最近の企業ではさまざまな業務にAI(人工知能)を導入するようになりましたよね。その1つとして在庫管理でも活用する動きが出ています。企業でAI(人工知能)の活用が進む大きな理由の1つがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。DXとは業務をデジタル化してビジネス競争で優位になるための活動で、具体的にはAI(人工知能)を含めたITツールを使用して業務のデジタル化を行い効率化と収益を向上させていく変革です。
そのDX推進で主要業務の1つである在庫管理でも、多くの企業がAI(人工知能)を活用したシステムを導入しています。在庫管理にAI(人工知能)を搭載したシステムを運用すれば、業務効率の向上は間違いなく実現が可能です。
そして導入を考えている企業はその具体的なメリットなどを知り、事例をもとに検討したいのではないでしょうか。そこで今回は普及が進むAI(人工知能)を活用した在庫管理について、メリットなどを事例とともにお伝えします。
在庫管理とは
在庫とは、小売業の場合で商品、製造業だと部品・原材料などを指します。一見するとどれも違うもの同士ですが、「現金化できる流動的な資産」だという共通点があり、これらの在庫品を管理することが在庫管理になります。
つまり在庫管理とは、必要なときに必要な量を供給できるように維持することです。例えば顧客から注文があれば直ぐに納品したいですよね。そのために、常に在庫の種類・数をベストに保ち即応体制を整えておくことが在庫管理の務めです。
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在庫管理にAIを活⽤するメリット
日々の取引による入出庫によって在庫品の情報は変化します。従来はどこの企業でもこのような在庫管理業務をすべて従業員の力で担うのが当たり前でした。
しかし、人が行う以上はミスがともないます。そのため日々変化する在庫情報に対応しなければならない在庫管理は人為的ミスが起きやすい業務なのです。
人為的ミスは在庫情報の誤りなどを引き起こし、それが在庫の過不足や諸問題の引き金になります。そこでAI(人工知能)を活用した在庫管理システムの登場です。AI(人工知能)を搭載した在庫管理システムを導入することで主に次のようなメリットが得られます。
- 在庫の過不足を防いで適正な在庫管理が可能になる
- 在庫不足を防いで販売機会損失を抑えられる
- 入出庫時にバーコードなどでシステム入力ができるので人為的ミスを防ぐことができる
- パソコンからの入出庫入力がなくなり業務の効率化が実現する
- 入出庫を直ぐにシステム登録するのでリアルタイムで在庫状況を把握できる
コンピュータであるAI(人工知能)は正確な情報を与えれば、その通りに間違いなく仕事をします。そのためAI(人工知能)に在庫管理を代替させることで、人為的ミスとそこから起きる在庫の過不足や販売機会損失を抑えるなどのメリットが得られ、これまでの課題を解消へと導いてくれます。
代表的なAIを使った在庫管理システム
現在AI(人工知能)搭載の在庫管理システムはさまざまな種類がリリースされています。今回はその中から代表的な2つを紹介しましょう。
「EXPLANNER/Z」~ NEC
「EXPLANNER/Z(旧EXPLANNER/Ai)」は大手電機メーカーのNECが開発した企業の主要業務を一元管理できるERP(総合基幹業務システム)です。EXPLANNER/ZはAI(人工知能)を搭載したシステムで、その中に在庫管理システムも含まれています。EXPLANNER/Zの在庫管理システムには次のような特徴があります。
- 伝票入力時にリアルタイムの在庫状況を確認できる
- 商品ごとの適正在庫数・発注点を登録できるので過不足を防いで適正な在庫管理が可能
- 受注を一覧表示して出荷数をコントロールする出荷指示機能がある
- 先入先出法など複数の評価方法から選んで計算し、リアルタイムの在庫評価額が把握できる
典型的な在庫管理の課題である在庫の過不足や販売機会損失は、EXPLANNER/Zを導入すると防ぐことが可能です。そして紹介した特徴以外にも便利な機能が搭載され、細かい出荷管理にも適応できるシステムなので特に卸売業に向いている在庫管理システムだといえるでしょう。
「匠AI」 ~ 三菱総合研究所
シンクタンク・コンサルディング事業を展開する三菱総合研究所は、社会や企業が抱える課題の解決を支援するAIシステムの「匠AI」を開発しました。在庫管理でも導入されている匠AIには次の特徴があります。
- 在庫管理の現状を把握し、抱える課題の改善に向けたシステム設計ができる
- ベテラン従業員が持つ「勘」や「経験」をAI(人工知能)で再現し、知識・技術を共有できる
- 運用開始後もサポートが受けられ、AI(人工知能)のレベルを向上が図れる
上記で特に匠AIの大きな特徴といえるのが「ベテラン従業員が持つ「勘」や「経験」をAI(人工知能)で再現」です。通常のAI(人工知能)開発には大量のデータを必要としますが、実際にそれだけのデータを保有している企業は少なく、ましてベテランの技術に関するデータ収集は困難です。
そこで匠AIでは、さまざまな仮説とデータ分析結果をベテラン従業員に示し、そこから分かる気づきから専門知識やノウハウをできる限り取り込み開発を進めます。この方法によって匠AIは必要なAI(人工知能)の精度も確保して、ベテランの「勘」と「経験」を再現します。このように「通常とは違ったAI(人工知能)の開発方法でベテランの知識・技術を実現する」これが匠AIです。
技術の継承は難しく、もし受け継ぎができなければベテラン従業員の退職で途絶えます。匠AIはベテランが持つ知識・技術を永続的に維持して、業務の安定と向上が期待できるシステムだといえるでしょう。
