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ギャンブルがギャンブルで無くなる、AI(人工知能)は常識を変えるか

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AI(人工知能)により私たちの生活はますます暮らしやすく、快適に暮らせるようになっていますよね。AI(人工知能)の適用はスマホを始め、掃除機/エアコン/冷蔵庫/電子レンジなどの家電進んでいますが、2018年のAI(人工知能)ヒット商品として最も期待されているのが、スマートスピーカーです。スマートスピーカーとは、対話型の音声操作に対応したAIアシスタント機能を持つスピーカーです。ペットのヨウム(大型のインコ)がスマートスピーカーで勝手に注文してしまうトラブルも発生しているようですが、今後5年間でほとんどの家庭にスマートスピーカーが普及するとも予想されています。

家電以外で私たちの生活に関わる適用例としては、ゲーム/株取引/車の自動運転などもありますが、実はギャンブルにもAI(人工知能)が適用され始めているんです。いずれは、どのレースの馬券を買うべきか、スマートスピーカーに相談できる日が来るかもしれません。

そこで、今回はギャンブルへのAI(人工知能)適用についてお伝えします。

そもそも、日本ではどんなギャンブルが行われているの?

公営ギャンブル

日本の公営ギャンブルには競馬、競輪、競艇およびオートレースの4つがあります。それぞれの規模を2015年の売上金額により確認してみましょう。なお、カッコ内は最盛期であったバブル期1990年の売上額です。いずれも景気悪化やパチンコの隆盛により、バブル期に比べるとかなり減少していることが分かりますよね。

・競馬:中央競馬 2兆5,834億円(3兆984億円)、地方競馬 4,310億円(9,493億円)

・競輪:1兆422億円(2兆1,934億円)

・競艇:6,159億円(1兆8,846億円)

・オートレース:678億円(3,352億円)

ギャンブルへのAI(人工知能)適用として、今回は上記4つのうち最も歴史がある競馬(1860年開始)へのAI(人工知能)適用について確認してみましょう。

競輪は1948年、オートレースは1950年、競艇は1952年に、それぞれ日本で初めて開催されました。

公営ギャンブルではありませんが、パチンコの2015年売上額は23兆2,290億円もあり、実は日本のギャンブル売上額は世界一なんです。世界最大のカジノ都市マカオの2015年カジノ売上額である2兆9212億円を大きく引き離しています。

ギャンブルへのAI(人工知能)適用例「Mamba」

マンバ

ギャンブルへのAI(人工知能)適用例として、IT関連企業ドワンゴの競馬予測AI「Mamba」について見てみましょう。ドワンゴは同社独自の競馬予測AI「Mamba」を使用し、2018年4~6月に競馬予測企画を実施しました。この企画は、人工知能募金を募って集めた金額と同額をドワンゴが用意して馬券購入し(他人のお金による馬券購入はノミ行為に該当するため)、利益が出た場合には募金と利益を合計して慈善団体に寄付するというものです。

この企画は募金額である49万円を3ヶ月で107万円に増やすことに成功しました。「Mamba」は、競走馬や騎手の過去の成績、調教師の所属組織、血統やオッズの変化など、およそ3,000個の特徴量を使用し過去の膨大なレースを学習しています。

オッズとは馬券が的中した場合の倍率です。例えばオッズ5倍の馬券を100円買った場合、その馬が勝てば5×100円=500円の払戻金を受け取ることができます。
払戻金とは、馬券が的中した場合に払い戻されるお金のことをいいます。

競馬予測AI「Mamba」の戦略:儲かると思う馬券を狙う

大穴

Mambaの特徴は「当たる確率の高い馬券」よりも「儲かると思う馬券」を選ぶという点です。例えば以下のケースでは、「Mamba」は的中率よりも高いオッズを評価し(当たると儲けが大きい)、(2)の方に高い評価を与えます。

