AI(人工知能)と健康管理

今後仕事が奪われないためには必須!柔道整復師×AIの活用とは

今後仕事が奪われないためには必須!柔道整復師×AIの活用とは

近い将来、AI(人工知能)に人の仕事を奪われるかもしれないという話は最近よく耳にしますよね。でも、整骨院などで働く柔道整復師は、自らの手を使って患部をほぐしたりマッサージをしたり、人にしかできない治療を行うので、AI(人工知能)に奪われるというイメージはないかもしれません。

しかし最近では、AI(人工知能)をうまく活用しながら、柔道整復師の仕事を効率アップさせる動きがあります。

そもそも柔道整復師は、捻挫や打撲、骨折などの怪我を、手術することなく手で押したり揉んだりしながら元の状態に戻したり、患者の自然治癒力を活かした治療を行います。なので、見た目ではわかりにくい患部の状態を、手技だけで正確に把握しなくてはなりませんが、これには豊富な経験が必要で手間や時間もがかかります。

そこで活躍するのがAI(人工知能)です。AI(人工知能)なら、人の全身画像から
背骨の歪みや骨盤の傾きなどを瞬時に可視化し、患者さんの体を正確に解析します。これなら施術ポイントがすぐに特定でき、施術方針など患者さんへの説明もしやすくなりますよね。

こうしたAI(人工知能)の活用が進むと、そのうち柔道整復師の仕事が奪われるのではないかと心配になりますが、全てをAI(人工知能)に任せるのではなく、これからはAI(人工知能)との共存が大きなポイントになるでしょう。

この記事では、柔道整復師の仕事をサポートするAI(人工知能)について解説するので、AI(人工知能)に仕事を奪われることなく、さらなる活躍を目指す方には役立つに違いありません。

そこで今回は、柔道整復師のどんな仕事をAI(人工知能)が代替できるのか、さらに実際のAI(人工知能)を活用したサービスについてもお伝えします。

そもそも柔道整復師とは

柔道整復師のイメージ

柔道整復師はあまり馴染みのない名前ですが、整骨院などで施術を行う先生として知られる国家資格です。その名の通り、柔道整復のベースは「柔道」で、投げたり絞めたり激しく戦うことで生じる脱臼や骨折などの治療から始まり、ケガの初期対処法として定着した医療です。

整骨院での柔道整復師は、骨折や打撲、捻挫などの怪我に対して手術や投薬は行わず、手技で骨折した箇所や関節が外れた箇所を元の状態に戻したり、包帯固定やテーピングなどで治療を行います。

そんな柔道整復師の仕事で大切なのは、まず患者さんの状態をじっくりと診ること。一般病院では当たり前のように使用されるレントゲンを行わないので、患者さんから痛みの様子や、傷む場所など丁寧な聴き取りが必要になります。その後、患部やその周辺を手で触りながら、感覚を頼りに施術ポイントを見つけ施術方針を決めていきます。

具体的な治療方法としては、手で揉んだり押したり様々な刺激を与えながら、筋肉や骨、血液、リンパなどの機能を活性化させ機能回復を助けます。この他、患者さんの持つ自然治癒力を高めるために、電気や光などの治療機器を使った物理療法、骨折後のギブス固定などで低下した筋力を、ストレッチやトレーニングによって回復させる運動療法も行います。

このように、柔道整復師は患者さんの怪我の評価から施術、治癒まですべてに関わる治療の専門家です。そのため、施術技術やリハビリテーションの知識だけでなく、患者さんと信頼関係を築くためのコミュニケーション力も不可欠になるでしょう。

最近では、豊富な知識や経験を活かして介護施設でリハビリを行ったり、スポーツチームの専属トレーナーとしてケガの治療に携わるなど、柔道整復師の活躍の場は広がっています。

そんな中、柔道整復師の仕事をより効率化するために、AI(人工知能)を取り入れる動きがあります。ここからは、柔道整復師の代わりに活躍するAI(人工知能)についてお伝えします。

柔道整復師の仕事をAIが代替する、とはどういうことか

仕事のイメージ

では、柔道整復師のどんな仕事ならAI(人工知能)が代わりにこなせるのかを見ていきましょう。

柔道整復師の仕事は、患者さんとコミュニケーションを取ったり、感覚を駆使して手技で治療を行ったり、リハビリを促したり…と多岐にわたります。この中で、人が得意とするのは人にしかできない気づかいです。たとえば、人の手で行う施術なら、患者さんの症状やその日の体調に合わせて力加減を変えたり、臨機応変な対応ができます。また、患者さんに声をかけることで安心感を与えられるでしょう。

