AI(人工知能)をはじめとする未来の技術がこれからどうなっていくのか、その技術でわたしたちの生活がどんな風に変わっていくのか、多くの人はそんなことが気になりますよね。そんな未来の技術動向を予測する未来学者の1人がレイ・カーツワイルです。
レイ・カーツワイルの名前を「シンギュラリティ」や「2045年問題」で知った人も多いでしょう。レイ・カーツワイルは、未来学者というだけでなくAI(人工知能)研究の世界的権威でもあり、発明家、起業家としても有名です。実際にAI(人工知能)分野を学ぶ人でレイ・カーツワイルの名前を知らない人はいません。
そして未来学者として、レイ・カーツワイルの予言はすでにいくつも的中しているため、彼の言動は全世界でかなり注目されています。そんな彼は、いったいどんな人物なのでしょうか。
そこで今回は、多方面で活躍し実績を残しているレイ・カーツワイルとはどんな人なのか、発明したものや執筆した本を含めお伝えします。
レイ・カーツワイルが有名になった背景
レイ・カーツワイルは若いころからスキャナーやシンセサイザーを開発し、発明家として一部業界では有名でした。未来学者として名前が知れ渡り始めたのは、1990年頃です。
1980年代に内容をまとめ1990年に出版した本「The Age of Intelligent Machines」で、検索エンジンの登場やインターネットの普及、チェスの試合でコンピュータが人間に勝つなどの予測を発表。その内容だけでなく予測された時期もピッタリ合致したことも相まってIT業界で話題になりました。
そして、2005年に出した「The Singularity Is Near: When Humans Transcend Biology」という本の中で「2045年にAI(人工知能)は人間を超える」と予言したことが「シンギュラリティ」という概念を広めるきっかけとなり、多くのメディアに取り上げられました。この頃にはじめてレイ・カーツワイルという名前を知った人も多いでしょう。
その後、全世界でレイ・カーツワイルの提唱するシンギュラリティが大きな物議をかもし、人間の仕事がAI(人工知能)に取って代わられるのではないかなどの問題が“2045年問題”として近年多く取り沙汰されています。
レイ・カーツワイルの経歴
アメリカのMicrosoft社の元会長であるビル・ゲイツもレイ・カーツワイルのことを「わたしの知っている中で、最も人工知能の未来を予言できるだろう人物である」と一目置いています。そんなレイ・カーツワイルという人物が、どのような経歴を持つか気になりますよね。次は、彼の生い立ちと経歴を紹介します。
その後パソコンに触れるようになり、高校生の頃には統計分析や作曲するためのソフトウェアを開発していました。小さいうちから将来を見据えて研究開発に取り組むなんて、のちにAI(人工知能)研究の世界的権威となる人物はやはりやることが違いますよね。
大人になり20歳で起業してから、レイ・カーツワイルはスキャナーやシンセサイザーなど数多くの発明品を世に送り出しましたが、それと並行しAI(人工知能)の研究も怠りませんでした。その後、知名度を上げながら2008年には革新的技術を学び開発・研究する教育機関「シンギュラリティ・ユニバーシティ」をピーター・ディアマンディスと共同で創設するなど、みるみる地位を確立していきます。
その後、2012年にGoogle社に加わりました。当時のGoogle社のCEOラリー・ペイジが、自然言語処理と環境認識の分野で他を圧倒する技術を得たかったから個人的に雇い入れたとのこと!
