ライフスタイル

ディープラーニングとは何か?その疑問を解決できるおすすめ書籍3選

本を読む人のイメージ

最近テレビやネットなどのメディアでディープラーニングというワードをよく聞きますよね。でもAI(人工知能)に使われるディープラーニングと聞いてもいまいちピンとこない方も多いでしょう。

簡単に言うとディープラーニングとは、人間の脳を模したニューラルネットワークという手法の一部。脳の中ではニューロンという神経細胞が電気信号を送って情報伝達をしていますが、その仕組みを機械学習(machine learning)で使用しています。ディープラーニングとはそのニューラルネットワークをさらに拡張しより人間の脳の仕組みの方に近づけた技術といえるのです。なので、より高度な処理が可能となりました。

と聞いても、やはり今ひとつピンとこないと言う方のために、今回は、この記事ではAI(人工知能)の技術の一つであるディープラーニングとはいったい何かについて、歴史から技術的側面まで深い知識を得ることができる書籍を三冊紹介しましょう。

人工知能の歴史を紐解きながら知ることができる「人工知能は人間を超えるか」

人工知能のイメージ

まず最初にご紹介するのは、松尾豊さん著書の本、「人工知能は人間を超えるか」。

この本の大まかな内容としてAI(人工知能)の歴史を紐解きながら、ディープラーニングも含めたAI(人工知能)がこれから先どのように発展していくのかの見通しが記述されています。
著者である松尾豊さんは東京大学大学院工学系研究科の准教授をされている方で、人工知能研究の第一人者。ですので人工知能関連技術に詳しいことはもちろん、最近ではAI(人工知能)への投資を模索している孫正義さんが創業したソフトバンクグループ取締役にも就任しており、学内研究を世間に幅広く浸透させようとする思惑がみられます。

そのような試みをしている松尾氏は、AI(人工知能)を「人工的に作られた人間のような知能、ないしはそれを作る技術」と定義。

この定義によればまだ完全なAI(人工知能)とは実現しておらず、囲碁やチェスのAI(人工知能)が人間の世界チャンピオンに勝利したことはまだ記憶に新しいですが、それらは特化型AIと呼ばれるもので、人間のような判断ができる汎用AIは誕生していないのです。

そして、この本になかで松尾氏はディープラーニングとは「データをもとに、コンピュータが自ら特微量をつくり出す。人間が特微量を設計するのではなく、コンピュータが自ら高次の特微量を獲得し、それをもとに画像を分類できるようになる。」と定義されています。

自ら特微量を作り出すとはどういうことか。人間で例えてみましょう。

人間は猫を見たときに猫であると認識する時、ひげや頭の上に付いた耳、模様などの特徴を読み取って判断しますよね。この特徴がディープラーニングでは特微量になります。
実は、ディープラーニングの登場までは人間が特微量を設定していました。ところがディープラーニングはこの特微量を自ら発見することができるのです。
AI(人工知能)自らが例えば猫の目鼻が重要と考え、結果的に猫の画像を導き出します。ですから、それにより人間は途中の変数のパラメータを設定するだけで良くなりました。このように、AI(人工知能)はより人間に近くなっていったのです。

そして、本書ではディープラーニングの先にあるものも記述しています。

今現在ディープラーニングが使われているのは主に画像認識ではありますが、これから音声データや言語データが集まり、その特微量も機械自身が発見できるようになれば、機械のできることが今よりもますます多くなってくる。要するに、汎用AIの実現が近づいているのです。

他にも、人工知能関連の様々なセミナー・公演に呼ばれている方が著述されていることもあり、人工知能についてあまり知識がない方でも分かりやすく、AI(人工知能)の歴史からこれからの展望について知ることができ、そしてこの本一冊を読めばディープラーニングとは何かを知ることも含めて人工知能について十分な知識を得られるでしょう。

人工知能は人間を超えるか

ディープラーニングとは何か考えることができる「人工知能が変える仕事の未来」

グローバルなイメージ

次にご紹介するのは、野村直之さんによる「人工知能が変える仕事の未来」。

この本では、著者が過去にマサチューセッツ工科大学にかつて存在した人工知能研究所に所属していたこともあり、この本では人工知能開発における各国間の開発意欲への温度差や、人工知能の技術について詳しく知ることができます。

その中でもディープラーニングについては一つの章を割いてその特性を詳しく説明されており、著者は、「ディープラーニングとは現状の専門性に特化した処理では優れている技術である」と述べているのです。

例えば、数百枚の猫の画像を学習させて猫の種類を判定することは、人間よりもおそらく優れた精度で行えますが、人間が容易に分類できる(例えば)寝起きで頭の爆発した女性を雄鶏を誤判定する可能性があるでしょう。その理由は、脳の理解する仕組みとディープラーニングの理解する仕組みが根本的に異なるからです。

