DX(デジタルトランスフォーメーション)

DX(デジタル・トランスフォーメーション)に成功した企業3選

企業のイメージ

「デジタルが当たり前」そんな現代では企業にDX(デジタル・トランスフォーメーション)が必要になっていますよね。

DXを簡単に説明すると「デジタルによる変革」。

流行語大賞に「IT革命」が選ばれた2000年以降、日本ではインターネットの普及とともに社会もアナログからデジタルへと変わり始め、その後のデジタル化は私たちの生活スタイルや企業のビジネスも大きく変えて行きました。

ビジネスのデジタル化で大きな変化と言えば、それまでになかったビジネスモデル「インターネット通販」の市場拡大でしょう。そしてインターネット通販は代表的なDXになります。

普段みなさんも通販サイトの「Amazon.com」「楽天市場」などを利用されているのではないでしょうか。使ってみるとインターネット通販は大変便利ですよね。このインターネット通販のようにデジタル化で私たち日本人の生活は、さまざまな面で便利になりました。

そして周りを見渡せばパソコンやスマートフォン、WiFi環境が整えられているので、みなさんの意識の中に「日本はデジタル先進国だ」という認識があるでしょう。

しかし実は日本のデジタル化は世界よりも遅れている「デジタル後進国」なのです。

それは多くの日本企業も同じで国内外のビジネス競争で遅れないようにデジタル化、つまりDXが必要になっています。

そのため経済産業省もDXを後押しするために「DX推進ガイドライン」の策定をはじめました。

すでにDXに成功した企業の事例もいくつもありますが、では企業がDXに成功するために必要なことは何でしょうか。

そこで今回はDXに成功した3社の成功事例とともに、DXの概要と成功するためのポイントをお伝えします。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは

DXのイメージ

DX(デジタル・トランスフォーメーション)は、もともと「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でよい方向に変化させる」をスウェーデンのウメオ大学教授、エリック・ストルターマン氏が主張した概念のこと。

そして近年はDXについて「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」*1という意味に定義されています。

これを簡単に訳してみると「デジタル技術の活用でビジネスに変革をもたらす」ということです。

企業でDXを取り入れると新たなビジネスモデル・商品・サービスを生み出せたり、ビジネス上のプロセスでさまざまな効率化がされたりします。しかし日本はDXが世界よりも遅れており、最近そのことがハッキリと分かった出来事がありました。

*1…引用元:「『DX推進指標』とそのガイダンス」(経済産業省)

実はデジタル後進国の日本

現在世界中でコロナウィルスが蔓延し、大変な状況になっています。日本も同じくコロナウィルスにより多くの人たちが感染、経済は停滞し先行きが見通せない状態です。

そしてそんなコロナ禍で浮き彫りになったのが、日本は「デジタル後進国」だという現実でした。

その証拠といえる出来事はコロナウィルス感染者数をFAXで送信して手集計していたことや、10万円の給付のオンライン申請ではシステムに不備があり、オンライン申請された内容をもう一度チェックをやり直していたことなどです。
世界ではインターネット通信が当たり前なのに、先進国の中で現在もFAXを使っているのは日本だけ。そして感染者数の集計や給付金の申請がオンラインでまともにできないという状態が、まだアナログからデジタルにシフトできていない日本の現実なのです。

それは多くの日本企業も同じでデジタルを活用するDXが遅れているのですが、そもそもなぜ現代企業にDXが必要なのでしょうか。

現代企業にDXが必要になっている背景

インターネット通販はスマートフォンやパソコンから、いつでも・どこからでも欲しい商品を注文でき、早ければ即日配達してくれるので便利ですよね。その便利さを示している証拠として総務省統計局の調査では、年々ネットショッピングを利用する世帯割合は増加傾向になっており、2018年には全世帯数の約4割に達しています。

この調査結果からはインターネット通販が大きく市場拡大としているのが分かりますが、その反面で店舗販売が主力の企業には大きな打撃にもなっているのです。

単純に考えても市場拡大を続けるインターネット通販に注力している企業と、していないのでは業績に大きな差が生まれるのは必至になるでしょう。これはすべての企業が該当するわけではありませんが、インターネットというデジタル技術を活用するか、市内化で明暗が分かれる時代になっているのです。

そしてそれは既存の業務でも同じで、さまざまデジタルツールの導入で業務の効率化を進められます。

例えばその一つ「マーケティングオートメーション」は新規や既存のユーザー情報を一元管理しマーケティングを自動化・可視化してくれるシステムです。

これまでのマーケティングは顧客の興味や関心に対して、最適なモノを提供するための活動を人が行ってきました。しかしこれまでの人力では見落としや、潜在的なユーザーニーズを抽出できないこともあります。そしてマーケティングオートメーションで自動化することで、今まで見えなかったユーザーの購買行動の変化を捉えることができ効率よく商談に持ち込めるようになり、その先には業績の向上が見込めるのです。

