DX(デジタルトランスフォーメーション)

これからの時代には必須!デジタルトランスフォーメーション(DX)とは

これからの時代には必須!デジタルトランスフォーメーション(DX)とは

近年、デジタル技術の発展とともにあらゆる産業で新しいビジネスが生み出され、私たちの生活も変化していますよね。そんな中、デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉をよく耳にする人も多くなりました。

そして最近ではデジタルトランスフォーメーションの必要性を叫ぶ企業も増えていますが、実際のところデジタルトランスフォーメーションと言われても今一つピンとこない…という方も多いかもしれません。

でも、Uber(ウーバー)はアメリカで有名な自動車配車システムでスマホのUberアプリを使うことで、利用者とドライバーがリアルタイムにマッチングされるだけでなく、目的地も事前に設定でき、決済もオンラインで完結という安心感で、あっという間に人気を集めました。

こうしたデジタル技術で、私たちの生活を便利にしたUberの配車サービスこそがデジタルトランスフォーメーションの先駆けとも言われています。そして、現在ではデジタルトランスフォーメーションは、もはやビジネスシーンでは軽視できない必須のものとなりました。

そこで今回は、デジタルトランスフォーメーションの意味をもっとわかりやすく説明し、今、注目されている理由もお伝えしましょう。合わせてデジタルトランスフォーメーションの成功事例と企業で進めるためのポイントについても解説します。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、その意味を解説

企業のイメージ

最初にデジタルトランスフォーメーション(DX)を提唱したのは、2004年スウェーデンウメオ大学のエリック・ストルターマン教授で、「進化するテクノロジーが人々の生活をより良い方向へと変革させる」という考え方でした。

とはいえ、これだけだと少しおおざっぱでわかりにくいですよね。これを日本企業に向けてもっとわかりやすく説明したのが、経済産業省による「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」(2018年)です。

そこではデジタルトランスフォーメーションとは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。

簡単に言うと「デジタル技術を徹底活用して、従来の価値観にとらわれない、新しいサービスやビジネスを生み出す」こと。すなわち、デジタルトランスフォーメーションは「ビジネス全体を変革させること」と捉えてもよいでしょう。

ここで、一つ不思議なのは「DX」という表記でしょう。デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の頭文字を取れば「DT」になるはずですよね。しかし、英語圏では「Trans」を「X」と略すことが多いため「Transformation」=「X」となり「Digital Transformation」=「DX」と表されるようになりました。

なぜ、デジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されているのか

成長のイメージ

では次に、なぜ従来のシステムではダメで、デジタルトランスフォーメーションがこれからの時代には必須になるのかをお伝えします。

従来のレガシーシステムの延長では企業が成長できないから

インターネットの普及とともに、各企業ではさまざまなITツールの導入が進みましたよね。しかし、現在では「複雑化・老朽化・ブラックボックス化」したシステム、いわゆる「レガシーシステム」が足かせとなっています。

実は、2018年に経済産業省が発表したDXレポートでも「2025年の壁」が注目されました。内容としては「レガシーシステム」をこのまま維持し続けると、「IT保守人材不足によるリスクの上昇」や「Windows7のサポート終了(2020年)」、「SAP社のERPのサポート終了(2025年)」などさまざまな問題によって、デジタルトランスフォーメーションが実現できなくなるとのこと。そして、2025年以降、年間最大12兆円もの経済損失が生まれる、という恐ろしいものです。なので、「レガシーシステム」を運用し続けると、日本全体が2025年に大きな壁に突き当たることになります。

ですから、企業が生き残り成長するためには、今までの技術にとらわれることなく、新しい変革を起こすシステムを考えることが急がれます。

テクノロジーにより消費者の行動や求めるサービスが変わったから

現在は、ほとんどの消費者がスマホを所有し、欲しい商品の情報や価格がいつでもどこでも手に入るようになりました。また「モノ消費」から「コト消費」へ、イベントやアクティビティなど今しかできない体験や経験に価値を見出す消費者も増えてきました。

このような消費者の行動や気持ちの変化に沿ったサービスを、オンライン上で提供できない企業は競争に負けてしまうでしょう。そのためにも、情報システムを見直して新しい発想で消費者の期待に応えることが大切です。

デジタル化がもたらす世界の変化についていくため

すでに世界では、デジタル技術を利用して新しいビジネスモデルを作り上げている企業はたくさんあります。

冒頭で触れた米国の「Uber(ウーバー)」や民泊でおなじみの「Airbnb(エアビーアンドビー)」、オンデマンド・ビデオの視聴システムを開発した「Netflix(ネットフリックス)」などの企業はどれも思い切った改革で、顧客を取り込んでいます。

まだ、うちは大丈夫!と静観していると指数関数的に加速するデジタルの波に乗り遅れて、企業の存続も危なくなるに違いありません。日本独自の良さを残しながら、新たなモデルに切り替える勇気も必要でしょう。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の成功事例

