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介護業界の人材不足をスマート介護が解決!AIが介護を救う!

介護業界の人材不足をスマート介護が解決!AIが介護を救う!

2045年、日本の人口のなんと約4割が65歳以上の高齢者になってしまうと予想されています(内閣府予測)。なんと、5人のうち2人が65歳以上という超高齢社会となってしまいます

一方で15~64歳の労働力人口の割合は2045年までに約5割にまで減少してしまいますが、当然、すべてを介護分野だけに投入することはできません。

となると、少ない人数でいかに効率良く高品質な介護サービスを提供できるか、今後極めて大きな課題となりますよね。そうなると未来のAI(人工知能)であれば、介護の問題も軽々と解決してくれるのでは、なんて期待したくもなるでしょう。

さて、話を現在に戻しますが、今まで介護業界は人間による手厚いケアを重要視してきたためIT技術の活用はほとんど進んでいませんでした。しかし近年、スマート介護が大きな期待を集めています。

スマート介護とは、AI(人工知能)やロボットなどの先端技術を駆使することにより、介護業務の効率化や生産性向上の実現を目指すものですが、一人ひとり異なる事情を抱えた要介護者への対応が求められる介護業務とAI(人工知能)は、実はとても相性が良いかもしれません。

というのも、多様な介護現場における要介護者とその家族のデータ(病歴、家族環境など)や、介護士、看護師や医者の行動とその結果について(うまくいったケースだけではなく、うまくいかなかったケース含めて)、様々な事例をビッグデータとして蓄積することにより、要介護者の特性や優れたケアとはどういうものなのか、について誰でもAI(人工知能)を通して理解を深めることができると期待されているからです。

ということで、今回は介護業界の人材不足をスマート介護が解決できる可能性について一緒に考えてみましょう。

スマート介護が目指すもの

スマート介護のイメージ

ところで、スマート介護には大きく分けると現在、以下の2つの方向性があります。

  1. AI(人工知能)によるケアプラン作成支援
  2. ロボットによる介護作業負担の軽減

1つ目のケアプランとは介護サービスを利用するための「利用計画書」で、介護サービスを受けるためにはケアプランを作成して市区町村に提出する必要があります。

利用計画書の作成なんて、いかにも形式的な書類作業のイメージがありますよね。そんな事務手続きなんかより、介護の実務作業にもっと注力すべきじゃないの、なんて考える方もいるかもしれませんが、実はこのケアプラン作成業務は、私たちが想像している以上に極めて重要な作業なんです

それでは次にスマート介護の方向性の1つ目である、ケアプラン作成をAI(人工知能)で支援する取り組みについて確認しましょう。

AI(人工知能)がケアプラン作成を支援

ケアプラン作成のイメージ

介護といえば、家族に代わって要介護者の食事や入浴などのお世話をする「家族介護代行サービス」のイメージがありますが、実は、現在の介護は「要介護者の自立」を目的として提供される、専門的・科学的な生活支援サービスであることは案外知られていません。つまり、介護とは、要介護者が各自の能力に応じて、自立した日常生活を営むことができるよう支援するサービスなんです

介護サービスの目的はあくまでも「要介護者の自立」であることから、要介護者一人ひとりの状況に対応した支援が欠かせません。このために必要となるのが、要介護者一人ひとりの状況を正しく把握したうえで、自立の実現に向けてどのような介護が必要なのかを設計する作業であり、この設計内容を文書化したのがケアプランとなります。

テツヤ
テツヤ

ということは、ケアプランは単なる形式的な書類ではなく、要介護者の自立実現にかかわる極めて重要な資料なんですね。

このケアプランを作成する役割を担っているのがケアマネージャーです。ケアマネージャーは、それぞれの要介護者の身体や精神状態、生活習慣、経済状況、家族構成、家族との関係、さらには自立としての目標レベル(例:自分で歩けるようになりたい、料理や掃除などの家事ができるようになりたい、旅行に行けるようになりたい)などの情報と、ケアマネージャーのノウハウをもとに、要介護者一人ひとりが自立に必要となる介護サービスをケアプランとして整理します。

