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今すぐ知りたい!オープンデータを活用する事例まとめ&メリットデメリット

今すぐ知りたい!オープンデータを活用する事例まとめ&メリットデメリット

インターネットの普及とともに、誰でも多種多様な情報を得られるようになりましたよね。そんな中、すべての人が自由に使えるオープンデータを活用して、新しいビジネスにつなげている企業が増えているのだとか。

オープンデータとは簡単に言えば、国や地方公共団体などが公開している、誰でも無料で使えるデータのことで、そのデータはビジネスにとっては宝の山とも言えます。

なぜなら、オープンデータは使い方によって、データの持ち主だけでは気づかないような発想を生み出したり、異なるデータを組み合わせて新たな価値を見出すこともできるからです。ですから、オープンデータの活用は、ビジネスの推進力になること間違いありません。ぜひ、この記事でオープンデータ活用のヒントを得てビジネスに生かしましょう。

そこで今回は、まずオープンデータとは何かをお伝えし、オープンデータを活用した事例やメリット、デメリットについても解説します

オープンデータって何?

データのイメージ

オープンデータとは、その名の通り「公開されたデータ」のこと。そして、オープンデータの定義は「誰もが利用できること」「再利用・再配布ができること」「機械判読できること」「無償で利用できること」とされています。

そもそも日本でオープンデータが注目され始めたのは、2011年の東日本大震災がきっかけです。日本全体が大混乱に陥る中、避難状況など正確な情報をすぐに知ることができず、混乱する現場もありました。そのため、行政の情報を正しくわかりやすく国民に開示すべく、オープンデータの推進が叫ばれるようになりました。

その後、2012年には総務省によって「オープンデータ流通推進コンソーシアム」が設立され、政府主導でオープンデータの利活用が推進されるようになりました。

そんなオープンデータの提供先は、主に、国や地方公共団体、事業者です。これらの公共データは透明性や信頼性が高く、実はすでに身近に多く存在しています。たとえば、保健所や図書館など公共施設の場所、ごみの収集日、バスの運行状況など実際にインターネットで調べた方も多いですよね。このような公共データを、一般市民に幅広く提供することで、企業の業務改善や売上増大につながり、経済がより活発になると期待されています。

でも、オープンデータはどうやって手に入るの?どのように活用するの?と気になる方も多いでしょう。そこで、次にオープンデータの活用法について解説します。

オープンデータを活用する方法とは

グラフのイメージ

まず、オープンデータを活用する前にやるべき準備があります。

何をしたいか目的をはっきりさせる

オープンデータを使う場合には、「オープンデータを活用してコンビニの出店計画を立てたい」など目的を明確にする必要があります。そして、その目的を実現させるための方策を考えましょう。

例を挙げると、昼はビジネスマン、夜は地元の住民を多く集客する、人通りの多い道沿いに出店する…など、成功させるための方策を立てることが大切です。そして、しっかりとした方策が出来上がれば、次に自ずと必要なデータが見えてきます。

方策を実行するために必要なデータを検索する

ここからがオープンデータの出番です。たとえば、コンビニに人を集めるには、その地域の家族形態や昼夜の人口推移が必要になるかもしれません。でも、「必要なデータは何か」を限定できない場合も多いですよね。そんな時、オープンデータを検索すれば、様々な角度からデータを集めることができます。

ちなみに、オープンデータの入手には、総務省が運営している「データカタログサイト」という公式ポータルサイトがおすすめ。このサイトでは、各省庁、地方公共団体、独立行政法人、民間団体などの保有データを自由に閲覧できますが、データカタログという名の通り「”データ“を”カタログ化“したもの」とイメージして良いでしょう。

そして目的のデータを探すには、キーワード検索とリンクで絞り込む方法があります。リンクでデータを絞り込む場合は、データセット(各種データファイルとそれに関連する情報)、組織、グループ、タグなどから検索でき、1つのワードから多くの情報が紐づけされているので、今まで気づかなかった新しい要因が見つかるかもしれません。

この他にもオープンデータのソースは数多くあり、「e-Stat(政府統計ポータルサイト)」、「日本総務省統計局」、「厚生労働省統計一覧」、「世界保健機関(WHO)」などからも信頼できる情報を入手できます。

