AI(人工知能)と健康管理

AIで動きを表現!姿勢推定モデルOpenPoseについて調べてみた

AIで動きを表現!姿勢推定モデルOpenPoseについて調べてみた

どんなに練習してもなかなかスポーツが上手くならない・・・そんな悩みを持つ人は多いですよね。自分の姿勢の軸を可視化できて、効率的にスポーツが上手くなるように姿勢を改善したいというのは、多くの方が考えることでしょう。

それを可能にするのが姿勢推定モデルOpenPoseです。姿勢推定とは、静止画や動画をリアルタイムに関節点を結んだ人間の姿勢として検出することができるAI(人工知能)システムです。

OpenPoseを使えば、運動をしている際の静止画や動画に、体感や関節の傾きなどを可視化できるように、点と線で表すことができるので簡単にスポーツフォームの改善ができるに違いありません。

そこで今回はそんな姿勢推定OpenPoseについて、そのメリットやデメリット、活用事例と共にお伝えします。

そもそも姿勢推定ってなんだろう

建築現場のイメージ

姿勢推定とは、静止画から人間の関節点を学習し、システム内に知識として蓄積することで、静止画や動画をリアルタイムに関節点を結んだ人間の姿勢として検出することができるシステムで、主に建築現場での寸法計算などの場面で使われてきました。

これまでは、機械に画像を読み込ませて、予め登録された情報に適合する物だけを検出して、画像の中の対象物が地面に対してどのくらい傾いているのかを調べるという程度の情報しか認知できませんでした。しかし、AI(人工知能)が導入されたことで、さらに細かい人間の姿勢のような複雑な関節も検出できるようになったのだとか。

これによって、私たち人間が様々なポーズをしていても人間として認識が可能になり、スポーツや整体での姿勢分析で応用されるようになりました。

姿勢推定モデルOpenPoseとは

身体のイメージ

OpenPoseはこの姿勢推定を使用したシステムです。姿勢推定モデルOpenPoseでは、目や鼻などの顔のパーツから首、肩、肘、手首、腰、膝、足首などの18カ所を検出し、それらを点と線で示す姿勢推定モデルを表示できます。

具体的には、カメラで撮影した画像から、腕の関節がどの方向へどのくらいの角度曲がっているのかなどの情報が画面で確認できます。また、関節の位置を点で表示させることで、スポーツをプレイしている際に自分では意識しづらい、膝や肘の曲げ具合、体の軸などが可視化されて、改善点がよりわかりやすくなるでしょう。

OpenPoseを利用すれば、有名な選手のフォームと自分のフォームを細かく比較して、練習の手助けにすることもできます。実際に、既にOpenPoseを導入して、生徒に指導を行っているスポーツ教室もあるのだとか。

姿勢推定モデルOpenPoseの使い方

PCのイメージ

OpenPoseを使うためには、OpenPoseソフトのダウンロードがされたパソコンとカメラを用意しましょう。カメラは家庭用ビデオカメラでも、iPhoneなどのデバイスでも使用可能です。OpenPoseソフトは公式サイトのWebページを開き、パソコン内にダウンロードしましょう。ダウンロードの際には、パソコン本体の空き容量とWindowsのバージョンが適応しているかの確認が必要です。

以上の初期準備が完了したら、いよいよ実践です。姿勢推定をしたい静止画や動画をパソコンに取り込むだけで、姿勢推定モデルを自動で作成してくれます。パソコンにUSBで接続のできるビデオカメラがあれば、リアルタイムでの姿勢推定も可能だとか。特別なスキルや道具がなくても使い始められるので、とても簡単でしょう。

姿勢推定モデルOpenPoseのメリットとデメリット

運動のイメージ
では、そんなOpenPoseのメリットとデメリットについて詳しく解説しましょう。

メリット1:スマホやカメラがあればOK

姿勢推定モデルOpenPoseの最大のメリットは、特別な機械を使わずとも携帯やカメラで撮った画像をパソコンに取り込んで簡単に姿勢推定モデルを作ることができる点です。

OpenPoseは機械が自動で物体の様々な形を学習し、色々なポーズの物体のパターンに対応してくれるディープラーニングを搭載しているためカメラだけで姿勢推定モデルを作ることができるのだとか。

このため、万引きなどの怪しい動作をしている人を検出することで、防犯機能として使用したり、街中で倒れている人を検出することで、人命救助に役立てるなど日常生活のあらゆる場面に応用が可能です。

メリット2:様々な動作環境にも対応

従来の姿勢推定ソフトでは、結果表示などにそれぞれ独自のソフトのパイプラインを使用する必要があったため、動作する環境に制約がありました。また、検出できる顔や体に関しても限られていて、動作する環境に自由度が低いという問題がありました。

しかし、OpenPoseでは、Windows、Linux、 OSXをはじめとする様々な環境でも動作します。これによってどんな動作環境でも、安定させて動かすことができるでしょう。

メリット3:顔のパーツまで解析OK

Open PoseはAI(人工知能)の自動学習機能により、身体だけでなく、顔や手といった細部まで解析可能なので、激しい動きのダンス動画などでもリアルタイムでの人体を検出できます。つまりOpen Poseには、激しく動くアイドルのダンスを自分でコピーできるように練習に使ったり、という使い道も考えられるでしょう。