脳はニューロン同士が数百個まで互いに結びつくことで並列な処理ができますが、人工知能のハードであるトランジスタはせいぜい数個しか同時に結びつくことができません。

では、ディープラーニングはなぜそこまで複雑な処理ができるのでしょうか。

その理由はハードではなくソフトの方を深層化したから。いくつものノード(人間の脳でいうところのニューロンのようなもの)が結びついて、ニューラルネットワークを構成していますが、かつては浅い階層で構成するしかありませんでした。ところが、コンピュータの計算速度の飛躍的な増大や、インターネットの発達によるデータベースの容量の拡大化でハードの発達によって深層学習を行って高い精度を出すことが可能となり、ディープラーニングが画期的な技術になったのです。

ところで、著者はディープラーニングを含めた機械学習については今後の展望は明るいと考えています。なぜなら機械学習系のコードはほとんどオープンソースであるから、ほぼプログラミングをせずに機械学習を実装することができるから。

実際に、機械学習系のライブラリをいくつか使用してみると、ほとんど自分でコーディングしなくともある程度はきちんと動きます。

人工知能が変える仕事の未来

プログラミングからディープラーニングを知る「人工知能プログラミングのための数学がわかる本」

数学のイメージ

そして最後にご紹介するのは、「人工知能プログラミングのための数学がわかる本」です。

この本は、前半にAI(人工知能)を理解するための数学的な知識を。後半では実際にそれらを使用してAI(人工知能)プログラムを利用するための関数やデータセットの紹介がされています。

この本の中で著者は、「ディープラーニングとはニューラルネットワークを多層化したもの」と述べているのです。

ディープラーニングを使用した初心者向けの有名所としてデータセット「MNIST」を使用した手書き文字認識があります。MNISTはすでに文字が描かれた画像のデータが70000枚用意されており、その内訳として60000枚を訓練データ、10000枚をテストデータとして分割。つまり60000枚のデータから学習し、10000枚のデータできちんと学習されているかチェックするのです。

そもそもディープラーニングが注目され始めたのは、2012年にカナダの大学が画像認識コンベンションで他のグループのエラー率より圧倒的に低いエラー率を出したからです。

その時に使われたのがディープラーニング。

そのように優れた手法を使用して作られたデータセットがMNISTです。それではディープラーニングが使われたアルゴリズムにある画像を入力してから出力されるまでの一連の流れを順を追ってみてみましょう。

ただ文章で説明するのは難しいので単純化して考えます。

入力値が出力値に変化するまで大きく三つの階層に分かれます(入力層→中間層→出力層)。入力層から中間層、出力層に移動するまでにはバイアス(重み付け)が与えられ、値が変化していきます。
ちなみに、このバイアスはディープラーニング以前は人間が設定していましたが、ディープラーニングでは人が設定しなくてもアルゴリズムの過程で自動で設定されます。ディープラーニングが画期的と言われている点はここにあるのです。

ただし、ニューラルネットワークの層の数やユニットの数、正則化の係数、使用する関数などは人間が予め設定しなければなりません。それらを最適化することで求める結果に近づくモデルが出来上がります。さらに言うとディープラーニングとはニューラルネットワークを多層化したものなので入力層から出力層までのパラメータを人間がより柔軟に設定できるようになりました。

人工知能プログラミングのための数学がわかる本

 

本のイメージ

今回は異なるアプローチからディープラーニングを知ることができる本をご紹介しました。

三冊はそれぞれ別の著者が書いたものですが、ディープラーニングについてそれぞれ異なった見解をもっています。

まず「人工知能は人間を超えるか」の松尾氏はディープラーニングの未来、ひいてはAI(人工知能)の未来について若干楽観的に捉えています。
ですが「人工知能が変える仕事の未来」の野村氏は現在のAI(人工知能)技術に対しては肯定的です。しかしこれから将来世間で騒がれているようなAI(人工知能)の知能レベルが人間の知能レベルを超えるようなシンギュラリティは当分訪れないだろうとおっしゃっています。
そして「人工知能プログラミングのための数学がわかる本」の石川氏は、今回ご紹介した本が技術本ということもあり、ディープラーニングとはどのような技術なのかをイメージ図を交えながら詳しく解説してくれています。

ですから、ディープラーニングとはいったいどういう仕組みで動いているのかといった、技術的な側面を知りたい方はこの本がお勧めでしょう。

これまでのAI(人工知能)の発展の動きを研究者から見た視点で知りたい方は「人工知能が変える仕事の未来」を、ディープラーニングとはいったいなんなのか、なぜすごいのかについて歴史から知りたい方は「人工知能は人間を超えるか」や、「人工知能が変える仕事の未来」を読むことをお勧めします。

このように、いろんな切り口からディープラーニング知ることができますので、自分が興味のある方向からディープラニングとは何かを紐解いて、疑問を解決していけるといいですよね。

コメントをどうぞ

トップへ戻る
タイトルとURLをコピーしました