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倉庫業務を効率化する!倉庫運用管理システム(WES)活用事例まとめ

倉庫業務を効率化する!倉庫運用管理システム(WES)活用事例まとめ

現在の企業において倉庫業務は、適切な在庫管理を行うために不可欠のものになっていますよね。しかし、倉庫で扱う種類や数が多いので効率的に管理していくのはアナログな方法では難しくなりました。そこで企業が今導入しているのが、今では倉庫運用管理システム(WES)です。

倉庫運用管理システム(WES)とはデジタルを活用して倉庫の管理を行うもので、入庫から出庫までの間の検品やピッキングなどの作業を見える化することでミスを減らし、作業効率を向上させるシステムのことです。主に通販や製造業などを筆頭に倉庫運用管理システム(WES)は、利用されています。

とはいえ、本当にこの倉庫運用管理システム(WES)に効果があるのかは、傍からみてもみてもわかりません。また、導入を検討するにあたっては、実際にどのように活用されているのかを知る必要がありますが、第三者が現場に入ることは難しいですよね。

そこで、今回は倉庫運用管理システム(WES)の利用を検討している人に向けて、どのような倉庫運用管理システムが活躍しているのかを複数の事例でお伝えします。ぜひ、倉庫運用管理システム(WES)の概要を正しく理解した上で、みなさんの企業にとって適切なものを採用しましょう。

倉庫運用管理での問題点

倉庫のイメージ
デジタルを活用しない倉庫の運用や管理には、作業の効率や在庫管理などに関する複数の問題点があります。

まず、アナログな方法で倉庫の運用や管理を行うと手動で業務をすることが多くなり、人為的なミスの発生や人件費の増加を引き起こします。例えば、目視の確認によって誤ってデータを記載したり、出荷の際の送り先を間違ってしまうこともありますよね。

現場の人間の経験則による判断で、合理的な観点からみると人員が過剰に配置されていたり、逆に少ないことで余計な負担が作業員に掛かってしまう問題などが起こります。これによって現場の能率が低下したり、効率的な人員配置ができなくなるかもしれません。

また、倉庫運用は在庫管理にも関わるので、効率的に運用ができなければ企業の経営に影響が出たり、経年劣化が起こることで事業に大きな影響が出ます。例えば、膨大な余剰在庫を抱えることで黒字倒産に追い込まれたり、商品の販売後に経年劣化による問題で返品や訴訟になるケースもあるでしょう。

さらに、倉庫運用を行う管理者にとっては倉庫内の状態や在庫状況の把握は必要ですが、アナログな手法では一目でこの現状を理解することは難しいです。そのため、何らかの問題が発生した場合に原因の特定が遅れたり、本来は必要のない余計な発注をしてしまうミスなどが起こり得ます。

以上のようにデジタルを活用しない倉庫の運用管理には問題があるので、現在は倉庫運用管理システム(WES)で効率的な管理を行っています。これらを踏まえて以下では倉庫運用管理システム(WES)の概要や種類について簡単に解説します。

倉庫運用管理システム(WES)とは

ラベルのイメージ
倉庫運用管理システム(WES)について説明する前に、関連性の高い倉庫管理システム(WMS)と倉庫制御システム(WCS)について解説しましょう。

まず、この倉庫管理システム(WMS)とは「Warehouse Management System」の略称であり、デジタル技術で倉庫管理をシステム化することを意味するもので、以下の業務を一元管理します。

  • 在庫管理
  • 入荷、出荷管理
  • 棚卸し管理
  • 帳票・ラベル発行

簡単に説明すると、在庫管理は抱えている在庫の数や賞味期限などを管理し、入荷・出荷管理についてはそれぞれのスケジューリングやラベル管理などを行います。棚卸管理ではシステムと連携した端末などを利用して、手動で確認を行いながら、システム上でデータ集計して作業を効率化し、帳票・ラベル発行では倉庫内のものに関する納品書などのラベルをプリンターで発行します。

