AIとは何か

結局人工知能って何?実は決まっていないAIの定義をまとめてみた

結局人工知能って何?実は決まっていないAIの定義をまとめてみた

私たちはビジネスや生活の中でAI(人工知能)という言葉を当たり前のように使っていますよね。IT系の職業ではもちろんですが、製造や流通そしてサービス業などでもAI(人工知能)という言葉。そして仕事、ビジネスの場面だけでなく、日常生活の中でも家電製品、パソコン、スマホを使用する時、様々なサービスを受ける場面でも度々AI(人工知能)という言葉が出てきます。

このようにいまや、あらゆる分野で使われているAI(人工知能)という言葉ですが「なんとなく理解はしているけど定義と言われると…」とうまく説明できない人も結構いるでしょう。

この記事では65年前のAI(人工知能)という言葉の誕生から、現在そして未来への重要なポイントに絞って説明しています。ぜひ、ぼんやりとしたイメージの「AI(人工知能)」をスッキリと説明できるようになりましょう。

そんなわけで今回は、AI(人工知能)と、その「定義」について整理しましょう。

今AI(人工知能)の定義は定まっていない

決まっていないイメージAIとはArtificial (人工的な、人為的な)Intelligence (知能・知性)の事です。わかりやすいAI(人工知能)のイメージって「ドラえもん」ですよね。「のび太」くん達の夢を様々な道具で実現させてくれます。そしてただ便利な道具を出してくるだけではありません、現実を見て、話を聞いて考えて、時には厳しく「のび太」くんにとって最適な判断をしていく、まさになんでもかなえてくれるロボットのイメージが強いでしょう。

しかしすでに身近に実現しているAI(人工知能)もあります。例えば、スマホや携帯そしてパソコンなどで文章を入力するときに「お」と入力すると「おはよう」「おつかれさまです」「お世話になっております」など人によって上位に出る言葉が異なる「入力予測」AI(人工知能)です。

そんなAI(人工知能)の定義は「総務省情報通信白書平成28年」で以下のように定められています。

「人工知能(AI)は、大まかには「知的な機械、特に、知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術」と説明されているものの、その定義は研究者によって異なっている状況にある。その背景として、まず「そもそも『知性』や『知能』自体の定義がない」ことから、人工的な知能を定義することもまた困難である事情が指摘される。」

しかし、実際は研究所ごとに解釈が異なっています。

この研究者による定義づけのいくつかを見てみると、

  • 「知能を持つメカ」ないしは「心を持つメカ」である
  • 人工的に作る新しい知能の世界である
  • 究極には人間と区別がつかない人工的な知能の事
  • 人工的につくられた、知能を持つ実態。あるいはそれをつくろうとすることによって知識事態を研究する分野である

など様々です。つまり「知性」「知能」自体が明確に定義づけされにくい為、AI(人工知能)の定義も定まっていません。

このようにAI(人工知能)について、明確な定義づけはできませんが、各時代においてのAI(人工知能)開発技術の中心となっている事があります。そこで、次ではAI(人工知能)の「定義」に近い事として、AI(人工知能)の研究開発の歴史と現在、そして未来について見てみましょう。

AI(人工知能)という言葉を生んだジョン・マッカーシーとは

人物のイメージAI(人工知能)「Artificial Intelligence」という言葉を生んだのが、アメリカの計算機科学者(Computer Scientist)ジョン・マッカーシー(John McCarthy)(1927~2011)と言われています。

1955年にジョン・マッカーシー(John McCarthy)を含む4名から提案された、人工知能に関するダートマス夏期研究プロジェクトの提案(A Proposal for the Dartmouth Summer Research Project on Artificial Intelligence)にて使用されたのが「Artificial Intelligence」(人工知能)の始まりとされています。ちなみにDartmouthとはダートマス大学の事で、当時ジョン・マッカーシーは同大学の数学の助教授でした。

