点)に到達したとしても、その根本は私たちの意思決定が影響を与えます。

というのも、AI(人工知能)はある目的を達成するようにプログラムされているからです。この目的を設定するのは人間ですし、もしAI(人工知能)が新たなAI(人工知能)を生み出したとしても、開発する側のAI(人工知能)には人間の意志が介在することになります。

このように考えると、AI革命の時代、我々が生き残っていくためには「自分自身で考える」力をつけていくことだと言えますよね。

AI(人工知能)を扱うにしても作るにしても、自分自身で考えて意思決定を行っていく必要があります。ですから今までのように言われたことをこなすだけの受け身的な姿勢だと仕事を奪われることになるでしょう。

しかし、AI革命の中で脅かされるのは仕事だけなのでしょうか。

仕事を奪われるどころの話ではなくなる

AIに使われているイメージ

ところで、AI革命の中で、人間が中心の世界からデータ中心の世界になってしまうことが懸念されています。

例えば、ウェアラブル端末の普及やスマートフォンでの健康管理を行っているとします。それらがビッグデータとして蓄積され、AI(人工知能)によって解析。将来は生体情報や遺伝情報だけでなく、人間のマインドや脳内の思考なども入手・解析できるようになるでしょう。

実際、総務省の調査によると、AI(人工知能)の望ましい活用分野として生体情報や生活習慣、病歴、遺伝等と連携した高度な診断は利活用ニーズが高く、研究も活発に行われており実用化も遠い話ではないのです。

そうなってくると、AI(人工知能)というシステムの方が本人よりも本人のことについてよく知っているという状況に陥ってしまいます。

これまでの社会は、人類の生活をよりよくすることを目的として発展してきており、科学の発展も人間中心の考え方に基づいたものです。しかし、AI革命が進んでいくことは、この人間中心の価値観が崩壊する危険性を内包しています。すなわち、AI(人工知能)が人間を凌駕し、AI(人工知能)に人間が従うようになってしまう危険性をはらんでいるのです。

このとき必要になってくるのが、先ほども挙げた「自分自身で考える」力なのです。

何も考えず、AI(人工知能)の方が正しいのだから、それに従おうという受け身の姿勢こそデータに人類が駆逐されることを意味します。ですから常日頃からあらゆることを想定して考え、自身で意思決定を行っていくことが重要でしょう。
AI革命における「人間中心からデータ中心」へのシフトを予見する「Homo Deus」(ユヴァル・ノア・ハラリ)では、末尾で「生体器官(organism)とは、本当にアルゴリズムなのか?生命とは、本当にただのデータ処理に過ぎないのか?」、「知性と意識では、どちらがより価値があるのか?」、「意識は持たずに知性だけを持つアルゴリズムが、我々よりも我々自身についてよりよく知る事態となったとき、社会や政治、そして日常生活には何が起こるのか?」という3つの問いが投げかけられています。

日頃こうした問いについて考え、自分なりの答えを持つことはこれからのAI革命の時代で生き残っていくためには非常に重要です。こうした問いに対する自分の答えを用意することで、将来AI(人工知能)が人間を凌駕し、それに従うことになったとしても、そこには自分自身の意思が介在することで、データからの駆逐を免れ、人間中心という従来の価値観が存在できることになるでしょう。

 

AI革命のイメージ

今回は現在のAI革命のなかでいかに人類が生き残っていくかを、AI(人工知能)の現状から未来、そして我々がデータに駆逐されないためにどうするべきかを解説してきました。

普段の生活の中でも「自分自身で考える」よく耳にする言葉ではないでしょうか。この基本的なことが、AI革命の中でデータに駆逐されることなく、人間が人間の尊厳を保って生きていくために必要な能力なのです。

ここでいう「考える」とは、なんとなく行動するのではなく、その根底にある行動の理由を意識したり、将来起こりうることを想定してそのような時自分ならどうするかを考えたりすることです。まずは先ほど挙げた3つの問や自分の行動の理由を考えることから始め、将来のAI革命に備えていきましょう。

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