倉庫管理システムではこれらの業務をシステム化して、手動で行う作業を極力減らせているので、業務の効率化やコストを削減可能です。

また、倉庫管理システムは基幹システムと明確な違いを持っています。これは基幹システムが同様に一元管理を行うシステムという共通点を持ち、在庫の把握を行える一方で、物流に関しての機能は扱っていない違いがあります。つまり、経営的な視点から在庫を検討ができても、倉庫管理システムにある物流に関しての業務はできないという弱点があるということです。この点において、倉庫管理システムが企業に選ばれている理由の1つになっています。

次に、倉庫制御システム(WCS)とは、「Warehouse Control System」の略称であり、倉庫内の設備を管理するシステムです。簡単に説明すると業務の際に利用されるマテハン機器、フォークリフトのような機材から作業に活用されるロボットなどを管理するシステムのことを指します。

最近では特に人材難などの理由から、ロボットを採用して効率化を図るケースが多くなり、IoT技術を駆使して遠隔で倉庫制御を行うシステムも倉庫管理システム(WMS)と同時に採用されています。

しかし、この倉庫管理システム(WMS)と倉庫制御システム(WCS)の併用には問題もありました。例えば、倉庫管理システム(WMS)で一元管理を行い、倉庫制御システム(WCS)を利用していくと、両者の仕様の違いから作業員がミスをするなどして能率が上がらなかったり、データが共有されないことで余計な入力作業が増える問題などがありました。

また、両者のシステムでは倉庫の現場で、人と機材がどのような状況で業務を行っているのかは、個別のシステムでは確認や把握が難しいという問題もあります。そこで、これらのような問題に対処する目的で、倉庫管理システム(WMS)と倉庫制御システム(WCS)を繋ぐ倉庫運用管理システム「arehouse Execution System」(WES)が開発されました。

こちらならば作業を見える化できるため、現場でどのような動きがあったのかをリアルタイムで確認でき、両者を仲立ちしてデータの共有も可能です。これによって倉庫内の管理と運用をより確実に行えるため、最近では倉庫運用管理システム(WES)やその機能を内包している倉庫管理システム(WMS)の導入が多くなっています。

ちなみに倉庫運用管理システム(WES)には種類があり、それぞれでいくつかの違いがあるので、次の章ではそちらを解説しましょう。

倉庫運用管理システム(WES)の種類

コンピュータのイメージ
倉庫運用管理システム(WES)は大別すると、以下の2つのタイプがあります。

  • オンプレミス型
  • クラウド型

まず、オンプレミス型は企業内にサーバーなどを設置し、システムを構築するタイプの倉庫運用管理システム(WES)です。こちらは企業内で倉庫運用管理システムの構築を行うため、独自性の強いシステムにできるという特徴があります。

したがって、倉庫運用管理システム(WES)に対して要望がいくつかある場合には、オンプレミス型を選択すると、満足度の高いシステムを手に入れることができるでしょう。ただし、オンプレミス型では費用が高くなりがちであるので、資金的に余裕がある企業に向いています。また、サーバーを自社で管理する必要があるので、ある程度ITスキルに精通した人材がいないと、運用が難しい方法でもあります。したがって、この2点についてよく理解した上でオンプレミス型を選択しましょう。

次に、クラウド型はネット上から利用できるタイプの倉庫運用管理システム(WES)です。よりわかりやすく説明すると、Google社のGmailなどのように、アカウントがあればサービスの利用が可能であり、サーバーはシステムの提供を行っている企業に任せるという方式になります。

そのため、オンプレミス型であったサーバーを管理する人材は極力必要なく、導入に掛かる費用も安く済む点が特徴なため、小規模の事業を行っている企業に向いているでしょう

ただし、こちらはカスタマイズなどに関しては充実しておらず、オンプレミス型と比較すると機能面で劣っています。さらに、サーバーは企業内ではなく外部にあることから、セキュリティ面で問題があり、秘匿した情報が流出する危険もあるでしょう。導入に際してはクラウド型が本当に自社に適しているのかよく検討し、セキュリティが高いのかよく確認してから導入する必要があります。

それでは、説明したオンプレミス型倉庫運用管理システム(WES)とクラウド型倉庫運用管理システム(WES)について、実際に活用されている事例を以下から紹介しましょう。

