日本は、物づくり大国として有名ですよね。そんな中で企業がグローバルフィールドで活躍を続けるには製品やサービスを、いかにスピーディーに生産していけるかが重要になります。そんな中で重要な役割が、生産管理です。
生産管理とは、モノを生産するための材料調達から、製造・販売・在庫管理まで一括して管理し、合理的で効率的な経済活動を目的としたシステムです。この生産管理の分野にDX（デジタルトランスフォーメーション）が浸透すれば、デジタル化が進み、効率よく高品質なモノを大量に生産することが可能となります。この記事を最後まで読めば、あなたは生産管理の重要性を深く理解でき、DX後の未来にむけて新たなアイデアが浮かんでくるかもしれません。
そこで今回は、生産管理の業務内容や生産管理システムについて、基礎から具体的にご説明します。
生産管理とは何か
生産管理とは、顧客のニーズを予測して計画を立て、モノを生産から販売するまでの一連の業務を管理するための仕事。特に製造業にとって重要な業務です。
生産管理は製造現場の、人（Man）、材料（Material）、機械（Machine）、方法（Method）の4Ｍを活用しながら、品質（Quality）、原価（Cost）、納期（Delivery）のQCDの最適化を目的としています。
DXと生産管理の関係
製造業での生産管理にも、デジタル化による生産効率化が進んでいます。紙面での帳簿やスケジュール管理を無くし、データで管理をしてどこにいても閲覧できる状態になっていたり、人の手で行っていた作業をロボットが変わりにおこない、人的ミスを減らし効率化に貢献しています。
これらは、民間企業だけでなく日本の経済産業省も協力して変革を進めています。「2020年版ものづくり白書」にも、製造業のデジタルトランスフォーメーション（DX）推進を提唱しています。DXとは、高速インターネット・クラウドサービス・人工知能（AI）などのIT（情報技術）によって、ビジネスの質を高めていくことです。
生産管理をする目的
生産管理をする目的を一言でいえば、顧客に満足してもらえるモノをつくるためと、企業が継続的に収益を得るコスト管理のためです。それぞれについて、簡単に説明しましょう。
顧客満足度が高い物を作り続けるため
企業が継続的に収益を上げることを目指すには、必然的に顧客満足度の高いモノを提供し、事業を展開しなければなりません。顧客満足度の高いモノとは、高品質で供給が安定しており、常に新しい機能を伴う商品です。企業には、そのような商品の生産プロセスを、滞りなく進める必要があります。
そのために企業は生産管理を徹底し、現場がスムーズに作業を取り組める環境を整え、モノづくりを支援する必要があります。
コストを管理して、効率よく生産をするため
近年、労働人口の減少や最低賃金の引き上げが関係し、製造業における生産コストは上昇傾向にあります。日本の労働人口は今後も減少の見込みで、人手不足や人件費高騰は引き続き企業の課題となっています。そのため、海外に現地工場を置いている企業も多いですが、海外工場で日本と同等の品質を保持することは大変困難なことです。
しかし、適切な生産管理をおこなえば、経営状況や生産の進捗状況をタイムリーに把握できます。遠く離れた海外の工場に対しても、国内にいながら迅速な対応が可能となるでしょう。
このように品質管理を徹底することで、さまざまな問題が解決できます。
生産管理をする上でのポイント
生産管理をする上で最も大切なことは、「見える化」です。生産現場では、ムリ・ムダ・ムラが日々発生しています。
私たちの身近にあるムリ・ムダ・ムラを例えてみましょう。ある1日の勤務時間帯の中で、急に業務が増えてバタバタして手が回らない時や、何もすることが無く暇で手持ち無沙汰になる時がありますよね。
忙しくて手が回らない時は、仕事をこなすのに精いっぱいになってしまい（ムリ）、仕事の品質の低下を招きます（ムラ）。一方、暇な時間帯は、持て余した時間に合わせてゆっくり作業をしてしまい、生産性は低下します（ムダ）。それが積み重なると、計画通りに進まない、生産が追いつかない、利益が上がらない、につながります。
見える化とは、標準化・規則化することです。現場の作業量を均一化し、作業内容や機械操作方法を、誰が見ても状態を一目瞭然にしてトラブルを未然に防ぎます。また、仮に何か問題が起きたときも、すぐに対応できる体制を整えることです。
