DX(デジタルトランスフォーメーション)

DX時代に知っておきたいレガシーシステムを刷新するべき理由

DX時代に知っておきたいレガシーシステムを刷新するべき理由

デジタル技術の進歩でAI(人工知能)やIoTが生まれ、世の中が急速に変化していますよね。その一方で、変化に対応できないレガシーシステムと呼ばれる旧式のコンピュータシステムが、多くの日本の企業にとって大きな問題になっています。

例えば、皆さんは10年前に買ったエアコンが故障したら、修理して使うかどうかについて考えましょう。新型のエアコンの方が性能が高く、電気代も安くつき、コストパフォーマンスに優れているので、思いきって買い換える人の方が多いのではないでしょうか。

実は、コンピュータを稼働させるアプリケーションやソフトウェアなどのITシステムにも同じ事が言えます。新しいシステムはポテンシャルが高く、最新のデジタル技術もスムーズに導入にできるので、業務の変化に柔軟・機敏に対応できるでしょう。

ところが、多くの日本企業は古くなったレガシーシステムを、補修しながら使い続けているのです。実はそれには、ある理由があるのだとか。

そこで今回は、長らく企業の業務を支えてきたレガシーシステムが、近い将来企業に大きな損失をもたらす要因とその対策についてお伝えしましょう。

レガシーシステムとは

古いシステムのイメージ

レガシーシステムとは、1980年代以降に企業が導入したメインフレームやオフィスコンピューターなどのITシステムです。

レガシーとは先人から引き継いだ遺産や遺物の事ですが、時代遅れというネガティブな意味で使われることもあります。また、遺産の中には資産価値の無いものや、時には損失をもたらす「負の遺産」と呼ばれるものもあります。コンピュータの分野では、昔の技術や仕組みで構築されたシステムを「レガシーシステム」と呼ぶようになりました。
レガシーシステムについて詳しくはこちらをご覧ください
レガシーシステムとは?意味や問題についてわかりやすく解説 | お多福ラボ
会社で運用しているシステムの中身が不透明で修正やアップデートができないシステムって存在しますよね。これをレガシーシステムと言うのですが、世の中にはこのようなレガシーシステムが多く存在し、近年問題となっています。そこで今回はレガシーシステムとは何か?レガシーシステムが抱える問題などについてお伝えします。

実際に多くの企業は、1990年代後半から2000年代にかけてシステムの仕様が標準化され、一般に普及しているオープン系システムの導入を始めました。こうしたオープン系システムは、それまでのクローズドなシステムより保守・運用が容易で発展性に優れていたからです。

ところが、IT技術の急速な進歩によってこの時期に開発されたオープン系システムが最新の技術に対応できずにレガシー化してしまいました。実際に2014年には 「Windows XP」が、2020年には「Windows 7」がサポートを終了し、多くの企業はシステム全体の見直しを迫られましたよね。これは、システムに新たな機能を導入したり、セキュリティを確保するためには、OS自体を刷新する必要に迫られたためとのこと。

さらに、日本で多くの企業が導入している基幹業務システム「SAP EPR」のサポートは2027年に終了することが決まっています。今のシステムのままでは、今後予想される機能拡張に対応できなくなるからですが、ユーザーは新たなシステム構築や、データの移行に大きなコストや労力が必要になるでしょう。

つまり技術の進歩によって、高度なシステムが次々に開発されていくにつれて、既存システムが古くなる、レガシー化も進むのです。

デジタルトランスフォーメーションが推進される理由

デジタルのイメージ

デジタルトランスフォーメーション(DX)が必要な理由は、企業が新しい時代の競争に勝ち残るためです。

今起こりつつあるDXは、デジタル技術の飛躍的進歩によるビジネスや業務の変革です。これまでとは桁違いの膨大なデータを瞬時に処理することが可能になり、AI(人工知能)やIoTなどの新しいITテクノロジーが生まれ、さらにそれを活用したVRや仮想通貨・キャッシュレスといった新しいビジネスやサービスが次々に生み出されています。こうしたサービスを上手く活用すれば、生活の利便性が向上するかもしれません。

市場や顧客のニーズは常に変化し、そうした変化に機敏に対応するためには、最新のデジタル技術を駆使した高度なシステムがどうしても必要になります。そうした技術を駆使した新興企業が今後も、新たなビジネスモデルとサービスを次々に生み出していくでしょう。それに対応していくために、企業がDXを推進する必要がありまです。

レガシーシステムは何が問題なのか

広がるイメージ

なぜレガシーシステムが問題なのかというと、システムのブラックボックス化があるためからです。  

レガシー化した基幹系システムの多くは、業務の効率化を図るために多数の開発を重ね、システムをカスタマイズし複雑でどんどん大きな構成になりました。こうしたシステムは、マニュアルも使いものにならず、開発当初のコンセプトや目的を把握することができなくなる可能性があります。

また、レガシーシステムを保守・運用できる人間は高齢化が進んでおり、人材も不足しています。そのためシステム全体を理解できる人間がほとんどいなくなり、結果としてブラックボックス化に歯止めがかからなくなっています。