ちなみに、ケアプランの作成はベテランのケアマネージャーの暗黙知(経験的に使っているが簡単に言葉で説明できない知識)が欠かせない職人芸なのですが、このベテランのノウハウを集約し共有することができれば、経験の浅いケアマネジャーでも効果の高いケアプラン作成が可能となるでしょう。

ここで注目されているのが、AI(人工知能)によるケアプラン作成支援機能です。AI(人工知能)はノウハウデータの蓄積と学習を繰り返すことにより解析・提案能力を向上できるため、より精度の高いケアプランを短時間で作成できるようになると期待されています

(参考)AI(人工知能)によるケアプラン作成支援の実証実験事例
2018年、豊橋市では過去8年間にわたる約10万件の介護記録をAI(人工知能)で解析することによりケアプラン作成支援を行う実証実験が行われました。参加したケアマネージャからは性能面で疑問視する声が出た一方で、新しい視点が得られることや信頼性の点では評価の声も得られました。今後は実証実験のパートナーとなる市町村拡大を進めることにより、ケアプランの精度向上およびケアマネージャからの信頼獲得を目指しています。

AI(人工知能)によるケアプラン作成支援の取り組みはまだ始まったばかりですが、ベテランが持つノウハウを広く共有できる仕組みが実現できれば、介護の質を大きく向上できるようになることは間違いありません

それでは次に、スマート介護の方向性の2つ目である、ロボットによる介護作業負担の軽減について確認しましょう。

ロボットが介護スタッフと要介護者を救う

介護ロボットのイメージ

介護の現場ではチカラ仕事が欠かせませんよね。ベッドや車椅子への移動、トイレや入浴の介助など、痩せたお年寄りとはいえ意外に重い要介護者を抱えあげる作業の繰り返しが、毎日続きます。

慢性的な腰痛に悩まされている介護スタッフは非常に多く、しかも腰痛が転倒や転落などの事故原因になってしまうケースだってあるんです。

そして、ベテランの介護スタッフであっても一度に押せる車椅子は一台のみ、ベッドへ移動できるのも一人だけです。

このため少ない介護スタッフによる高品質なサービスを提供するためには、今後、介護ロボットは欠かせない存在となります。さらに、介護スタッフの身体的・精神的負担の軽減だけでなく、介護現場の安全確保も介護ロボットによるメリットとして期待できます。

ということで、介護スタッフにとっては、まさにいいことづくめの介護ロボットですが、一方で要介護者にとってはどうでしょうか。

介護サービスを受ける側としては、やはりロボットよりも人間のケアを期待しているのでは、と想像してしまいますよね。しかし介護サービスを受ける側にとっても実はロボットならではの「機械的な対応」が好まれるケースが結構あるんです

たとえば、食事中につい食べ物をこぼしてしまった場合、介護ロボットであれば「またこぼしちゃったの?」なんて全く思わないし、何も言わずに「機械的」に片付けてくれます。あるいはトイレに行った後、あまり時間たっていないのに、またトイレに行きたくなってしまっても、介護ロボットであれば遠慮なくお願いできます。

介護においては、人と人との対応による信頼関係が必要なケースも当然あるでしょう。しかしながら、トイレ介助やオムツ交換などのような、人と人との間だからこそ生まれてしまう精神的負担を軽減できる点は、介護ロボットの非常に大きなメリットです。

さらに、疲れ知らずで、単調でつらい仕事の繰り返しにも嫌な顔ひとつしない介護ロボットは、要介護者の日常生活をキッチリとバックアップしてくれるため、自立を強力に推し進めてくれる救世主となるでしょう。

テツヤ
テツヤ

う~ん、確かに何かに失敗したときの機械的な対応はホント助かるかもしれません。こちらとしては深く反省して、相当ヘコんでるわけなので。仕事のミスを機械的にフォローしてくれるロボットが欲しいです…

