ふとした時、自分がどのような姿勢をとっているのか気になるなることはありますよね。姿勢をチェックするAI(人工知能)を使えば、特別に撮影したものでなく、普段の姿を確認できるようになります。
また、従来は専用の機器が必要になっていたような動作の認識についても、通常のカメラだけで行えるようになってきたため、活用する業界が増えてきています。今まで人の目視と感覚に頼っていた領域でも、定量化と可視化によりわかりやすく提案を伝えられるようになりました。
姿勢をチェックするAI(人工知能)は日々進歩しているので、今後も導入される場面が増えていくでしょう。そんな中、姿勢をチェックするAI(人工知能)は幅広い分野で活躍しています。具体的な活用事例を知ることで、姿勢をチェックするAI(人工知能)についてより深く理解できるでしょう。そこで今回は、姿勢をチェックするAIについて、どのような機会に使われているかお伝えします。
姿勢をチェックするAI(人工知能)とは
姿勢をチェックするAI(人工知能)は、人の動きから姿勢を認識・分析して、目的に合わせて様々な情報を提供します。次からは、人の姿勢を分析する仕組みについて説明しましょう。
まず、どのように姿勢を分析するかは必要になる形式が用途や状況によって異なります。静止画を基にした認識は比較的単純で、誤りやずれが生じても人の手で簡単に補正できます。また、複数の方向から撮影した写真を組み合わせて分析することもあります。止まった状態の姿勢を分析する場合には、写真撮影だけで済むので手軽かつ安価に利用できます。
一方で、動画は時系列の情報が増えるので、物を拾う動作なのか置く動作なのか区別するといった、より詳しい分析が可能になります。動画の場合では、あらかじめ撮影された動画を分析するか、カメラからの映像をリアルタイムに分析して結果を表示します。複数の方向から撮影した映像を組み合わせれば認識の精度を高められますし、複数の場所の映像を連動させれば対象範囲を広げることもできます。このため、動画は静止画では得られない情報を活かして、人の動きを分析したい場合に使われます。
姿勢をチェックするAI(人工知能)では、まずは背景と人の区別が行われます。人が認識できれば、そこから関節や骨格の状態を推定し、特徴点を抽出します。特徴点の座標は、用途や条件に応じて二次元か三次元で取得できます。もとの画像にかぶせて特徴点の情報を描画することもできるほか、この座標情報を使って関節の角度や時間変化などを詳しく分析することができるのです。これにより、様々な状況に対応して人の姿勢を認識できるようになります。
姿勢をチェックするAI(人工知能)事例:リハビリ
リハビリに関しては、トヨタ自動車の「ウェルウォークWW-2000」という製品が、姿勢をチェックするAI(人工知能)を活用しています。これは、脚に装着して膝の曲げ伸ばしを補助するロボットとウォーキングマシンを組み合わせたようなもので、2019年11月に受注を始めました。脳卒中などによる下肢麻痺のリハビリテーション支援を目的としており、運動学習理論にもとづき、正しい姿勢での歩行を支援します。
「ウェルウォークWW-2000」では、ロボット脚部に取り付けられた複数のセンサーを「VisionPose」と組み合わせることで、患者の異常歩行を自動で検知できるようになりました。異常歩行を検知したらアシスト量の調整を提案するので、効果的にリハビリを行えるようになります。また、歩行姿勢や歩数に応じ、モニターや音声によるフィードバックやゲーム機能を提供し、練習に取り組むモチベーションの維持をサポートできるようになりました。
姿勢をチェックするAI(人工知能)事例:スポーツ
スポーツの分野でも、姿勢をチェックするAI(人工知能)は使われ始めています。富士通が国際体操連盟や日本体操協会と協力して開発を進めている体操採点支援システムがその一例です。これまでに国際大会などで実証実験を重ねており、東京オリンピックでは5種目で、2024年のパリオリンピックでは全10種目での採用が予定されています。
わずかな判断のぶれが選手の順位を上下させてしまうので、体操の審判はとても難しいですよね。AI(人工知能)による支援により、採点の公平性や透明性が向上するでしょう。実際にシステムの開発にあたっては、あいまいだった採点基準を数値化するなどの取り組みが行われました。また、登録された技の動きとの比較を練習に取り入れたり、技の難度や出来栄えを観客にわかりやすく伝えたりといった面でも、こうした技術の活用が期待されています。
姿勢をチェックするAI(人工知能)事例:エンターテイメント
姿勢をチェックするAI(人工知能)は、エンターテイメントにも活かすことができます。2019年2月にオープンしたライフ桜新町店は、店内の大型キッズスペースにネクストシステムのARデジタルサイネージ「Kinesys」を設置しました。86インチの大型モニターにカメラの映像を映し出し、人の動きに合わせて画面の変化を楽しめる様々なコンテンツが提供されています。
ライフ桜新町店に設置されたものは、子どもでも直感的な操作で手軽に楽しめると好評です。他の場所に設置されたものは、海外旅行の仮想体験や仮想試着などにも活用されています。
姿勢をチェックするAI(人工知能)事例:工場
工場などで姿勢をチェックするAI(人工知能)が活用されている事例としては、2020年1月から日立建機が導入した、日立産業制御ソリューションズの「AIによる人物姿勢・動作認識ソリューション」が挙げられます。
このシステムは、2種類のAI(人工知能)によって構成されています。1つ目のAI(人工知能)は、通常のカメラの映像から背景と人を区別し、作業者の骨格情報を抽出します。2つ目のAI(人工知能)は、検出された人の姿勢が安全かどうか判別します。安全でない姿勢をあらかじめ設定しておくことで、該当の作業者が強調して表示されるようになります。
姿勢をチェックするAI(人工知能)の今後
姿勢をチェックするAI(人工知能)は未成熟な分野なので、今後も発展が見込めます。従来の技術では不可能だったことが実現され、活用の幅がますます広がってきています。
対象者にセンサーやマーカーなどをつける必要がないという利点を活かせば、まったく新しいアトラクションやゲームなどが生まれる可能性があります。認識の精度や速度が向上すれば、採用される場面は更に広がるでしょう。
スポーツの審査に姿勢をチェックするAI(人工知能)を導入する動きは、競技の在り方を変えていくかもしれません。公平で透明性のある採点基準が示されることで、選手は実力が評価されていることを実感でき、観客も競技に対する理解が深まっていくでしょう。
さて、今回は姿勢をチェックするAI(人工知能)について、どのような場面で使われているかお伝えしました。静止画や事前に撮影された動画、リアルタイムの映像から、専用の機材を使わずに普通のカメラだけで姿勢を認識できるので、幅広いシーンで活用され始めています。
リハビリ用のロボットは効果的な治療のために詳しい提案ができるようになったほか、モチベーションの維持もサポートできるようになりました。また、スポーツでは審判の負担軽減に加えて、練習の手伝いや観客への紹介にも活用され始めました。
エンターテイメントの分野では、子どもでも直感的に楽しめる新しいデジタルサイネージを紹介しました。工場の現場でも、作業中の姿勢を把握して安全な環境を確保するために活用されています。
精度向上などにより新しい活用事例も出てくるので、これからも姿勢をチェックするAI(人工知能)については目が離せないに違いません。
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