近年、AI(人工知能)やICTといった言葉が身近になってきましたが、まだどこか縁遠いように感じますよね。AI(人工知能)はとても難しい技術に使われているのではないか、行政や産業、学術といったまだまだ一部の領域での活用ではないかと考えている方もいらっしゃるでしょう。でも、実はとても身近なところで気づかないうちに、AI(人工知能)やICTを私たちは利用しているんです。
さて、AI(人工知能)やICTについて、どんな技術がどこで利用されているか知りたいですよね。そこで今回は、知らず知らずに利用していた身近なAI(人工知能)や、ICTの事例について3つ紹介していきます。最初に紹介するのは、チャットボットの「りんな」についてです。
身近なAI(人工知能)やICT事例①:チャットボットの「りんな」
身近なAI(人工知能)やICTの例として、日本マイクロソフト社の「りんな」を紹介しましょう。りんなは女子高生という設定のAI(人工知能)ですが、メッセージアプリのLINEやSNSの一種であるTwitter上で、本当の人間と会話をしているような感覚を楽しむことができます。りんなはテキストや音声、画像を通じて会話を自動的に行う「チャットボット」の一種です。
例えば「何してるの?」と聞くと、「あなたの幸せお祈りしているの♡」と会話が弾むような返答をするように、りんなとの会話が本当の人間と会話しているような感覚をもたらす背景には、ビッグデータの存在があります。マイクロソフト社が運営する検索エンジン「Bing」に存在するビッグデータを利用し、人間の学習能力をコンピュータで実現しようとする技術・手法である機械学習により、ビッグデータから返答の優先順位を決めて自然な返答をできるようにしているのです。
では、りんなの内部はどのようになっているのでしょうか。りんなはチャットワーカー、音声ワーカー、画像ワーカーと呼ばれる処理機能を持っています。更に各ワーカーは、問いかけに対する返答の優先順位を決めるLearning to Rank、順位付けのために単語間の類似性に基づき点数をつけるWord2vec(Word to Vector)、同じく順位付けのために単語の出現頻度と逆頻度(出現しない頻度)を判定するTerm Frequency-Inverse Document Frequency(TFIDF)、りんなの学習(機械学習)において人間のニューロンをシミュレーションによって表現することを目指した数学的モデルであるニューラルネットワークという4つのアルゴリズムを基にしています。
例えば、「愛してる」という問いかけに対しLearning to Rankは、「愛している」「私も愛しているよ心から」といった返答候補は上位に、「きもい」「バナナありがと」といった関連性の低い返答候補は下位に順位付けるのです。
そして、このようなやり取りをりんなはニューラルネットワークによって学習していきます。単なる会話をするAI(人工知能)なので、もっと単純な機能しか持っていないような感じがしますが、意外と複雑ですよね。りんなには単に会話する機能だけでなく、しりとりやオセロをする機能もあり、AI(人工知能)やICTの発展に伴って、今後ますます機能が拡充されることが期待されます。
では続けて、Google社の検索エンジンについて紹介します。
身近なAIやICT事例②:Google社の検索エンジン
インターネットで調べ物をするときに多くの方がGoogle社の検索エンジンを利用するでしょうが、実はこの検索エンジンにも身近なAI(人工知能)やICTが深く関わっています。
Google社の検索エンジンにはRankBrainというAI(人工知能)が利用されています。RankBrainとはユーザーがどういった意図で目的のものを探しているかについて、自動的に学習・予測し、求めているもののうち最適なWebサイトを導きやすくする働きをします。
具体的にどのように利用されているかというと、検索窓に入力する検索キーワードであるクエリ(検索クエリ。検索エンジンに対する命令)を学習し、人間が考えているような内容に近づけることでユーザーの意図を把握しようとします。このような学習により、初めて遭遇した単語やクエリに対しても学習内容や経験を活かして、ユーザーの意図に沿った検索結果を出すことができます。ユーザーの意図を汲み取るなんて、まるで人間同士のコミュニケーションのようですよね。
AI(人工知能)やICTが活用された事例の一つであるインターネットの検索エンジンの中でも、Google社の検索エンジンは生活に欠かせないものとなっています。Google社の検索エンジンで使用されているRankBrainがより一層成長することで、私たちの生活はますます便利になっていくでしょう。
最後に紹介するのはAIアシスタントのAlexaについてです。
身近なAIやICT事例③:AIアシスタントの「Alexa」
AIアシスタントには、他にもiPhoneを始めとした数多くのApple社製品に搭載されているSiriや、AndroidスマートフォンのGoogleアシスタントなどがあります。このAIアシスタントの一種であるAmazon社のAlexaはCMでも有名ですよね。
Alexaは「Amazon Echo」と呼ばれるスマートスピーカー(AIアシスタントを実際に使うための機器)などを通して使用します。Alexaでできることには次のようなものがあります。
- 照明のON/OFFや明るさの調整
- テレビやエアコンなどの家電の操作
- スマートプラグによる電源の管理
- ロボット掃除機による掃除
- 自宅の施錠/開錠
- Amazonでの買い物
- Kindle本の読み上げ
AI(人工知能)やICTの時代において、たくさんの企業がAIアシスタント業界に参入してくるでしょう。そうなると、AIアシスタントはますます普及し、高機能化していくはずです。今後、生活がより便利になってくると思うと楽しみですよね。
まとめ
さて、今回は知らず知らずに利用していた身近なAI(人工知能)やICTの事例について紹介しました。
- チャットボットのりんな
- Google社の検索エンジン
- AIアシスタントのAlexa
これら3つの事例を、「コミュニケーション」というキーワードで見てみましょう。女子高生という設定のチャットボットであるりんなは、LINEを使っている方なら会話を楽しんだことがあるかもしれません。りんなは人格を持った本当の人間と類似しながらも、どこか独特の会話を繰り広げ、我々の生活に新たな形のコミュニケーションを構築します。また、身近で感覚的に分かりやすくAI(人工知能)のすごさを感じることのできるツールの1つです。
AI(人工知能)やICTの事例の中でも、誰もがお世話になっているであろうGoogle社の検索エンジンは今後も進化していきます。インターネットの海から情報を引き出すにあたって、Google社の検索エンジンは今後ますます高い利便性をもたらします。私たちはたくさんの知識や話題をより迅速にキャッチできるようになり、家族や友人との会話の幅も広がり、さらに円滑なコミュニケーションを楽しめることでしょう。
AlexaはAIアシスタントの一種であり、最近もっともホットな技術の一つです。そのうち、一家に一台スマートスピーカーという時代がくるでしょう。ユーザーはAlexaによって生活が便利になるだけでなく、音声でのコミュニケーションによってAlexaに人格を見出し、Alexaという家族が増えたと感じるというユニークな現象が起こる可能性があります。
AI(人工知能)やICTはこれからも大きな広がりを見せる分野であり、より革新的な技術が生まれることは間違いないでしょう。今回紹介した技術も含め、今後の動向が楽しみですよね!
参照元
女子高生AI(人工知能)「りんな」とは?機能や仕組みを紹介
ついに明かされる「りんな」の“脳内” マイクロソフト、「女子高生AI」の自然言語処理アルゴリズムを公開
りんな:女子高生人工知能
RankBrain(ランクブレイン)とSEO対策 ガイド
Rankbrain – Googleの検索エンジン向け人工知能まとめ。
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