こうした問題を解消するためには、レガシーシステムに代わる新しいシステムの導入や、既存業務の見直し・改革を行う必要があります。

レガシーシステムを刷新すべき3つの理由

セキュリティのイメージ

とはいえ、基幹系システムを刷新するためには、大変なコストと労力が必要になります。それでもレガシーシステムを刷新しなければならない理由について解説しましょう。

ブラックボックス化を止めるため

レガシーシステムを維持したまま新しい技術を導入したり、新しい業務を推し進めようとすると、古い機能の上にさらに新規の機能要件を重ねることになってしまいます。そうなると、ブラックボックス化が止まらなくなってしまいます。システムの中身を知る人が誰もいなくなると、障害でサーバーがダウンしても、復旧できなくなるということが起きるかもしれません。

このような事態を防ぐために、レガシーシステムを刷新する必要があります。

システムのセキュリティを確保するため

サイバー攻撃の種類や手段は年々高度化、巧妙化しています。セキュリティが脆弱だと外部からシステムに不正侵入され、重要な情報が盗まれるという問題が起きるリスクが高くなります。実際に、サイバー攻撃の種類や手段は年々多様化・巧妙化しており、仮想通貨の取引所がサイバー攻撃を受けて、多額の仮想通貨を盗まれたことは、よく知られていますね。

このように、いったんセキュリティを突破されて不正侵入を許してしまうと、企業の存亡にかかわるほど大きな損失を被ったり、社会的信用がなくなったりすることも。レガシーシステムのままでは、セキュリティ対策をとることができません。このように、十分なセキュリティを確保するためには、レガシーシステムの刷新が必要です。

戦略的IT投資に資金を回すため

ビジネス環境は常に変化し、企業に求められる要件もそれにつれて変化していきます。DXの時代に企業が新たなビジネスやサービスを展開し、グローバルな競合に勝ち残っていくためには、最新のテクノロジーの導入など戦略的なIT投資が必要不可欠です。

ところが、レガシーシステムを維持したままでは、その保守・運用に多くの経営資源を投入しなければならず、デジタル化の推進など、戦略的な攻めのIT投資が不足すると懸念されています。実際に国内企業のIT関連費用の約8割は現行のシステムの維持・運営に費やされているとのこと。そうなれば、いち早く最新のデジタル技術を導入した企業との競合に敗れてしまう恐れもあります。

最新のシステムを導入し、市場や顧客のニーズに柔軟・機敏に対応して業務の効率化を図り、グローバルな競争に勝ち残る体制を構築する必要があります。そのための投資資金を捻出するためには、レガシーシステムを刷新しましょう。

レガシーシステムの解決策

解決策のイメージ

システムがレガシー化してしまうのは、メインフレームで稼働している基幹システムが自社専用に構築されているのが最大の要因です。

その解決策としては、一般に普及しているOSやハードウェアを導入したり、外部のアプリケーションやプラットフォームを積極的に活用して、システムをオープン化しましょう。それによって最新のオペレーション環境を実現し、デジタル化へのスムーズな移行が可能になるでしょう。

また、クラウド型の情報システムに移行することも考えられます。クラウド型の利点は、新しいサーバーなどの調達が不要で、導入コストを抑えることができる点です。情報システムやインフラとしての機能はすべてインターネット経由で提供され、運用規模やリソースの増減に柔軟に対応できるようになるでしょう。

とはいえ、基幹システムをオープン環境へ移行するためには多大な労力とコストが必要です。現状のままでは、システムの刷新によるDX推進に支障をきたかもしれませんよね。

こうした状況を打開し、DXを実現して将来にわたって企業が生き残っていくためには、まず経営陣がレガシーシステムが抱える問題について、どこに、どんな課題があり、何を優先して解決すべきかを正しく把握する必要があります。そのためには、「DX推進指標」などのツールを活用することも有効でしょう。そして問題を把握したら、経営陣が解決に至るビジョンと目指すべき目標を提示し、全員がそれを共有しましょう。

まとめ
さて今回はレガシーシステムが、近い将来企業に大きな損失をもたらす要因とその対策についてお伝えしました。

レガシーシステムとは、古くなったシステムのこと。そしてレガシーボックスには、以下のような問題点があります。

  • ブラックボックス化が進み、保守・運用に多額のコストがかかる
  • プラットフォームが旧式で、最新のデジタル技術や新規の業務の導入、セキュリティの確保も難しくなる

こうした問題に対処し、DXを推進していくためには、思いきってシステムのオープン化、クラウド型システムへの移行でレガシーシステムを刷新しましょう。

そしてレガシーシステムを刷新するには、経営陣が問題を正しく把握して、解決するという強い意思表示を示すことが必要です。企業がレガシーシステム問題を解決し、新しい技術を積極的に導入すれば、DX時代のグローバルな競合を勝ち抜くことも可能になるに違いありません。

ところで、当メディア(AIZINE)の運営会社である株式会社お多福ラボでも、そんな企業のレガシーシステム刷新を支援しています。企業のシステムを見てもらいたい、とお考えの場合はこちらからご相談ください。

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