このようにDXは企業の強みを与え、これからの時代で成長していく可能性を大きく広げてくれます。

では実際にDXで成功した企業の事例をご紹介ましょう。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)に成功した企業その1:Amazon

DX(デジタル・トランスフォーメーション)に成功した企業その1:Amazon

世界規模で展開しているインターネット通販で有名なAmazon.com。そのAmazonはDXで成功している代表格の企業です。

現在Amazonはインターネット通販だけでなく、動画配信サービス、電子書籍などの事業を展開していますが、創業時は書籍を中心に販売しているインターネット書店を運営していました。

しかし当時はインターネットで書籍を買う人が少なかったので伸び悩み、そこで浮かんできたのが「インターネット通販の不透明感」という課題です。

現在は生活の中で当たり前にインターネット通販を利用していますが、Amazonが創業された1994年は「インターネット通販」というビジネスモデルが確立されていませんでした。

そこでAmazonが「インターネット通販の不透明感」を切り開くために取り組んだのが「徹底したユーザーファースト」。

Amazonはユーザーファーストを追求して自社の通販サイトにさまざまな機能を追加し工夫を凝らしてきました。

その代表格がカスタマーレビュー機能*2やレコメンデーション機能*3、そして面倒な入力作業を省きスムーズに商品が購入できる1-ClickTMボタン機能などです。また顧客ごとの注文履歴をAI(人工知能)で分析して、素早い納品を可能にしたシステムも確立。

DXでデジタル技術を駆使してきたAmazonはユーザーニーズに応え続けた結果、インターネット通販だけでなく動画配信サービスなどの事業でも成功し今日に至る世界規模の企業にまで成長しました。

*2 カスタマーレビュー機能…商品の購入者が商品に関する感想や意見などをサイト上に公開できる機能で、消費者が購入するときの判断材料にもなっています。

*3 レコメンデーション機能…ユーザーの購買履歴を分析して、そのユーザーの興味や関心がありそうな情報を提供すること。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)に成功した企業その2: メルカリ

DX(デジタル・トランスフォーメーション)に成功した企業その2: メルカリ

近年、日本企業でDXに成功した代表格なのがメルカリ。CMで「メルカリ」という言葉が印象的な株式会社メルカリは、創業が2013年なのでまだ歴史の浅い企業ですが、新たなビジネスモデルを確立して現在も大きく成長し続けています。

その新しいビジネスモデルとはインターネット上での「個人同士の中古品販売」です。

以前の中古品販売といえばヤフーオークションのようなオークションサイトが主流で、取引に使用される端末もパソコンがメインでした。

そこでメルカリはオークションではなく、だれでも手軽に中古品販売ができるフリーマーケットを開くためにスマートフォン向けのアプリを開発。そして取引はインターネット上だけで匿名性が高いことなどから、登場から一気にユーザー数が拡大していきました。

また2019年にはメルカリの売り上げポイントをメルペイで使用できるスマホ決済サービス「メルペイ」を開始。

まだ創業10年にも満たない企業ですが、デジタル技術で「ユーザーにとって利便性のあるサービス」を追求してきた結果、短期間で大きく成長し現在も事業規模を拡大し続けています。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)に成功した企業その3:学研ロジスティクス

DX(デジタル・トランスフォーメーション)に成功した企業その3:学研ロジスティクス

学研ロジスティクスは学研教室でおなじみの学研グループの企業です。

主に物流事業を展開していますが、学研教室の入会申込書や引き落とし用紙などの入力業務も行っています。

その入力業務は新学期を迎えると新たな申し込みなどで忙しくなり、通常の3倍になる約30万枚の書類が発生します。書類の入力はすべて手入力だったので、その時期は通常の人員で対応できず20名ほどを雇用しなければならないことが課題になっていました。
そこで手書きの用紙でも高い精度で読み取れるデジタルツール「DX Suite」*4を導入。DX Suiteのおかげで、これまで手入力していた入会申込書や引き落とし用紙などを自動スキャンで処理できるようになり、以前は入会申込書だと1人で8時間もかかっていた業務も、現在は1~2時間で完了できるようになりました。

このように学研ロジスティクスの成果を見ればDXが新しいビジネスモデルを作るだけでなく、デジタルツールで既存の業務を効率化できることも実証しています。

*5…DX SuiteとはAIで文字を読み取るソフトウェアです。

DX(デジタル・トランス・フォーメーション)を成功させた企業の共通点

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先ほどのDXで成功した3つの事例では、3社はそれぞれ違った業種であり成功した事例内容も異なっています。

