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知ってみるとすごいニューラルネットワーク!その仕組みを簡単解説

ニューラルネットワークのイメージ

最近テレビやネットなどのメディアでAI(人工知能)というワードをよく聞きますよね。そのAI(人工知能)に使われている技術の一つにニューラルネットワークというものがあります。でもAI(人工知能)にニューラルネットワークが使われていると聞いてもいまいちピンとこない方も多いでしょう。

実は、ニューラルネットワークとは簡単に言うと「脳のニューロンという細胞が信号伝達する仕組みを数理モデルとしてコンピュータ上で表せるようにしたもの」

そこで今回は、脳の信号の仕組みとニューラルネットワークの違いを分けるところからニューラルネットワークの実際の活用事例までお話します。

それではニューラルネットワークがいったい何なのかについて理解を深めていきましょう。

脳のニューロンの神経伝達の仕組みとニューラルネットワークの違い

ネットワークのイメージ

まずは脳のニューロンとAI(人工知能)のニューラルネットワークについてみていきましょう。

脳のニューロンとニューラルネットワークの大きな違いとして、ニューロン間の情報伝達速度が挙げられます。

まず脳のニューロンの場合、樹状突起で信号を受け取り、軸索でさらに隣の細胞に信号を送ります。その伝達速度は化学反応なのでせいぜい秒速100mぐらいの速度です。
ところが、ニューラルネットワーク上でのニューロンを模したモデル(以下「ニューロンモデル」と呼びます)の場合は、情報伝達速度がコンピュータの情報処理能力に依存するので人間の脳とは比べ物にならないぐらい大きな速度になります。

また、

ニューラルネットワークではニューロンモデルへの重みと呼ばれる変数を人間が自由に設定することができます。しかし人間の脳の場合は、現在の科学ではそこまで直接的に脳内の電気信号を変更することはできません。

ニューラルネットワークの仕組みと情報変換の過程

ニューラルネットワークのイメージ

それでは今度はニューラルネットワークの具体的な仕組みを見ていきましょう。

ニューラルネットワークの構造としては、いくつものニューロンモデルがそれぞれ繋がっているようなイメージを描いてみてください。
そしてあるニューロンモデルに情報が入るとそれがモデルの中の関数によって別の値に変換され、次のニューロンモデルに向かって出力されます。
なお、これらのニューロンモデルの並びは多層構造になっており、なおかつ一つの層にいくつものニューロンモデルが存在しているため、一つのニューロンモデルから出力された情報は重みづけが加えられたあと、次の層の全てのニューロンモデルに引き継がれます。
そしてそのあとは各ニューロンモデルでそれぞれ事前に設定された関数に当てはめて、出力層と呼ばれるニューロンモデルで評価関数の計算が終わり、正解率を出力する結果がでるのを待つだけです。
ここでいう正解率とは予測結果全体と、答えがどれぐらい一致しているかを判断する指標のこと。

この正解率が高くないと一般的に実用性に耐えうるモデルとは言えないため、人間がパラメータを調整して試行錯誤して正解率を上げていきます。

ニューラルネットワークのモデル例

GANのイメージ

ここまでは、ニューラルネットワークの仕組みについてお話しました。

ところで、ニューラルネットワークがここまで注目されるようになった理由として深層ニューラルネットワーク(ディープラーニング)の登場があります。

2012年に機械学習のコンテストでディープラーニングを活用したモデルが、機械学習の他の手法を大幅に超えた精度をたたき出しました。そのディープラーニングが主に活用されている分野は画像認識や音声認識。そこでは様々なモデルが活用されています。

例えば、敵対的生成ネットワーク(GAN(Generative Adversarial Network)というものがあります。

これは、Generator(生成モデル)が人間が生成したコンテンツに近づけようと学習する一方で、Discriminator(識別モデル)が、コンテンツを人間が生成したものなのか、またはGenerator(生成モデル)が生成したものかを識別(DNN(Deep Neural Network))。
つまりDiscriminator(識別モデル)はGenerator(生成モデル)が作った画像が人間の生成した画像と違えば、Generator(生成モデル)がさらに本物に似せた画像を作成し、Discriminator(識別モデル)がまた判別するいたちごっこを繰り返すわけ。最終的にはGenerator(生成モデル)が人間が生成した画像そっくりの画像を導き出します。

この生成モデルの研究が進むと、識別だけでなく、人間のような創造性が必要な、作曲、作詞や作画、デザインなどの創作分野にAI(人工知能)の導入が広がるでしょう。

また他には、英国のDeepMind社が開発したコンピュータ囲碁プログラムAlphaGoで使われたモンテカルロ木探索という手法があります。

AlphaGoは近年人間の囲碁の世界チャンピオンを打ち負かしたことでも有名ですよね。この話題をニュースで見てディープラーニングというワードを知った方も多いのではないでしょうか。

AlphaGoに使われたモンテカルロ木探索を簡単に言うと、将棋やチェスなどの何万という駒を置ける可能性の中から今取るべきベストな手を選択するもの。
ちなみにモンテカルロ木探索を英語で表すと「Monte Carlo tree search」となりますが、tree searchとなっている理由は「あらゆる可能性からベストな手を選択していく過程がまるで木の幹から枝がいくつも分岐しているように見えるから」とされています。

ただ、モンテカルロ木探索の弱点は、ボードゲームのように情報の全体量が把握できる場合にしか使えないということです。

ニューラルネットワークの活用例

コメント解析のイメージ

それでは最後に、ニューラルネットワークの活用についてお話しましょう。

活用事例として例えば、株式会社ドワンゴが運営しているニコニコ動画では投稿されるコメントの解析にニューラルネットワークが使われています。

従来の手法では、監視が必要な場面でサービス内のコメントが特殊性の高いものであるため、人力でコメントを監視する必要がありました。しかし機械学習によってコメントの監視の必要性を3段階に分類し「監視の必要なし」と判断されたコメントを除外することで、全体の75%程度のコメントを人力目視不要にすることに成功したのです。

他にも、Gastrographというサービスは飲料の製造を監視し、品質を分析することができます。

これはAI(人工知能)が製造工程をモニタし、味を左右する微量の成分量から、味の良し悪しを判定。この 味の良し悪しの判定にはディープラーニングの技術を利用しています。

以上のようにAI(人工知能)を活用することで、今まで多くの人出が必要だった作業をAI(人工知能)に代替できるようになりました。このようにニューラルネットワーク、AI(人工知能)は米国や中国で先端研究やビジネスへの応用が進んでいます。そして、日本でもさらにAI(人工知能)は活用されていくでしょう。

 

ニューラルネットワークのイメージ

ここまでニューラルネットワークの仕組みからその応用事例まで紹介してきました。

特にニューラルネットワークの仕組みについては多くお伝えしましたが、このニューラルネットワークの一部のディープラーニングは、パラメータを人の手で調整できるだけでその多くの過程はブラックボックスとされています。

もちろん、一人一人が技術の仕組みを理解した方がいいでしょうが、現実的に厳しいのでブラックボックスな部分があることを受け入れたうえで、技術を発展させることが世の中を今よりも便利にするために必要なことでしょう。

また、近年のAI(人工知能)の技術の進歩の中で機械学習というものがあります。機械学習は比較的古い歴史を持っているのですが、これはニューラルネットワーク(特にディープラーニング)の登場により、その技術が脚光を浴びるようになりました。このように、特定の技術が世の中に広まればそれだけ利用機会を得る人が増えるので、その技術は発展しやすくなるでしょう。

ですから、今回お伝えしたニューラルネットワークを理解し活用することで、今後さらにAI(人工知能)技術を発展させていけると良いですよね。

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