昔は顔認証と聞くとSF映画の世界でしたが、今ではUSJなどで入場の際に用いられるなど身近になりましたよね。実は、今この顔認証などの技術にAI(人工知能)が結び付いたことにより、すごい防犯カメラが開発されていたり、実際に使われているんです。
例えば中国では天網と呼ばれる、AI(人工知能)と顔認証を利用した防犯システムによって、中国全土で人間や乗り物などを追跡したり判別することを行っています。このシステムによって中国では治安が良くなったそうです。
また、インドでは防犯カメラの映像から動作などを分析して、犯罪を起こそうとしている人を予測するシステムが開発されています。こちらは軍で研究されていたものを民間に応用したもので、バスでの性犯罪の防止や将来にタクシーを無人化した際の犯罪対策に役立てようともしているそうです。
このように海外では実際に顔認証などの技術とAI(人工知能)を結びつけた防犯カメラが実際に活躍していたり、開発が盛んにされています。もちろん日本でもこのような顔認証などとAI(人工知能)を結びつけた防犯カメラが開発されています。
今回はどんな技術を使ってこれらが開発されているのか、また日本ではどんなシステムが開発、実用されているのかをお伝えしていきます。
画像認識にAI(人工知能)が結び付いたことで顔認証、防犯カメラが開発されている
まず、防犯カメラに使われている顔認証技術とは、元々は画像認識技術から生まれたシステムです。そもそも画像を認識できなければ顔認証や防犯カメラなど開発できませんよね。
この画像認識は1960年ほどから現在まで研究されていましたが、AI(人工知能)を構築する技術の一つであるDeep Learningが実用化されたことで大きく進歩しました。実際に画像認識の大会では、Deep Learning実用化以前が正解率が75%ほどだったのが、Deep Learningを用いることで85%に上昇し、今では95%と人間の能力を超え始めています。
この画像認識の仕組みは以下の3つの作業を経て行われています。
- 画像処理
- AI(人工知能)を構築している機械学習というプログラムに学習させる
- 目や口を認識して%で表示する
まず、1の画像処理とはコンピューターに画像を認識しやすいように処理を行って、1枚の画像から顔の回りなどのサイズで抽出します。
次の2からは、AI(人工知能)を構築している機械学習と呼ばれるプログラムに、顔などを認識させるための学習を行わせます。
このモデルを積み重ねていくことで最終的には、上の3にあたる1枚の写真から目や口を認識して、それを%で表示できるようになります。この3つの手順が画像認識の仕組みになります。
さらに、このAI(人工知能)を使った画像認識から生まれた顔認証では、顔検出で画像から顔をみつけ、その顔の黒子の有無や瞳などを細かくみる特徴点検出、登録されている顔と見比べる顔照合で認証を行います。なお、こちらの顔認証もAI(人工知能)を使うことで、登録された正面の写真から横顔や斜めの顔であっても認識できるようにしています。
本題の防犯カメラについては、次で詳しく日本での例をお伝えしますが、基本的には顔認証の技術などを使いながらAI(人工知能)を構築するDeep Learningという技術を利用しておかしな挙動や行動を学習させます。そして、犯罪を起こそうとしている人を予測して検出できるようにしています。
このように画像認識、顔認証、防犯カメラの3つのどれもAI(人工知能)が大きく関わっていることが理解できるでしょう。次章では、実際に日本で使用したり開発されている、AI(人工知能)を使って顔を認識して、犯罪者なのかを予測するような防犯カメラについてお伝えしていきます。
日本で開発もしくは使用されている、AI(人工知能)と顔認証を用いた、行動を予測できる防犯カメラ
次の3つのAI(人工知能)と顔認証を用いた、行動を予測できる防犯カメラなどについてお伝えしていきます。
- AIガードマン
- NeoFace Image data mining
- VAAKEYE
まず、NTT東日本とアースアイズのAIガードマンについてお伝えします。
手順としては、防犯カメラが不審な動きをしている人を検出して、その情報をルーターからクラウドを通して、店員のスマホに通知します。これによって万引きなどの犯罪を予測して声かけをすることで犯罪を防ぐことが可能です。
この防犯カメラの優れている点は自動的に不審な人物を、検出してくれるところ。また、新たな手口が使われるようになってもクラウドのパターンファイルを更新すれば対処が可能です。稼働のデータからレポートを作成して、提供することで可視化もしており、効果をより実感できて便利ですよね。
次に、NECのNeoFace Image data miningは監視カメラ、
これにより素早く発見できるだけでなく、新しくデータを追加しながら探すことができるようになっています。2020年に開催されるオリンピックなどの競技会場などや大型集客施設で活躍が期待できるしょう。
また、例えば事件現場にこのシステムが稼働していた場合には、犯人の足取りの調査や目撃者の捜索のサポートが可能。犯罪者の推定や不審人物を把握することができるので、実際の現場では警察や警備と連携をとることで犯罪を防止することができるでしょう。NECの高水準の顔認証技術とAIが上手く組合わさったシステムですよね。
最後に、株式会社VAAKのVAAKEYEは、
人の膨大なデータを分析することで、店舗に来店した人の動きからトイレをしたいのか、飲み物を買いたいのか、もしくは犯罪を行おうとしているのか予測ができます。防犯としてももちろん活躍しますが、マーケティングにも応用が期待でき、なんといっても4台の監視カメラで月額5万ほどとコスパが素晴らしいですよね。
以上3つのAI(人工知能)を使いながら顔を認識して、行動を予測する防犯カメラについてお伝えしました。もし、お店を経営しているならすぐに導入したいもの、開発途中ではありますが完成に期待したいものなどがあったでしょう。新しいテクノロジーによって、より安全な社会が到来するかもしれないと思っていただけたら幸いです。
最後に、私たちが今回紹介したようなAI(人工知能)と顔認証などを用いた防犯カメラについて、どう考えていくべきなのかお伝えしていきます。このAI(人工知能)と顔認証などを用いた防犯カメラの懸念としては、最終的にはディストピアのような社会を作ってしまうのではないかという懸念があるでしょう。
わかりやすく冒頭でお伝えした中国で説明します。
もちろん、これは中国だからできることなので、民主的な日本ではプライバシーの問題から、国家としてこのような規模の導入は難しいといえます。しかし、防犯カメラが今後増えていくことを考えると、プライバシーをどう守っていくのか考えることは重要なことでしょう。
一方で犯罪を予測して、犯罪の発生を防ぐことができることは間違いなくプラスです。
他にもAI(人工知能)と顔認証などを用いた防犯カメラは、防犯カメラの機能だけでなく、マーケティングにも応用することができるかもしれないとお伝えしましたよね。このように懸念することはあるでしょうが、間違いなく利点もたくさんあります。
これらを考えていくと大切なのは、このAI(人工知能)と顔認証などを用いた防犯カメラについてよく理解して、議論し、バランスを考えて運用していくことではないでしょうか。そうすればよりよい社会がきっと実現できるでしょう。
参照元
万引き防止AIサービス「AIガードマン」の提供について
https://jpn.nec.com/physicalsecurity/solution/datamining.html
万引き防止AI「VAAKEYE(バークアイ)」
このようなノイズなどを取り除いたり、輪郭を濃くしてみたりなど操作して、画像から判断したいものを切り出します。これによって1枚の写真ではなく、写真の中の顔回りなどの一部分にフォーカスできます。ここが画像認識の前段階です。