オープンデータを活用して新しい価値を創造する

ビジネスが軌道に乗ってもオープンデータを利用すれば、さらに新しい価値を生み出すことができます。コンビニを例に挙げると、日々の売り上げ実績と、オープンデータの気象情報をかけあわせると「天気の悪い日は○○が良く売れる」などマーケティング戦略を練ることもできます。また、季節による商品の需要予測も可能になるでしょう。

このように、オープンデータと自社のデータなど複数のデータをかけあわせたり比較することで、新しい価値に変換され、競合他社にはない強みになるに違いありません。

それでは、オープンデータを活用した事例を特徴ごとに見ていきましょう。

オープンデータを活用した事例まとめ

街のイメージ

最初は、オープンデータを活用して新しいサービスを創出している事例です。

全国どこにいても均質な図書館サービスが受けられる「カーリル」

読みたい本があるけれど、「行きつけの図書館では貸し出し中。どこの図書館で借りられるか分からない」という経験はありますよね。そんな不便さを解消したのが、「カーリル」(株式会社カーリル)です。

「カーリル」は、全国7000以上の図書館の蔵書状況と貸出状況を簡単に検索できるサービスで、各自治体の持つ図書館蔵書データベースを収集して独自に開発されました。画期的なのは、あらかじめ現在地を登録して本のタイトルを検索すると、現在地から近い図書館の蔵書・貸出状況を確認できること。すぐにでも読みたい時にはありがたいはず。それに、Amazon等の書誌データベースとも連携しているので、ここからインターネット購入も可能です。

このように「カーリル」を利用すれば、日本中どこにいても均等で質の高い図書館サービスが受けられます。また、以前なら地元図書館の貸出カードすら持っていないような人も利用者として取り込み、日本全体の図書館活性化にもつながっています。つまり「カーリル」は、民間企業がオープンデータを使って、使いやすい図書館サービスを作り上げた代表的な成功例と言えるでしょう。

次に、既存サービスにオープンデータを加えて、ビジネスをアップデートした事例です。

家計簿をつけながら国や自治体からの保証も確認できる「Zaim」

Zaim」(株式会社Zaim)は家計簿・会計アプリとして開発されましたが、オープンデータを加えることで、さらに便利に楽しくお金の管理ができるようになりました。

当初、「Zaim」はレシートをスマホで撮るだけで簡単に家計簿ができ上がり、家計管理ができるアプリとして注目を集めました。でも一方で、国から受けられる給付金や医療費控除の申請方法などは自分で調べる必要があり、ユーザーの大きな負担になっていました。

そこで「Zaim」は、国や自治体が提供する給付金・手当・控除情報などのオープンデータを活用して、家計簿を付けながら同時に、給付も受けやすくする機能を追加しました。

従来、医療費控除の申請時には必要事項を記入した申請書類を印刷し、提出する必要がありました。しかし「Zaim」は、「医療費集計フォーム」を自動的に生成する機能を付けたので、申請書類の準備も簡単になりました。さらに、ユーザーのプロフィールから居住地に合わせた給付金情報も確認でき、「えっ!こんな補助もあるの?」とお得な情報がもらえます。このようなきめ細かな機能が口コミで評判となり、広告費をかけることなく、今では500万ダウンロードに達しています。

住みたい街の状況がリアルにわかるスマイティ「住みやすい街」

住宅購入時には、その地域の交通アクセスや周辺環境などが気になり、不動産情報サイトで調べる方は多いですよね。しかし、従来の不動産サイトでは、なかなか詳細な住環境情報が得られず不安な面もありました。

そんな利用者の不安を解消するために、スマイティ(株式会社カカクコム)は周辺環境の詳細な情報や、他の街との比較が簡単にできる「住みやすい街」サイトを開設しました

この「住みやすい街」で利用されているのは、行政機関が公開する統計データです。たとえば、「犯罪率」や「交通事故発生率」、「地震液状化リスク」、「介護施設カバー率」、「教員数」などのデータを集約して提供。さらに、これらのデータをヒートマップとして視覚的に表示することで、近隣地区とも比較しやすくなりました。しかも、行政機関のデータは、指標毎に使用しているデータとその出所を明示しているので、信頼性が高く安心して利用できます。

