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NHK「AIに聞いてみた」から見る、AI(人工知能)ブームの歴史

NHK「AIに聞いてみた」から見る、AI(人工知能)ブームの歴史

日頃の悩みをAI(人工知能)が解決してくれたら毎日楽ですよね。NHKの番組「AIに聞いてみた」を見ていると、もしかしたらそんな将来があるかもしれないと期待してしまいます。

「AIに聞いてみた」は、社会問題についてAI(人工知能)の意見を聞く番組です。番組上でAI(人工知能)が行ったことは、膨大なデータを分析して提言するという、専門家や研究者がやっているようなことと同じです。その肝心の意見の内容については、まだまだ専門家や研究者には及ばないものの、これからどんどんAI(人工知能)が進歩していけば、気軽にパソコンやスマホでちょっとした悩みをAI(人工知能)に相談できる時代が来るかもしれません。

そのAI(人工知能)において、今3回目のブームが来ています。それだけ聞くと、「今回もどうせすぐにブームは終わるでしょ」と思ってしまいがちです。ところがAI(人工知能)ブームの歴史を振り返ってみると、これからのAI(人工知能)には、これまでにはない大きな可能性があるかもしれません。

そこで今回は「NHK【AIに聞いてみた】に見る、AI(人工知能)のブームの歴史」をお伝えします。

第一次AI(人工知能)ブーム 推論と探索でおもちゃの問題を解決

おもちゃのイメージ

第一次AI(人工知能)ブームが起こったのは、コンピュータが登場した1950~60年代です。当時のAI(人工知能)は、「推論と探索」を行うことで注目を集めていました。

「推論と探索」とは、決められたルールにしたがってゴールを目指す処理を意味します。具体的には、パズルを解いたり、迷路の出口を探すことなどです。

当時のAI(人工知能)が行っていたことは、パズルや迷路を解くために存在する選択肢をしらみつぶしに検証することで正解を導き出す処理です。チェスなどのボードゲームにおいて、自分が有利になる手を選ぶことも行っていました。ちなみにこれらの行動は、われわれ人間が普段から行っている知的な活動の一種です。

しかし、当時のAI(人工知能)は厳密に決められたルールの枠組みでしか活動できませんでした。当時のAI(人工知能)が解いていたゲームのような問題は、トイプロブレム、おもちゃの問題と呼ばれています。このおもちゃの問題はあくまでも楽しいだけで、実生活ではまったく役に立たないものです。このことから、段々と人々のAI(人工知能)に対する関心が薄れていき、第一次AI(人工知能)ブームは終結しました。

第二次AI(人工知能)ブーム 知識を学んで複雑な問題に挑む

質問のイメージ

第二次AI(人工知能)ブームは、一般家庭にコンピュータが普及した1980年代に起こりました。エキスパートシステムの登場により、あらためてAI(人工知能)に対する期待が高まったことで起こったブームです。エキスパートシステムとは、専門家の深い知識をAI(人工知能)に教え込むことで、現実の複雑な問題を解かせるために考案されたシステムです。

例えば、専門医の知識をAI(人工知能)に学ばせることで、カンタンな医療診断を行っていました。「くしゃみは出ますか?」、「頭痛はしますか?」など、ひとつひとつAI(人工知能)の質問に回答することで、大まかな病気の種類がわかるシステムです。このエキスパートシステムにより、AI(人工知能)が現実社会のあらゆるサービスにどんどん進出していきました。

しかし、しばらくするとAI(人工知能)に限界が見えてきました。エキスパートシステムでAI(人工知能)ができることは、決められたルールにしたがって処理することだけです。矛盾したルールや例外的な処理にぶつかると、対処できないことがAI(人工知能)の難点でした。もちろん、専門家が多様なルールを学ばせれば多様な問題に対処できますが、実現には膨大な労力がかかります。

このように、カンタンな処理しか行えないことがわかると、第二次AI(人工知能)ブームは終結しました。

第三次AI(人工知能)ブーム 自分で新たな物事を学びはじめる

学ぶイメージ

第三次AI(人工知能)ブームは、2000年代から現在まで続いています。AI(人工知能)の自主学習が確立されたことから起こったブームです。

もともとのAI(人工知能)は、入力されたルールにしたがってしか活動できなかったため、入力されていない例外的な処理や矛盾したルールにぶつかると、対応できませんでした。その問題を解決するために考案されたものが「ディープラーニング」です。