未来の介護スタッフは人気職種になっている。かもしれない…

介護スタッフのイメージ

しかし介護へのAI(人工知能)適用については、介護現場の実情を知らない素人による絵空事に過ぎない、といった専門家の厳しい指摘もあります。確かに、現状の技術では解決できない問題がほとんどなのかもしれませんが、一方で、AI(人工知能)に大きな可能性を見出している介護専門家が多数存在するのも事実です。

今後の人口構造により需要が伸び続けるため、供給が絶対的に不足することが「確実」に分かっている仕事は介護以外にはありません

(参考)市町村には介護サービス推進の責任があります
介護事業には、コンビニやスーパーなどのように、その地域の需給バランスより経営が成立するかどうか判断のうえビジネスとして開始する、といった選択肢はありません。国の制度上「都合によりこの地域では介護サービスは受けられません」ということは許されないため、各市町村は介護サービス事業を整備する責任があります。このような状況も、介護スタッフの需要増と供給不足の要因となっています。

現在の介護業界は体力的にきつくて危険な作業が多いことから、世間的にはあまり良いイメージは持たれていないかもしれません。しかしながら、要介護者と接する喜びや、症状が改善されてゆく過程を実感できる、一緒に喜ぶことができる、そしてなにより感謝された時に社会の役に立っていると実感できる、などの大きなやりがいを感じている介護スタッフは実はかなり多いんです

もちろん、人間が相手の仕事ですので毎日がハッピーとはいきませんが、このようなかけがえのない瞬間を味わえる仕事は、他にはそれほどないのかもしれません。

テツヤ
テツヤ

介護ロボットが体力的にきつくて危険な作業を代行してくれれば、未来の介護スタッフはスマートなイメージを持つ人気の職種になっている可能性もありますよね。

介護のイメージ

以上、今回は介護業界の人材不足をスマート介護が解決できる可能性について一緒に考えてみました。

  • スマート介護には大きく分けると現在、以下の2つの方向性があります。
  1. AI(人工知能)によるケアプラン作成支援
  2. ロボットによる介護作業負担の軽減
  • AI(人工知能)がケアプラン作成を支援
    介護サービスの目的はあくまでも要介護者の自立です。要介護者一人ひとりの自立に必要となる介護内容を定義したのがケアプランです。AI(人工知能)の活用により、効果の高いケアプランを短時間で作成できるようになるでしょう。
  • ロボットが介護スタッフと要介護者を救う
    少ない介護スタッフでサービス提供するためには、今後、介護ロボットは欠かせない存在となります。トイレ介助やオムツ交換などのような、人と人との間だからこそ生まれてしまう精神的負担を介護ロボットが機械的な対応により軽減してくれます。
  • 未来の介護スタッフは人気職種になっている。かもしれない…
    介護ロボットが体力的にきつくて危険な作業を代行してくれれば、未来の介護スタッフはスマートなイメージを持つ人気の職種になっている可能性があります。

ところで、介護スタッフに求められる能力として、相手の状況に自分を置き換えて考えることにより、相手の気持ちを感じ取る能力である「共感力」があります。

また、ロボットとの会話では得られない温かみのある会話が、要介護者の気持ちを和ませることができる「会話力」も重要な能力です。

ただし、いずれの能力も人間ならではのスキルであり、現時点では遠い将来ですらAI(人工知能)には代行できないと考えられています。このため介護は「最後までAI(人工知能)に奪われない職業」とも言われています

スマート介護が実現する未来の介護業界では、効果の高いケアプランを短時間で作成できることに加えて、AI(人工知能)の活用により余裕を得た介護スタッフが、人間同士の会話やスキンシップなどの介護ケアに今まで以上に注力できるため、要介護者の生活に寄り添ったやさしい介護が実現できるようになっているでしょう。

AI(人工知能)は介護を救うかもしれません。今後の介護業界におけるAI(人工知能)と介護ロボットの活躍に注目しましょう。

 

(参照元)

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