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スマホだけじゃない!様々なシーンで利用される顔認証システムとは

スマホだけじゃない!様々なシーンで利用される顔認証システムとは

現在、コンピュータ制御のセキュリティ管理には、一般的に指紋認証が使われていますよね。指紋認証とは、生体認証の一種で人間の指紋の身体情報を使って個人を確認する認証方式です。

現在もセキュリティ管理には、従来からあるパスワードやIDカードが利用されていますが、ハッキングや偽造などでセキュリティを突破されやすいリスクがあります。これらに対して生体認証は、個人だけが持つ身体情報を使うので固いセキュリティ管理ができ、それで安全性が高いので様々なところで使われています。

その生体認証の中で、これから普及しそうなのが顔認証システム。顔認証システムといえば、スマートフォンを思い浮かべるでしょう。iPhone Xに初めて顔認証システムのFace IDが搭載されて以降、認知度も高くなり普及が進んでいます。

そして、スマートフォン以外でも様々なところで顔認証システムが利用されはじめ、これからますます普及する動きがあります。その大きな理由になっているのが、顔認証システムのセキュリティ性能の高さと、現在の社会の状況です。そこで今回は、これから様々なシーンで利用する機会が増える顔認証システムについて、セキュリティ面や普及が進む背景などをお伝えします。

顔認証システムとはどんなシステムか

顔認証のイメージ

人間の身体情報を使う生体認証には、指紋認証や顔認証の他に、声で確認する声紋認証、赤外線を使って手の静脈で確認する静脈認証などの様々な認証方式があります。そして、その中でもこれから普及が期待されているのが顔認証システム。顔認証システムとは、人間の顔をカメラで撮影した静止画や動画に画像認識技術を使って、個人を特定する生体認証システムです。

顔認証システムを利用すると、次のようなメリットがあります。

  • 指紋認証は指紋を識別するために専用機器に触れる必要があるが、顔認証システムはカメラ撮影だけなので、荷物などで手がふさがった状態でも認証ができる
  • 指紋認証では指紋を読み込む専用機器が必要だが、顔認証システムでは、顔を撮影するカメラに一般のカメラやスマートフォンを使用して、専用機器を使わず実施することも可能
  • 人間の顔はそれぞれ固有なので、なりすましは難しくセキュリティが固い

上記の中でも一番のメリットなのが固いセキュリティです。しかし、単純な考えだと、人間の顔写真で顔認証システムのセキュリティを解除できそうですよね。では、そのことを踏まえて次に顔認証システムの仕組みを紹介しましょう。

顔認証システムの仕組み

目のイメージ

現在の顔認証システムはAI(人工知能)を搭載して認証をしています。それは、カメラで人間の顔を撮影した静止画・動画からAI(人工知能)が、顔の大きさ、目、鼻、口などの位置を検出して、データベースに保存してある顔データと照合し個人を特定する仕組みです。そして、そんなセキュリティ性能が高いAI(人工知能)を搭載した顔認証システムの利用方法は、次の2種類です。

  • デバイス(端末機器)型:専用のデバイスを据え置いて使用する顔認証システム。メリットは個人情報を建物内で管理できるので情報漏洩のリスクを抑えられます。ただし、専用デバイスを設置する場所が必要です。
  • クラウド型:インターネット上にあるシステムとオンラインで接続して認証するタイプ。スマートフォンやカメラなど一般の機器を利用でき、常に最新のシステムが使えて保守管理が必要ありません。ただし、インターネットが使用できないと機能しないことと、オンラインなので情報漏洩の可能性が考えられるデメリットがあります。

そして認証方法には、次の2種類があります。

  • 2D顔認証システム:2D顔認証システムとは、画像の顔から目・鼻・口などの位置を認識して、データベースに登録してある情報と照合し個人を特定する認証方法。この方法は使用できる端末が多いのがメリットです。しかし場所によっては、光の当たり具合や髪型、化粧の状態によって認証できない可能性があり、顔写真で認証してしまうなどの課題があります。
  • 3D顔認証システム:3D顔認証システムとは、2D顔認証システムに赤外線センサーを追加して、顔を立体で認識する認証方法です。顔を平面で捉える2D顔認証システムより認証精度が高くなります。

