日用品やアパレル、家電などの多くの物販業界において、今やECは欠かせない存在になりつつありますよね。ECを導入すると大幅に売上がアップする、という話は大変多いです。そして、ECを使ってDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する動きも活発化しています。
ECを使ってDX(デジタルトランスフォーメーション)を行うと、機能性の高いサイトの構築やアップデートを起点とし、複数のオムニチャネル(販売経路)や実店舗との連携を通じて今までにない満足度の高いユーザー体験を供給できます。具体的には、ユーザーの購買行動や行動特性を分析したデータやAI(人工知能)を活用し、ユーザーの好みに応じたさまざまなアプローチをしかけて売り上げ拡大を目指すのが最大の目的です。ぜひ、この記事の内容を活用してECの売上を伸ばしましょう。
そこで今回は、ECを使用したDX(デジタルトランスフォーメーション)のメリットやデメリット、成功事例、さらにその進め方についてお伝えします。
そもそもECとは
ECとは「Electronic Commerce」の略で、「電子商取引」を意味します。つまりECとは、物販やコンテンツ配信、ソフトウェアの供給、予約受付、オンライン取引など、インターネットを通じた取引全般のことです。
この流れで、もともと物販が中心だったEC市場が、それ以外の金融や旅行、ヘルスケア、ソフトウェアサービス(SaaS)、映像配信や音楽ソフトなど、さまざまな領域にすそ野を広げています。ただ、経済産業省の電子商取引に関する市場調査(令和元年度)によると2019年の国内のB to C(企業から消費者へ向けた)市場の物販系EC化率(全体の売上に対するECの占める割合)は6.76%、B to B(企業から企業へ向けた)市場のEC化率が31.7%にとどまっています。この値から考えると、巣ごもり需要の拡大やニューノーマル(新常態)における消費動向の変化による後押しなどの要因で、今後EC市場はさらに範囲を広げて拡大していくでしょう。
ECを活用したDXとは、具体的にどういうことか
ECを使ったDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、ユーザーの購買やサービス体験意欲を喚起する魅力あるECサイトを構築、SNSやWebメディア、アプリなど複数の販売経路と連携するオムニチャネルを通じてユーザー体験を充実させ、顧客満足度を高めて収益増加をはかることです。どういうことかというと、ユーザーがサイト内で何を買ったかだけでなく、閲覧したページや遷移先、カートにストックした商品などの行動データから蓄積したビッグデータをもとに、レコメンド機能を強化するなどのAI(人工知能)ソリューションでさらなる需要を掘り起こすことです。
消費行動が多様化する中で、多くのビジネスチャンスは、個人の好みやニーズに合わせてパーソナライズしたサービスを提供することにより生まれます。つまり、型にはまった商品を数多く売るより、デザインやスペック、パターンの異なるバリエーションに富んだアイテムやサービスを本当に必要な人に適切なかたちで届けるサプライヤーが強く支持されます。その手段として、自分好みの商品が好きなときに好きなだけ閲覧でき、メールやLINE、チャットでの個別対応が充実していて、なおかついつでも注文とキャンセルが可能なECを使ったDX(デジタルトランスフォーメーション)が大きく力を発揮するでしょう。
さらにECを使用したDXは、オムニチャネルやサイトの利便性、操作性を高めるだけでは完成にいたりません。というのも、多くの場合、ECと物流は密接にかかわります。よって、オーダーに合わせて製造工場や在庫保管している倉庫から適切に商品を出荷、ユーザーの元へラストワンマイルまで要望のタイミングで届けてこそ、はじめて成功といえるでしょう。つまり、ECを使った真のDXは、ユーザーへの適切なアプローチとデジタルの力でシステム化された物流が相まって成り立つのです。
ECを活用したDXを行うメリット・デメリット
続いては、ECを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)のメリットとデメリットについて説明しましょう。
まず最初は、メリットからです。具体的には、
- 集客力が伸びて収益が上がる
