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AI時代を生きるなら必須!「技術的特異点(シンギュラリティ)」とは

AI時代を生きるなら必須!「技術的特異点(シンギュラリティ)」とは

昨今、世界中のあらゆる分野でAI(人工知能)の存在が無視できなくなってきましたよね。その中で頻繁に取りざたされる「技術的特異点」という言葉があります。技術的特異点は、AI(人工知能)が発達することにより、人間が予測できないスピードで社会が変化する瞬間を意味します。

2012年ころから始まった第3次AIブーム以来、多くのシーンでAI(人工知能)の活躍ぶりが目覚ましくなってきました。このブームに乗って私たちも徐々にその恩恵や影響を受け始めています。

しかしその一方で、一部の学者たちのなかで、やがて起きるかもしれないAI(人工知能)の「技術的特異点」に対する不安や危機感が指摘されているのも事実です。その理由は、AI(人工知能)の目覚ましい発達により予想もしない社会現象が起きて人類が望まない方向に世の中が動いてしまうかもしれないからです。よって今後AI(人工知能)社会で生きていくことを避けて通れない私たちにとっても技術的特異点は決して無視できません。

そこで今回は、技術的特異点とは何かについて詳しくお伝えします。

技術的特異点(シンギュラリティ)とは

AIのイメージ

技術的特異点は、「シンギュラリティ」の和訳です。技術的特異点とは、AI(人工知能)が人間の知能を超越して社会に大きな変化をもたらす転換点を意味します。一説では、それが2045年であるとも言われていマウs。

その根拠は、インテル創業者の一人であるゴードン・ムーアが唱えた「ムーアの法則」によるものです。具体的には、「コンピュータ内の半導体の集積率が18カ月で2倍になる」というもので、分かりやすく言えば1年半でコンピュータの性能が2倍になるということです。そしてこのムーアの法則に則って計算すると、2045年にはコンピュータの計算能力が人間の脳の100億倍にも達し、技術的特異点が起きる環境が整うと考えられています。

※ムーアの法則を解説した記事は、こちらをご覧ください

AI(人工知能)の特筆すべき機能として、ディープラーニング(深層学習)があります。これは、大量のデータをインプットすることで、人間が手を貸さずとも機械が自動的に学習し、必要な特徴を抽出するようになる学習方法のことです。この精度が上がると、例えばAI(人工知能)がプロ棋士に囲碁や将棋、チェスなどで勝利する、などが起きます。

このような現象が社会の到るところで生じると、人間よりもAI(人工知能)を利用した方が明らかにレベルの高い有益な結果が導き出せるという考え方が世の中に定着する可能性があります。そのことで、やがて人間の役割が希薄になるかもしれません。

今、技術的特異点について知っておくべき理由

仕事のイメージ

技術的特異点を知っておくべき理由とは、私たちの生活にも大きな影響がある可能性があるためです。技術的特異点が起きると人間がいくら頑張っても到底AI(人工知能)の知能には勝てず、その結果多くの仕事がなくなってしまうとの予測が立てられています。

例えばAI(人工知能)は、自動運転技術や画像認識機能、農作物の育成監理などすでに多くの分野で活躍しています。自動運転技術が社会に浸透すればタクシーやバス、運送業で必要とされるドライバーの数は大幅に減少するでしょう。運転免許を取得する人の数も減少して教習所の教官の需要も減るかもしれません。

そしてドライバーのみならず、現在れっきとした仕事である各種画像の検査員、農作業に従事している人たちなどの仕事も大幅に削られて必要なくなる可能性があります。

技術的特異点によって、私たちにどんな影響があるのか

物価のイメージ

では、技術的特異点によってどんな影響が出るのか、具体的にまとめましょう。

技術的特異点によりAI(人工知能)が今よりもずっと幅を利かせる世の中になると、まず雇用形態が大きく変化します。例えばロボットが多く活躍する産業では、工場の人員がますます必要でなくなるでしょう。事務や経理もAI(人工知能)に任す方がスピーディーで確実ですし、警備員やマンションの管理などもAI(人工知能)の方が不調がなく、かつ確実に監視業務を遂行するでしょう。

行政書士や弁護士の様な知識集約型の仕事も、その多くはAI(人工知能)にとってかわられる可能性が高いと指摘されています。クライアントの依頼をタイプ別にパターン化して書類を自動的に作成したり、膨大なデータの中から各案件に関わる法律や判例を的確に見つけ出したうえで解決案を提示するのは、AI(人工知能)が最も得意とすることだからです。こうなると多くの人たちの雇用もおぼつかなくなるでしょう。

また、技術的特異点によりモノの価値が下がりデフレ社会になる可能性もあります。AI(人工知能)によってあらゆるものが自動化されることで生産や流通に人が関与しなくなると、人件費が大幅に削減できます。その結果、物価が大きく下落して企業の売り上げが下がれば、当然支払われる給与も減っていくでしょう。

※他にも様々な影響が予想されます。それがこちら

さらに日常のあらゆる世界が仮想現実(VR)化し、その場にいながらにしてさまざまなことが成立するので、外出の機会が極端に減少したり旅行も控えるなど人の行動や生活習慣も大きく変化していく可能性があります。