機械学習とは、AI(人工知能)が自分で新たな物事を学ぶ仕組みで、機械学習の一つのディープラーニングで、より深くデータを理解することができるようになりました。

これまでは、AI(人工知能)に何か処理を行ってもらうためには、ひとつひとつ人間が情報や法則を入力する必要がありました。人間がAI(人工知能)に現実の膨大なルールや情報をすべて教えることはほぼ不可能です。

それに対してAI(人工知能)のディープラーニングが進歩することにより、新たな物事の特徴を理解して自動で最適なルールを考えることができるようになったので、最近では画像認識にも使われるようになっています。

AI(人工知能)が自分で物事を学べるようになったことで、これからは加速度的に進化すると考えられます。

※AIブームについてさらに知りたい方はこちらの記事を見てみましょう

AI(人工知能)が残したすばらしい実績をご紹介

テレビ番組のイメージ

ディープラーニングの実用的な方法が登場してから、AI(人工知能)はより一層すばらしい実績を残しています。例えば、アメリカの「ジョパディ!」というクイズ番組で、IBMのワトソンというAI(人工知能)が人間に勝利しました。

「ジョパディ!」とは、幅広いジャンルを取り扱うことから、全米の人気を集めているクイズ番組です。番組の出場者は、質問に含まれている風刺や謎かけなど、微妙な意味も正確に分析して答えを導く必要があります。そしてこのAI(人工知能)がクイズの複雑な要素を細かく分析し、番組の出場者に勝利しました。

※詳しい記事はこちら

また、AI(人工知能)が自発的に画像データから猫を認識することに成功したことも、大きな出来事です。Google社の研究チームがYouTubeに投稿されたビデオの画像1000万枚をAI(人工知能)に学習させたところ、人間から「猫」という概念を教わらなかったにもかかわらず、AI(人工知能)は「猫」を認識しました。

これは、1000万枚の画像を認識し、パターン分析しているうちに、AI(人工知能)が「猫」をグループ分けしたという出来事です。機械学習とディープラーニングの登場によって、AI(人工知能)は革新的なはたらきをしており、NHKの「AIに聞いてみた」もそのうちの一つとなっています。

社会問題解決に対する新たな試み「AIに聞いてみた」

解決案のイメージ

「AIに聞いてみた」とは、その名の通り、日本社会に存在するさまざまな社会問題について、AI(人工知能)に聞いてみた結果を紹介してくれるNHKの番組です。これまでにも、NHKスペシャルでは多種多様な分野で活躍している専門家や研究者の方の意見を紹介していましたが、この番組では、AI(人工知能)に働き方や健康寿命、超未婚社会などについて訊ねました。AI(人工知能)の意見を紹介する「AIに聞いてみた」は新しい試みですよね。

「AIに聞いてみた」では、分析結果から読み解いた内容をAI(人工知能)からの提言として紹介してくれます。社会問題を解決するための新たな試みとして、大きな反響を呼んでいる番組が「AIに聞いてみた」です。もしこれからどんどんAI(人工知能)が進化して普及すれば、気軽にいつでも日常の悩みを相談できる日が来るかもしれません。

 

さて、今回は第一次から第三次までのAI(人工知能)ブームを振り返ってお伝えしました。

  • パズルや迷路を解くことが精いっぱいだった第一次AI(人工知能)ブーム
  • 単純な情報処理であれば滞りなく行えるほど進化した第二次AI(人工知能)ブーム
  • 膨大なデータを見渡して社会問題について提言できる第三次AI(人工知能)ブーム

第二次ブームまでは人間がAI(人工知能)に物事を教えていましたが、第三次ブーム以降はAI(人工知能)が自分で物事を学んでいきます。これまで専門家が教えなければいけなかったことをこれからはAI(人工知能)が全部自分で学んでいけると考えると、すごい進歩ですよね。

これから人の手を離れてAI(人工知能)がどんどん進歩していくのか、それとも、また何らかの問題にぶつかるのかは誰にもわかりません。気が付いたら、AI(人工知能)があらゆる社会問題を解決してくれていたということも考えられます。

これから、「AIに聞いてみた」のような、AI(人工知能)の能力を確かめるための面白い企画はどんどん増えていくはずです。社会の変化に遅れないためにも、AI(人工知能)の進歩に注目していきたいですよね!

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