- コアな業務に集中できる
- ユーザーニーズの変化に対応しやすい
以上の3つです。それでは一つずつ詳しく見ていきましょう。
集客力が伸びて収益が上がる
ECを使ってDXを行うと、自社や商品・サービスについて多くのユーザーの目に触れる機会が増えるので、集客数が飛躍的に高まります。その理由は、検索の上位表示、SNSやサイトの口コミ、プッシュ通知などにより訴求力が格段にアップするからです。特に実店舗をメインに経営してきた場合は、桁違いの注文が入ることもあります。よって、上手くいけば大幅な収益増が見込めるうえ、この実績がSNSなどで拡散されると、さらに集客力が増すという好循環も期待できます。
コアな業務に集中できる
ECを使ってDXを行うと、外回りの販促や営業活動が減り、受発注や会計業務、カスタマー対応も自動化されるので、業務効率化が大幅に進みます。すると、浮いた時間を使って新商品の開発やシステムの見直しなどコアな業務に集中できるでしょう。
ユーザーニーズの変化に対応しやすい
ECを使ってDXを行うと毎日のように各種データを確認、分析できるので、ユーザーの好みや消費行動に変化があるとすぐに察知できます。売れ行きが良くなれば仕入れを増やし、逆に売れなくなれば、生産や仕入れを抑えるなどの対策がデジタル操作によって迅速化できるので、ロスが少なくて済むでしょう。
続いては、ECを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)のデメリットです。具体的には、
- 設備投資が必要
- 人材確保と教育が大変
顧客を取り逃がすリスクがある
以上の3点です。一つずつ詳しく見ていきましょう。
設備投資が必要
ECを活用したDXには設備投資が必要です。そもそもECサイトを構築するのに、外注すれば数十万~数百万円単位のコストがかかります。しかもECサイトにはトレンドがあるので、機能性や操作性の面でずい時アップデートして時代の先取り感を演出する必要もあるでしょう。
さらにそれらのシステムを問題なく運用するためにハード面の入れ替えや補充が求められることもあります。よって、これらを見込んであらかじめ予算を確保しておく必要があります。
人材確保と教育が大変
ECを活用したDXでは、データ分析やシステムに精通したIT人材が必要です。よって適任者がいなければ、外部から採用するとか社内で育成する必要があるでしょう。しかし、国内ではIT人材の不足が著しいうえ、育てるとなるとそれなりの時間とコストがかかります。よって、計画性をもってIT人材の確保に注力する必要があります。
デジタルだけでない対応が必要な場合がある
ECのDXにより、例えばAI(人工知能)を使ったカスタマーへの自動対応が可能になりますが、そこで的を射た対応ができなければ、それ以上の問い合わせが面倒になった場合は途中離脱してしまい、せっかくの顧客を取り逃がす可能性があります。よってターゲットの疑問が解消されない時にはすかさずオペレーターにつなげるシステムを用意するなど、デジタルのみに依存しすぎない対策を講じる必要があるでしょう。
ECを活用したDXの成功事例
続いては、ECを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)の成功事例を紹介しましょう。
ニトリがアプリ刷新と限定商品のEC販売でDX!
家具大手のニトリホールディングスでは、実店舗での売上が高いものの、サイズ違いや色違いなど在庫として常備しきれない商品がたくさんありました。よってそれらの商品をユーザーが購入しやすいシステムを構築することと、顧客が実店舗を訪れても買いたい商品が置いていない、という機会を少なくすることが課題でした。
そこで、ニトリでは実店舗で不足しがちなシリーズやECでしか買えない二段ベッド・オーダー家具など限定商品の開発と販売に注力しました。くわえて「ニトリ公式スマートフォンアプリ」を刷新、店舗の在庫情報や店内の商品の位置情報を顧客が確認できるよう、ワン・トゥ・ワン(各顧客のニーズに合わせて情報を配信する)マーケティングを強化して、欲しい商品がすぐに入手できないというユーザーのストレスを一部解消することに成功しました。その結果、通販事業は急拡大、ネット限定商品の売上高は通期で40%増、EC全体でも14%以上増加しました。
専用アプリでディズニーランドでグッズを買っても手ぶらで帰宅!
