スーパーやコンビニでお会計を待つのはとても長く感じますよね。よりによって、自分が選んだ列に限って、隣の列よりも流れが遅く感じ、流れが遅いことに対してのイライラと、この列を選んだ後悔とが入り混じる、そんな待ち時間を経験している人も多いのではないでしょうか。
私、筆者もスーパーなどでお会計の列を並んでいるときには、毎回と言って良いほど隣の列の方がスムーズに流れるのを見ては、引きの弱さを感じずにはいられません。毎度列を並んでいる間に、これだけ大勢の人が行列をなしている様子を見て、「ちゃんと列を作って待てるなんて、なんてお行儀の人達なんだ」と思ってみたり、「この待ち時間勿体ないなぁ」と待ち時間を有効利用(?)して様々な想いを馳せてみたりしています。
さて、このように困った時はAI(人工知能)の力を借りるに限ると思い調べてみたところ、AI(人工知能)がレジのないお店を実現しているという情報を入手いたしました。これはまさに、私たちが長く切望してきたレジ待ちのイライラからの解放につながる話ではないですか。
よって今回は、レジ待ちのイライラよさようなら、AIが実現するレジがないお店でスムーズに買い物が楽しめるシーンについて解説いたします。
昔に比べると早くなっている!レジの進化
当たり前ですが、レジというのはお客様がお店で買い物をした会計をするためのものですよね。ここで、商品を買う時の客と店員の動きについてまとめますと、
と、とてもシンプルな動きですが、お店は売上をどこかに記録しておかないといけません。
キュウリ 3本 300円
豆腐 1丁 150円
計算機やコンピュータが出る以前は、お金の計算を算盤(そろばん)で計算して、帳簿に記録していました。
昭和に入り技術が発展するとレジが登場しました。これは、売上と同時に売上を記録する機械で、機械化および自動化のスタートとも言えます。ちなみにレジの語源は、登録という意味を持つRegister(レジスター)から来ています。それでも、初期のレジは金額を手でテンキーで入力し、レジからお釣りを手で取り出してお客さんに渡していました。まだまだ自動化には程遠いレベルです。
平成に入り、レジも進化を続け、テンキーを使わずにバーコードを読み取るだけで金額が分かるようになり、手入力による金額間違いがなくなりました。さらに、客から預かったお金をレジに投入すれば、お釣りも自動でレジから出てくるので、つり銭の間違いもなくなりました。
このように進化を続けるレジですが、さらに最近では、ICタグを使ったレジが登場し、レジでキーボードやバーコードで入力をしなくても会計ができるようになりました。
先日、私も大阪梅田にあるGUのお店でICタグを使った買い物を経験しました。店内で商品を数点選びセルフレジコーナーにたどり着くと、レジの下にあるボックスに商品を投入するよう案内があります。そのボックスに買い物カゴごと商品を入れると、瞬時に合計金額を表示してくれました。あまりの計算の早さに驚き、他のセルフレジを見回してみましたが、どのレジも一瞬で合計金額を表示していました。しかも、商品の数に関係なく1点でも30点あっても瞬時に金額が分かるのです。
その後は、支払方法を選択して会計を済ませ、自分で商品を袋に詰めて買い物は終了です。店にはレジを待つイライラを感じませんでした。さらに次節では、もっと進んだ技術として、AIがレジのない店を実現してしまう事例についてご紹介します。
さすがは先駆者、Amazon
今年に入って、アメリカのシアトルでレジに人がいない無人のコンビニ、Amazon GOの1号店がオープンしました。このコンビニは、AIとセンサー技術を用いて人間の行動を観察し、商品を購入したかどうかの判断ができるというのです。それではこのAmazon GOでのお買い物の流れについて解説しましょう。
このAmazon GOを利用する前に、あらかじめ専用のスマホアプリ「Amazon GO」をインストールする必要があります。アプリはiOS版とAndroid版、自分のスマホに合わせてをインストールし、個人の情報やクレジットカードの情報などを設定して、Amazon GOのお店に入る準備が完了となります。
それでは実際に、スマホを持ってAmazon GOの店舗に向かいましょう。Amazon GOの入り口にはスマホの情報を読み取るゲートがあるので、アプリでQRコードを表示させてゲートにかざして読み込ませて認証を行います。認証が完了したら、店内で自由に好きな商品を手に取り、店舗を出るだけで自動的に会計が終了する、という仕組みです。
いかがですか?なんと、レジに並ぶことなく、すんなりとお買い物ができてしまいました。一体どんなカラクリでこんなスムーズなお買い物が実現できたのでしょう、とても気になりますよね?
実は、このAmazon GOの主役は、もちろんAI(人工知能)、そしてとカメラとマイク、さらに棚に置いたセンサーなのです。これらのデバイスのコラボレーションでレジのない店舗を実現しているのです。
まず、カメラ、マイク、センサーが人の動きをトラッキングします。そしてディープラーニングによって人間の行動を学習したAI(人工知能)が、人が商品を取る様子をキャッチするだけではなく、一度手に取った商品を棚に戻したりする動作なども正確に捉えることができます。これらのデバイスを集約した技術をAmazonはJust Walk Out Technologyと名付けており、まさに店を通り抜けるだけで会計が済んでしまうために、AI(人工知能)がレジをなくした店舗を実現しているのです。
日本でもAIがレジの代わりに
一方、日本でもJR東日本がAIレジを使った無人店舗をオープンしています。
JR赤羽駅のホームに登場したこの無人売店は、「スーパーワンダーレジ」と呼ばれ、Amazon GOと同様の技術を使って、AIがお客さんの選んだ商品を把握し自動的に購入金額を算出する、レジのないお店を実現しています。
この売店での買い物方法はシンプル、店外に設置されたパネルに交通系ICカードをタッチしてから入店し、その後は店内で自由に商品を選ぶことができます。そして最後に、お店で選んだ商品の合計金額をAIレジが自動的に計算し、支払方法を選んで会計を済ませることができます。Amazon GOの様に最初から最後まで全てが自動という訳ではありませんが、AIレジのおかげでお会計のスピードがかなりアップし、わずかな乗り換え時間の間にサッと買い物ができるようになりました。
この売店の噂はすぐに広まり、新しい技術を体験したい人や物珍しさで、赤羽駅には多くの人が殺到して売店に入店するのに行列ができてしまい、入場整理券が配られるほどです。この売店は実証実験で約2ヶ月間のオープンとなりますが、今後はAIレジの店舗が増えていくものと期待されます。
今回は、AIで実現するレジのないお店と称して、レジの歴史、そしてアメリカと日本でAI技術を使ったレジのない店舗についてご紹介をいたしました。これからこの技術が広がれば、欲しかったものを買ってテンションが上がっている最中に行列待ちでテンションが下がってしまうこともなく、最初から最後までハッピーな買い物ができそうですよね。
ちなみに、こんなAIレジのお店で気になるのが不正、いわゆる万引きを心配する声も聞こえてきますが、これについてもAI(人工知能)のディープラーニングで人間の行動を学習して、客の行動は把握しているので、ご安心ください。
このような良い事づくめのAIレジのお店が、少しでも早く私たちの街に広がりレジ待ちのイライラを解消する日が来てくれるのを期待しましょう!
店:客が選んだ商品金額を伝える
客:店員にお金を払う
店:客からお金を受け取る