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生体認証とは?今知るべきリスクと要点を3分で理解しよう

整体認証のイメージ

銀行のATMでは、ICカードと暗証番号、スマートフォンやパソコンならパスワードのように利用者の本人確認にはこれらが一般的です。しかし最近は生体認証で本人確認を行うシステムが増えてきましたよね。生体認証のメリットは従来よりも確実でスムーズな認証ができ何よりも不正利用の防止に効果があります。

例えば、スマートフォンへのログインだとこれまでのパスワードではだとまず入力作業は必須。そしてパスワードだと忘れてしまい、認証ができない事態になる可能性や、紛失してしまうと最悪の場合に不正利用される危険性もあります。

しかし生体認証はそんな心配も少なくスムーズな認証を実現した便利なシステム。

そして現在のスマートフォンやタブレット端末、パソコンでは生体認証によるログインが一般化しており、この他の分野でも生体認証の利用が進められています。しかし、生体認証はその便利さゆえの問題も抱えているのです。

そこで今回は、一般化してきている生体認証について、その種類や実用例と知っておくべくリスクを要点にしてお伝えしましょう。

そもそも⽣体認証とは︖英語では何という︖

Securityのイメージ

現在のスマートフォンには指紋認証や顔認証が搭載されているのでログインが簡単になり、とても便利になりましたよね。

生体認証とは、指紋や顔といった人間の身体的特徴を利用して本人確認を行う認証システム。生体認証は英語で「バイオメトリクス(biometrics)またはバイオメトリック(biometric)」ともよばれています。ちなみにバイオメトリックス(biometrics)とは元々は統計学の「生物測定学(もしくは生物統計学)」を意味する英語ですが、現在では主な意味に「バイオメトリクス=生体認証」として用いられるようになりました。

そんな生体認証はそれぞれの人によって身体的特徴がオリジナルなので本人確認を行うには最適です。

冒頭でも触れたように従来からのカードや暗証番号、パスワードだと忘れたり、紛失してしまったりする恐れが十分に考えられますよね。
しかし生体認証はその人の身体的特徴をデータ化してコンピュータに登録し、認証時にそのデータと認証する人の身体的特徴を照合して本人確認するので、成りすましや偽造するのも困難です。

そして生体認証は技術進歩とともにより正確さと安全性を増してきているで、パソコンやスマートフォンなどの端末機器以外にも、オフィスビルやテーマパーク、空港など多くの人が出入りする建物や場所でも取り入れられています。

しかし一般に端末ログインでは指紋・顔認証が使用されていますが、この他にはどのような生体認証の種類があるのでしょうか。

⽣体認証の種類

生体認証のイメージ

現在の生体認証では主に人間の⼿、指、顔、⽬、声などの特徴を利用しており、それぞれで認証の仕方に違いがあります。ここでは主な生体認証としてすでに実用化されている指紋認証・顔認証・静脈認証・虹彩認証・⾳声認証について紹介しましょう。

指紋認証

生体認証の中でもいちばん多くの方に認知されているのは指紋認証ではないでしょうか。

指紋認証は手の指紋を利用して本人確認を行う生体認証。

一般に指紋認証が普及し始めたと言えるのがApple社のiPhone5sにTouchID(指紋認証)が搭載されてからです。

指紋認証の方法は指紋の模様にある複数の特徴点と指紋の中心点との位置関係をデータ化し、認証時にそのデータと認証する人の指紋をセンサーで照合します。そして本人と他人の指紋を間違う確率が0.0002%以下。ですから本人識別能力はかなり高いと言えます。

また指紋認証は他の生体認証よりも低コストで導入できるので、いちばん普及している生体認証です。

顔認証

顔認証と聞いてこれもiPhoneを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

顔認証は顔の輪郭と目や鼻などのパーツの位置で識別する生体認証。顔認証が身近になったのはiPhoneXへの搭載がキッカケですよね。

これまでの顔認証は写真で本人偽装ができてしまう致命的な問題がありました。

しかしApple社はこの問題を3万以上のドットを投射して顔のマップを作りだし、⾚外線カメラがそのドットパターンを読み取り認証するシステムを開発してiPhoneXへ実用化したのです。そして指紋認証では機器に接触させて認証しますが、顔認証は顔にカメラを向けて照合するので、より煩わしさがなくなりスムーズな認証を行えます。

