2016年に囲碁AIのアルファ碁(AlphaGo)がトッププロ棋士を破り大ニュースになりましたよね。今さらアルファ碁(AlphaGo)?と思った皆さん、確かに新しい話題では無いのでその通りなんですが、どうしても言いたいことがあって今回の記事を執筆しました。
それは、
あの出来事は相当ヤバイ出来事だった
ということです!
どれだけヤバイ出来事だったかをわかりやすく例えるならば、「コウモリをずっと鳥だと思ってたら実は哺乳類だった!えっマジ!?」と初めて少年がその事実を知った時ぐらいに驚くレベルのヤバイ出来事に相当します。(僕がそう思ってるんです)
実際、僕はアルファ碁(AlphaGo)がトッププロ棋士に勝利したというニュースをランチを食べているときに知ったんですが、「ええっ!?」と言って箸を落としかけました。そして、そこからAI(人工知能)への興味と期待をどんどん募らせ、ついには興奮を抑えきれないあまり新卒から四年半勤めた会社を飛び出してしまった始末。プログラミングすらしたことがないのに、AI(人工知能)を自ら実装、運用できるエンジニアになりたいと思ったんです。
会社を辞めた後すぐに僕は、偶然出会いアルファ碁(AlphaGo)の話で意気投合した友人と2人で囲碁部「雅(みやび)」を立ち上げました(部長は僕)。
※現在部員数2名の囲碁部「雅」。これまでの活動実績は一度で、副部長が一年以上囲碁のルールを覚えずにいることが悩みです
とまあ、こんな経緯があったんですが、日常的に人と会話をしていると「アルファ碁のニュースで興奮した!!」という方に出会うことがめちゃ少ないんです!特に目新しいニュースでも無いのでそれも仕方のないことなのかもしれませんが。。。
でも、僕はそれがどうしても悔しいですし、アルファ碁(AlphaGo)を始めとした囲碁AIの興奮をもう一度味わいたい!この興奮を共有できる仲間を増やしたい!と日々思ってきました。
そこで今回は、アルファ碁が衝撃的過ぎてそれがはじまりで会社を辞めてしまった僕から見た、囲碁AIアルファ碁(AlphaGo)の凄さについてお伝えしていきます!
碁打ちの誰もがコンピュータに人間が負けるはずないと信じて疑わなかった
囲碁AIアルファ碁(AlphaGo)の凄さについて触れていく前に、前段階として少しだけ僕の過去の体験に触れさせてください。
僕がまだ純粋な心を持った少年だった(今も)2001年秋、当時放送が開始されたアニメ「ヒカルの碁」に僕はみるみる魅力され囲碁の世界に足を踏み入れました。当時は囲碁ブームと世間で叫ばれており日本中の子どもたちが囲碁に熱中しました(言い過ぎかも・・ 汗)!これはご存知の方も多いかもしれません。
僕は友達と遊ぶことよりも碁を打つことや詰碁を解くことが楽しくて、週末はいつも地域のおじいちゃんたちに混じって囲碁を打ち続けていました。そんな中で碁打ちのみんなが共通して持っていたのが、
「囲碁は他のゲームとは違う。人間がコンピュータに負けるなんて絶対にあり得ないし、もしあったとしてもそれは100年以上先だ」
という認識でした。
実際、「囲碁はオセロやチェス、将棋といったゲームとは全く違うしもっと複雑だから人間にしかできない」と自慢気に語るおじいちゃんたちを僕は見ていますし、当時熱心に読んでいたプロ棋士による解説書にも同じようなことが書かれていました。
そうした背景もあって、もちろん僕も「囲碁は絶対に人間にしかできないゲームだ!」と信じて疑いませんでした。つまり、囲碁界全体が「コンピュータが人間に勝つなんていう世界はずっとずっと先だ!」という共通認識を持っていたのです。
なぜ囲碁は人間にしかできないと思われていたのか?
囲碁の対局は100手以上に及びます。囲碁で考えられる全て展開を書き出そうとした場合、対局の組み合わせはどれだけあるかというと、単純計算で10の360通りあると言われています。
実際、次の表を見ると囲碁(19路盤)は他のゲームと比べて起こり得るゲーム展開の数(ゲームの木の大きさ)が際立って大きいことがわかります。
(引用)(2016年).斉藤康己 (著).アルファ碁はなぜ人間に勝てたのか (ベスト新書)
この10の360乗という数字、大きすぎて途方も無い正直よくわからない数字ですよね 汗
宇宙が誕生してから約150億年が経つそうですが、これを秒に直すと約10の18乗秒になります。日本が誇るスーパーコンピュータを宇宙の誕生と共に動かし続けたとしても、約10の33乗という数の展開しか計算できないので、10の360乗がいかに膨大な数かがわかります。
そして囲碁は感覚がものをいう世界です。碁を打つ際には「この辺に打つのが良さそう」とか、これまでの対局で培ってきた碁打ちとしての直感や感覚も踏まえながら一手一手を打っていきます。囲碁は何十手と先をよむ力に加えて、そうした感覚も重要な要素として必要とするゲームなので、「これはさすがに人間にしかできない」と誰もが思っていたのも当然のこと。
にも関わらず囲碁AIのアルファ碁(AlphaGo)は人間のプロ棋士を打ち負かしてしまった。。だからこそ、アルファ碁(AlphaGo)のニュースは本当に大きな衝撃だったんです!!
