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AIが進化した近未来を…漫画「AIの遺電子」から予想してみたw

AIが進化した近未来を…漫画『AIの遺電子』から予想してみたw

AI(人工知能)の技術の進化は、予想もつかないほどのスピードで進んできましたよね。すでにAI(人工知能)がカスタマーサポートを担当したり、AI(人工知能)を搭載したロボットが受付をしたりするところもあるほどです。

そしてAI(人工知能)の専門家たちの中には、もうすぐAI(人工知能)が人間の知能を追い越してしまう、いわゆる「シンギュラリティ」が来ると予想する人もいます。では、シンギュラリティが到来した未来とは、いったいどのようなものなのでしょうか。

AI(人工知能)が爆発的に進化した世界を描いた作品はいくつかありますが、「AIの遺電子」もそのひとつ。この漫画ではすでにシンギュラリティが到来したと思われる未来を描いています。それでは、今回はその未来とはどんなものなのか、またその未来は現実に起こるかもしれないことなのか、見ていくことにしましょう。

「AIの遺電子」は、AI(人工知能)の普及が進んだ世界

近未来のイメージ

「AIの遺電子」は週刊少年チャンピオン(秋田書店)で連載されていた漫画。AI(人工知能)が爆発的に進化し、見た目は人間そのものながらAI(人工知能)の知能を持つヒューマノイドが当たり前のように社会に溶け込んでいる世界を描いています。

主人公はヒューマノイドを治療する医者・須藤光という人間。彼のもとには人間と同じ知性や感情を持つがゆえに、傷ついたり思い悩んだりするヒューマノイドたちが次々と訪れ、問題を解決していくというストーリーです。

AI(人工知能)が進化した世界を題材にした作品には、人間とAI(人工知能)の対立や争いといったものが多いですが、「AIの遺電子」は人間とヒューマノイド、あるいはヒューマノイド同士のつながりに着目したヒューマンドラマとなっています。

シンギュラリティ後の世界では、AI(人工知能)と人間が共存する

AIと人間の共存のイメージ

「AIの遺電子」に登場するヒューマノイドは決して人間よりも優れた存在というわけではありません。人間と同じレベルの知性と人間と同じ感情を持っており、その行動はまったく人間と同じといっても良いでしょう。そしてヒューマノイドは人間の世界に溶け込み、人間と同じような生活をしています。

人間とヒューマノイド、あるいはヒューマノイドの間で友情や愛情が芽生えるのも普通のことで、それゆえにヒューマノイドも人間と同様に悩み苦しんでおり、そのようなヒューマノイドが須藤の病院に訪れるのです。

では、AI(人工知能)の進化が人間のレベルで止まっているのかというとそうではありません。MICHIというAI(人工知能)は人間の知性をはるかに超えており、ヒューマノイドの寿命などはMICHIによって管理されています。

わたしたちの世界でもAI(人工知能)を使って「初音ミク」のようなバーチャルなキャラクターにさまざまな反応をさせ、会話を楽しんだり相談に乗ってもらったり、いずれは疑似恋愛を楽しめるようになるというプロジェクトが進んでいます。

またシンギュラリティが訪れるという専門家は、近い将来VRの技術がさらに進み、生活の大半をVRの世界で過ごすようになるという予想もしています。VRの世界なら肉体は必要ありませんから、人間とAI(人工知能)が同じ立場で過ごすなんてこともあるかもしれません。

「AIの遺電子」の世界はそれよりもさらに進化を遂げていて、ヒューマノイドは人工的に用意された身体にAI(人工知能)の知性や感情を載せている、というもの。子どもこそ作れませんが人間とヒューマノイドの夫婦や親子も存在しており(子どもは養子縁組によるもの)、須藤の母親もヒューマノイドでした。

シンギュラリティの到来で人間がAI(人工知能)に支配されるのではないかと不安視されることも多いですが、「AIの遺電子」の世界では表向き、人間とAI(人工知能)がよい関係を築いています。

「AIの遺電子」ではベーシック・インカムが実現している

ベーシックインカムのイメージ

AI(人工知能)の進化によって危惧されている問題で最も身近なものは「人間の仕事をAI(人工知能)に奪われるかもしれない」というものでしょう。現在でもすでにAI(人工知能)が活躍している職業が出てきていますよね。

AI(人工知能)が人間の仕事を奪うという専門家たちは、次のような予想もしています。

  • AI(人工知能)にできない技術を身につけるべきである
  • AI(人工知能)が人間の仕事を奪ったとしても、新しい職業が生み出される
  • このままでは社会が崩壊するので、働かなくても国が最低限の生活が保障するようになる