在庫管理にAIを使った事例
すでに多くの企業でAI(人工知能)を搭載した在庫管理システムを運用しています。今回はその中から事例を2つ紹介します。
株式会社グッデイ
北部九州を中心に64店舗のホームセンターを運営している株式会社グッデイでは、8万点にもなる商品を取り扱っています。以前は商品の発注量を各店舗の担当者の経験で決定していましたが、在庫の過不足が発生し販売機会を逃してしまうことがありました。
そこでAI(人工知能)に過去のデータを大量に分析させて販売予測をさせるシステムを導入しました。実際に園芸用殺虫剤の過去3年分の販売実績データや気象データを学習させたところ、402個の予測結果に対して、413の実売と、およそ98%の精度が得られました。
この結果を受けて株式会社グッデイは販売予測を行う対象商品を増やすと話しています。そしてこの販売予測の運用で過不足のない適正な在庫管理も可能になり、これから利益も大きく向上させていくでしょう。
出光興産
2020年に石油元売り大手の出光興産は、国内に28か所ある油槽所での在庫管理にAI(人工知能)を導入して運用をはじめました。天候などの影響で複雑に変化するガソリンなどの石油製品の需要はこれまでコンピュータを用いても予測が難しく、各油槽所で在庫管理する石油製品の種類はベテラン従業員の経験に頼っていました。そこで予測精度を向上させるために導入したのがAI(人工知能)を搭載した在庫管理システムです。
そして出光興産では順次28か所以外の油槽所でもAI(人工知能)を活用した在庫管理の運用を拡大させて、在庫の適正化と業務の効率化を進めるとのこと。
在庫管理を適正に⾏うためのポイント
ここまで紹介してきたようにAI(人工知能)を活用した在庫管理システムでは人為的なミスを防げます。そして業務の効率化と収益向上につながるなどのメリットが得られます。
しかしAI(人工知能)による在庫管理システムをうまく運用するためには、日ごろから適正な在庫管理をしておかなければなりません。そのためには次のポイントを押さえた在庫管理を行いましょう。
整理整頓を行う
在庫管理業務の作業効率を上げるためには、在庫が所定の場所に保管されている状態を保つ必要があります。これは抱えている在庫の種類と数を正確に把握するための基本です。
例えばそれぞれの在庫の保管場所を決めておけば入出庫作業がスムーズに行え、在庫の過不足も防げます。そのためには定期的な清掃による整理整頓が不可欠です。
ルールを決めておく
ルールを決めると、従業員の自己判断で起きるミスを防げます。例えば急に商品が少量だけ必要になって勝手に従業員が持ち出し、あとで在庫数が合わなくなる場合も少なくありません。このようなイレギュラーも想定して事前にルールを決めておけば、従業員が迷うことなく対応ができ適正な在庫管理を維持できます。
定期的に棚卸を行う
定期的に棚卸を行うと、在庫数の間違いなどが発生しても早期発見と対応が可能になります。
在庫管理の責任者を置く
在庫管理では、入庫数と管理費とのバランスをとり、発生した問題について対応しながら業務内容を向上させる必要があります。このためには在庫管理業務で責任も持ち、業務全体のまとめ役になる責任者を置きます。
導入した企業にとってメリットが多いのがAI(人工知能)を搭載した在庫管理システムです。そしてシステムが持つ利便性を活かすためにも、上記の在庫管理で基本になるポイントを押さえてシステムを運用しましょう。
さて、今回はAI(人工知能)を活用した在庫管理システムについてお伝えしました。在庫管理とは企業で扱う商品や部品・材料などの在庫品を管理する業務です。
これまでは、どの企業でも従業員によって在庫管理されていました。しかし人が行う以上は人為的ミスがなかなか避けられず、そこから発生する在庫の過不足・販売機会損失などが起き、それが課題でした。
そこで、これらの課題解決のためにAI(人工知能)を搭載した在庫管理システムが普及していきます。このシステムによって人為的ミスを防いで次のようなメリットが得られます。
- 在庫の過不足を防いで適正な在庫管理が可能になる
- 在庫不足を防いで販売機会損失を抑えられる
- 在庫管理業務を効率化できる
- リアルタイムで在庫状況を確認できる
今回紹介したような上記のメリットが得られるAI(人工知能)搭載の在庫管理システムは、以下のようなものがあります。
- 「EXPLANNER/Z」~NEC:在庫の過不足や販売機会損失などの典型的な在庫管理の課題を防げる
- 「匠AI」 ~ 三菱総合研究所:ベテラン従業員の知識・技術を再現して、永続的に業務の安定と向上が図れる
そして今回はAI(人工知能)を在庫管理に導入した事例を2つ紹介しました。
- 株式会社グッデイ:AI(人工知能)を用いた98%の高精度な販売予測の運用で、適正な在庫管理が可能に
- 出光興産:需要予測が難しい石油製品にAI(人工知能)を搭載した高精度の在庫管理システムを導入して、在庫を適正化・業務の効率化
紹介した以外にも、さまざまな種類のシステムがサービス提供されており、事例をふくめて多くの企業で運用がはじめられています。
しかし、ただAI(人工知能)搭載の在庫管理システムを導入するだけでは思うような成果にはなりません。そのため次のポイントを押さえたシステム運用が必要です。
- 整理整頓を行う
- ルールを決めておく
- 定期的に棚卸を行う
- 在庫管理の責任者を置く
AI(人工知能)の在庫管理システムは、これからのデジタル時代で企業の成長を支える力になってくれます。在庫管理へAI(人工知能)搭載のシステムを導入すれば企業に利益をもたらすのは間違いありません。
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