企業の成長のためには生産性向上が必要不可欠ですよね。しかし日本企業における生産性の現状は芳しくありません。
日本生産性本部によると2019年度の1人当たり名目労働生産性は821万円、実質労働生産性上昇率は前年度と比較して-0.8%という結果が出ており、2年連続でマイナス傾向にあることが判明しました。
このままでは企業の競争力の低下、国内市場の縮小などの問題が生じる可能性も。
政府は働き改革の一環として助成金や補助金を支給するなどして企業の経営活動を支援していますが、企業レベルではどのような取り組みがなされているのでしょうか。
そこで今回は生産性向上に関する事例を複数紹介して、各企業がどういった方法で生産性を高めているのかをお伝えします。
生産性向上が求められる主な理由
まず企業の経営活動においてなぜ生産性を高める必要があるのかを理解しておきましょう。生産性向上が求められる理由は以下の2つです。
少子高齢化による労働人口の減少
少子高齢化による人材不足は労働の場においてだけではなく、国が直面している大きな課題です。
死亡数から出生数を引いた数字である自然増減数は51万5854人で、人口減少による働き手の不足は避けられないと考えられます。
労働者保護の観点からも生産性向上は必須といえるでしょう。
国際競争の激化
インターネットの発達により日本企業は海外企業との競争を余儀なくされました。
生産性向上の取り組み事例1:業務の可視化
製造業の取り組み事例
ある企業は、複数ある工場ごとに業務プロセスが異なり、ルールの決め方も曖昧という状況にありました。そのため業務の質の低下やミスを防ぎきれず、生産性の向上は急務であると感じるように。
印刷業の取り組み事例
またある印刷業では、高クオリティのサービス提供を続けているうちに作業量に対する利益が追い付かなくなったため、売上データの「見える化」に着手。
生産性向上の取り組み事例2:業務の自動化
通信業の取り組み事例
次は業務の自動化についての取り組みをご紹介します。
ある通信業では紙で管理していた請求書は年間6万件に及び、処理作業に多大なコストが発生していました。
金融業の取り組み事例
次に金融業の取り組みをお話します。
わずらわしくミスの発生しがちなデータの入力作業を自動化することにより、確認する側の負担軽減にもつながっています。
生産性向上の取り組み事例3:業務の効率化
飲食業の取り組み事例
次は業務の効率化を取り組んだ事例をお話しましょう。
ある飲食業では、惣菜の製造工程にムダが多く、特に運搬工程における効率を改善できないかと考えていました。
具体的な取り組みとしては惣菜のコンテナを所定の位置へ移動させる器具を導入することで、歩いて持って行く必要がなくなり作業時間が短縮されました。
小売業の取り組み事例
今度は小売業の業務の効率化です。ある企業では野菜をカットする作業をまとめて行っていたためスペース、動作にムダが生じていました。
これは年20時間、2万円分の削減効果も出ており、他の野菜や他店舗にも導入する予定。
生産性向上の取り組み事例4:業務の標準化
小売業の取り組み事例
今度は業務を標準化した取り組みについて事例をお話しましょう。
ある企業では赤字に転落した事業があり、業務体制を見直しをおこないました。するとマニュアルが分かりにくく、ムダな作業が労働時間を圧迫していることが明らかになったのです。
またマニュアルを全社員で共有することにより意見交換も活発化、労働意欲を向上させる効果も生まれています。
金融業の取り組み事例
次に金融企業での取り組みについてお話しましょう。
この企業では部署の統合をきっかけに引き継ぎ業務が発生しました。
生産性向上の取り組み事例5:人材のスキルアップ
飲食業の取り組み事例
今度は人材に対しての取り組みをお話しましょう。
製薬業の取り組み事例
次は製薬業の取り組みです。
このきg日本だけでなく世界中に拠点を有する大規模な企業であるため、社員研修にかかる膨大なコストが生産性向上を大きく妨げていました。
生産性向上の取り組み事例6:柔軟な働き方を提案
アパレルの取り組み事例
最後に働き方についての取り組みです。
あるアパレル企業では女性従業員が多数在籍しており、出産・育児で離職した後の復帰率が低く、従業員の新規獲得や研修に多大なコストをかけていました。
教育業の取り組み事例
またある企業では、メインの教育や、教育だけでなく福祉、文化など幅広い分野を扱っていました。そのため社員が創造性を発揮することでより良い事業展開が可能になると考え、コアタイムなしのフレックスタイム制を導入。
生産性向上のための取り組み事例をご紹介してきました。
各企業が試行錯誤を繰り返し、色々なやり方で生産性向上のために力を尽くしていることが分かりましたよね。
さっそく自社でも生産性向上のための取り組みを、と考える人もいるかもしれません。しかし急いで現状の体制を変えてしまうと社員の間で戸惑いが生じ、作業効率が悪化してしまう可能性も否定できないでしょう。
会社の規模が大きくなるほど社員との意識共有は難しくなりますが、生産性向上は時間をかけて取り組むべき抜本的な組織改革であると考えて取り組んでいきましょう。