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IoTとAIを活用したロボット。一家に一台の時代は来るのか。

一家のイメージ

今後、数年の間に世の中を大きく変えると期待される三つのコア・テクノロジーが、IoT、AI(人工知能)、そしてロボット。どれもすでに、実用化されて社会や産業のさまざま場面に導入されていますよね。この三つが全て同時に活用できるようになるのも、そう遠い未来のことではありません。

IoTでつながったAI(人工知能)によって、物を考え、お互いに情報をやり取りするロボット。三つのテクノロジーの統合が可能になれば、夢に見た「人と一緒に生活するロボット」が実現できるのでしょうか。既に市販されている「お掃除ロボット」などは、このようなロボットが登場する日が遠くないことを感じさせてくれます。

「お掃除ロボット」の登場からわかるように、未来のための技術の要素はすでに揃っているようです。それでは今回は三つのコア・テクノロジーの統合に向けた取り組みと、実現までの道のりについてお話ししましょう。

三つのコア・テクノロジー

アメリカのイメージ

今後の暮らしと社会、環境に最も大きな影響を与える三つのコア・テクノロジーとしてIoT、AI(人工知能)、ロボットが期待されています。企業活動のあり方や消費生活にも重大な変化をもたらすものとして、これらの技術それぞれの進歩とその統合が期待されている分野です。

アメリカの調査会社KPMGは、この三つの技術がは2021年までに世界で1.4兆ドル(約160兆円)の価値を生み出すと予測。特に私達の生活を良くするために役立つ技術としてIoT とAI(人工知能)が注目されています。

最もインパクトの大きい技術がIoT (internet Of Things)。モノのインターネットと呼ばれるこのテクノロジーは身の回りにある全てのものに情報端末としての役割を与えます。ラップトップコンピューターやスマートフォン、スマートウォッチに加え、今後はインテリジェントカーをはじめとしてマイクロチップやセンサーを内蔵したさまざまなデバイスが登場するでしょう。

半導体市場調査会社のGardnerによると、インターネットにつながるデバイスの数は2020年までに2000億ユニットを超え、2021年のアメリカでは一人当たり13台のIoTデバイスを保有することになると予測しています。

そして、AI(人工知能)はデータを処理し、その中から傾向を読み取って判断することのできるアルゴリズム。IoTから得られるさまざまな情報を元に最適の選択を導いてくれるだけでなく、不要な情報を除いたり、人とコミュニケートすることを可能にします。

これらのIoTというデータ環境とAI(人工知能)というソフトウェアが結びつき、これをロボットという「身体」が活用することによって人が行っている分析、判断、実行という機能がそろうことになるでしょう。

IoT + AI(人工知能) を活用したシステム

Amazonスピーカーのイメージ

ところで、日本国内のスマートフォン普及率は現在80%に近くなっており、一人一台のIoT環境は既に達成されているといってよいですよね。スマホから操作できる家電やデバイスも数多くリリースされています。今後、このようなアプリケーションは急速に増えてゆくでしょう。

そのアプリケーションとして、シャープが発売するテレビ「AQUOS 4K」がサポートする「COCORO VISION」というAI(人工知能)クラウドサービスがあります。

「COCORO VISION」は、AI(人工知能)が家族の視聴する番組の傾向を学習し、おすすめの番組を見つけてくれます。テレビの前に座ると自動で電源をON。AI(人工知能)とのやり取りや番組情報の通知はスマホでコントロールできます。

アメリカではAmazonが発売するAmazon EchoのAI(人工知能)クラウドサービス Alexaをプラットフォームにした家庭用サービスが始められています。

家電メーカーGEが開発するGenevaシステムは、家電に組み込むことでAlexaからの情報を受信。Amaxon Echoのボイスコントロールで「オーブンを350度で予熱して」と指示すれば、Genevaを搭載したオーブンがAlexaの指示をうけて余熱を初めてくれるでしょう。

このように、キッチンがGenevaシステムでつながっていれば、冷蔵庫、オーブン、食洗機、電子レンジ、換気扇などのIoTユニットがAlexaのAI(人工知能)を中心に連結され、台所全体で生活をサポートしてくれる、いわゆる「キッチンロボット」になってくれますよね。

フィリップスのスマート電球「HUE」は、Alexaに対応して点灯、消灯します。外出のときはAmazon Echoに「電気を消して」と言えばOK。帰って来たときもスイッチを探す必要はありません。ベッドに入ったら、「3分後に消灯して。」

家の中のIoTユニットをもっと増やしてAlexaのAI(人工知能)クラウドプラットフォームで統合すれば、家中を一つのロボットとして操作することができるでしょう。このような「スマートホーム」の実現は、もう目の前です。