大きなメリットは、顔写真を使った認証ができないこと。また、光の当たり具合や髪型、化粧の状態による影響も問題ありません。しかし、赤外線認証ができる専用端末が必要です。

2D顔認証システムは、写真で誤認することがある課題がありました。しかし、3D顔認証システムでそれを克服し高い精度の認証を実現しています。では、これらの仕組み選択して利用できる顔認証システムが、実際にどんなシーンで利用されているのかを次で紹介します。

様々なシーンで利用されている顔認証システムの実例3つ

オフィスのイメージ

ここで、さまざまなシーンでの利用が進められている顔認証システムの実例を3つ紹介します。

オフィスの入退室

これまでオフィスの入退室には、ICカードが一般的でした。しかし、ICカードには紛失で個人情報の漏洩などのリスクや、再発行するためのコストもかかります。そこで最近は、オフィスの入退室に顔認証システムを導入する企業が増えています。

例えばニュースアプリで近年急成長しているスマートニュース株式会社もその一つ。スマートニュース株式会社は、株式会社セキュアが提供している顔認証システムを導入しました。

スマートニュース株式会社では顔認証システム以外に、一般に普及している指紋認証の選択肢もありました。しかし、指紋認証は、指の力加減や冬の乾燥した時期に認証が通りにくいことがあったそうです。そこで認証精度が高い顔認証システムの導入に至りました。

ICカードは紛失による個人情報の漏洩や悪用されるリスクがありましたが、顔認証システムの運用でその心配がなくなりました。またドアに近づくだけでストレスなく入退室できているとのことです。

観光地での買い物や施設利用

観光地として有名な和歌山県の南紀白浜では、南紀白浜空港を中心とした観光エリア内で、顔認証システムのサービス実証が行われています。このサービスには大手電機メーカーNECの顔認証システムを採用。

その内容は、観光客が事前に自分の顔情報とクレジット情報を登録して、南紀白浜空港での出迎えから、ホテルのチェックイン、南紀白浜エリア内の観光名所・施設・交通機関の利用、キャッシュレス決済をスムーズにして、観光してもらうサービスです

このサービスは、観光客が手ぶらで観光ができるので財布を持ち歩く必要はなく、紛失する心配もありません。そのため利用者から高評価を得られることができれば、観光客数の増加が期待できます。現在は、実証実験の段階ですが、本格的な運用開始で、観光を中心とした地域の経済発展が期待されています。

顔認証によるキャッシュレス決済

コンビニ大手の株式会社セブン-イレブン・ジャパンは、2019年12月からセブン-イレブン麹町駅前店で、NECの顔認証システムを使ったキャッシュレス決済の実証実験を、同社の社員を対象に実施中です。また、これに先立って2018年よりセブン-イレブン三田国際ビル20F店でNECの社員に限定した顔認証によるキャッシュレス決済の実証実験を行っています。

これは、「お客様にとって心地よく使いやすいお店」「従業員にとってもっと働きやすいお店」、また「加盟店オーナーにとって安心して経営できるお店」を目指して導入が始まりました。実証実験を実施している店舗ではセルフレジで、支払い時に顔認証と確認コード認証で決済。2要素認証で固いセキュリティでのキャッシュレス決済が可能です。

今後、株式会社セブン-イレブン・ジャパンは、これらの実証実験の結果を参考にして、将来的に一般客へのサービス展開を考えています。

紹介した3例の他にも、イベントやコンサートの会場への入場に顔認証システムを導入しているケースもあります。しかし、現在のところスマートフォン以外で顔認証システムを利用する機会はほとんどありません。それには大きな理由があります。

顔認証システムが抱える問題

セキュリティのイメージ

顔認証システムの普及がなかなか進まない大きな理由になっているのが、プライバシーの問題です。マーケティング支援をしているクレストホールディングス株式会社が行った顔認証システムに対する意識調査によると、64.8%の人が利用に抵抗があると回答。その理由について多かった内容は以下の通りです。