他にも、「ユーザーレビュー」や「グルメ・観光サイト」から住環境に関わる情報を収集して、特徴別にランキング形式で表示したり、利用者の住みたい街の状況が一目でわかる工夫が満載です。これで自分のライフステージに合った物件探しが楽にできますよね。

他にも、オープンデータを公開して地域の行政を大きく変えた事例があります。

バスの走行位置をリアルタイムに確認できる「バスロケ」

渋滞や信号待ちで、時刻表通りに来ないバスにイライラすることはありますよね。そんな時、正確なバスの走行位置がわかるとありがたいですが、バスに高価な機器を設置するのはハードルが高く実現が困難でした。

しかし、「バスロケ」(宇野自動車株式会社 岡山)は市販の安価なタブレットをバスの車載器として使用して、バスの走行位置・バス停を通過した時刻をリアルタイムで把握するシステムを実現しました。これにより、乗客の問い合わせにも、バスの通過時間や速度を調べて1秒単位の正確な回答が可能になりました。

さらに、利用者向けサイト「バスまだ」を開発。「バスロケ」で得た情報を公開し、一般の乗客もサイト上で確認できるようになりました。この「バスまだ」サイトにおいては、

  • 一般的なバスロケ表示の「時刻表タイプ」
  • 運行中のバスの位置を地図上で直接見られる「地図タイプ」
  • 遅延が発生しているバスがわかる「一覧タイプ」
  • 車両ナンバーを地図上で見ることができる「マニアタイプ」

の4種類が提供されていて、サイトを閲覧するだけでも楽しめそうです。

もちろん、「バスロケ」のシステムは、バス会社の運行管理やダイヤ編成にも活用され日本全国に広がりつつあります。

最後は、オープンデータの活用を後押しする市民主導型プロジェクトの事例です。

自分の払った税金が何に使われているのかわかる「税金はどこへ行った?」

毎月の給与明細を見ると、私たちはかなりの額の税金を払っていますよね。でも今までは、払った税金の使われ方を知る術はほとんどありませんでした。これでは、税金の用途について意見を述べることも難しいでしょう。

そこで、「オープンナレッジファウンデーションジャパン」という市民団体は、自治体のオープンデータを活用して「税金はどこへ行った?」というサイトを作成しました。このサイトは、払った税金が1日あたりどこにいくら使われているかが簡単にわかります(プロジェクト参加は173自治体 2018年現在)。

たとえば、自分の該当自治体を選択して、世帯タイプ(単身世帯・扶養あり)、年収を選ぶと、自分の払っている年間の区民税の金額と、区民税が1日あたりどんな用途(健康福祉、子育て・教育、経済、観光、災害復旧など)にいくら使われているのか一目でわかります。これで、自分の税金が地域に役立っていると実感できますよね。今後は、自治体間だけでなく、グローバルな税金の比較も目指しているとのこと。

このように、公共データが使いやすい形でオープンになれば、納税の意識も高まり、地域社会にとどまらず、日本社会を変えたいという原動力につながるに違いありません。

ちなみに当メディア(AIZINE)を運営しているAI(人工知能)/DX(デジタルトランスフォーメーション)開発会社お多福ラボにも電気自動車の充電スタンドの認知を広げる為に行った以下のような事例があります。

お多福ラボの実績「電気自動車向けデジタルラリーキャンペーンシステム開発」 | お多福ラボ
2030年代にガソリン車の新車販売禁止の意向を日本政府が公表している事もあり、自動車メーカー様から「電気自動車の普及に向けて充電スポットの認知を広げる何らかの施策を実施したい」というご相談を頂きました。提供したデジタルラリーキャンペーンシステムより、認知度の低い充電スタンドの位置を利用者様に認知して頂けるようになった事…

さて、ここまではオープンデータを活用した事例を見てきましたが、次にオープンデータを使うメリットやデメリットについてもまとめました。

オープンデータを活用するメリット

行政のイメージ

まず、メリットから見ていきましょう。

行政の透明性が向上する

国や地方公共団体などが保有、蓄積する公共データを、オープンデータとして公開することで誰でも公平に見る事ができ、行政の信頼性・透明性の向上が図れます。

住民と自治体が協働して新しい公的サービスを立ち上げることができる

市民の生活に直結したデータの多くは自治体にあります。このデータをオープンにすることで、住民の協力が得られ、コストをかけることなく新しい公的サービスを作ることができます。これは、地域課題の解決や地域の活性化にもつながるでしょう。

