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自宅で使えるお手頃Deep learning用マシンはこれだ!

自宅で使えるお手頃Deep learning用マシンはこれだ!

第3次AI(人工知能)ブームと言われる昨今、コールセンター、医療診断、株取引および自動運転などの様々な分野でDeep Learning(ディープラーニング)を活用した取り組みが進んでいますよね。

Deep Learningとは、深層学習とも呼ばれている機械学習のうちの一つで、脳の神経ネットワークを単純化してコンピュータのプログラム上で再現したものです。近年非常に注目を集めており、これまで人間にしかできなかった物事の特徴を見抜くという行為が、Deep Learningを用いればコンピュータでも再現できるようになりました。

Deep Learningは今後のシステム開発において最も重要な基盤技術になると見込まれている一方で、AI(人工知能)エンジニア不足が強く懸念されています。AI(人工知能)エンジニアを目指している方にとっては非常に大きなチャンスではないでしょうか。

AI(人工知能)の開発環境をソフトウェアの観点で見てみると、Pythonなどのプログラミング言語およびフレームワークは幸いにも無償で入手できる状況にあります。既にPCで開発環境を構築しDeep Learningにチャレンジされている方もいらっしゃることでしょう。でも、普段使用されているPC(例:Macなど)だと性能面で不満を大きく感じている方も多いかもしれません。もちろん、クラウド環境を活用する方法もありますが、試行錯誤に時間がかかると課金が気になってしまうため、自宅のPCを使用したいという声も聞こえてきます。

(参考)フレームワーク:AI(人工知能)の開発に必要な各種機能をあらかじめ組み合わせたソフトウェア群です。

そこで、今回は自宅で使えるお手軽Deep Learning用マシンとして、以下の2台をご紹介します。

  1. iiyama SENSE∞「Deep Learning向けミドルタワーPC スタンダードモデルA」
  2. iiyama DEEP∞「ミニタワー型Deep Learning専用パソコン」

Deep Learning用マシンに求められるスペック

スペックのイメージ

まず最初にDeep Learning用マシンに求められるスペックについて確認しましょう。

Deep Learning用マシンに欠かせないハードウェアとしてGPU(Graphics Processing Unit)があります。Deep Learningでは極めて大量の行列式の演算処理を行う必要があるため、同時に大量の並行処理が実行可能なGPUが欠かせません。

(参考)一般的なPCのCPU(Central Processing Unit。中央処理演算装置。パソコンの中心的な処理装置)では4~16件の処理しか同時に実行できませんが、GPUだと数百~数千件の処理を同時に(並列して)行うことができます。
(参考)GPUはもともとは3Dゲームなどのリアルタイム画像処理に特化したハードウェアです。3D映像作成では極めて多数の座標計算処理を高速に処理する必要があったことから、GPUは多数の並行処理機能を持ちます。

GPUメーカーは事実上NVIDIAとAMDの2社のみとなりますが、主要なAI(人工知能)フレームワークがNVIDEA社製GPUのみ対応となっていることから、現時点でのGPUの選択肢としてはNVIDEA製品となります。この差は技術面ではなく(性能/コスパのいずれも両者はほぼ同じ)、NVIDEAが同社のGPU向け開発環境(GPU機能を使用するためのプログラムを開発する環境)を早くから広く提供していたという戦略によるものと言われています。

Deep Learning用マシンに求められるGPU性能としては、NVIDEA製品のGeForce GTX10シリーズ以上が推奨されています。一方、CPU性能についてはGPUほど重要視されていません。CPUはDeep Learningにおける学習処理時ではなく、事前の画像データ準備(画像の回転/拡大/縮小など。学習用データを増やす作業など)において活用される場合が多く、Core i5以上であれば充分です。GPU/CPU以外のハードウェアとしてはメモリ、ストレージなどがありますが、いずれもGPUのような性能要件はありません。

以上、Deep Learning用マシンに求められるスペックを見てきました。次にお薦めのDeep Learning用マシンについてご紹介します。なお「自宅で使える」ことから、日頃使用しているPCにGPUとしてGeForce GTX10シリーズ以上を追加する方法もありますが、以下の点からお薦めしません。

日頃使用しているPCだとWindowsあるいはMacOSとなります。MacOSの場合はGPU追加はMac Proでないと行えないためあまり現実的ではありません。また、TensorFlowやChainer(ChainerはWindowsを正式サポートしていません)などのフレームワークはUbuntuというLinux系OSで開発されているものが多いことから情報も多く、OSとしてはUbuntuがお薦めです。

今回は「お手軽」にDeep Learningできるマシンということで、メーカー側で動作検証済みのDeep Learning向けマシンを紹介します。

iiyama SENSE∞「Deep Learning 向けミドルタワーPC スタンダードモデルA」

自宅で使えるお手頃Deep learning用マシンはこれだ!

