様々な社会情勢の中、テレワークが推奨され始めました。そこで自宅のデスクなどで仕事をすると、気にしたいのが作業姿勢ですよね。
子供のころ「姿勢をしっかり正しなさい」と注意された、記憶がある方も多いでしょう。それだけ作業姿勢は健康に影響を及ぼすということです。
ところで、近年GoogleやIBMといった企業がAI(人工知能)開発に力を入れており、それを用いたサービスを提供しています。ですから私たちの生活にAI(人工知能)が姿を現すことが普通になってきています。
そうしたデジタル技術が進歩する時代背景の中で、AI(人工知能)が作業姿勢を分析して私たちの姿勢を正してくれるサービスが普及し始めているのです。
そこで今日は、AI(人工知能)が作業姿勢をチェックしてくれる仕組みやサービスについて、実例を踏まえながらお伝えしましょう。
AI(人工知能)が作業姿勢をチェックする、とは
まずひとくくりに、AI(人工知能)が作業姿勢をチェックすると言っても、どのようにして姿勢をチェックするかイメージがつかない方も多いですよね。
こうした技術が進歩している背景には、集められたたくさんのデータ(ビッグデータ)をAI(人工知能)が分析し、うまく活用しようという取り組みが進んでいるということを覚えておいてください。AI(人工知能)はデータがなければ何もできないのです。
それでは次からは実際にAI(人工知能)が作業姿勢をチェックしている事例についてお伝えします。
作業する姿勢をスーツを着るだけで分析する日立建機の事例
まず一つ目の事例です。
建設現場機械の製造現場では、部品や重いものの積み下ろしといった、体に負担がかかる作業が多く存在しています。一定時間ひざを曲げ、腰を落とす姿勢が多く発生してしまいますが、こうした、私たちの体に適さない姿勢を続けると体に負担がかかってしまうでしょう。
そこで日立建機は、汎用のカメラで撮影した製造現場の映像から、AI(人工知能)が作業姿勢を自動判別することができるシステムを導入をしました。
今後は建設機械の製造現場における安全性の向上や教育に活用していくということで、注目が集まっています。
作業姿勢だけでなく、かかる時間やミスを分析する「骨紋」
次の事例ですが、三菱電気株式会社は自社のAI(人工知能)技術を用いることで、カメラの映像から人の骨格を抽出・分析し、特定の動作を検出する作業分析ソリューション「骨紋」を開発しました。
分析する手順としては以下の通り。
- 骨格の抽出
- 作業内容を特定し、作業時間・ミスの検出
- 骨格を分析し、体の動きを検出
- 過去のデータと比較
ここでもやはりビッグデータの活用が行われています。今後は2020年度以降順次市場投入される予定ですので注目しておいてください。
iPadで撮影するだけで、姿勢を分析する「Posen」
そして、2020年の1月に、このAIZINEを運営している株式会社お多福labは、AI(人工知能)が作業姿勢を診断してスコア化するシステム「Posen」を発表しました。
ターゲット層は整骨院や接骨院、また高齢者向け施設や医療現場と幅広く、タブレットのカメラで撮影するだけで使えるアプリです。
これにより、現代人が抱える肩こりや頭痛といった体の悩みの原因を突き止めることができるのです。また、Posenは専門器具を体に装着する必要がないので高齢者や医療の現場では大変魅力的ですよね。
これからの社会では、医療や福祉業界へのAI(人工知能)利用が活発になるのは間違いありません。平均寿命が延び高齢化が進んでいく社会では、老後の健康には心配になることが多いです。
この「Posen」のように、医療現場や福祉で利用できるシステムは、こういった社会問題の解決に大きく貢献できるかもしれません。
事例から見える、AI(人工知能)が作業姿勢を分析する共通ポイントとは
ここまで、AI(人工知能)による作業分析を行うサービスやシステムについてお伝えしてきました。
これらどの事例にも共通して言えることは大きく2つあります。
誰でもスーツを着用できる状況とは限りませんし、どんな環境でも使えるAI(人工知能)の作業姿勢を分析するシステムは、今後需要が高まっていくでしょう。
人間は主観的な意見や考え方を持ちますが、良くも悪くもAI(人工知能)は石を持っていません。ですので、データを元に客観的に分析することができます。「このひとはこのような癖がある」といった発見が様々な視点からできるのは科学技術が発展した一番の恩恵といっても過言ではありません。
今回はAI(人工知能)による作業姿勢を分析するサービスについて、実例をもとにお伝えしました。
まとめてみると以下の通り。
- AI(人工知能)による作業姿勢を分析するサービスが普及し始めている
- 近年は、専用のスーツを着用しなくても、簡単に作業姿勢の取得ができる
- AI(人工知能)による作業姿勢分析にはビッグデータが必要
- 医療現場や福祉の分野で注目が集まっている
こういったサービスはビッグデータをいかに活用するかという点が重要視され、ユーザーが増えるとその分さらにデータが蓄積されどんどん精度が向上していくことが期待できます。
今医療現場や福祉業界では多くの問題がありますが、そういった問題に対してAI(人工知能)が利活用される社会はもうすぐそこまで来ているのかもしれませんよね。
私たちの老後にかかわることも多いですので、興味を持った方はどんどん調べて知識を増やしておきましょう。