新しいビジネスを創出したりビジネスのアップデートができる

自治体のオープンデータを活用して、地域の企業が新しいビジネスを生み出したり、自社データにオープンデータを組み合わせて、より利便性のあるものを創り出すことができます。しかも、オープンデータは無料で活用できるので、業務の効率化が図れますよね。

オープンデータを活用するデメリット

メリットデメリットのイメージ

一方、オープンデータに取り組む際にもデメリットがあります。

オープンデータ化したデータに誤りがあると利用者に不利益を被る

信頼性の高いオープンデータでも誤ったデータが混じることがあります。すると、データを利活用した住民に不利益が生じ、サービスを提供した民間事業者の信頼に関わることにもなりかねません。このような場合はすぐにデータの修正を行うなど、常にデータの精度を高めることが重要になります。

データを組み合わせて分析した際に不利益な情報が見えることがある

たとえば、ある地域の年齢別の人口と住宅地図を重ね合わせると、独り暮らしの高齢者世帯が見えてきて犯罪に利用されるかもしれません。このようにデータを組み合わせることで、意図しないことに繋がった場合の対応策も検討しておく必要があります。

オープンデータを活用する注意点

セキュリティのイメージ

誰もが使えるオープンデータですが、取り扱う際にはルールもあります。

国や地方公共団体などが公開しているオープンデータの中には、第三者が著作権を持つ箇所や、第三者が著作権以外の権利(肖像権、パブリシティ権など)を持つデータもあります。特に権利処理済が明示されていなければ、利用者の責任で当該第三者から利用の許可を得る必要があります。

また、オープンデータを活用した結果、利用者から苦情がきたり犯罪に利用されるなど、意図しないことが起こっても、国や地方公共団体の責任は問われません。ですから、事業者や利用者自身で解決しましょう。自由に使えるオープンデータだからこそ、使用規約をきちんと確認して慎重に取り扱うことが大切です。

まとめ
さて今回は、オープンデータを活用する事例とオープンデータを利用するメリット・デメリットについて解説しました。

まず、オープンデータとは、「誰もが利用できる」、「再利用・再配布ができる」、「機械判読できる」、「無償で利用できる」データのことですが、主に国や地方公共団体、事業者によって公開されています。また、これらのデータを活用することで、新しいサービスやビジネスを創出したり、地域経済の活性化に繋がることを目的としています。

では、オープンデータを活用した事例を振り返ってみましょう。

  • 全国どこにいても均質な図書館サービスが受けられる「カーリル」
  • 家計簿をつけながら国や自治体からの保証も確認できる「Zaim」
  • 住みたい街の状況がリアルにわかるスマイティ「住みやすい街」
  • バスの走行位置をリアルタイムに確認できる「バスロケ」
  • 自分の払った税金が何に使われているのかわかる「税金はどこへ行った?」

いずれもオープンデータをうまく使って、利用者に喜ばれる新しいサービスや価値を生み出していますよね。

最後にオープンデータのメリット・デメリットをまとめましょう。

メリット

  • 行政の透明性が向上する
  • 住民と自治体が協働して新しい公的サービスを立ち上げることができる
  • 新しいビジネスを創出したりビジネスのアップデートができる

デメリット

  • オープンデータ化したデータに誤りがあると利用者に不利益を被る
  • データを組み合わせて分析した際に不利益な情報が見えることがある

こうして見ると、オープンデータは使い方によってはプラスだけでなく、負のリスクを負うこともあります。ですから、オープンデータで何をしたいのか、しっかりとした目的を持って進めることが大切です。

これからもますます、いろんな情報がオープン化されて、今まで諦めていたような地域課題も解決されるでしょう。さらに、オープンデータの利活用は、行政や民間企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる一つのきっかけになるに違いありません。

【お知らせ】

当メディア(AIZINE)を運営しているAI(人工知能)/DX(デジタルトランスフォーメーション)開発会社お多福ラボでは「福をふりまく」をミッションに、スピード、提案内容、価格、全てにおいて期待を上回り、徹底的な顧客志向で小規模から大規模ソリューションまで幅広く対応しています。

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