自動運転や自動翻訳など、様々な領域で活用されている人工知能(AI)。セキュリティ対策においても人工知能(AI)の活用は広がっていますよね。
実はセキュリティ分野での人工知能(AI)活用の歴史は古く、10年以上前からマルウェア検出の目的で利用されてきました。しかし人工知能(AI)を用いたマルウェア検出には、誤検出が多いうえにCPU負荷が高いという課題があり、本格的に普及するには至らなかったのです。
ところが近年、状況が変化しつつあります。攻撃者のアプローチが多様化したことで、もはや従来の方法では攻撃を防ぎきることはできません。また人工知能(AI)の研究が進み、誤検出とCPU負荷という課題が克服されつつあるのも、人工知能(AI)によるセキュリティ対策を見直す流れにつながっているといえるでしょう。
今回は、人工知能(AI)による5つのセキュリティ対策事例をお伝えします。
事例:ネットワークの状態を監視する『エンタープライズ・イミューンシステム』
最初に紹介するのは、人間の免疫システムの自己学習能力にヒントを得た新たなアプローチを採用したセキュリティシステム、ダークトレース『エンタープライズ・イミューンシステム』。
事例:AIアンチウイルス『プロテクトキャット Powered by Cylance』
続いて、LanScope Catによる検出率99.7%の次世代型マルウェア対策ソフトを紹介しましょう。その名は『プロテクトキャット Powered by Cylance』。
操作性の高いUIとフルスキャン時の平均CPU使用率17.1%という軽快性が好評を集め、沖縄銀行や岐阜県土岐市など大企業・自治体でも導入が進んでいます。
事例:サイバー攻撃の85%を検知する人工知能(AI)プラットフォーム『AI Squared』
3番目に紹介するのは、2016年4月にマサチューセッツ工科大学(MIT)が発表した『AI Squared』。
『AI Squared』のテストは、2,000万人以上のユーザーによって3か月の間に生成された「ログライン」と呼ばれる、36億件ものデータを使って実施されました。『AI Squared』は1日に何十億件ものログラインをスキャンし、それぞれのデータが「正常」か「異常」かを評価する能力を持っています。
攻撃が発生すればするほど、また人間のオペレーターがフィードバックを返せば返すほど『AI Squared』は自ら学習を進め、効果的な防御ができるようになるでしょう。
事例:人工知能(AI)によって高精度化された富士通マルウェア侵入検知システム
4番目に紹介するのは、富士通によるマルウェア侵入検知システム。
富士通はこれまで開発してきたサイバー攻撃の分析技術と組み合わせた分析支援システムとして、2018年度に社内での実証を進めると発表。近い将来の実用化が期待されます。
事例:次世代エンドポイントセキュリティ『Cybereason EDR』
最後に、次世代エンドポイントセキュリティ『Cybereason EDR』を紹介しましょう。
イスラエル軍の諜報部隊(Unit 8200)でサイバーセキュリティに携わったメンバーらによって開発されたソリューションとしても有名で、日本国内の販売代理店サイバーリーズン・ジャパンにはソフトバンクが出資しました。
2020年までに19.3万人が不足するといわれるセキュリティ人材(経済産業省調べ)。セキュリティ分野の豊富な知識と経験を持ったプロフェッショナルを育成することは簡単ではなく、企業の情報システム部門では人工知能(AI)を活用したセキュリティ対策の効率化による、セキュリティ人材の有効活用が急務といえるでしょう。
今回紹介した人工知能(AI)によるセキュリティ対策事例は、このような情報システム部門の悩みを解決するに留まらず、未知の攻撃に対して既存の手法以上の防御性能を持つシステムとして注目を集めています。
複雑化・高度化するサイバー攻撃に対する救世主となり得る、人工知能(AI)を利用したセキュリティ対策から目が離せません。
人工知能(AI)による注目のセキュリティ対策事例は
- ネットワークの状態を監視する『エンタープライズ・イミューンシステム』
- ・AIアンチウイルス『プロテクトキャット Powered by Cylance』
- ・サイバー攻撃の85%を検知する人工知能(AI)プラットフォーム『AI Squared』
- ・人工知能(AI)によって高精度化された富士通マルウェア侵入検知システム
- ・次世代エンドポイントセキュリティ『Cybereason EDR』
参照元
ダークトレース エンタープライズ・イミューンシステム
LanScope Cat プロテクトキャット
マルウェア侵入の検知を高精度化するAI技術を開発
cybereason EDR
参考資料(IT人材育成の状況等について)経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課
2018年4月には、日本を含むアジア太平洋地域での導入実績が1,000件を突破しました。