皆さんもいよいよ興奮してきたのではないでしょうか!?(僕は興奮してきました!!)
アルファ碁(AlphaGo)は囲碁業界を変え始めた
実際僕もアルファ碁(AlphaGo)の棋譜(対局の記録)を初めて見たときは明らかに人間には無い感覚の一手を目の当たりにしてすごく興奮しました!
そうしたアルファ碁(AlphaGo)が盤上に繰り出す一手一手は、従来の囲碁の常識を変えて人間の視野を広げ思考を柔軟にし、新たな戦術を生み出そうとする気運を囲碁界にもたらしました。囲碁界では、囲碁AIを「アルファ碁先生」といったように愛称をつけて呼ぶこともあり、囲碁AIの棋譜を参考にして日々新たな打ち方に関する研究が進められています。
そしてさらにさらに!!2017年10月にはアルファ碁(AlphaGo)の新バージョン「アルファ碁ゼロ(AlphaGoZero)」が登場し、このアルファ碁ゼロ(AlphaGoZero)はプロ囲碁棋士に対してオンラインでの対局で60連勝を果たした従来のアルファ碁(AlphaGo)にも完勝!!(す、すげえ、、バケモノレベルだ。。。)
驚くべきなのはこのアルファ碁ゼロ(AlphaGoZero)は、最初に囲碁のルールをプログラムした後は人間の棋譜を与えずに、自分自身との対戦だけを通じて従来のアルファ碁(AlphaGo)の強さを超えたということです。人間がこれまで二千年以上もかけて積み上げて極めてきた囲碁の実力を短期間で凌駕してしまったということなんです。
そしてこれだけでは終わりません!!「アルファ碁ゼロ(AlphaGoZero)」が発表された2ヶ月後、アルファ碁ゼロ(AlphaGoZero)に改良が加えられた、アルファゼロ(AlphaGoZero)も登場し、囲碁AIはもはや人間では到底歯が立たないレベルへと到達しています。
まとめ
さて、今回はアルファ碁が衝撃的過ぎて会社を辞めてしまった僕から見た、囲碁AIの凄さについてお伝えしてきました。
人間が囲碁AIに負けたことは衝撃的なニュースですので、ひょっとしたら人間にしかできなかったことがどんどん無くなっていくと心配されている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、囲碁AIをきっかけに人間の常識が変わり囲碁業界に新たな風が吹いたように、AI(人工知能)はポジティブな影響を私たちにもたらすものです。
このように、AIはこれまでの常識を破壊して、想像もできない世界を現実に作り始めています。
現在、2045年までに全人類を合わせたよりも高い知能を持つAI(人工知能)が誕生し、そのAI(人工知能)が新たなAI(人工知能)を生み出し、またそのAI(人工知能)が新たな、、、というようにAI(人工知能)が爆発的な成長をはじめ予測不可能な存在になる時点(シンギュラリティ)がやってくると言われています。
※シンギュラリティについて、さらに詳しく知りたい方はコチラ
発展し続けるAI(人工知能)を始めとしたテクノロジーに伴って、これからも私たちの生活が変化し続けていくことは間違いありません。この変化を止めることはできないので、変化にあがらわず柔軟に新たなテクノロジーを受け入れていけば、一層暮らしが豊かになっていくはずです。
アルファ碁(AlphaGo)がプロ棋士を打ち負かし従来の常識が壊れたように、今後はこれまでの常識が通用しない、誰も想像できない世界に突入していくことは間違いありません。変化のスピードは間違いなく今後も加速していきます!
シンギュラリティを世に広めた張本人である、人工知能研究の世界的権威であるレイ・カーツワイルは、「21世紀に起こる技術の進歩は、過去200世紀分の進歩に相当する」とも言っています。多分、囲碁AIの衝撃でもこれからの変化に比べたらまだまだ序の口なんでしょう。
囲碁に同じ対局は一つとして存在せず「一期一会」という言葉は「一碁一会」、ここから生まれました。今回記事を最後まで読んでくださった皆さんとこの記事を通じて接点を持てたのも「一碁一会」です!人生に一つとして同じ瞬間は無いので、一瞬一瞬を日々味わいながら大切にしていきたいと思う今日この頃です。
アルファ碁(AlphaGo)の衝撃に興奮した方が一人でも増えたなら、書き手としてこれ以上嬉しいことはありません!!
AI(人工知能)って「なにそれ美味しいの?」ってレベルだった僕が、AIエンジニアを目指してステップを踏んだり踏まれたりしている記事を書いてます。よかったら読んでみてください(実話)。
コメントをどうぞ
あなたの柔軟な感覚と前向きの向学心,好奇心は正しい!
これからも勉強を続けて情報をどしどし発信してください。
わたしは後期高齢者で、これから新しい仕事に挑戦はできませんが、Deep Learning
に強い興味を持ち勉強中です。AIの進歩は凄まじいものですね。
君の感動と同じです僕もゼロの棋譜を勉強しています。
熱量の違いごめんなさい。
僕は、囲碁AIが人間を超えたニュースを見たとき、「でしょうね」と思いました。
(^^;)
囲碁の展開の大きさを自慢する人をよく見ますが、
完全解析できない時点で、囲碁もチェスもオセロさえも同レベルだと思うんですよね。