デメリット1:姿勢推定をする時に時間差が生じる

最大のデメリットとして挙げられるのは、動画を姿勢推定する際にリアルタイムに機械の姿勢推定の処理が追いつかず、姿勢推定モデルの付いた動画の方にタイムラグが生じてしまうことです。例えば自動車の自動運転など、人の命を危険にさらしてしまう可能性のある場面で、機械にタイムラグが生じることは残念ながら、致命傷といえるでしょう。

デメリット2:奥行きまでは推定できない

OpenPoseの姿勢推定では、2 次元画像をもとにして、体の各パーツを認識し、そこから体全体の骨や関節などを点と線で構成する手法をとっているため、奥行きである3次元座標は取ることができません。つまり奥行きの必要な場合だと、不向きだと言えるでしょう。

デメリット3:機械なので、完全に正しいとは限らない

また、OpenPoseも機械なので、100%人間を感知できるとは限りません。例えば車椅子の人の動きなどには感知できない可能性があります。さらに、OpenPoseを利用した機械に全てを任せきった運転には危険が伴うことも。あくまで、分析を補助的な使い方をするようにしましょう。

姿勢推定モデルOpenPoseの活用事例

スポーツのイメージ
ここでは、姿勢推定モデルOpenPoseの活用事例を3つ紹介します。

まず始めに紹介するのは、スポーツフォームの改善への活用です。

プロの動きをマネして、自分のフォームを改善させよう!

OpenPoseで運動している、静止画や動画に姿勢推定モデルをつけて、自分の体の動きや軸の癖を確認します。そして、プロ選手や手本となる人の静止画や動画にも姿勢推定モデルをつけ比較することで、自分のスポーツフォームの改善点が分かるでしょう。

例えば、ゴルフや野球のスイングを姿勢測定する際に、振り切って腕が身体で隠れてしまっていてもきちんと肘の位置を推測してくれます。これならプロのフォームと自分のフォームを見比べることができますよね。

映像として自分のフォームを確認しても、何が改善点なのかよく見えてこないことがあるはず。OpenPoseでは、可視化された図としての姿勢推定モデルが確認できるため、客観視するように、より分かりやすい形で練習ができます。

OpenPoseを利用して人の命を助ける

次に紹介するのは、人命救助への活用例です。姿勢推定モデルに、長時間うずくまって動かない人や泥酔者といった異常な動きを記憶させることで、同じような動きを感知した際に通知をするシステムです。駅や医療施設などの監視映像を通して、このシステムを導入することで迅速な人命救助が可能となり、救える命が増えることでしょう。

まだ実装には至っていないものの、既に海外の研究チームは、ドローンにOpenPoseを搭載し上空から胸の動きを感知して生死を判別する研究を完成させました。判定率は100%近くになっていて、将来はドローンが人命救助する・・・という可能性もあるかもしれません。

自動で運転してくれる便利な自動運転自動車

最後に紹介するのは自動運転としての活用例です。自動車に搭載されたカメラから姿勢推定モデルを使用し、歩行者を自動で推定する技術として自動車の自動運転にも応用されています。

具体的には、自動車に搭載されているカメラを通して映し出した、車外の映像から姿勢推定によって人や歩行者を認知し、自動での運転を可能にするシステムです。これによって、運転に苦手意識のある人でも車を簡単に運転することができるでしょう。

現在すでに、スバル社の「アイサイト」やメルセデス・ベンツ社の「インテリジェントドライブ」など実用化されて販売に至っている例も多くあります。実際に乗ったことがある人は、スムーズな運転に驚いた声もあったとのこと。

今後もOpenPoseが搭載した車が発売されたら、より安全な運転ができるようになるに違いありません。

まとめ
さて、今回は姿勢推定システムOpenPoseについてお伝えしました。OpenPoseは、静止画や動画から自動で人の姿を認知し、その関節の動きを点と線で表して表示する姿勢推定システムです。

OpenPoseには

  • 特別な道具は必要ない
  • 様々な動作環境にも対応
  • 激しい人体の動きも検出できる

という利点と

  • 多少のタイムラグがある
  • 人の命を預けるには安全性が足りない
  • 3次元の座標は表示できない

という気をつけなければならない点がありました。

ここで主な姿勢推定モデルOpenPoseの活用事例について振り返りましょう。

  • スポーツフォームの改善
  • 異常を感知する人命救助
  • 自動車の自動運転

の3つの活用事例を紹介しました。

OpenPoseは魅力的なシステムなので、今後も使い道が広がることが予想されます。みなさんもOpenPoseを使えば普段から、身体の動きを気にすることができるかもしれません。

そして当メディア(AIZINE)の運営会社のお多福ラボも、OpenPoseに負けず劣らずのAI(人工知能)が姿勢推定するサービス「Posen」を提供しています。このPosenでは測定結果をスマートフォンで見ることができたり、結果を数値化したりしているので、とてもわかりやすいです。少しでも気になった方は、こちらのページをご覧ください。

AI骨格分析システムPosen

トップへ戻る
タイトルとURLをコピーしました