(1)的中率が80%、オッズが1倍
(2)的中率が1%、オッズが200倍

ドワンゴは2018年10~12月にかけて、この企画の後継プロジェクトとして「競馬予測AI Mamba 2nd Season」を実施しています(今回は予測のみで馬券は購入してません)。11月20日時点では11月の成績は2回の勝ち、4回の負けとなっており、回収率は購入金額575万円に対し利益が15万円となっています。ちょっと厳しい状況ですよね。

的中を狙う(順当な勝利を狙う)のではなく、高い倍率を狙う(予想外の波乱の勝利を狙う)というのはやはり負ける確率の方が高いわけで、負けが続く中で勝った時にどれだけ挽回できるか、がポイントです。

4~6月の競馬予測企画では「Mamba」は25戦において13勝/12敗の結果となりましたが、13勝のうち2度大きく(高いオッズにより)勝つことによりプラスに挽回できました。これは「Mamba」の狙いどおりなのか、あるいはたまたまなのかはわかりませんが、競馬は天候/競馬場コンディション/馬の状態/騎手の体調など結果に影響をもたらす要因が多いことから、「Mamba」に限らず、今のところ必ず勝てるAI(人工知能)は存在しません。

しかしながら、多くのAI(人工知能)プログラム/アプリが研究開発されており、私たちとしても注目したいところですよね。

さて、次に競馬における払戻金について見てみましょう。

払戻金の仕組み

戦略

払戻しの仕組みは競馬に限らず、競輪、競艇およびオートレースの全てがパリミュチュエル方式を採用しています。これは、例えば中央競馬の場合、実施団体であるJRA(日本中央競馬会)が馬券の全売上の20~30%を取り、残った70~80%を当てた人に配分するという方法で、私たちがどれだけ勝っても、JRAは損しない仕組みになっています。

この20~30%は「控除率」と呼ばれており、競馬で20~30%、競艇と競輪で25%、オートレースで30%となっています。ちなみに宝くじの控除率は55%なので、宝くじは公営ギャンブルに比べると割に合わないと言えるかもしれませんね。

公営ギャンブルの払戻金は課税対象、宝くじの当選金は非課税となっています

まとめ

ということで、今回はギャンブルへのAI(人工知能)適用についてお伝えしました。

  • 日本の公営ギャンブルとしては競馬、競輪、競艇およびオートレースの4つがあり、ギャンブルへのAI(人工知能)適用例として最も歴史があるのは競輪。
  • ドワンゴの競馬予測AI「Mamba」は高いオッズを評価し「儲かると思う馬券」を選定することにより、49万円を3ヶ月で107万円に増やすことに成功した。
  • 「Mamba」に限らず、今のところ必ず勝てるAI(人工知能)は存在しない。

仮にギャンブルへのAI(人工知能)適用の結果、競馬必勝AI(人工知能)が完成し、世の中に広く普及した場合について考えてみましょう。

この競馬必勝AI(人工知能)は順当な勝利であろうと予想外の波乱の勝利であろうと、どの馬が勝つのか常に正しく判断することができます。つまり、タイムマシーンで未来に行ってレース結果を確認できるようなものですよね。

そうすると多くの人が「勝つ馬」の馬券を購入することになってしまうため、一人あたりの払戻金は少なくなってしまいます。つまり誰も予想できないような、運に任せた勝利がなくなってしまうため、高い払戻金、いわゆる大穴がなくなります。

自分の頭で考えて予想し当てるのがギャンブルの楽しみであるなら、必勝AI(人工知能)が登場するとギャンブルがギャンブルでなくなることになってしまいそうですよね。

ギャンブルへのAI(人工知能)適用方法としては、今度の競馬でどのレースの馬券を買うべきかスマートスピーカーに相談し、AI(人工知能)から得られるアドバイスをもとに私たちが自分で判断する、というやり方がお薦めです。

参照元 ペットのヨウムがAmazonでポチっとな!飼い主の声まねてスピーカーで注文
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