静脈認証

静脈認証は手のひらや指の内部に張り巡らされた静脈パターンを利用した認証方法で、静脈パターンは近赤外線を使用し血液中の還元ヘモグロビンを吸収させてパターンを抽出します。そしてこの静脈パターンを登録して認証する人の静脈パターンと照合して本人確認を行うのです。
静脈パターンは一人ひとりで違っているので一卵性双生児であっても間違う心配はありません。また認証する指や⼿に怪我を負っていても内部の静脈を読み取るので問題はなく、偽装や成りすましも難しいと言えるでしょう。

そのため生体認証の中でも注目されている認証⽅法の1つになっています。

虹彩認証

ところで、虹彩認証と聞いて「どの部分」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

虹彩認証は⽬の特徴を利用した生体認証で、虹彩とは目の中にある⿊⽬と瞳孔の間のドーナツ状の部分のことを言います。
「なぜ虹彩なのか」というと虹彩には非常に細かいシワがあり、このシワは生後2年ぐらいで成長が止まりその後生涯にわたって変化しないので本人確認には非常に都合がいい身体的特徴なのです。

そのため偽装や成りすましも難しいという利点があります。そして顔認証と同じくカメラでシワを読み取るのでスムーズな認証が可能です。

音声認証
音声認証は人の声の特徴を利用し、それぞれの周波数成分の強度と変化などをもとにして照合し本人確認を行います。ですから両手がふさがった状態でも行えるので手軽であり、顔認証や虹彩認証と同じく非接触で認証できるメリットがあります。

そして音声認証は指紋認証についでシェア2位の位置をキープし一般化している生体認証なのです。

⽣体認証の⾝の回りの事例

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先ほどお伝えした5つの生体認証はすでに実用化されています。では、それらは私たちの身の回りでどのように取り入れられているのか、それぞれの事例を紹介していきましょう。

普及率がNo.1の指紋認証の実用例

生体認証の中でもいちばん普及しているのが指紋認証で、その実用化で代表的なのはスマートフォンです。

iPhone5sに指紋認証が搭載されてからAndroidスマートフォンでも搭載機種が増えはじめ、そしてタブレット端末・パソコンと広がり、現在はIT端末でスタンダードな認証方法になっていると言えるでしょう。

そしてこの他だとATMや家の玄関ドアの開閉や、企業や研究所の関係者以外は立ち入ることができない空間の入退室管理にも使用されています。

ポピュラーになってきた顔認証の実用例

また、iPhoneXに搭載されてから顔認証は周知されはじめ、現在では搭載しているスマートフォンやタブレット端末も増えており、パソコンでも使用されるようになりました。

そして顔認証は銀行をはじめとする金融機関でも導入が進んでおり、セブン銀行は2024年までにすべてのATMを顔認証で行う機種にしていく方針を示しています。
海外では顔認証で航空機へ搭乗できる試みや、日本だと和歌山県の南紀白浜空港を中心とした観光企業がNECの開発した顔認証技術で買い物や食事、ホテルの入退室ができるサービス実証が現在進行中です。

静脈認証の実用例

静脈認証は指紋認証や顔認証と比べてもなじみの薄い生体認証なので、もし使用する機会があるとするなら銀行のATMでしょう。

一般にATMの本人確認にはキャッシュカードと4桁の暗証番号で行っている方がほとんどではないでしょうか。しかし最近では生体認証ICキャッシュカードという方法で本人確認を行えるようになってきています。

これは生体認証に指の静脈で認証する「指静脈認証」を採用してICキャッシュカードと両方で本人確認を行うシステムです。そして金融機関によっては「指紋認証」や「暗証番号」をプラスしてセキュリティを高めているところもあります。

またこの他に静脈認証は会社員の勤怠管理やシステムのログインにも実用化されています。

日本ではこれから虹彩認証の実用例

日本で虹彩認証はあまりなじみのない生体認証ですが、最近は虹彩認証を搭載しているスマートフォンやタブレット端末があるので、すでに使用している方もいらっしゃるでしょう。