技術的特異点が来る・来ない人の意見のまとめ

意見のイメージ

技術的特異点は、「来る」という意見の人と「来ない」という意見の人がいます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

まず技術的特異点が来るという意見として、米テスラ社のCEOイーロン・マスク氏は「AI(人工知能)が独裁者となり、最終的には人間を滅ぼしてしまう可能性すらある」と唱えています。これはAI(人工知能)が人間よりも賢くなることで、あらゆる面でAI(人工知能)の判断に従わざるを得なくなり、思いもかけぬ不幸な結果を招くかもしれないことへの警鐘といえます。確かにもし軍事目的でAI(人工知能)が悪用されるようなことがあると、それは独裁者さながらの恐るべき存在になりかねませんよね。

また、ソフトバンクグループの孫正義氏が言うように「シンギュラリティはもうひとつのビッグバン。人間の知能をAI(人工知能)が超えたときに超知性が生まれ、この超知性によってすべての産業が再定義される」というものもあります。これはつまり、人・モノ・カネ・仕事の価値観や役割、概念が大きく別のものへと生まれ変わる大変革を意味するといえるでしょう。

一方、技術的特異点は来ないという意見には、米の情報工学者ジェリー・カプランのように「人工知能に対して過剰な危機感を抱く人が背景として、映画やドラマなどの作品の影響が多分にある」と宣伝文句的にとらえるものもあります。これは例えば、ある日突然ロボットが意志を持ち人に攻撃を加え出すといった架空の作り話のことを意味しています。

確かに人は、子供の頃に観た映画や読んだ小説などのフィクションを未来の現実問題に結び付けて考えますよね。非現実的だった話を現実的に考えたり、その考えや思想を脅し文句を添えて流布することに一種の楽しみや快感を覚える人たちもいて、技術的特異点もその一つと捉えられるかもしれません。

また、ドイツの哲学者・マルクス・ガブリエルも「「知性」は人間の非生物的、感覚的な部分であり、「知性」と人工知能は異なる」とし、技術的特異点そのものを真っ向から否定しています。

※他の意見はこちら

技術的特異点が起きた後、私たちがやるべきこと

学ぶイメージ

技術的特異点が起きたとしたら、私たちはどうするべきなのでしょうか。それは、常に人と社会に役立つ、人にしかできない役割や仕事を見出し、それをこなせるだけのスキルを持つことです。

「人間は考える葦である」という有名なパスカルの言葉がありますが、最も怖いことの一つは、考えるという行為をすべてAI(人工知能)に一任して放棄してしまうことですよね。確かにAI(人工知能)の知能は多くの分野ですでに人間をはるかに超える域に達し始めています。しかし、そのAI(人工知能)を活用するのは、あくまでも開発者である人間です。

このため、AI(人工知能)にしかできない業務と人間にしかできない業務や役割のすみ分けをし、常に自身の利用価値を見い出して高める作業を怠ってはいけません。例えばあるホテルでは、客との機械的なやり取りを避け、相手の話を聞き、反応して人にしかない温かみが伝わる接客スキルを身につけるべく研鑽を積んでいます。つまり人の心に訴えて感情を前向きにさせたり満たしたりすることは、人だからこそできる特別な行動といえるでしょう。

また、その場の状況に応じて臨機応変に気を利かせたり、心の機微を感じ取って最適な提案を行う能力も、機械にはない人ならではの持ち味です。それらの能力を磨くことは、知識集約型の勉強や机上の理屈だけを覚える教育だけでは不可能です。

デジタルの知識やスキルは身につけつつも、人と共感する力や相手のニーズ、抱える問題に気付いて協力し、人脈をつなぐなどして解決に導くだけの人間力や知恵を身につける必要があります。技術的特異点がきても、私たちがきちんと備えておけばしっかりとAI(人工知能)に負けない生き方ができるに違いありません。

未来のイメージ

さて、今回は「技術的特異点(シンギュラリティ)」についてお伝えしてきました。

技術的特異点とは、AI(人工知能)の精度が上がり、人間の知能を超越することで起こりうる社会の変化の転換点、を意味します。もし技術的特異点が起これば、大幅に人の仕事が奪われたり、雇用関係が変わってしまう可能性があります。

AI(人工知能)によりあらゆるものが自動化されれば、人件費が大幅に削減されて物価が下落し、激しいデフレに見舞われる恐れもあります。また、仮想現実(VR)の世界で活きることが日常化して、人の行動や生活習慣が大きく変革するかもしれません。

技術的特異点は、現時点では一つの概念であり、予測にしかすぎません。そのため、必ず来ると主張する人もいれば、来るはずがないと断言する人もいます。いずれにせよ、人間社会で生きてゆく以上、AI(人工知能)との縁を完全に断ち切ることは不可能といって良いでしょう。

技術的特異点がもし起きたとしたら、積極的に教育や学習の機会を設け、その時代に合った仕事を創出し、それをこなすスキルと人を魅了するだけの人間力を身につけることが欠かせない要素となります。

今のこの瞬間もAI(人工知能)活用の規範作りが世界中で真剣に行われています。その動きを敏感に注視して、AI(人工知能)社会の正しい生き方を模索することに努めましょう。

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