人の顔を認識してスマホのロックを解除する顔認証や画像に書かれた文字をテキストに起こす文字認識など、最近さまざまな場面で画像認識の技術が見られますよね。最先端の科学技術であるAI(人工知能)技術を駆使した画像認識は私たちから遠い存在ではなく、非常に身近で意外と使う機会が多い技術です。画像認識は私たちの生活を便利で豊かなものにする技術で、これからますます発展し更なる進化を遂げるでしょう。
しかしながら、画像認識についておぼろげに知っているけど詳しいことはわからない、名前だけ聞いたことあるけど何かはわからない、実は画像認識という言葉をこの記事で初めて知った・・・なんて人もいるかもしれません。
そこで今回は、画像認識について要点を絞ってわかりやすく解説します。最初にそもそも画像認識とはどのような技術であるのかを説明しましょう。
画像認識とは
コンピュータでの認識処理は数学的なもので、画像のデータに対して演算を行い、特徴を量で出す(特徴量を出す)ことで画像認識を実現しています。コンピュータは抽出された特徴量のおかげで、この画像は猫だ、この画像は犬だ、と判断することが可能です。また認識処理が数学的なものであるため、精度を高めるにはコンピュータの演算方法を向上する必要があるでしょう。
※具体的にどんな物なのか気になる人はこちらの記事も参考になります
このように人間とは異なる仕組みで、高度で複雑な処理で動く画像認識ですが、なぜ今注目される技術なのか気になりますよね。続いて、今現在画像認識が注目されている背景や理由について解説します。
なぜ画像認識が今注目されているのか
しかし、近年コンピュータの性能向上は目覚ましく、医療や工業などさまざまな分野で実用可能となり、医師の画像診断をアシストするソフトや自動で検品する技術が開発されるようにまでなりました。
※実際に使われている事例はこちら
このように画像認識が高度なものとなり、実用に耐えうる精度の高いものとなった理由はコンピュータの性能向上に加えてディープラーニングと呼ばれる技術が関係します。画像認識におけるディープラーニングを簡単にいうと、人間の手を煩わせることなくコンピュータが大量の画像データから自動的に画像の特徴を見つけるという技術のことです。特徴の識別が難しい画像認識の技術では、ディープラーニングの技術は欠かすことができません。
コンピュータの性能向上とディープラーニングによって一気に広まり、精度も上がった現代の画像認識技術ですが、実際にどのようにディープラーニングが使われているか気になるところ。次にディープラーニングを応用した画像認識の事例について紹介します。
画像認識に関するAI(ディープラーニング)の驚くべき事例
ディープラーニングを使った画像認識はSNSで不適切な画像を見つけたり、工場で不良品を見極めたりなど、さまざまな分野で活用されており、その中には驚くような技術も。ここではきゅうりの選別技術と、超音波画像による乳がんの診断の事例を紹介しましょう。
画像認識できゅうりの等級を判断!(きゅうり農家 小池誠氏)
農作物の多くは見た目がどのような状態にあるのかで等級分けがなされることがあり、きゅうりも例外ではありません。小池氏が画像認識できゅうりの選別をするプログラムを作ろうと思い立ったのは、母親が自分の目視で一日中きゅうりの選別に追われていること、元々エンジニアでAI(人工知能)に興味があったことからです。そして、たくさんのきゅうりの画像を大量に蓄積してディープラーニングの力でプログラムを完成させました。
この画像認識の驚くべきところは、一人かつ低予算でプログラムを完成させたこと。ディープラーニングを使った画像認識の開発といえば、一般的に大企業が複数人で莫大な費用をかけて作り上げるものだという印象がありますよね。小池氏は無料で使うことのできるソフトウェアを使い、かかったコストはPCを除いてなんと2万円、もちろん人件費もタダというから驚きです。
乳がんの超音波診断を高精度に!(Mayo Clinic College Viksit Kumarら)
乳がんの診断というと超音波よりもマンモグラフィが代表的な診断方法ですが、発展途上国ではお金がかかるなどの問題でマンモグラフィの装置が普及していないという問題がありました。そこでKumarらは超音波画像による診断支援技術を、ディープラーニングの一種である畳み込みニューラルネットワークという技術を用い、258人の患者の433枚の超音波画像を学習させ、開発しました。
超音波装置は低コストで導入できるため、Kumar氏らの画像認識技術開発により、乳がんの早期発見へとつながるでしょう。他にも、何らかの事情でマンモグラフィのX線検査を受けられない女性の乳がんの診断でも役立つかもしれません。
このように、ディープラーニングを用いた画像診断は驚くべき形で活用されており、これからもますます新しい技術が登場するでしょう。
今すぐ無料で使えるおすすめ画像認識アプリ3選
ここまで読むと、実際に画像認識を身近で使ってみたくなりますよね。無料で使える画像認識アプリを3つ紹介しましょう。
Google レンズ
Googleレンズは「目の前にあるものを調べる」というコンセプトをもとに、目の前にある服にカメラを向けるだけで似たような服を探してくれたり、ランドマークの画像を用意するだけで詳しい情報を見ることができ、動物や植物の種類を特定できます。また、英語の文章などにカメラを向けると日本語に翻訳することもできるのだとか。
FLOWERY
FLOWERYは花や植物の写真を撮るだけで、画像認識の機能により花の名前や花言葉がすぐにわかるというアプリです。散歩の途中や家の庭で咲いている花や植物を調べるにあたって非常に便利ですよね。また、画像認識ではわからなかった場合には他のユーザーに質問もすることができるという便利機能も。
AI手相占い – Palam –
AI手相占いでは名前の通り画像認識技術で手相を占ってくれる無料のアプリです。手のひらを説明に従い撮影することで解析をしてくれるという仕組みになっており、占い方は非常に簡単。占えるのは今のところ生命線、頭脳線、頭脳線、感情線、運命線、太陽線、財運線、結婚線で、また性格についても診断できます。
画像認識とは、画像の中に何が写っているのかをコンピュータなどで認識、解析する技術のことでしたよね。人間なら画像に何が写っているのか判断するのは簡単にできますが、コンピュータでおこなうにはなかなか難しく、コンピュータの性能向上や大量のデータを与えるだけで画像の特徴を見つけ出すディープラーニングの登場が必要でした。画像認識の歴史は古いものの、広く使われるようになるまでに時間がかかったのはこのためです。
ディープラーニングによる画像認識の事例として、きゅうりの選別の事例と超音波画像を用いた乳がんの診断の事例がありました。開発に至った経緯や技術の高度さ、開発にかかった労力など、さまざまな点で驚くべきところがありましたよね。
実際に画像認識を体験できる無料アプリを3つ紹介しました。
- Googleレンズ:さまざまなものの情報を得たり、文章を翻訳したりできるアプリ
- FLOWERY:植物や花の名前や花言葉を手軽に調べることができるアプリ
- AI手相占い – Palam –:画像認識で手相を占ったり性格を診断したりできるアプリ
画像認識はまだまだ可能性を秘めている技術であり、ますます広がっていくと予想されます。ぜひ画像認識のトレンドを追って、最先端の技術をどんどん活用しましょう。