AI(人工知能)を利用してライザップは「結果にコミット」しています。
わかりやすく覚えやすいキャッチフレーズで、今や知らない人はいないのではないかというほどその名が浸透したライザップグループ。CMではたるんだ身体をしているんじゃないかというイメージの芸能人が、ライザップのトレーニングで均整のとれた肉体や割れた腹筋を披露していますよね。
このCMに触発されてスポーツジムに通ってみたのはいいものの、すぐに行かなくなってしまったなんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。単に自分の意志が弱いだけなのか、それともライザップは普通のスポーツジムとは違う特別な要素があるというのか……。
今回はその答えを丸裸にしていきましょう。AI(人工知能)を使ったライザップのフィットネスのシステムとは何なのか、またフィットネス分野以外にも取り入れようとしているAI(人工知能)を使ったライザップの取り組みを紹介していきます。
「結果にコミット」するライザップ
コミットとはビジネス用語で「責任を伴う約束」「目標に対して積極的に関わる」という意味があります。すなわち結果にコミットとは「設定した目標に対して積極的に関わり、責任を持って結果を出すことを約束します」というわけですよね。
当然ながらきちんと結果を出すためには、きちんとしたプログラムを用意する必要があります。ライザップといえばキッツいトレーニングメニューと、さらにキッツい食事制限をイメージしてしまいますが、実際のところはどうなのでしょうか。
ライザップではまずカウンセリングによって個人の目的に応じたトレーニングメニューを作成し、そのメニューに従ってトレーニングを行っていくわけですが、なんと1回あたり50分のメニューを週2回というから驚きですよね。これは筋肉が作られるメカニズムを研究しつくした結果ですが、もちろんメニューが進めば1回あたりのトレーニングの負荷は上がっていきます。
またトレーニングとあわせて食事改善の指導も受けることになりますが、ただガムシャラに糖質制限するのではなく、最初は減量のために糖質を抑えてしだいに筋力維持のために糖質を増やしていくという仕組みとなっています。栄養管理のためのアプリが用意されていたり、低糖質フード(アイスクリームもあります)やサプリメントの販売まで手掛けるという徹底ぶり。
お値段は相応にお高めではありますが、そのぶん徹底した指導とサポートでまさに結果にコミットするのがライザップの魅力というわけです。
ライザップが導入した「3Dボディスキャン」とは?
ライザップのトレーニングメニューの特徴は、トレーニング理論を徹底的に研究したうえで立てられる合理的なトレーニングメニューにあります。そして一人一人に合ったトレーニングメニュー作成のため、「3Dボディスキャン」というシステムを2017年12月から導入を開始しました。
3DボディスキャンとはAI(人工知能)を利用して、ライザップが株式会社SYMBOLと共同で開発したパーソナルフィットネス用アプリケーションです。
更衣室ほどの大きさのフレームに入ると瞬時に身体がスキャンされ、360項目にも及ぶ身体のサイズや筋力・脂肪量などのデータが表示されます。これまでは体重や体脂肪の値でしかトレーニングによる身体の変化を測ることができませんでしたが、3Dボディスキャンの導入によって身体の変化を細かいところまでビジュアル化することができれば、トレーニングの成果や課題がわかりやすくなりますよね。
3Dボディスキャンのデータは日々蓄積することによって、AI(人工知能)によるシミュレーションも可能となります。設定したトレーニングメニューや食事を実行することで具体的にどのような感じの身体になるのか、カウンセリング時にビジュアル化して教えてくれるようにもなるのです。
またAI(人工知能)を使って、ライザップはシミュレーション結果をもとにオーダーメイドのウェアを製造し提供するサービスも考えているとのこと。
AIを使ったライザップの新たな展開
AI(人工知能)を使ったライザップの事業は、フィットネス分野だけに限ったものではありません。CMではあまり見かけないかもしれませんが、ライザップはすでに料理教室や英語教育の分野にも手を伸ばし、店舗を拡大しているのです。
料理教室「ライザップ・クック」は現在、東京の4店舗に展開。レッスンはフィットネスと同じく1回あたり50分で週2回ですが、プロのシェフによる個別指導とフィットネス同様の専用アプリによるオンラインでのサポートが充実しています。
英語教育「ライザップ・イングリッシュ」は現在、東京の6店舗に展開。こちらも1回あたり50分で週2回のレッスンになっていて、専属トレーナーとのカウンセリングや徹底したスケジュール管理を徹底。ちょっと意外だったのはTOEICでスコアを上げたいというレベルから、英語を学ぶのが初めてというレベルまで幅広く受け入れていることでしょう。
いずれもオンラインによるサポートが充実しているのが特徴ですし、いずれはAI(人工知能)によるシミュレーションやタスク管理といった要素をライザップは取り入れられるかもしれませんよね。
さらにAI(人工知能)をライザップはスポーツ分野でも活用しようとしており、その第1弾が今年の4月からサービスが開始された「ライザップゴルフ」であると発表しました。すでに全国30もの店舗を展開しているライザップゴルフでは、自分史上最高のスコアを実現するため「RIZAP GOLF LESSON System」というシステムを導入したのです。
ゴルフ好きをサポートする「RIZAP GOLF LESSON System」
ライザップゴルフも他のサービスと同様、1回あたり50分で週2回のレッスンで専属トレーナーによる個別指導とオンラインによるサポートを導入しています。しかし
最大の特徴はRIZAP GOLF LESSON Systemを活用し、スイングをビジュアル化して分析することが可能となったことでしょう。
RIZAP GOLF LESSON Systemはソニーが開発した「スマートゴルフシステム」をもとに、ライザップとともにユーザーインターフェースをカスタマイズして作り上げたものです。
スイング時のヘッドスピードや軌道、角度などを計算して表示するとともにソニーの映像技術によってスィング時の映像を自動再生し、再生された映像をもとにトレーナーが具体的で理解しやすい指導を行うというシステム。
この映像はスマートフォンやタブレットを使うことでレッスン以外の時間や場所でも使用することができ、またクラウド技術によって映像を専属トレーナーと共有することも可能。これを使えばトレーナーによって出された課題、たとえば「ヘッドスピードを40m/s以上で」なんて課題も簡単に映像化して記録し、その場でトレーナーに報告することもできるというわけです。
このシステム自体にAI(人工知能)は関与していないようですが、3Dボディスキャンのように膨大な数のスイングフォームを蓄積し、これらのデータをAI(人工知能)が解析してライザップゴルフのカウセンリングや指導に役立てるといった使い方ができそうですよね。
ライザップの瀬戸社長も「ボディメークで培った技術をゴルフに転用する」と語っています。
以上にように、ライザップはフィットネスやゴルフなどの理論を徹底的に研究し、感覚に頼るのではなくデータ化することで効率的なプログラムメニューを作成。その過程でデータを蓄積し分析するためAI(人工知能)をライザップは積極的に活用しています。
- ライザップは結果にコミットするため、データを重要視している。
- 3DボディスキャンはAI(人工知能)を活用して、ライザップのトレーナーによるカウンセリングなどに利用している。
- ライザップはフィットネス以外の分野にも進出しており、AI(人工知能)の活用をライザップは模索していると思われる。
- その第1弾としてRIZAP GOLF LESSON Systemを導入した。
料理教室や英語教育にまで手を伸ばしているのは意外でしたが、いずれもライザップがとっている手法は一貫していますし、またAI(人工知能)を利用して信頼度の高いトレーニングメニューの作成をすることができます。それがたとえ値段が高くても高い人気を誇る要因になっているのでしょう。
まさに結果にコミットというわけですよね。