この提案により翌1956年夏にダートマス大学で開催されたプロジェクト(通称:ダートマス会議)が「AI(人工知能)」という研究分野の始まりであったとされています。

ジョン・マッカーシーはその後、M.I.T(マサチューセッツ工科大学)に移り、同僚のマーヴィン・ミンスキーとともに「M.I.T人工知能プロジェクト」を立ち上げます。1962年にはスタンフォード大学に移り、1965年に「SAIL」スタンフォード人工知能研究所を設立し自ら率いてAI(人工知能)の研究を進めてきました。

1960~1970年代、「SAIL」は、多くの機器とソフトウェアを開発しました。グラフィカルユーザーインターフェイスや、音声認識、画像認識、ロボット工学、コンピューターミュージックなど、現在私たちの日常生活の一部となっている様々な技術の基盤に関わってきました。

ジョン・マッカーシーはその様々な業績、そして出版物などにより、ACMチューリング賞、全米科学メダル、京都賞、全米科学アカデミーと全米工学アカデミーのメンバーシップなど多くの賞を獲得しました。

つまりAI(人工知能)という言葉を生み、そしてその後のAI(人工知能)の進化に最も影響を与え、貢献してきた人物がジョン・マッカーシーと言えます。

第1次 第2次ブームでのAI(人工知能)の定義

探すイメージ

AI(人工知能)という言葉が生まれた1950年代から1960年代までが、「第1次ブーム」と言われています。

この第1次ブームにおける「AI(人工知能)」の、主な技術が「探索と推論」。これは明確に定義とはいきませんが、「第1次ブーム」時での「AI(人工知能)」開発で中心となっていた点です。

探索も推論も、まず人間が処理のルールをコンピュータに与えます。例えば迷路を解く場合「スタートからゴールを目指す、壁に当たったら右か左に曲がる、もしくは戻る」というルールに沿ってコンピュータが全てのパターンを実行「探索」していきながらゴールへのルートを導き出す「推論」ということです。

その後1970年代に「エキスパートシステム」という技術が出てきます。これは特定の分野の専門家(エキスパート)が持つ知識情報をデータ化して、専門分野での問題に対しての回答を導き出すというものです。

例えばテストの「問題」と「回答」の組み合わせを大量に機械の中にデータとして蓄積し、新たな「問題」を問われると、データの中から同じ「問題」を探し紐づいた「回答」を引き出す、というようなイメージでしょう。このエキスパートシステムは医療の分野から開発が始まり、1980年代に入ると他の分野(産業)でも実用化されるようになり、現在でも実用化され更なる研究が進められています。

また、1980年代から1990年代が「第2次ブーム」です。この時代では様々なデータ(情報)を機械に認識させることで、更に複雑な「推論」を行い回答を出すという事、すなわち「知識表現」が、課題とされて研究が進んでいました。

ここでも明確な定義づけはできませんが、「第2次ブーム」時での「AI(人工知能)」開発は「知識表現」を中心としていたでしょう。

しかし機械が処理するとは言え、データ(情報)とプログラム(処理のルール)を機械に認識できるように与えるのはあくまでも人間。「例外、あいまいさ、画像や音声情報」など更に複雑になっていくデータ(情報)を集めて機械に認識させる事は非常に困難であり、第2次ブームは沈静化しました。

現在のAI(人工知能)の定義

スマホのイメージ

2000年代から現在が「第3次ブーム」と言われています。これはコンピュータの能力の進歩及び「ビッグデータ」をはじめとした情報量の増加に伴い、新しい技術が研究されていき「第3次ブーム」が始まりました。

まず2000年代に入り「機械学習」という技術が生まれました。人間が特徴を定義づけたデータを機械に与え、その中で機械自体が学習し結果の精度が向上していくというものです。

わかりやすく例えると、インターネットを見ている時に様々な広告がでてきますよね。自分の興味のある商品やサービスが表示されて驚いた経験があるかもしれません。これはあなたが「検索した言葉」「見たサイト」「購入した商品」などの様々な情報を機械が学習して最適な広告を表示させているのです。