生活のイメージ

それでは、いよいよデジタルトランスフォーメーションの成功事例を具体的に見ていきましょう。

「売る」ことをスマホアプリで簡単にした「メルカリ」

最初にご紹介するのは、今や知らない人はいない日本最大のフリマアプリ「メルカリ」です。

過去に、インターネットでのフリーマーケットやオークションのサイトは存在しました。しかしパソコンでの利用が前提でパソコンを持たない主婦や高齢者にとっては、大きなハードルですよね。

そこで「メルカリ」は誰でも気軽に利用できるスマホに目を付けて、出品や決済など、売買すべてがスマホだけで完結できるアプリを開発しました。これで利用のハードルが低くなり、2015年のダウンロード数約500万から2019年には5億ダウンロードを突破。月間売上がなんと100億を超える巨大企業へと成長しました。

スマホアプリで出品できるシステムの開発は、「断捨離」ブームなどに乗り「不要品を手軽に売りたい!」という利用者の心理やニーズをうまく分析した戦略ですよね。しかも2019年には決済サービス「メルペイ」を導入して、売上分がポイントとして使えるようになりました。それにより、「売ったお金(ポイント)で別のモノを手に入れる」という売買が繰り返される「メリカリ」らしい流通モデルが出来上がったといえるでしょう。

さらに改革は続き、2020年2月からは面倒な梱包や発送をお任せできる「あとよろメルカリ便」を試験運用し始めました。荷主・倉庫・配送会社をネットワーク化して管理し、「メルカリ」に出品された商品を提携倉庫に発送すると、売れるまでの保管や売れた後の発送作業をお任せできる便利で嬉しいサービスです。

このような利用者目線に立った「メルカリ」の数々の改革は、まさにデジタルトランスフォーメーションの代表的な成功例でしょう。

コーヒーは味わうだけじゃない?! デジタル技術でコーヒーライフを楽しくする「ネスレ日本」

次にご紹介するのは、コーヒーやチョコレートで有名な「ネスレ日本」ですが、飲食業界では珍しく多くのデジタル技術を取り入れています。

たとえば、「コーヒーマシーンでコーヒーを入れる」という操作にスマホを連携させることで、プラスαの価値を作りました。誰もが「本体のボタンを自分で押せばいいだけじゃない?」と思うところですが、無料のスマホ専用アプリ「ネスカフェアプリ」を使ってコーヒーを淹れると、別の楽しみが広がるというしくみです。具体的には…

  • 濃さや泡立ちを自由に操作して、自分好みのコーヒーを楽しむ
  • お気に入りに登録した家族や友人が、いつどんな気分でコーヒーを味わったかがわかる
  • 目覚まし機能によって朝、コーヒーの香りで目覚める
  • アプリでコーヒーを淹れるとポイントが貯まり、商品と交換できる

など、「アプリ」を使うことで友人とつながったり、今までにない新しい体験ができますよね。このようにスマホから操作できるマシーンは、発売(2016年)から2か月あまりで出荷台数が10万台を突破するほどの人気になりました。

また、「ネスレ ウェルネスアンバサダー」の会員になって食事の写真をLINEで送ると、AI(人工知能)が分析して食事をアドバイスしたり、コールセンターにはAI(人工知能)を導入して、チャット機能を活用しながら自動応答でのサービス向上を図っています。

このように「ネスレ日本」は、コーヒーを味わうだけでなくデジタル技術を活用して付加価値を付けることで、消費者の満足度を高めていますよね。これが新たなビジネススタイルとなり継続的な成長につながるでしょう。

独自のデータ収集で気象ビジネスを拡大する「ウェザーニュース」

「今日の雨の確率は?」と毎日の天気は気になるところ。民間気象情報会社「ウェザーニュース」は、公的機関から入手する気象データだけでなく、気象観測用のレーダーやセンサー、個人からの情報提供など独自のデータ収集方法で大きく成長しました。

まず、スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」の開発で、今まではテレビや新聞で見ていた天気予報や雨雲レーダーなどが、誰でも気軽に閲覧できるようになりました。そのため、アプリダウンロード数は1400万件を超え、さらに有料会員数も258万人に達しました。私たちの生活に密着している「天気」がどこでも確認できるのはありがたいですよね。

また、このアプリで登録した全国の「ウェザーレポーター」から送られる雲の写真を、AI(人工知能)が解析することで、ゲリラ豪雨など発生予報のタイミングが21分前から50分前へと早くなりました。しかも、「ウェザーレポーター」には気象観測器を支給する特典を加え参加する価値を高めることで、ゲリラ豪雨のレポーターは1万人から12万人に拡大しました。これにより、ゲリラ豪雨に対して、早く気がつくことができるようになります。

誰もが利用できるスマホアプリを活用した、参加型の天気予報が確立されたおもしろいケースですよね。

さらに2020年5月には、ビジネスに役立つ気象データを提供する「ウエザーテック」サービスを始め、小売り、イベント、建設業界など幅広い企業の課題解決を目指しています。