私たち国民が働かなくても最低限の生活を国が保障する制度は「ベーシック・インカム」と呼ばれ、最近ではフィンランドなどで実際に生活費を支給して、勤労意欲や社会思想などに変化が見られるか調査するという試みが行われました。

「AIの遺電子」の世界では、人間もヒューマノイドも同じように働いています。ヒューマノイドの落語家や作家が登場するエピソードもあり、人間と同じように悩みを抱え、また克服していきました。

そしてベーシック・インカムを取り扱ったエピソードもあります。こちらは国家ではなく巨大企業による「特区」で行われているもの。財産を持てないかわりに、働かなくても一定水準以上の豊かな生活が送れるのです。

特区で暮らす人間やヒューマノイドは買い物をするのにお金を払う必要はなく、また遊んで暮らそうとも非難されることはありません。また特区にはさまざまなコミュニティがあり、そこに参加して社会貢献をすることでポイントを得られ、ちょっとしたぜいたくをすることもできるのです。

特区以外の場所でも、AI(人工知能)の進化によって人間が仕事を奪われてしまわないよう制限がかけられており、人間がヒューマノイドと同じ職場で同じ仕事をしている描写も多くみられます。

よく見ると怖い「AIの遺電子」の世界

破壊するイメージ

AI(人工知能)が進化してシンギュラリティが到来した後のような世界でも、人間とAI(人工知能)が良好な関係を築いている「AIの遺電子」。しかしよく見ると、やはりパラダイスではないんだなと思えるエピソードもあります。

ヒューマノイドのAI(人工知能)は人工的にプログラムされたものなので、バックアップやコピーを取ることが可能です。しかし犯罪者の中にはヒューマノイドのAI(人工知能)だけを奪って別の身体に埋め込んだうえで犯罪に利用し、捕まればAI(人工知能)をコピーしてまた犯罪に利用する、という者もいます。

そのためAI(人工知能)のコピーは犯罪とされているのですが、闇では多額で売買されており、お金のためにAI(人工知能)の売買に手を染める者も。実は須藤の母親も生活のためにAI(人工知能)のコピーの売買をして逮捕されており、そのことが後にメインストーリーとして展開することになるのです。

もうひとつ怖いのは、超高性能なAI(人工知能)MICHIの存在でしょう。MICHIはすでに、自分をさらに改良するための要望を自分の判断で出すことができるほど。ヒューマノイドを作り出したのもMICHIであると言われています。

MICHIはヒューマノイドが永遠に生きられないように寿命を設定し、人間との共存を妨げないよう、さまざまなコントロールをしています。AI(人工知能)が人間の仕事を奪わないのも、AI(人工知能)が人間に反逆しないのも、MICHIの意志によるものです。

「特区」におけるベーシック・インカムも、MICHIではありませんがAI(人工知能)によってコントロールされています。そこにいる人間やヒューマノイドはすべて監視対象となっていて、AI(人工知能)をさらに進化させるための被験者として利用されているのかもしれません。

「AIの遺電子」の世界は、人間とヒューマノイドが共存していくために、社会のあらゆることがAI(人工知能)によって管理されているといえます。表向きは人間がAI(人工知能)を管理しているように見えても、実は見えないところでAI(人工知能)に支配されているのかもしれません。

「ターミネーター」のような武力で人間を制圧するAI(人工知能)も恐ろしいですが、人間の世界に溶け込んで、じわじわと人間を支配していくAI(人工知能)のほうが、実際にありそうで怖いですよね。

まとめ

さて、漫画「AIの遺電子」で描かれている未来の世界を紹介するとともに、その世界が現実に起こりうることなのか、見てきました。

・「AIの遺電子」は人間とヒューマノイドが共存する世界で、彼らが抱える悩みに向き合っていくヒューマンドラマである

  • 「AIの遺電子」の世界では、人間の知能を超えるほどのAI(人工知能)も存在するが、多くのヒューマノイドは人間と同じくらいの知性と感情を持っており、人間と良好な関係を築いている
  • ベーシック・インカムを採用している「特区」もあり、そこでは人間やヒューマノイドが働かなくても生活できるシステムを取り入れている
  • しかし実際には超高度なAI(人工知能)であるMICHIが社会の多くの部分をコントロールしており、実質的にAI(人工知能)に支配されていると言えるかもしれない

AI(人工知能)が進化し、シンギュラリティが到来した後、人間とAI(人工知能)がどのような関係になっているのか、その可能性のひとつを「AIの遺電子」は見せてくれています。

裏に怖い部分をのぞかせつつも、人間とヒューマノイドの生活に根づいた身近なエピソードを扱った物語です。人間と同じ知性と感情を持ったヒューマノイドによる人間ドラマを楽しみつつ、AI(人工知能)の進化について考えてみるのも良いかもしれません。

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