東京ディズニーリゾートは、一人でも多くのディズニーファンにディズニーランドやディズニーシーで充実したユーザー体験を増やして欲しい狙いがあります。そのために、施設内での「混雑していて欲しいグッズが買えなかった」という顧客の機会損失問題の解決が課題でした。そのソリューションとして、東京ディズニーリゾートでは、O2O(オンライン・トゥ・オフライン)でネットとリアルの繋がりを強める戦略に注力しています。
その一つが「東京ディズニーリゾート・アプリ」の配信です。このアプリは、アトラクションの待ち時間を確認できるツールとして広く認識されているのですが、機能はそれだけではありません。当日、ディズニーリゾートを訪れたユーザーだけが、施設内のショップにしかない公式グッズを買えるように設定されています。よそして、混雑して買えなくとも施設内からリモートで在庫確認、購入手続きが可能なうえ、配送(1万円以上の買い上げで送料無料)も依頼できるので、手ぶらで帰宅できます。
これにより「あれもこれも買いたかったのに、混んでいて買えなかった」というディズニーファンあるあるのストレスを、ECを使ったDXで解決しました。
自社でECを活用したDXの進め方
続いては、実際に自社でECを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する手順について解説しましょう。
具体的には
- 解決すべき課題を絞りこみ目標設定をする
- 課題解決と目標達成のためにどのようなDXが必要かを明確にする
- DXを推進する人材・予算の確保と業者の選定をする
- 新システムを構築して実装する
- DXで課題解決と目標達成につながったかを検証する
という流れです。
解決すべき課題を絞りこみ目標設定をする
ECを活用したDXは、現在の課題を洗い出し、目標をどこに設定するかが大切です。これがすべての土台となるので、しっかり絞りきれていないとDXは絶対にうまくいきません。
よって、例えば、売上と利益率が伸び悩んでいるという課題があるとすれば、コンバージョン率(成約率)を30%アップする、海外での売上比率を50%に増やす、F1層(20~34歳までの女性)への訴求力を3倍に高める、など具体的な目標を定めることが先決です。
課題解決と目標達成のためにどのようなDXが必要かを明確にする
次は、課題解決と目標達成のためにどのようなDXを推進するのか、を明確にします。例えば、実店舗をデジタル演出(AI(人工知能)をつかったQ&Aや体験型アプリ)した体験と個人データ収集の場にして販売はECに絞りこむ、ログインから注文、配達完了までの時間を半分に短縮する、などはっきりとイメージを固めましょう。
DXを推進する人材・予算の確保と業者の選定をする
DXの目標が決まったら、それを社内の誰に任すのか、社内でまかないきれないソフトやハードの構築や刷新はどの業者に依頼するのか、を決めます。そのために、採用活動を開始、候補となる業者の選定や見積り依頼、資金の確保など、具体的な動きを活発化させる必要があります。
新システムを構築して実装する
業者が決まり、予算のめどがついたら、新システムの構築に向けて、要件定義、設計、テスト、実装、まで進めていきます。ここまで来たら後戻りはできないので、先で当初の課題解決と目標達成が実現できる内容かを途中で厳しく精査しながら業務を遂行していきましょう。
DXで課題解決と目標達成につながったかを検証する
続いて、運用を開始した新システムが確実に自社のDXにつながっているかを、データを通じてしっかり検証します。そして、不備や修正点があればすぐに次の手を打つ、というPDCA(計画→実行→評価→改善)サイクルを結果が出るまで何度も繰り返しましょう。
自社でECを活用したDXを行う場合の注意点
次は、自社でECを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)を行う際の注意点について見ていきましょう。
「ECを活用したDXの進め方」で引っかかるポイントから逃げない
まずDXを進める上で、「ここが難しい」「ウチにはできそうにない」と引っかかりを感じた部分があれば、そこを徹底的に掘り下げます。自社としてそのプロセスがリアルにイメージできないとすれば、そこにDXを阻む要因が必ず隠れています。これを避けてはDXの成功はおぼつきません。よって、なぜ難しいか、どうすれば前に進めるのか、など専門家や知見のある人物の意見を参考にするなど、情報収集に最大限の力を注ぎましょう。