そして2010年代になると「ディープラーニング」という言葉が生まれてきます。これによりコンピュータ自体がさらに様々な情報の中から学習し精度が高い処理を行えるようになりました。同時に進化している音声や画像認識、言語認識などの技術と相まって実用化が進んでいます。

身近な事例では、スマートフォンのカメラで英語の文章を撮影するだけで日本語に翻訳される機能や、「今日の天気は?」と話しかけると「今日の天気は・・・・・・です」と答える、Siriなどのイメージです。
現在時点でのAI(人工知能)「第3次ブーム」では「機械学習」から「ディープラーニング」が開発の中心となっています。

これからのAI(人工知能)とは

将来のイメージ2020年代に入っても「第3次ブーム」の流れは続くでしょう。「ディープラーニング」が更に進化していき、より緻密に精度が向上する研究開発が進められ、そしてその技術の「実用化」が進むことが予想されます。

身近に感じる部分では「車の自動運転」「店頭やイベントなどで活躍しているサービスロボット」など、すでに生活の中に存在しているAI(人工知能)が更に進化し、また一般の生活の中では感じにくい、各産業やサービスの裏側などでもAI(人工知能)は活用され進化しています。
研究開発におけるAI(人工知能)の機能領域は「識別」「予測」「実行」とされています。この3つが現時点でのAI(人工知能)研究における機能のキーワードになっています。

このようにコンピュータ上でのプログラムや処理方法だけでなく、様々な分野での技術が複合的に存在し成り立つのがAI(人工知能)です。また各分野それぞれでの開発の最先端研究と実用化のための技術にも時間差は発生しますので、AI(人工知能)を明確に定義するのはさらに困難となるかもしれません。

そしてこれからは、AI(人工知能)の「実用化」をいかに進めて行くかが重要となっていきます。今後AI(人工知能)の活用により解決できるであろう課題として「人手と労働力不足、過酷労働」「犯罪の発生予知、事故の未然防止」などが挙げられています。

またAI(人工知能)の活用が期待される分野として「医療分野における高度な診断」「公共交通の自動運転、交通混雑や渋滞の緩和、緊急車両通行ルートの高度選定」など社会的問題の解決が期待されています。

まとめ
さて今回は、AI(人工知能)とその「定義」について、その歴史から整理しました。

AI(人工知能)という言葉を生み出したのは、ジョン・マッカーシー。その後の技術の進化に対し、彼が大きく貢献してきました、まさに現在のAI(人工知能)の礎を築いた一人です。

しかし人工知能の中の「知能」という言葉が明確に定義されていない事、AI(人工知能)自体が研究分野、技術、活用範囲ともに非常に幅広く一概に定義することは困難な事、したがってAI(人工知能)の定義は定まっていません。そして言葉が生まれてから約65年、「探索」と「推論」の時代から「知識表現」へ、そして現代の「機械学習」から「ディープラーニング」と開発技術の中心は常に進化しつづけ、すでに一部は生活の中では「実用化」されています。そんなスピードもAI(人工知能)の定義づけが困難な理由の一つでしょう。

AI(人工知能)の完成形(定義)が「ドラえもん」だとすると、AI(人工知能)の完成は遠い未来の話となりますが、彼が未来からやってきたのは50年前の事です。当時は漫画の中のフィクションだった機能や道具の一部は、すでに「実用化」され身の回りの道具の一部になっています。そしてAI(人工知能)は益々進化し、日常生活と切り離せない存在になっていきます。

AI(人工知能)を一言でまとめると「非常に幅広い分野で、常に進化し続けている技術」のことです。そんなAI(人工知能)とどう関わっていくか、うまく活用していくためにも、更に興味を持って正しい知識を学びましょう。

トップへ戻る
タイトルとURLをコピーしました