オンプレミス型倉庫運用管理システム(WES)を活用した事例3選

物流のイメージ
それでは、オンプレミス型倉庫運用管理システム(WES)を活用した事例を以下の3つご紹介いたします。

  1. 象印マホービン株式会社に導入された「ONEsLOGI/WMS」
  2. 西川ロジスティクス株式会社に導入された「SLIMS」
  3. 多治見通運株式会社に導入された「W-KEEPER」

まず、1の象印マホービン株式会社では日立物流ソフトウェアの物流センター管理システム「ONEsLOGI/WMS」が導入されました。この「ONEsLOGI/WMS」は倉庫管理システム(WMS)に分類されるシステムですが、入出庫作業をリアルタイムに把握できるなど見える化されており、倉庫運用管理システム(WES)を内包しています。

象印マホービン株式会社では、それまで行っていた属人の倉庫管理から標準化されたより効率的な管理を行う目的で「ONEsLOGI/WMS」を採用しまた。これによりピッキング作業に掛かる時間を短縮し、タブレットの利用により紙からデータへと移行することでコストの削減に成功するなど複数の成果が得られました。

もちろん、倉庫運用管理システム(WES)の利点である見える化のメリットも得られ、正確な在庫の把握や今誰が作業を行い、どのような進捗であるのかなど細かに把握できるようになったとのこと。作業員の負荷も分析できるようになったため、現場の環境も改善に繋がっています。

次に、2の西川ロジスティクス株式会社では株式会社セイノー情報サービスの「SLIMS」が導入されました。この「SLIMS」は倉庫管理システム(WMS)でありながら、作業進捗をリアルタイムで管理できることが特徴であり、3PL事業などに適している倉庫運用管理システム(WES)です。

西川ロジスティクス株式会社は寝具メーカーの西川産業の関連会社でしたが、外販も扱うことを検討し、また倉庫の管理を効率化する目的で「SLIMS」を採用しました。この際に重視していたのは属人の作業からデジタルへと移行し、物流に掛かるコストを業界平均まで下げることだったのです。そして、「SLIMS」によって作業は効率化され、在庫によるロスを8割削減し、物流にかかる人員を10%も削減するという結果を得られました。

最後に、3の多治見通運株式会社では三谷コンピュータ株式会社の「W-KEEPER」が導入されました。この「W-KEEPER」は業界を問わずに利用できる倉庫管理システム(WMS)であり、業務の進捗状況をリアルタイムで確認できる倉庫運用管理システム(WES)でもあります。

運送業務を行う多治見通運株式会社は物流を見える化する目的でこちらを採用し、入出荷のスピードや配送ミスの削減などの成果を得ることに成功しました。この他、荷主に対して在庫情報などを提供することもできるようになったため、満足度を上げることにも貢献しています。

クラウド型倉庫運用管理システム(WES)を活用した事例3選

ネットワークのイメージ
それでは、クラウド型倉庫運用管理システム(WES)を活用した事例を以下の3つご紹介いたします。

  1. 株式会社ザカモアに導入された「クラウドトーマス」
  2. サントリーロジスティクス株式会社に導入された「ONEsLOGIクラウド」
  3. 日本製紙物流株式会社に導入された「CLOUDSLIMS/CLOUDLMS」

まず、1の株式会社ザカモアでは株式会社関通の「クラウドトーマス」が導入されました。この「クラウドトーマス」は倉庫管理システム(WMS)では大手の企業で、2021年度のIT導入補助金対象にもなっています。クラウドの特徴であるどこでもアクセス可能なため、スマートフォンなどがあれば管理と運用ができる、使い勝手のよさがウリです。

株式会社ザカモアでは手動での作業で誤配を行うケースが月に50件以上あったため、作業員によらないシステムを求めて「クラウドトーマス」を採用しました。その結果、作業のスピードが1.5~2.0倍ほど向上し、出荷のミスが0件になるなど大きな成果を残しました。また、データの見える化により在庫と倉庫を減らし、効率的な運用を行えるようになり、売り上げが月に20%以上も上昇するようになったようです。

次に、2のサントリーロジスティクス株式会社では日立物流ソフトウェア株式会社の「ONEsLOGIクラウド」が導入されました。こちらはオンプレミス型の倉庫運用管理システム(WES)でも紹介した製品のクラウド型になります。