IoT、AI(人工知能)による犯罪捜査とロボット警官の登場

警察のイメージ

IoTとAIを使ったシステムは家庭生活での便利だけでなく、犯罪捜査の上でもいろいろな用途が開発されています。さまざまな電子デバイスが持つ情報を併せて調べることで、捜査に役立てることができます。

例えば犯罪の容疑者が持っている腕時計、スマホ、テレビや自動車が動作していた状況を全てクラウドに送っていたらどうでしょう。警察がアリバイを調べるのは苦もないことですよね。

また、

AI(人工知能)センサーを銃に取り付ければ、その銃がホルスターから抜かれた瞬間にアラームを発信できます。発射前後の銃の動きや安全装置が解除されたタイミングを分析して状況を正確に再現することができれば、裁判の証拠として役立つでしょう。

UAE(アラブ首長国連邦)ではドバイの犯罪対策として、IoTとAI(人工知能)を搭載したロボット警官を配置。

旅行者の多い繁華街を中心に配置されるこの警官は、6カ国語を話し人の表情を読むAI(人工知能)を搭載し、防犯カメラを通して街の中の画像を本部に送信します。コンピュータータッチスクリーンを備え、犯罪の被害にあったらその場で届けることも可能。

ドバイでは2030年までに全警官の1/4をこのロボット警官にする計画です。これ以外にも世界の警察で、爆発物処理や危険な地域での証拠収集作業などにIoTとAI(人工知能)を活用したロボットの導入が進められています。

IoT、AI(人工知能)、ロボットの融合とその実用化へ

人とロボットのイメージ

IoTはデータをやりとりするための環境、AI(人工知能)はデータを処理するためのアルゴリズムです。この二つはデータの処理に関する技術ですが、ロボットはこれを使って実際に作業する物理的な技術。IoTとAI(人工知能)が到達したアウトプット情報が形になるには、複雑な機能をこなすロボットがいなければなりません。

残念ながら、現在の時点では人と同じようないくつもの機能を一台でこなせる、万能型ロボットというものは存在しません。

役割ごとに個別の機能に特化したロボットが、それぞれに活躍しています。輸送用ロボット、清掃ロボット、撮影ロボット、会話ロボット、等々。こういったロボットたちは何か一つのことだけをすることができるようになっているので、家庭での役割のような不特定の作業を自由にこなす汎用的なロボットとしては、まだ不十分と言わざるを得ません。

例えば産業用の腕型ロボットは、工場のような所で一つの作業だけを繰り返し続けています。このようなロボットでも、溶接ロボットと、塗装ロボットは違う役割をする別々のロボットとして作られていて、形は似ていても作業をする部分の仕組みは溶接する銃と塗装するスプレーで全く違うものです。
台所のいろいろな家電をIoTとAI(人工知能)で結び付けても、料理をするシェフロボットがいないのは、料理をする一連の作業ごとに別々の機能のロボットが必要になってしまうからです。鍋を置くロボット、卵を割るロボット、ベーコンをフォークで取り分けるロボット、料理を皿に移すロボット。

特に人の「手」はあまりに多機能で、これを作業の数に分けていくと無数のツールが必要になります。

さて、この先のブレークスルーはあるでしょうか。

実は、イタリアのロボットハンドメーカー、Qbロボティクスはこのほど、5本の指を供えるソフトロボット、「Qb ソフトハンド」を開発。動物の筋肉系の動きを研究して作られたこの「手」は、人の手と同じ構造で、手のひらと指で包み込む動きと指先でつまむ動作の両方が可能です。扱うものの形や材質に応じて19の関節が動きをシンクロナイズさせて傷つけないようにハンドリングします。

このQbソフトハンドは既に海外のロボットメーカーの腕型ロボットに装着されて、新しいロボットの用途開発が進められています。ロボットが人と同じ手を持つとき、そのロボットは人が使う全ての道具を使うことができるようになるでしょう。

 

近未来のイメージ

IoT, AI(人工知能)そしてロボットという三つの技術は、今後の社会のあり方に大きなインパクトを与えるコアテクノロジーですよね。中でもIoTとAI(人工知能)は情報処理技術として統合が進められていおり、国内でも家電を中心にさまざまな IoT+AI(人工知能)化が進められています。家の中のさまざまな器具を結びつける情報ネットワークにより、「スマートホーム」が実現されるのは遠いことではありません。

そして、IoTとAI(人工知能)の融合は犯罪捜査や警察活動でも活用され始めています。ドバイで導入されたロボット警官は三つのコアテクノロジーが融合されたモデルケースといえるでしょう。今後は、AI(人工知能)の情報を実行することのできるユニットとして、より多くの役割を果たすことのできる汎用型ロボットの技術開発がカギとなります。

IoTとAI(人工知能)に繋がったロボットが、人と同じ作業をこなす。そんな時代が待ち遠しいですね。

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