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【2020年版】AI(人工知能)検品作業自動化システムの導入活用事例5選

【2020年版】AI(人工知能)検品作業自動化システムの導入活用事例5選

企業が製品をユーザーに提供する前に必ず行われるのが、検品作業です。従来は人間の目視による検品が一般的でしたが、昨今のAI(人工知能)技術の発展により検品作業を自動化する企業も増えました。

従来の目視による検品作業の中には熟練の経験を必要とするものも多く、少子高齢化で労働人口の減少が叫ばれる中では、人材の確保に頭を悩ませる企業も多いですよね。

しかし、検品作業は決して手を抜けない作業です。たったひとつの不良品が企業の信用を地に落とす可能性もあります。そこで人間に代わりAI(人工知能)が検品を行ってくれる自動化は企業にとって救世主とも言えるに違いありません技。この記事では、そんな検品をAI(人工知能)で自動化した事例をまとめるので、導入を考えるあなたの企業でも役立つでしょう。

そこで今回は検品作業の自動化によるメリットとデメリットと、実際に検品作業自動化システムの導入事例をお伝えします。

なぜ検品の自動化をするのか

チェックのイメージ
検品を自動化する目的は作業の効率化による生産性アップであったり省人化による人的リソースの確保であったりと企業によって様々ですが、最終的に行き着くのはどれも自社の利益を最大化することです。

例えば、今まで検品に5人、5時間かかっていたとしましょう。この作業を自動化すれば、この5人の人件費を浮かせることができます。またこの5人には別の業務に回れれば、業務全体が効率アップできるに違いありません。

その他にも、検品作業の自動化には品質の安定性の目的があります。人間の目視による検品では行う人間によって、品質にバラつきが出てしまいますよね。で熟練の作業員と新人の作業員では精度に差が出るのは当然であり、企業も徹底したマニュアル化などで対応はしていましたが、それでも限界はあります。

その点、AI(人工知能)による検品自動化システムならば全ての製品に対して同一のシステムで検品を行うので精度は安定し品質は安定します。安定した品質の提供はユーザーからの信用を得られやすくなるでしょう。

検品自動化によるメリットデメリット

工場のイメージ

次は検品自動化によるメリットとデメリットです。自動化は多くのメリットをもたらしますがそれだけではなくデメリットも存在します。それぞれについて、解説しましょう。

検品を自動化するメリット

先ほどお伝えした目的、生産性アップや人的リソースの確保、品質の安定がそのままメリットになります。

なぜならば、人間は24時間働き続けることはできないためです。工場が2交代制や3交代制であればラインの24時間稼働は可能ですが、その分人的リソースの確保が必要ですし、長時間の検品作業はミスを誘発します。しかしAI(人工知能)による検品自動化システムであれば、24時間一定の品質を保ったまま働き続けることが可能です。

もちろん自動化とは言え、完全に人間が必要ないわけではありません。検品自動化システムを運用するための人員は必要になります。このようなオペレーションなど、本当に人間がやるべき仕事に回れる点もメリットと言えるでしょう。

検品を自動化するデメリット

検品自動化の導入にあたって、最大のデメリットは導入コストがかかる点です。自社で開発したシステムであれば開発費用は掛かりますし、外部企業に頼んでも費用はかかります。そしてシステムを運用する人材も必要になります。AI(人工知能)に関する知識がある人材がいなければ検品自動化システムの運用は難しいでしょう。

しかし運用する人数は作業員に比べると少なくて済みますし、導入コストも長期的な視野で見れば無駄ではありません。きちんと運用できれば、検品作業の自動化は企業の利益を最大化する助けとなるに違いありません。

検品作業自動化システム事例その1:「アウディ」自動車のプレス工場での導入事例

車のイメージ

では、次に検品作業を自動化したシステムの事例について解説しましょう。

ドイツの自動車メーカー「アウディ」ではディープラーニングを用いた品質検査システムを導入しています。これは画像データを学習させることで、プレス加工された金属板のクラック(割れ)を検出し、自動でマークする仕組みです。

従来は目視と内視鏡による検査で時間がかかっていました。しかしこのシステムは一連のスキャンを数秒で完了します。なので検査に必要な人員を減らしつつも、検査スピードが上がったため、作業の効率化と人的リソースの確保ができました。

また大量の画像データを学習させたところシステムが今まで見たこともないようなクラックでさえも検出可能になりました。将来的にはプレス加工の検査だけでなく、塗装やコンポーネントの検査も自動化を目指すとのこと。

検品作業自動化システム事例その2:食品加工の原料の検査自動化「デリア食品株式会社」

人参のイメージ

キユーピーの子会社であるデリア食品では、総菜製造に使用する人参の銀杏切りの検査にAI原料検査装置システムを導入しました。このシステムは、銀杏切りされた人参の形状に不備や変色などがないのかを装置に組み込まれたカメラで撮影し画像処理することで検査するシステムです。検査の結果、不良と判断された人参はライン外へ出します。