反対に、人が苦手とするのは視覚化されず感覚だけに頼る領域です。たとえば、脱臼や捻挫など、見た目では確認しづらい症状を正確に把握して、施術ポイントをつきとめることは至難の業。実際に患部に触れて、押したり引っ張ったりしながら慎重に触診する必要があり手間も時間もかかるでしょう。しかも、自分の経験や技術だけを頼りに施術方法や方針を決めなくてはなりません。なので、経験の浅い柔道整復師などは、自分の判断が本当に最適なのか不安になることも多いはず。

でも、このような人が苦手とする分野をカバーできるのがAI(人工知能)です。たとえば、AI(人工知能)が得意とする画像認識技術を使えば、写真画像から人の姿勢を分析して、骨格や関節の歪みや傾きなどが瞬時に可視化され、施術ポイントが正確に特定できます。

つまり、柔道整復師の仕事をAI(人工知能)が代替するとは、人が苦手とする分野をAI(人工知能)にサポートしてもらうということ。これにより、柔道整復師の施術効果の向上が期待されます。

なぜ、AIが柔道整復師の仕事を代替できるようになったのか

代替のイメージ

ひと昔前までは、AI(人工知能)は専門知識がないと簡単には使いこなせないというイメージがありましたよね。ではどうして、最近では柔道整復師の仕事にAI(人工知能)が使われるようになったのでしょうか。

それは、AI(人工知能)の画像認識技術が進化したからです。画像認識技術とは、たくさんの画像を記憶させて、何が写っているのか写っているものがどんな状態なのかを判断する技術です。この技術を利用して、AI(人工知能)に人の骨格や姿勢の画像を大量に学ばせれば、「骨盤が重心よりも右に傾いている」など姿勢がどうなっているのか判断できます。

さらに現在では、ディープラーニングの手法によって姿勢分析の精度が格段に上がり、服の上からでも人の姿勢を可視化できるようになりました。体につけるセンサーなど専門機器の装着も不要なので、準備に手間がかかりません。しかも、スマホやタブレットで撮影した写真画像からすぐに姿勢が分析され、誰でも一目で体の不具合がわかります。これなら、経験不足やスキルのバラツキがあっても同質の治療を行えるでしょう。

このように近年では、AI(人工知能)の精度が上がり操作も簡単になったので、忙しい柔道整復師の現場にも取り入れやすくなったのです。

ではここからは、柔道整復師の仕事をサポートする具体的なAI(人工知能)サービスをご紹介します。

実際の柔道整復師向けのAIを活用したサービス

サービスのイメージ

AI(人工知能)が人の姿勢を分析するサービスには様々な種類がありますが、柔道整復師の仕事を効率化し、顧客満足度の向上に役立つ代表的なツールを見ていきましょう。

施術効果を可視化する「シセイカルテ」(株式会社 Sapeet)

「シセイカルテ」は、写真画像から体の歪みを可視化して、将来の姿勢を予測したり、改善メニューも提案するヘルスケアに特化したサービスです。

シセイカルテの利用方法はとてもシンプルで、iPadで患者さんの全身写真を数枚撮影するだけ。約3分で体の傾きやズレを分析し、誰が見ても一目でわかるよう可視化、数値化します。今までは、柔道整復師の体感値で体の歪みを伝えていましたが、シセイカルテなら「上半身が前に〇度傾いている」「左右の膝の位置がずれている」など、タブレット画面を見せながら、患者さんと一緒に体の状態を確認できます。なので、今後どうすれば改善に向かうのか施術方針も説明しやすくなるでしょう。

また、分析した結果はデータ化して蓄積されるので、施術前後の体の状態を比較できます。たとえば、前回は「42点」で今回は「73点」…など点数化されて成果が目に見えやすくなり、治療に通うモチベーションも上がりますよね。

さらに、分析結果から導き出した将来なるであろう姿勢を3Dアバターで可視化したり、姿勢改善に最適なエクササイズや施術メニューの提案もされます。こうした情報は患者さんとのコミュニケーションにも役立つので、リピート率を高めたり、治療の継続性にもつながるでしょう。

加えて最近では、タブレット1台で活用できる電子カルテ機能も開発されました。これは、今まで紙で管理していたお客様の情報をデジタル化して一元管理するというもの。もちろん、AI(人工知能)の姿勢分析機能との連携も可能なので、患者さんの姿勢変化を施術記録と紐づけたり、データに基づいた患者さんの傾向を把握するなど創意工夫すれば、新しいビジネスモデルを構築できるに違いありません。

最適な施術部位を特定する「E.F.A.S (イーファス)」(CIM有限会社)

「E.F.A.S」は、体の不調原因を改善するための施術ポイントを選定する運動機能分析システムです。

「肩を回しにくい」「膝を伸ばせない」など、筋肉や関節の不調の多くは「体の使いグセ」が原因とされています。「体の使いグセ」とは普段の体の動かし方ですが、これはレントゲンやMRIのような静止画像ではわかりません。