サントリーロジスティクス株式会社はサントリー製品の物流とマネジメント、外販を行ってきましたが、より満足度を高め、社会に貢献する目的で「ONEsLOGIクラウド」を採用しました。結果としては倉庫の管理、運用に関する業務の負荷を軽減させながら、全国の支社の情報をクラウドから閲覧できるようになったのです。

最後に、3の日本製紙物流株式会社では日立物流ソフトウェアの「CLOUDSLIMS/CLOUDLMS」が導入されました。こちらは上でも紹介した「SLIMS」のクラウド型と、物流のプランニングや物流オペレーションなどの統合物流管理を行う「CLOUDLMS」を併用しています。

日本製紙物流株式会社では今後は自社製品の物流だけでなく、汎用的な外販にも注力していく目的を持っていましたが、独力ではこれを成し得ないと判断して「CLOUDSLIMS/CLOUDLMS」を採用しました。これによって属人的な管理、運用からデジタルへの転換に成功し、ペーパーレス化などを行えました。なお、今後はより効率を向上させるために、業務にロボットを導入も検討しています。

以上がオンプレミス型、クラウド型倉庫運用管理システム(WES)の事例についての紹介です。次の章では実際に倉庫運用管理システム(WES)を導入・活用する上での注意点を解説しましょう。

倉庫運用管理システム(WES)導入・活用での注意点

金額のイメージ
倉庫運用管理システム(WES)を導入・活用する際には以下の点に注意しましょう。

  1. 業種にあった倉庫運用管理システム(WES)を導入する
  2. オンプレミス型、クラウド型の違いを知った上で導入・活用する

まず、1にあるように業種にあった倉庫運用管理システム(WES)を導入しなければ、倉庫の効率的な運用や管理は望めません。倉庫運用管理システム(WES)によって機能や想定されている売り上げなどは異なるので、導入の際にはしっかりと自社にあっているのか確認しましょう。例えば、3PL事業であれば、ロケーション管理機能やリアルタイム在庫管理機能などがあるもの、製造業ではロット管理、小売りでは賞味期限の管理ができるなどの機能が必要になります。

次に、2にあるようにオンプレミス型、クラウド型の違いを知った上で導入・活用しましょう。例えば、オンプレミス型ではカスタマイズなどは容易にできるので、要望を満たしたシステムに構築できますが、それに掛かる費用はかなり必要になるでしょう。

一方でクラウド型では掛かる費用はオンプレミス型よりもかなり安く、クラウドの利点を生かした利用が可能ですが、ネットワークやシステムに問題が発生した場合に対応・情報の把握が遅れるデメリットがあります。このようにメリットやデメリットを理解した上で、対処法をある程度確立して導入・活用しましょう。

まとめ
さて、今回は倉庫業務を効率化する倉庫運用管理システム(WES)の活用事例を紹介しました。今回お伝えした内容は以下のようになっています。

  • 手動などで行われる倉庫の運用管理では、人為的なミスの発生や在庫管理を効率的に行えないなどの問題点がある
  • 倉庫運用管理システム(WES)とは倉庫管理システム(WMS)と倉庫制御システム(WCS)を繋ぐシステム
  • 倉庫運用管理システム(WES)にはオンプレミス型とクラウド型があり、場合によっては倉庫管理システム(WMS)に内包されるものもある
  • オンプレミス型では象印マホービン株式会社に導入された「ONEsLOGI/WMS」、西川ロジスティクス株式会社に導入された「SLIMS」などが活躍
  • クラウド型では株式会社ザカモアに導入された「クラウドトーマス」、サントリーロジスティクス株式会社に導入された「ONEsLOGIクラウド」などが活躍
  • 倉庫運用管理システム(WES)は自社の業種にあったものをオンプレミス型、クラウド型の違いを知った上で導入・活用する

昨今では人材が少なくなっており、また勝機を求めて外販に注力する企業も増えています。倉庫運用管理システム(WES)はそのような企業にとって倉庫業務を効率化し、売り上げの向上に役立つシステムです。

これまで解説した内容や紹介した倉庫運用管理システム(WES)を参考にして、ぜひ導入や活用を検討しましょう。

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