現在は社内で機械学習と自然言語処理の技術責任者を務めていて、メールの内容をAI(人工知能)が認識して選択式で返答を返せる機能「スマートリプライ」を開発するなど、AI(人工知能)を利用したアプリの開発に携わっています。
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レイ・カーツワイルが過去に執筆した本
次はそんなレイ・カーツワイルが今までに執筆した本を紹介します。レイ・カーツワイルが初めて本を執筆したのは1990年、42歳の時でした。
「The Age of Intelligent Machines(知的機械の時代)」というタイトルのその本は、インターネットの普及率や検索エンジンの登場について、チェスの試合でコンピュータが人間に勝つことなどの予測が記されていました。のちにこれらの予測が的中することで話題の一冊になるなんて、その出版された当初は予想もできませんよね。
1999年には「The Age of Spiritual Machines」が出版されました。2001年にはこの本の日本語版「スピリチュアル・マシーン―コンピュータに魂が宿るとき」も発売されています。過去現在未来の大きく3部構成で21世紀にコンピュータがどうなるかを予測しており、IT業界に大きな衝撃を与えた内容だったと言っても過言ではありません。
そしてレイ・カーツワイルが世界的に知れ渡ったきっかけとなったのが2005年に出版された「The Singularity Is Near: When Humans Transcend Biology」です。日本語版では「ポスト・ヒューマン誕生」という邦題が付けられ、シンギュラリティという概念を広めたレイ・カーツワイル1番の話題作となりました。
2012年には、脳の仕組みやAI(人工知能)と脳の関係を記した「How to Create Mind:The Secret of Human Thought Revealed」を出版。1999年の「The Age of Spiritual Machines」と比べ、より現実的で堅実な内容となっています。
レイ・カーツワイルがこれまで発明してきたもの
レイ・カーツワイルは発明家としても大変有名でこれまでに多くのものを発明しています。その発明品でレイ・カーツワイルはMITレメルソン賞やアメリカ国家技術省などで表彰され、2002年にはアメリカにおける“発明家の殿堂”入りしています。
レイ・カーツワイルの発明品として有名なのが、1970年代~80年代初頭に製品化された「カーツワイル朗読機」です。文字を読み取って人の声で読み上げてくれるその機械を見たアメリカの歌手であるスティービー・ワンダーは、自然な人の声を楽器にできないかと注文をし、「シンセサイザー」の開発につながりました。日本でも400万円という高値で販売されましたが、神楽器として多くのプロミュージシャンの愛用品となったんだとか!
レイ・カーツワイルに対する世間の評価
とはいえ、レイ・カーツワイルの発表する予測は世の中で賛否両論となっています。というのもどの予測も発表した当初は現実とかけ離れていると感じられることが多く、ただのSF話であるなどの批判の声も少なくありません。しかし予測がひとつ、またひとつと的中していくことによってどんどん世間からの評価を得るようになってきました。
そしてレイ・カーツワイルの提唱している「2045年問題」についても時代が追いつくにつれ徐々に説得力を帯びており、2045年にAI(人工知能)が全人類の知能を合わせたくらいの知能を持つようになることが実際に起こってもおかしくないと考える人が増えてきました。
科学者や専門家のなかでも意見が分かれているのですから、わたしたちは「2045年問題」が発生する可能性があるということを頭に入れておくだけでも、今後の生き方を考えるヒントになるかもしれませんよね。
さて、今回は多方面で活躍し実績を残しているレイ・カーツワイルとはどんな人なのか、発明したものや執筆した本を含めお伝えしました。ここで今回の内容を振り返ってみましょう。
- レイ・カーツワイルが有名になった背景:シンギュラリティという概念を広め、2045年問題を提唱したことで一般にも名前が知れ渡りました。
- レイ・カーツワイルの経歴:20歳で起業してから多くの発明品を作り、現在ではGoogle社の機械学習と自然言語処理の技術責任者を務めています。
- レイ・カーツワイルが過去に執筆した本:レイ・カーツワイルは共著を含め、現在までに7冊の本を執筆しています。どの本も未来の技術につながる革新的な内容と言えるでしょう。
- レイ・カーツワイルがこれまで発明してきたもの:オムニ・フォント式OCRソフトやフラットベッド・スキャナー、シンセサイザーなどさまざまな分野で発明品を作っています。
- レイ・カーツワイルに対する世間の評価:レイ・カーツワイルの予測はただのSF話という声もありますが“2045年問題”は現実味を帯びてきています。わたしたちの頭の片隅にも置いておきたい問題です。
本記事で紹介した通り日本語版の本も数冊出版されているため、これからの技術の動向に興味がある人は実際に手に取り読んでみましょう。未来はだれにもわかりませんが、どんなふうになるだろうと期待を膨らませるだけでとてもワクワクしますよね。