しかしE.F.A.Sなら、手を挙げたり体を傾けるなどの動作検査によって、痛みを引き起こす筋肉や関節を見つけ、施術に最適な部位を特定します。また、E.F.A.S画面に示される人体図を患者さんに見せれば、たとえ自覚症状がなくても自分ごととして受け入れやすくなり、施術に対して納得感や安心感が得られるでしょう。

さらにE.F.A.Sは、動作検査の結果から施術方法も特定します。たとえば、施術効果を高めるために貼るテーピングの位置や、三角ブロックを挿入する場所も画面上に表示されます。こうしたアドバイスがあれば、経験の浅い柔道整復師でも良質な施術を行えますよね。

このように、E.F.A.Sを活用すれば、短時間で的を得た施術が提案されるので、忙しくてなかなか来院できない方にも1回で質の高い治療を提供できます。なので、E.F.A.Sシステムを従来の施術メニューにプラスαで取り込めば、新しい施術の形として付加価値を高め、競合他社との差別化にも有効でしょう。

そんな中、当メディア(AIZINE)の運営会社のグループ会社であるPosen株式会社も姿勢分析システム「Posen」を開発しています。詳細が気になる方は、まずこちらをご覧ください。

AI骨格分析システムPosen

柔道整復師の今後

未来のイメージ

ここからは、柔道整復師の未来についてお伝えします。

今後日本では、高齢化が進むとともに、自立して元気に過ごす「健康寿命」への関心が高まると予想されます。そうなると、柔道整復師はケガの治療だけでなく、高齢者の運動機能維持を促すリハビリ指導など、仕事の幅が広がり多忙になるに違いありません。

とはいえ、柔道整復師が1日で施術できる人数には限界があります。そんな柔道整復師の仕事を効率化するには、AI(人工知能)の活用は必須になるでしょう。AI(人工知能)は患者さんの体を正確に分析し、ピンポイントで施術場所を見極める力にたけています。なので、AI(人工知能)に任せられる部分は任せて、柔道整復師は人間の手でしかできない施術に専念すれば、より多くの患者さんを助けられます。

ただ、AI(人工知能)とうまく共存するには、柔道整復師としてしっかりとしたスキルを身に付けることが必要です。なぜなら、AI(人工知能)が今後どんどん進化して、「押す」とか「揉む」など人と同じように力を加える動作が可能になれば、中途半端なスキルを持った柔道整復師は、簡単に仕事を奪われる恐れがあるからです。

そうならないためにも、柔道整復師は人にしかできないことと、AI(人工知能)が得意なこととをしっかりと見極めて、自分だけの強みを磨き伸ばすことが大切でしょう。

まとめ
さて、今回は柔道整復師の仕事を代替するAI(人工知能)についてお伝えしました。

柔道整復師は、骨折や脱臼、捻挫などの怪我に対して手術や投薬は行わず、手技で骨や関節を元の状態に戻したり、包帯固定やテーピングなどを行って治療します。ですが、手で押したり揉んだりしながら施術ポイントを正確に突き止めるには、豊富な経験による感覚や知識が必要で、手間や時間もかかります。

なので、柔道整復師の仕事をAI(人工知能)が代替するとは、人が苦手とする感覚に頼る領域をAI(人工知能)にサポートしてもらうということです。

たとえば、AI(人工知能)なら画像認識技術の進化で、カメラ画像から瞬時に人の姿勢を可視化して不具合を見つけるので、施術ポイントを特定しやすくなります。それに、スマホやタブレットさえあれば誰でも簡単に操作できるので、柔道整復師の仕事にもAI(人工知能)は活用され始めています。

今回ご紹介した柔道整復師向けのAI(人工知能)サービスは以下の通りです。

  • 施術効果を可視化するヘルスケアに特化した「シセイカルテ」(株式会社 Sapeet)
  • 最適な施術部位を特定する運動機能分析システム「E.F.A.S (イーファス)」(CIM有限会社)

これから先、整骨院や介護関連、スポーツトレーナーなど柔道整復師の活躍の場は増えるでしょう。それに伴い、AI(人工知能)は手間をかけないプラスαの施術としてさらに人気が高まるに違いありません。

ちまたでは、AI(人工知能)の進化で人の仕事がなくなるかもと危惧されていますが、柔道整復師は人にしかできない施術スキルをしっかり磨いておけば、AI(人工知能)に負けることはないでしょう。さらに、患者さんの話に耳を傾け、気持ちに寄り添うことで、信頼できる先生として今後も期待されるに違いありません。

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