現場でモノや情報を見えるようにすれば、リアルタイムで改善策を考え、迅速に次の行動に移せますよね。
生産管理システムとは
生産管理システムとは、品質（Quality）、原価（Cost）、納期（Delivery）を最適化するシステムのことです。
これらのような生産管理の課題解決に特化したシステムが、生産管理システムです。生産管理システムは、各部門だけでしか持っていなかった「モノの流れ」・「情報の流れ」を集約・統合し、総合的に管理することを可能にしました。各部門の情報共有により、部署間で重複していた作業などを省くことができ、効率化につながります。
生産管理システムによって業務が効率化されると、生産ラインはスムーズに稼働できます。ぜひ、自社にマッチした生産管理システムを導入し、業務を無駄なく最適化させましょう。
生産管理システムを導入する場合の注意点
最後に、企業で生産管理システムを導入する場合に、最も気を付けてほしいポイントを３つご紹介します。
社内で生産管理システムの導入目的が共有されているか
生産管理システムは、モノを生産するプロセスを非常に広範囲にわたってカバーします。よって、各部門が自分たちが有利に進められるように、主張する可能性があります。生産部門は生産数のアップを、資材調達部門は低コストの材料購入を、販売部門は販売経路拡大を主張しますが、自社全体の利益向上のためにはどこから手を付けるべきなのか考えましょう。
システム導入の目的が確立していなければ収拾がつかなくなり、結局中途半端なシステムと成り果ててしまうかもしれません。優先順位をつけ、限られた費用と期間の中で最大限の利益が出せるシステムをチョイスしましょう。
導入システムの機能が自社に見合っているか
生産管理システムによって実現したい項目が、導入するシステムで実現可能か否か、必ず事前に検討しましょう。生産数や市場シェア率など、自社の規模に見合うデータを処理できる機能を持つシステムを選ぶことが重要です。
また機能だけでなく、実現までの期間も含め、導入・運用コストをある程度試算することが重要です。システム導入のための高額な初期コストと運用継続のためのコストは、経営を圧迫しかねません。運用による利益還元とランニングコストのバランスを事前に予測し、調整することが重要です。
活用方法を下部組織まで共有できているか
システムが現場で受け入れられ、無理なく運用出来そうか見極めることが必要です。事前に現場を巻き込み、ボトムアップ型のシステム導入が理想といえるでしょう。導入前に実際に現場へ足を運び、活用方法を事前に打ち合わせをしたり、試運用してみると良いでしょう。
当メディア（AIZINE）の運営会社であるお多福ラボでも、生産管理システムの導入支援をしています。興味がある方は、お気軽にご相談ください。
さて、今回は生産管理と、生産管理システムについてご説明しました。
- 生産管理とは、人（Man）、材料（Material）、機械（Machine）、方法（Method）の4Ｍを活用しながら、品質（Quality）、原価（Cost）、納期（Delivery）のＱＣＤを最適化すること
- 競争の激しい国際市場の中で生き抜いていくためには、生産管理のデジタル化やＤＸ推進が急務となっている
- 生産管理をおこなう目的は、効率よく生産活動をし、高品質なモノを作り、企業が継続的収益を得るため
- 生産管理をする上でモノや情報の「見える化」がポイントであり、そのおかげで生産現場では、ムリ・ムダ・ムラを減らすことが出来る
- 生産管理システムを活用すれば「モノの流れ」・「情報の流れ」を集約・統合し、総合的に管理することができる
- 社内に生産管理システムを導入する際には、導入目的が共有されているか・システム機能が自社にマッチしているか・現場の人間が納得して使いこなせるかが重要となる
少子化の影響で、日本国内では働き手不足が深刻化されています。この対策として、生産管理に関してDXを官民協力して推進しています。生産管理がうまく運用されていれば、収益も顧客満足度も上昇し、国際的に競争力を持てる企業へと成長できる可能性が大きく広がりますよね。
ものづくり大国ニッポンが、生産管理をＤＸによってさらに強化し、国際社会に再び名を轟かせる日がくるに違いありません。
