AI(人工知能)いう言葉を聞いたことがある人は多いですよね。毎日の様にAI(人工知能)を活用したサービスを開発または導入した企業の事例がニュースを賑わせています。
ソフトバンクのペッパーや自動運転は、数年前から注目されているAI(人工知能)活用の具体的な活用事例ですが、まだ特別な存在として扱われていたでしょう。しかし、最近でははあらゆる業界でAI(人工知能)を活用した革新の試みが増えてきました。
このようにAI(人工知能)はあらゆる業界で活用の動きが進んでいます。それを利用シーン別にAI(人工知能)が利用されている背景や可能性について理解しておくことで、自分の生活にどの様に関係しているのか、身近に感じることができるかもしれません。
そこで今回はAI(人工知能)が日々の生活の中でサービスとしてどの様に活用されているのかについて、お伝えします。
最新のAI(人工知能)事情
AI(人工知能)はどのような利用目的で開発利用されているのかを理解することで、その動向を理解しやすくなるでしょう。そんな現在のAI(人工知能)の利用目的は、概ね3つに分けられます。
業務効率化
人が行っている業務をAI(人工知能)によって代替または補完しようとする考え方です。例えば、音声をテキスト化する自然言語処理のAIは、議事録や注文処理を自動化することが可能ですし、手書きの資料をデータ化するOCR処理も大幅に業務効率化に役立ちます。
AI(人工知能)を活用したOCRは企業で様々な大量処理の場面で利用されています。
- 大量の受注伝票をOCRで読み取り番号別に区分けする
- アンケート集計をOCRで読み取りデータ化する
- 本人確認書類をスキャナで読み取り、OCRによって住所や氏名をデータ化する
顧客サービスの高度化
これまで人によるサービスでは実現できなかったサービスを高度化する考え方です。例えば、通販の問合せをチャットボットにより自動化する企業が増えていますが、これは電話での問合せを9時から18時までしか対応していない顧客サービスを高度化した最も典型的な例です。
三陽商会がパーソナルオーダースーツブランド「STORY & THE STUDY」を、2019年9月より開始していますが、独自の3D解析ツールにより利用者の体型・姿勢の特徴を立体的に解析した上でスーツを提案するとのこと。これなら、いままでよりも似合った服を選ぶことができますよね。
この3D解析ツールは、株式会社Sapeetの提供する3D解析のAI(人工知能)が活用されています。
予測の高度化
従来、AI(人工知能)とは、統計学をその出発点としていますので、蓄積されたデータに基づく予測を行うAI(人工知能)は幅広く実用化されています。
店舗であれば、需要によって商品の価格を変更する、「ダイナミックプライシング(価格変動制)」といった来店者予測・需要予測の自動化が導入されています。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでも需要予測に基づくダイナミック・プライシングを導入しています。
医療の現場であれば、株式会社AIメディカルサービスの開発した「内視鏡AI」は内視鏡の動画からがんの兆候を発見するソフトウェアなど、検査結果を元に医師が判断していた病理特定をAI(人工知能)が、予測し判断するようなことも実現が可能となってきました。
それでは、上記目的を実現しようとしている、代表的なAI(人工知能)のサービス事例を挙げ、それがどの様に利用されているのか、ご説明していきます。
AI(人工知能)サービス:チャットボット
AI(人工知能)を活用したチャットボット「イーオのごみ分別案内」は、チャットボットの効果を最も発揮している事例のひとつです。
そこで「イーオのごみ分別案内」によって、あらゆる対象のゴミを機械学習によって記憶させ問合せすると、チャットボットが処理区分を回答してくれます。
ここでのAI(人工知能)の目的は「顧客サービスの高度化」です。横浜市へのごみ分別に関する問合せは、従来コールセンターで対応していましたが、このチャットボットサービスの導入により、日中しか対応していないコールセンターに比較して、コールセンター営業時間外の利用数が5割となり、また、コールセンターに比べ数百分の1に人件費を抑えることができたとのこと。まさに、費用を抑えながらもサービスを向上できた例ですよね。
※実際の回答はこちらをご覧ください
LINEやTwitterなどチャットによるコミュニケーションが一般化された現代では、チャットボットを有効に使っている企業もたくさんあります。チャットボットを導入したが、利用していない企業もいるので、導入する目的と対象業務を適切に判断した上で、チャットボットを利用できるか堂か、課題となるでしょう。
AI(人工知能)サービス:自動運転
一説では、既に自動運転を実用化できるレベルにあるのだとか。もちろんまだ、一般公道での自動運転を目にする機会はありませんが、既に実証実験は数多く行われています。
ここでの目的は「効率化」「顧客サービスの高度化」「予測の高度化」の全てを対象としています。自動車・バスの運転をAI(人工知能)で自動的に行うことにより、人の業務を代替し早く輸送を実現するという顧客サービスも高度化することになるでしょう。
全日空では、羽田空港エリアでの自動運転バスの実用化を目指して、実証実験を行っています。「自動運転バス」では、運転者が座って自動運転をサポートする「レベル3」と、定められた範囲内での完全自動運転ができる「レベル4」の機能を既に持っている車両で実験を行っています。
「レベル4」では、交通規制がかかっていない公道なら、無人の自動運転ができます。しかし、公道を実際に走る為の法整備や先の自動運転レベルの定義に応じた許可範囲を明確にした上で段階的に拡大できるかどう堂かが当面の課題になるでしょう。
AI(人工知能)サービス:フィットネス