日本で虹彩認証はまだ普及していないので海外での導入事例の方が多いのです。

例えばインドでは日本のマイナンバー制度に当たる国民IDシステムに「生体認証ID」を導入し、その本人確認には指紋や顔と虹彩認証が採用されています。*5

そして中国では2018年から鉄道をはじめ交通インフラで採用されて人や車の流れがスピーディーになり春節(旧正月)の大混雑を劇的に改善させました。*5

この他シンガポールでは出入国管理に、UAE(アラブ首長国連邦)では国境審査と入国審査に虹彩認証を取り入れています。

すでに身近にある音声認証の実用例

音声認証は指紋認証についでシェア2位ですが、なじみがないように感じますよね。しかし最近普及しはじめているGoogleの「Google Home」やAmazonの「Alexa」などのスマートスピーカーには音声認証を採用しています。

そして海外の銀行では音声認証を導入している銀行もあり、日本ではマンションのセキュリティやクレーマー対策に使用されている事例もあります。

⽣体認証の問題点とデメリット

メリットのイメージ

生体認証とは何か、その種類と実用例をここまではお伝えしてきました。

生体認証の特徴を知るとカードや暗証番号、パスワードによる本人確認よりも、だんぜん生体認証の方が速くて安全な認証ができる印象ですよね。

しかしその反面にいくつか問題も残されており、それが利用者にとってデメリットにつながる恐れもはらんでいます。では生体認証が抱える主な問題とそこから生まれるデメリットについて紹介しましょう。

身体的特徴の変化

人間の身体は成長や老化、そして病気やケガによって身体に変化が生じます。これは人間の身体的特徴を利用する生体認証にとって宿命とも言える問題ですよね。

例えば成長や老化で特徴が変わってしまった場合はそのたびに再登録する必要があり、病気やケガによる身体の部位が失われた場合だとその部位での認証ができないデメリットにつながるのです。

生体情報は変更できない

生体認証に用いる生体情報はその人のオリジナル情報です。そして万が一にその生体情報が流出した場合は取り返しのつかない問題につながります。

一般に本人確認で使用されているパスワードや暗証番号だと、たとえ流出したとしてもその後に変更する対処が可能です。

しかし生体情報は流出して使えなくなったからといって、パスワードや暗証番号のように簡単に変更できるものではありません。
そしてハッキングなどによって流出した個人情報と同じように取り戻すことはまず難しく、その後は同じ生体認証を使用する場合でも流出した生体情報をもとに偽造されて不正使用されるリスクは一生つきまとうことになります。

このように生体認証は個人のオリジナル情報を利用するので本人確認に最適ですが、それが流出した場合には大きなデメリットにもなるのです。

そのため生体認証での生体情報の取扱いについて法整備や情報管理するシステムの万全のセキュリティ体制が求められます。

コストの問題

生体認証を導入する側にとってコストは無視できない問題ですよね。これは生体認証システム導入にかかるこすとは採用する種類によって違いが出ます。

どうしても専門技術や機器を用いているのでコスト高になるのは仕方ないことですが、導入する側にとっては「できれば低く抑えたい」というのが誰しもの本音。

しかし生体認証は現在も研究開発が続けられているので、普及や技術の進歩で低コストになってくる期待が持てます。

 

セキュリティのイメージ

生体認証は人間の身体的特徴を利用した認証システムです。

すでに指紋・顔・静脈・虹彩・声紋での生体認証は実用化されおり、身近なものだとスマートフォンやパソコン・タブレット端末のログインに使用されています。そして街を見渡せば建物やイベント会場への入退場管理でも一般化され、銀行ATMでも生体認証を使用した本人確認の導入も進んでいますよね。

なぜこんなにも生体認証が用いられはじめたのでしょうか。

それは生体認証だとその人しか持っていないオリジナル情報で本人確認できるので第一にセキュリティ面を考えれば成りすましなどの不正防止効果があり、そのうえスムーズな認証を実現できるなどのメリットがあるから。ただし残された問題もあります。

それは加齢や病気、ケガでともなう身体変化によって認証が難しくなくなることや、情報が流出してもパスワードや暗証番号のように簡単に変更することができず、また偽造による不正利用のリスクに一生さらされる可能性もあるのです。

そのため生体認証は究極の個人情報を利用してメリットを得られる反面、一歩間違えれば大きなデメリットが発生するかもしれません。

しかし現在も生体認証技術は研究開発が続けられているので、これからの技術進歩でこれらデメリットを未然に防ぐ技術開発も期待できます。そしてこれらも生体認証はさまざまな場面で求められるようになるでしょう。

そこで大事なのが私たち利用する側の認識です。これからは生体認証を利用する場合に前提として、生体認証の正しい知識と扱い方を知って適切な利用をしていけると良いですよね。

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