達成できるギリギリの目標設定をする
DXは、それまでの常識を打ち破る、業態を変えるほどの大改革を意味するため、もちろん絵に描いた餅ではいけませんが、達成できるかどうか瀬戸際の目標設定をしなければ意味をなしません。自分たちの都合や価値観はいったんよそにおいて、世の流れ、ユーザー目線の満足度向上を念頭にその先を行くくらいの思い切った戦略が必要です。よって、これを達成するには、的を射た目標設定と同時にトップが強い意志とチャレンジ精神を持つことが何より肝要です。
計画と要件定義を重視
繰り返しになりますが、ECを活用したDXは、最初の計画が後になって大きくものを言います。よって、揺るぎない目標設定とそれを実現するための具体的な方法やツールの選定はとても重要です。そして、絶対に譲れないDXへの理念やカタチをシステム業者と共有するためにも、最初の「要件定義」をしっかり行いましょう。すると、途中で想定外のことがあっても、常に最初の定義に立ち戻って、試行錯誤しながらも確認、修正を繰り返せばDXのゴールが見えてくるに違いありません。
さて今回は、ECを使用したDX(デジタルトランスフォーメーション)のメリットやデメリット、成功事例、さらにその進め方についてお伝えしました。
ECとは「Electronic Commerce」の略で、インターネットを通じた取引全般の「電子商取引」を意味します。もともとは電話やファックスなどで行っていた通販を90年代後半頃よりネットの普及にともなって電子取引という形に変えて登場したのが、EC。2008年以降、スマホの登場で消費者行動が一変すると、急激にEC需要が拡大しました。
ECを使ってDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進すると、ユーザーの購買やサービス体験意欲を喚起する魅力あるECサイトを構築、SNSやアプリなど複数の販売経路と連携するオムニチャネルによりユーザー体験を充実させ、顧客満足度を高めて収益増加が狙えます。そして、ECの真のDXは、密接に関係する物流のデジタル改革とともにトータルで成り立つのが特徴です。
ECを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)のメリットは「集客力が伸びて収益が上がる」「コアな業務に集中できる」「ユーザーニーズの変化に対応しやすい」の3点。一方、デメリットは「設備投資が必要」「人材確保と教育が大変」「デジタルだけでない対応が必要な場合がある」の3点です。
実際に、ニトリホールディングや東京ディズニーリゾートのように、ECを使ったDXを実践して従来は取りこめなかった新たな需要を掘り起こせたり、顧客が持ちやすいストレスを解消できた、といった成功例があります。
自社でECを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)を進める方法は、解決すべき課題を絞りこみ目標設定をする→課題解決と目標達成のためにどのようなDXが必要かを明確にする→DXを推進する人材・予算の確保と業者の選定をする→新システムを構築して実装する→DXで課題解決と目標達成につながったかを検証する という手順になります。
さらに、自社でECを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)を行う際の注意点として「ECを活用したDXの進め方」で引っかかるポイントから逃げない」「達成できるギリギリの目標設定をする」「計画と要件定義を重視」の3点があります。
ECを使ったDX(デジタルトランスフォーメーション)が成功すれば、社や業界の常識を超えるような大きな成果が生まれる可能性があります。逆にそれくらいでなければ、競争が激化するデジタル化の波を競合に負けずに乗り切るのは難しいかもしれません。ライバルに負けない成果を確実に手にするためにも、早速、ECを使ったDX(デジタルトランスフォーメーション)で業務改革に取り組みましょう。
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