企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるためのポイント

目標のイメージ

このようにデジタルトランスフォーメーションで成功した事例を見ると、「じゃあ、うちも!」とすぐに取り入れたくなりますが、実は成功ばかりではありません。なので、次に成功への近道として大切なポイントをいくつかお伝えしましょう。

デジタルツールを導入して何を変えたいのかしっかりとした目標を持つ

デジタルトランスフォーメーションにはデジタル化は必須ですが、やみくもに導入を進めても成果は上がりません。まず消費者の行動変化を敏感にとらえ、自社のビジネスモデルの何を変えればもっと顧客のニーズを取り込み、収益アップにつながるのか、目標を絞る必要があります。

自社の強みや理念は手放さない

それぞれの企業には他者には負けない自社の強みや、創業時からの理念はありますよね。その部分を変革で壊すことなく、逆に強みを最大に引き出すためのデジタル化を進めると優位に立てるでしょう。たとえば紙やWebページなどで行っていた製品紹介も、動画にするともっと幅広い世代に製品の魅力が伝わるかもしれません。

リスクを恐れず素早く実践する

業績が好調な時は何かを変えていこう!という意識は低くなりますよね。でもテクノロジーのスピードは速く、朝起きたら「ライバル企業がすごい変革をしていた」ということもあります。とにかく目標ができれば実現のために、1歩でも早く足を踏み出すことが大事です。

特に経営者やリーダーは、デジタルトランスフォーメーションがなぜ今必要なのか、切迫感を持って全従業員に伝えることが必要です。会社のことを一番考えているトップの言葉には従業員も納得するでしょう。

既存の「レガシーシステム」を見直し対策を立てる

技術の老朽化やシステムの複雑化などが指摘される「レガシーシステム」を使い続けると、市場の変化に対応できずデジタルトランスフォーメーションの実現が困難になります。また定年などで旧式のシステムを使いこなす人材も不足するでしょう。でも、すべてを新しいシステムにすると莫大な費用がかかりますよね。

そこで、まず自社の業務で本当に必要な機能を洗い出し「刷新」、「維持」、「破棄」する部分を明確にします。加えて、IoTやAI(人工知能)などの最新テクノロジーがうまく適用できるよう検討することも大切でしょう。

スペシャリストのサービスを利用する

デジタルトランスフォーメーションを成功させるには、戦略、実証、システム開発など多くのプロセスが必要になり、大規模になるほど進め方が難しくなります。そんな時は株式会社モンスター・ラボテクノスデータサイエンス・エンジニアリング株式会社など「スペシャリスト」の手を借りるのも一つの手です。開発経験豊富なコンサルティングのサポートを受けると、「デジタルトランスフォーメーション」のスピードもアップするはずです。

まとめ

さて、今回はデジタルトランスフォーメーション(DX)の意味や今注目される理由、そして実際の成功事例や成功させるためのポイントについて解説しました。

まず、デジタルトランスフォーメーション(DX)とは「デジタル技術を活用して、従来の価値観にとらわれない、新しいサービスやビジネスを生み出し、ビジネス全体を変革させること」でした。

そんなデジタルトランスフォーメーションが最近なぜ注目されているのか、理由を3つお伝えしました。

  • 従来のレガシーシステムの延長では企業が成長できないから
  • テクノロジーにより消費者の行動や求めるサービスが変わったから
  • デジタル化がもたらす世界の変化についていくため

そして、実際の成功事例として「メルカリ」、「ネスレ日本」「ウェザーニュース」
の3つをご紹介しましたが、いずれの事例も企業のデジタル化によって、人々の生活がより便利なものへと変わっていますよね。

こうした「デジタルトランスフォーメーション」を実現するには、以下のようなポイントがあります。

  • デジタルツールを導入して何を変えたいのかしっかりとした目標を持つ
  • 自社の強みや理念は手放さない
  • リスクを恐れず素早く実践する
  • 既存の「レガシーシステム」を見直し対策を立てる
  • スペシャリストのサービスを利用する

これからの時代、デジタル技術で改革を促すデジタルトランスフォーメーションはますます必須になるでしょう。今までのビジネスのやり方を打ち破って、新しいことに挑戦するのは勇気も必要ですよね。

でも世の中の「変化」に慣れるためにも、普段から新しいことを試したり、ネットワークを広げて多くの人と接することも大切です。そうすれば、きっと今のニーズに合った新しいビジネスモデルのアイデアもひらめくに違いありません。

参照
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?言葉の意味を事例を交えてわかりやすく解説 | 株式会社モンスター・ラボ
DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(METI/経済産業省)
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?具体例や営業dxのメリットも解説! | Senses
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DX(デジタルトランスフォーメーション)について解説!成功事例なども紹介 | 株式会社クロス・コミュニケーション コラム
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