フィットネス分野でもAI(人工知能)の活用が進んでいます。これはフィットネス利用者一人一人の体の状態を診断した上で、最適なトレーニングプランの最適な提案をAI(人工知能)が行うものです。
フィットネスクラブのPlanet Fitnessが開発したアプリ「Planet Fitness」は、AI(人工知能)を使って個々人に適したアドバイスをします。さらにアプリとジムの運動器具を接続できるので、ジムにあるさまざまな器具や用具の正しい使い方を学ぶことができるのだとか。
また、フィットネスの診断データは、フィットネスでの利用だけではなく、日常生活の中で、どの様に有効活用できるのかが、課題となるでしょう。保険会社との連携による保険内容の見直しや、働き方改革への組み込みなどが考えられます。
AI(人工知能)サービス:医療・介護
病院で検査するレントゲン、X線画像から病気になっている可能性のある場所、病理の可能性を発見するAI(人工知能)診断技術が開発されています。ここでの目的は「予測の高度化」です。
この医療で使われるAI(人工知能)は、過去のレントゲン、X線画像の大量データをAI(人工知能)に学習させ、病理の画像がどの様な状態であるかを理解することにより、新しい患者の画像に対して、病気になっている場所、病気の可能性を予測します。
これまでは、病理診断は医師が行ってきました。医師が学習した知識と経験を元に、レントゲン、X線画像から判断をするものですが、AI(人工知能)により、それを代替することが可能になるでしょう。
国内では、まだ本格的な活用がされていない為、今後の医療制度、AI(人工知能)への信頼、責任の観点から、実際の臨床現場で目的と用途を明確にして前向きな議論をしていくことが、実用化に向けた課題になるでしょう。
一方、介護の現場では、介護者に対する見守りをAI(人工知能)によって大きく変えることに成功しているサービス例があります。ケアスタッフは24時間、特定の介護者のみをケアすることができません。また介護者が起き上がった時にタイムリーにサポートに行けないことにより、事故が発生することもあることが課題でした。
そこで、介護者のどのような行動や姿勢が危険状態になるのか検知・予測するAI(人工知能)が活用されています。ここでの目的は「効率化」と「予測の高度化」です。
実際にエイアイビューライフ株式会社の「A.I.Viewlife本体センサー」というサービスでは、介護者の居室にセンターを取り付け、転倒・横たわり・ずりおちなどの画像認識をした際に、ケアスタッフに通知することが可能となる仕組みになっています。なんでもこのセンサーによって転倒事故が月9件から0件に減少したとのこと。
このセンサーを使えば、目を離したときでも見守りができますよね。
AI(人工知能)サービス:業務支援
実用化されているのが、業務支援を行う為のAI(人工知能)として、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と音声認識テキスト化が実用化されています。ここでの目的は「業務の効率化」です。
RPAは、三菱UFJ銀行での住宅ローン審査など、金融機関でのバックオフィス業務に大きな効果をもたらしています。これまでは、保険の加入手続き、登録、審査といったバックオフィス業務や入力・確認業務を大量の人で担ってきました。しかしRPAを使えば作業を機械学習させ、自動的に処理が行えるように、記録したタスクをGUI上で直接繰り返すことで自動化を実現しています。
その中で第一生命では、地震や台風のような大規模災害時において大量発生する、保険金を支払うために必要な手続きのうち、定型の作業をRPAで代替することで、数十万時間を削減し、さらに保険契約者への案内までの時間を大幅に短縮しています。
一方、音声認識テキスト化については、コールセンターでの通話内容をテキスト化することにより、オペレーターの処理時間を短縮したり、自治体での会議議事録を自動的にテキスト化することでの効率化を実現しています。
実際にアドバンスト・メディアの「AmiVoice議事録作成支援システム」を導入した港区では、年間3600時間の議事録作成時間の短縮に成功したとのこと。このエリアでのAI(人工知能)は、最も活用が進んでいる為、安価にサービスを利用できることが、更なる普及の為の課題になるに違いありません。
さて今回は、最新の業界別AI(人工知能)サービスについてお伝えしました。
AI(人工知能)は様々な業界・場面で利用され始めています。ヒトが、これまで担ってきた業務に対して「効率化」「サービス高度化」「予測高度化」という3つの観点からの支援を実現しようとしているのが、AI(人工知能)であるという整理方法をお話ししました。
サービス化が実際に行われている事例についてご紹介しました。
・業務効率化:RPAによるデータ入力の自動化、議事録の自動化
・サービス高度化:ごみ分別案内のチャットボット、ファッション業界でのパーソナルリコメンド
・予測高度化:フィットネスのプラン作り、AI診断技術を活用したコロナウイルスの早期発見
それぞれの分野において、AI(人工知能)は試行や一部企業での導入が始まったばかりの為、本格的な利用拡大の為には、それぞれ課題があります。
皆さんも、新しい、AI(人工知能)のサービスをニュースで見て頂いた際に、前述した目的のどれに該当するのか、日々の生活の中でどの様に活用可能なのか考えるのも一つの手かもしれません。そして本格的な拡大の為にはどの様な課題があるのかをイメージすると共に、AI(人工知能)サービスに対する理解が深めましょう。
【お知らせ】
当メディア(AIZINE)を運営しているAI(人工知能)/DX(デジタルトランスフォーメーション)開発会社お多福ラボでは「福をふりまく」をミッションに、スピード、提案内容、価格、全てにおいて期待を上回り、徹底的な顧客志向で小規模から大規模ソリューションまで幅広く対応しています。
御社の悩みを強みに変える仕組みづくりのお手伝いを致しますので、ぜひご相談ください。