47.5%「目的は何であれ、無断で自分の顔や姿を撮影されることが不快」
45.7%「自分の写った画像や動画がどのように利用されるかわからない」
31.5%「個人情報の流出が心配」
29.0%「個人情報を勝手に利用される恐れがある気がするから」

上記の回答内容を見ると、どれもプライバシーに関することです。一般では顔認証システムの利用に、この調査結果のような心配があるので、個人で管理し利用するスマートフォン以外では、なかなか普及が進まないのが現状です。では日本で今後、顔認証システムは普及していくのかを次で解説します。

顔認証システムのこれから

ウイルスのイメージ

結論として、これから顔認証システムは普及していくと考えられます。その大きな理由は、新型コロナウイルスです。

前代未聞といえる感染症のコロナウイルスは、これまでに多くの人々が命を落としました。そのコロナウイルスの感染経路の一つは、接触感染です。そのため、コロナウイルスへの接触感染を防止するために、これまで接触が当たり前だったものの非接触への転換が進んでいます。

例えば、これまでのエレベーターのボタンは押しボタン式でした。しかし、今回の新型コロナウイルスで接触感染を防ぐために、手をかざしてエレベーターを操作する非接触式の装置が、エレベーターメーカーのフジテック、三菱、日立などで開発されて導入が進んでいます。

また、大手回転寿司チェーンのくら寿司では、自動受付案内機と各テーブルにあるメニューを注文するタブレット端末を、非接触で操作できるように改良しました。今後も非接触の動きは広がっていき一般化していくでしょう。そして顔認証システムでは、コロナウイルス感染を防ぐためにマスクを付けたままで認証できるシステムも開発されています。

もともと、日本人は環境を清潔に保とうとする強い意識がありますよね。先ほどの調査結果では、現在のところ日本で顔認証システムに対して抵抗がありますが、今回のコロナウイルスをきっかけに、非接触で認証できる顔認証システムの普及が進むでしょう。

まとめ

さて今回は、顔認証システムについてお伝えしました。顔認証システムとは、人間の身体情報を使う生体認証の一つ。

人間の顔はそれぞれ特徴があり固有なので、それを利用した顔認証システムはセキュリティが固いメリットがあります。そんな顔認証システムの仕組みは、人間の顔をカメラで撮影した静止画・動画からAI(人工知能)が、顔の大きさ、目、鼻、口などの部位を検出して個人を特定します。

そして顔認証システムの利用方法は、次の2種類です。

  • ・デバイス(端末機器)型・・・専用のデバイスを据え置いて使用する顔認証システム
  • クラウド型・・・インターネット上にあるシステムとオンラインで接続して認証する

また認証方法は、2種類あります。

  • 2D顔認証システム・・・平面の顔画像を使って個人を特定する認証方法
  • 3D顔認証システム・・・赤外線を使って顔を立体で認識する認証方法

そして現在、顔認証システムは次のようなシーンで利用されています。

  • オフィスの入退室・・・ニュースアプリで有名なスマートニュース株式会社でも導入
  • 観光地での買い物や施設利用・・・和歌山県の南紀白浜で観光に利用するためサービス実証中
  • 顔認証によるキャッシュレス決済・・・コンビニのセブン-イレブンで現在、実証実験を実施中

現在の日常で顔認証システムを利用する機会は、スマートフォン以外でほとんどありません。クレストホールディングス株式会社が行った意識調査では、64.8%の人が顔認証システムの利用に抵抗があると回答しています。その理由の内容は、どれもプライバシーに関する心配です。そして、これが顔認証システムの普及が進まない要因です。

しかし、これから顔認証システムは徐々にでも、普及します。そして顔認証システムには、マスクを着用していて高い精度で認証するシステムが開発されています。日本人はきれい好きなので、今後は非接触で認証できる顔認証システムを積極的に利用していくのは間違いありません。

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