一見すると共通点がないように見えますが、3社ともに共通しているポイントがあります。

それはDXを推進するための目的が明確だということ。

例えば、事例で紹介したAmazonだと、まだインターネット通販の先行きが不透明な時代にユーザーを拡大させるため自社サイトにさまざまな機能を追加してきました。

Amazonの取った行動は成長していくために、ユーザーが潜在的に持っているニーズに応える「ユーザーファースト」という明確な目的を掲げ、それに向かってDXを推進しています。
これはメルカリも同じで「ユーザーにとって利便性のあるサービス」の実現を目的にDXを推進。
そして学研ロジスティクスは社内で抱える課題の解決を目的にしてDXを推進しました。
それぞれ目的の詳細は違いますが、DXを成功させるポイントの1つは「ゴールを明確にする」というです。

漠然とDXを推し進めたとしたら、どこに向かって何をどうしていいのか分からず失敗に終わってしまいます。しかしゴールが明確ならば、どの方向にどんな手段で進めばいいのか戦略を立てやすくなるので、DXの成功へグッと近づいていけます。

そしてDXを成功させるためのポイントは他にもあります。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)を成功させるポイント

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DXを推進してそれぞれの目的を達成し成功させるためには、その他に3つのポイントがあります。

社内の意識改革

まず一つ目のポイントは「社内の意識改革」。

DXは既存のシステムを変えることでもあるので、それまでの価値観も変えなければならず社内に戸惑いや抵抗が出てくるでしょう。そのため社内でDXに対する理解がないとうまく推進できず、失敗を招くことになります。

そこで「DXの必要性・取り組み方」などの方針や重要性を説いて、社内の隅々までDXへの理解を行き届かせる必要があります。そして現場の横の連携だけでなく経営陣との現場との縦の連携も大事なので、情報は社内全体で共有させてDXに向けた意識を統一させましょう。

DX評価指標で現状を把握する

「DXを推し進めたいが、何から手を付ければいいのだろうか」このような企業は多いかもしれません。

この場合は、まず自社の現状を把握するためにDX評価指標でチェックをしてみましょう。
DX評価指標ではスタートからDXというゴールの間で、自社がどの位置にいるのかを6段階で知ることができます。

他社の成功事例と同じようにDXを推進しても、必ず成功するわけはありません。そのためまず自社の抱えている課題などを洗い出すためにDX評価指標でチェックし現状を把握しましょう。

そしてその自己診断結果を下記の独立行政法人情報処理推進機構のサイトで入力すると、全体のデータと比較できる分析結果が提示されるので、その分析結果をもとにDXをどう推進していけばいいのか戦略を練ってください。

DX推進指標 自己診断結果入力サイト

DX評価指標

IT人材の確保

デジタル技術で推し進めるDXにIT人材は不可欠です。

DXを推進する目的を明確に打ち出せたとしても、それを実行しデジタル化を進めていくIT人材がいなければ成功は難しいでしょう。

そのため社内に適任の人材がいなければ新たなIT人材の確保が必要になります。しかし現在、国内のIT人材は不足している状況なのでDXを進める企業にとってIT人材の確保は難しくなっており、場合によっては社員をIT人材へ育て上げることも念頭に置いてIT人材を確保していきましょう。

どの企業でもDXで、できるだけ早く成功を収めたいと考えるのが普通です。

しかしDXを推進して成果が上がるのは3~5年ぐらいかかると言われているので、今回紹介した成功するための3つのポイントを参考に自社に最適なプランを作成して、あせらずじっくりとDXを推し進めていきましょう。

 

DXのイメージ

デジタル時代の企業ビジネスには国内だけでなく、世界も視野に入れた競争力が必要な時代です。

そのため現在の日本企業が早急に求められているのがデジタル技術を活用するDX。その理由は日本企業のデジタル化が世界に後れを取っているからです。

DXで企業のさまざまな業務やビジネスにデジタル技術を活用すると、成功事例でもお伝えしたように既存の業務を効率化し、新たなビジネスモデルを作るチャンスも生まれる可能性があるので、これからの時代で企業が成長していく起爆剤となってくれます。

ではDX実現がまだの企業はどうすればいいのか。

今回紹介した企業の成功事例を見ると、DXで解決している目的は「ユーザーのニーズ」「企業内の課題」と違いはありますが、それぞれDXを推進する「目的が明確」である部分が共通しています。

つまりDXで成功するためのポイントの1つは「ゴールが明確」。

そして「社内の意識改革」「DX評価指標で現状を把握」「IT人材の確保」と、これらのポイントを踏まえてDXを進めていけば確実に成功へ近づいていきます。

現在日本はコロナ禍で大変な時期を迎えています。そしてコロナ禍で浮き彫りなったのは日本が「デジタル後進国」だということです。

しかしこれからIotやAI(人工知能)などデジタル技術の活用が当たり前になる時代は、もうすぐそこまで来ています。「DXはまだ」という企業は早急にDXの実現に向けて動き始めてはどうでしょうか。

DXは日本企業にとって未来への「道しるべ」、DXで社内を改革してデジタル時代を突き進んで行きましょう。

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参考元
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは? 言葉の意味を事例を交えてわかりやすく解説
【DX入門編①】今更聞けないデジタルトランスフォーメーションの定義とは?
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