システム開発に必要な人材を確保したいとき、企業にとって頼りになるのがSES契約ですよね。
新型コロナウイルスが蔓延しはじめて約1年になりますが、現在も終息の見込みはありません。そしてコロナの影響で経済的に多くの業界が混乱する中、新たに「従業員シェア」という動きが活発になりはじめています。
従業員シェアは人手が余っている企業から人材不足の企業に従業員を出向させることで、実際に家電量販店のノジマではANAやJALなどから従業員の受け入れを行いました。
このように現在も続くコロナ禍の厳しい状況の中、企業が危機を乗り越えるための手段として新たな人材活用も試みられています。
現在、人材不足はさまざまな業界で課題となっており、それはIT業界も同じです。そのため、どの企業でも必要なエンジニアの確保が難しい状況になっています。
そこで企業の強い味方になってくれるのがSES契約です。
今回はSES契約について、そのメリットデメリットや注意点などをお伝えします。
SES契約とは何
企業の業務は「自社で行う業務」と「外部委託」で行われており、そのための契約形態が次の3つになります。
自社で行う業務
- 雇用契約
外部委託
- 派遣契約
- 業務委託契約
そしてSES契約はこのうちの業務委託契約に入ります。しかし法律では業務委託契約という名称はありません。
そして上記の概要は次の通りです。
- 請負契約
- 委任契約
- 準委任契約
「請負契約」と「委任契約・準委任契約」には大きな違いがあります。
そして3つのうち準委任契約にSES契約は属しています。
SES契約と派遣契約の違い
先ほど「企業へシステムエンジニアを派遣してサービス提供を行うための契約」だとSES契約について説明しました。「では、派遣契約と同じではないのか」と考えられた方もいらっしゃるでしょう。
確かにどちらも契約先の企業に派遣され、そこでの業務遂行に対して報酬が支払われるので同じように見えます。しかしSES契約と派遣契約では明確な違いがあり、それが指揮命令権の所在です。
これがSES契約と派遣契約の大きな違いになります。
SES契約のエンジニアを雇うメリット
SES契約でエンジニアを雇うことは企業に複数のメリットをもたらしてくれます。
ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、すでに日本はIT人材不足に陥っています。
そして現在はどの企業でもIT人材の確保が難しい状況です。
一般的にIT人材を確保するためには自社でエンジニアを採用するか、一から人材育成を行う方法が考えられます。
そこで頼りになるのがSES契約です。
SES契約のエンジニアを雇うデメリット
SES契約にはメリットだけでなくデメリットもあります。そのデメリットは発注側の企業から見ると主に2つ。
これはすでにお伝えした通りです。
そのため想定していた成果が得られず、逆にコスト高になるケースも考えられます。
SES契約の注意点
SES契約にはデメリットもありますが、IT人材不足が深刻な現代で企業にとってはメリットの方が大きいといえるでしょう。
ただしSES契約でエンジニアを雇う場合には大きく2つの注意点があります。
「SES契約と派遣契約の違い」でもお伝えしたように、SES契約と派遣契約には明確な違いがあり、その一つが指揮命令権の所在です。
つまり契約形態はSES契約(準委任契約)なのに実態は派遣契約になるので、違法な「偽装請負」になるのです。これは請負契約でも同じことになるので注意しましょう。
SES契約によって社員ではない人たちが会社内に常駐することになります。それは同時に社内データの持ち出しなどによる情報漏洩のリスクが高まることでもあるのです。
そのためSES契約でエンジニアを常駐させるのであれば、最悪の事態も視野にいれたセキュリティ対策が必要です。
SES契約は企業へエンジニアを派遣して業務を遂行する契約です。
企業の業務は「自社で行う業務」と「外部委託」で行っており、そのために自社で行う業務では「雇用契約」、外部委託には「派遣契約」「業務委託契約」という契約形態が用いられています。
そのうち一般的に業務委託契約と呼ばれている中に、法的に定められている準委任契約があります。
準委任契約では法律行為ではない業務を外部委託する契約であり、これに属しているのがSES契約です。
IT人材不足が深刻になっている現代でSES契約は、企業に必要なエンジニアを確保できる大きなメリットがあります。
発注企業から見ると「恒久的な人材確保にはならない」「業務の結果は期待できない」という2つのデメリットもありますが、人材不足の状況を考えればメリットの方が大きいといえるでしょう。
ただしSES契約には2つの注意点があります。
一つは法令違反になる恐れです。
一見するとSES契約は派遣契約と同じように見受けられますが、派遣契約の場合は派遣先の企業が指揮命令権を持っていますが、SES契約では業務を委任された受注企業にあります。
もし発注企業が派遣されてきたエンジニアに指示した場合は、違法な「偽装請負」になってしまうので注意してください。
そしてもう一つは外部の人たちを常駐させるのでセキュリティリスクが高まることです。
SES契約は企業にとってメリットが大きいですが、注意点もあるので対策が必要です。
経済産業省の調査でもお伝えしたようにIT人材不足は、年々深刻さを増していきます。
そのためSES契約の重要度も増していくでしょう。
しかし人材不足の拡大はSES契約で派遣されるエンジニアにも影響を及ぼすことが考えられます。
そのため企業ではSES契約でエンジニアを雇いながら、自社もエンジニアの採用と人材育成を並行して行う必要があるでしょう。
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