従来の目視による検査では習熟度の差による精度のバラつきがありましたが、このシステムを導入することで解消されました。また、時間当たりの生産量は従来と変わりませんが、2人で行っていた作業を1人に減らすことができました。その結果、工程におけるの生産性は145%も向上したとのこと。

このシステムはキユーピーが出資する株式会社芝製作所が設計製作したもので、今後はキユーピーのグループ全体に導入予定です。

検品作業自動化システム事例その3:お菓子の検品を自動化することで省人化「三州製菓 株式会社」

お菓子のイメージ

埼玉県の三州製菓では、膨大な種類の菓子を製造しています。そしてその種類の多さ故に菓子ごとに切替作業が必要となり、生産性の低下に繋がっていました。そこで三州製菓は検査の自動化を強みとする永光電機株式会社と共に画像処理による不良品を検出し、システムを開発しました

このシステムをおせんべいの包装ラインに導入したところ、従来では6人必要だった作業が1人で可能となりました。人材不足で悩んでいた同社はいかにひとりひとりの生産性を上げるのかを課題としていましたが、この検品自動化システムを導入したことで一人当たりの生産性は飛躍的に伸びました。

検品作業自動化システム事例その4:バックミラーの検査を自動化し作業員の負担を軽減「株式会社村上開明堂」

バックミラーのイメージ
バックミラーの国内No.1のシェアを持つ村上開明堂は株式会社Ristが開発した鏡の表面を検査するシステムを導入しています。このシステムの導入以前も別の検知システムを使っていたのですが、それは精度が60%程度で最終的に目視による検査が必要でした。しかし新しく導入したこのシステムはディープラーニングの技術を活用して、従来では60%だった検査精度を97%まで向上させました。これにより作業員の負担を減らすことに成功しています。

またこのRistが開発した検査自動化システムは「Deep Inspection自信度」という独自のパラメーターを設定することで、自信度が高いものは自動検査、自信度が低いものは従来の目視検査に分類します。これにより精度がさらに上がって、導入から半年後には99%の精度となりました。このシステムを全ラインに導入したところ作業員の負担は7割削減にできました。

検品作業自動化システム事例その5:熟練技術が必要な磁気探傷検査を自動化「トヨタ自動車株式会社」

車のイメージ

トヨタ自動車株式会社内の鍛造部品を造る部署、鍛造部ではフロントハブの外観検査と磁気探傷検査を目視で行っていました。磁気探傷検査とは、まず鍛造品を磁化させて蛍光磁粉を塗ります。傷があった場合は傷部分から漏洩磁束が発生します。その漏洩磁束によって蛍光磁粉が付着し、外観目視検査では検出できないような傷も検知できるという検査方法です。

今回、熟練の技術が必要な磁気探傷検査の自動化に成功しました。その磁気探傷検査の自動化を可能にしたのが株式会社シーイーシーが持つディープラーニングを用いたWiseImagingという外観検査・画像検査システムです。

従来は外観検査と磁気探傷検査それぞれひとりずつの2交代制、つまり1日にかかる人的リソースのコストは4人必要でした。それがこのシステムを導入したことにより外観検査のみになり、人的リソースは半分の2人になって効率化できるようになりました。

現在このシステムはフロントハブだけの運用ですが、今後は様々な部品にも導入予定です。

まとめ

さて、今回は検品作業の自動化によるメリットとデメリットと、実際に検品作業自動化システムの導入事例をお伝えしました。

AI(人工知能)を用いた検品作業の自動化は企業の利益を最大化するために行われます。そして検品作業自動化システムを導入した際のメリットは生産性の向上と人的リソースの確保、更には品質の安定性を得られます。

しかし新しい技術を取り入れるため、導入には費用がかかることと専門知識を持った人材を用意する必要があるというデメリットがあります。しかしこれらのデメリットはきちんと運用すればメリットで得られる利益の最大化によって回収できるでしょう。

実際の導入事例としては自動車メーカー「アウディ」ではディープラーニングを用いた品質検査システムを導入し作業員の負担を減らし作業スピードが上がりました。

食品加工の原料の検査自動化装置を導入した「デリア食品株式会社」では従来では2人必要だった人員1人に減らすことができると共に精度の均一化に成功しました。

「三州製菓 株式会社」では従来では6人必要だった煎餅の検品作業を画像処理による検品自動化システムの導入で1人にまで減らしました。

「株式会社村上開明堂」ではDeep Inspection自信度という独自のパラメーターを組み込んだ自動化システムにより検査精度を99%まで上げ、作業員の負担を7割削減しました。

「トヨタ自動車株式会社」の鍛造部では熟練技術が必要な磁気探傷検査を自動化しました。

今回お伝えした企業ですが、いずれも現状導入しているシステムを活かして、同じシステムの拡大やさらにパワーアップした新システムの導入も視野に入れています。日々、進歩していくAI(人工知能)技術を活用した検品作業自動化システムの更なる発展が期待しましょう。

ところで、当メディア(AIZINE)の運営会社お多福ラボでは、このような企業でのシステム導入を支援しています。検品作業を自動化したいとお考えの場合は、まずご相談ください。

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