「iiyama SENSE∞」は株式会社ユニットコムのPCブランドで、販売はパソコン工房が行います。本モデルが目指したのは「10万円台のマシンでDeep Learningを」であり、従来約30万円かかると言われたDeep Learningマシンの低価格化を実現しています。本モデルはGPU技術によるソリューションを提供する「株式会社フィックスターズ」監修のもと商品化されたDeep Learning向けマシンで、価格は116,980円からとなっています。

本モデルのスペックは以下のとおりです。なお、本モデルにはOSはインストールされていないため自分で行う必要があります。

  • GPU:GeForce GTX 1060 3GB
  • CPU:Core i7-8700
  • ストレージ:ハードディスク(1TB)

iiyama DEEP∞「ミニタワー型Deep Learning専用パソコン」

iiyama DEEP∞

本モデルの特徴は、先のモデルのGPUの高性能化、OS(Ubuntu)が既にインストール済みであることに加えて、NVIDEAが提供するNVIDIA GPU Cloudというサービスについて動作検証済であり、本サービスを簡単な手順で利用可能な設定サービスが付いている点です。

本モデルのスペックは以下のとおりです。GeForce GTX 1080 Tiは、上記モデルのGeForce GTX 1060の2倍以上の性能を誇ります(GPUの性能向上目的に1台のPCで複数のGPUを使用する場合があります。プログラム条件などにもよりますが、GeForce GTX 1060の2枚使用よりもGeForce GTX 1080 Tiの1枚使用の方が良い性能結果となります)。

  • GPU:GeForce GTX 1080 Ti 11GB
  • CPU:Core i7-8700
  • ストレージ:SSD(240GB)+ハードディスク(1TB)

NVIDIA GPU Cloudサービスの使い方のイメージとしては、NVIDIAが提供するサイトより、OSとフレームワークなどDeep Learning開発に必要となるファイル一式を含むデータ(コンテナー)をダウンロードすることにより、フレームワークのインストール/設定などが一切不要で、すぐにDeep Learning開発を始めることができるというものです。本モデルはこのNVIDIA GPU Cloudに関する動作検証済で、NVIDIA GPU Cloudの使い方に関する手順書も添付されています。

価格は239,980円からと先のモデルより高いですが、自宅で手軽にDeep Learningを始めたい方にはお薦めのマシンではないでしょうか。

 

ということで、今回は自宅で使えるお手軽Deep Learning用マシンとして、以下の2台をご紹介しました。

iiyama SENSE∞「Deep Learning向けミドルタワーPC スタンダードモデルA」

  • GPUとしてGeForce GTX 1060を搭載
  • GPU技術によるソリューションを提供する「株式会社フィックスターズ」監修モデル
  • 価格は116,980円からの10万円台を実現

iiyama DEEP∞「ミニタワー型Deep Learning専用パソコン」

  • GPUとしてGeForce GTX 1080 Ti を搭載
  • NVIDIA GPU Cloudの動作検証済。簡単な手順で利用可能な設定サービス付き
  • 価格は239,980円から

2017年12月、NVIDIAは同社のGeForceシリーズ製品のデータセンターでの使用を禁止、AI(人工知能)市場における独占的地位を背景にした権利の濫用と話題になりました。ターゲットはNVIDIAが圧倒的なシェアを持つAI(人工知能)関連と言われており、AMDが大きなシェアを持つブロックチェーン関連の場合は禁止されていません。

現在、AI(人工知能)関連のGPU市場において一人勝ちのNVIDIAですが、その独占的立場の乱用による製品価格高騰などの市場支配を懸念する声も多く、複数メーカー間の公平な競争による市場の健全化が望まれています。

NVIDIAの一人勝ちを阻止すべく、AMD以外にもIntel、GoogleおよびMicirosoftがAI(人工知能)向けプロセッサの開発を進めています。今後はこれらのメーカー間での公平な競争が進むことにより、より高性能でリーズナブルなDeep Learning開発環境が世の中に広く浸透してゆくことを期待しましょう。

 

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