DX(デジタルトランスフォーメーション)

2025年の崖に向けて理解しておくべき課題3つと取り組むべき対策4つ

2025年の崖のイメージ

2025年の崖は日本にとって何としても回避したい問題ですよね。

日本にとって大きなターニングポイントになる年が2025年。「2025年」でインターネット検索すると「2025年問題」と「2025年の崖」が出てきます。

2025年問題とは「団塊の世代」(第一次ベビーブーム(1947年~1949年)の時に生まれた人たちの世代。)が要介護率の高くなる後期高齢者(75歳)に達し、医療・介護などの社会保障費が急増して財政の圧迫が懸念されるので、日本にとって何らかの対策を打たなければならない大きな問題です。

そして2025年の崖は回避できるかできないかで、2025年以降の日本経済の明暗を分けることになる大きな問題になります。

そのため現在、日本企業では2025年の崖に向けた対策が急務。そこで今回は、2025年の崖について理解しておきたい課題とその対策などをお伝えしましょう。

2025年の崖とは

旧システムのイメージ

ずばり「2025年の崖」とは、この時期から日本が受けはじめると予測されている巨額の経済損失です。

経済産業省のDXレポートには、2025年以降に年間で最大12兆円の経済損失が発生すると予測しています。

「2025年の崖」とは?わかりやすく解説 | お多福ラボ
「2025年の崖」という言葉は、経済産業省によって発表された『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』の中に登場し、「2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性がある」と警告しています。そこで今回は経済産業省が警告する「2025年の崖」とは何か?についてお伝えします。

では、どうして2025年という時期なのでしょうか。

その大きな要因の1つは、現在多くの日本企業が使用している基幹システムの老朽化。すでにビジネスは最新デジタル技術を活用したデジタル競争の時代へと入っており、システムの刷新や新たなシステム導入が必要になっています。
しかし現在もなお、多くの企業で使用されている基幹システムは十数年前に導入されたもので、2025年になると稼働期間が21年以上になる基幹システムが全体の約60%に達すると予測されているのです。

そのため基幹システムの老朽化により、デジタル競争で必須になっているデータ活用やAI(人工知能)・IoTなどの最新テクノロジーが利用できない事態に陥ります。

そして、このままいけば日本が世界各国との競争で大きく差を広げられてしまうのが2025年。この年以降は年間で最大12兆円の経済損失が発生すると予測されているのです。

ならば2025年の崖をDX(デジタル・トランスフォーメーション)で回避できないのでしょうか。

⽇本のDX(デジタル・トランスフォーメーション)の現状

日本のイメージ

DXは2025年の崖を回避するため、デジタル競争で生き残るために不可欠な手段になります。

DXとは最新のデジタル技術を活用しデジタル化を推し進めて、業務・ビジネスモデルを変革し経済競争で優位に立とうとする取り組みです。そして現在、日本ではDXを国が推進しています。

では日本企業のDX化はどれくらい進んでいるのでしょうか。

2019年の11月に日経BP総研イノベーションICTラボが「デジタル化実態調査」の結果を発表しました。

この調査はDXの取り組み状況や2025年の崖について約1万社を対象に行われ、DXを推進している企業は36.5%、全く推進していない企業が61.6%という結果。

この調査からも分るように、6割を超える企業がDXを推進していないのです。またDXの推進状況は、企業規模が大きくなるほど割合が高く小さくなるほど低いという傾向になっています。

そして同調査の「既存システムがDX推進の足かせになっているのか」の問いに、「非常に深刻」が11.2%、「やや深刻」は23.9%との回答があり、35.1%の企業は既存システムがDXの足かせだと実感しているのです。

しかし「深刻ではない」との回答も38.7%あり、その他の「分からない」「無回答」を省いてみると「深刻」「深刻ではない」が半々という結果になっています。

調査結果をまとめると、6割を超える企業が全くDXを推進しておらず、約半分の企業は既存システムがネックとなり、DXが推進できていないことが分かりました。

しかしDX化が実現できなければ2025年の崖で日本企業のデジタル競争からの脱落は免れません。

2025年の崖で理解しておきたい課題3つ

課題のイメージ

日本企業のDX化を実現していくためには、2025年の崖を回避するために立ちはだかっている課題を理解しクリアする必要があります。そして主な課題は次の3つです。

基幹システムの老朽化・複雑化・ブラックボックス化

これまでに述べたように多くの日本企業が使用している基幹システムは老朽化しており、それに加えて複雑化・ブラックボックス化もしています。

基幹システムの複雑化とは企業が独自にカスタマイズを行ってきた結果、システム内の構造が複雑になってしまった状態。

ブラックボックス化はシステムの全容が分からなくなってしまった状態のことで、企業のシステム担当者のほとんどが多くても数名なのでノウハウが属人化されており、その担当者の退職により引継ぎがされなかったなどで起きている問題です。

そのため複雑化・ブラックボックス化した基幹システムではデータ管理がしづらく、また事業部門ごとにシステム構築されているのでデータ共有が難しい状況になっており、DX化の醍醐味であるデータ活用ができない状態になっています。
そして現在も多くの企業が基幹システムに「SAP ERP」を導入していますが、サポートが2027年に終了するのでシステム刷新を急がなければならないという事情もあります。

また日本の場合、多くの日本企業は基幹システムの導入をベンダー企業(システム提供会社)に任せています。そのためほとんどのIT人材はベンダー企業に所属しており、ユーザー企業は少ない傾向なので基幹システムに関するノウハウが少なく、基幹システムが抱えている課題を自社で解決できないのがほとんどです。

IT人材の不足

少子高齢化にともない、さまざまな分野で人材不足が問題になっていますが、IT人材もすでに不足している状況です。

2015年の時点でIT人材は約17万人不足した状態で、2025年には約43万人まで拡大すると予測されています。

そのため現在、既存の基幹システムを担当しているITエンジニアが高齢化で退職してしまうと、新しい人材が入っても老朽化した基幹システムに充てる可能性も少なく、ますます老朽化・複雑化・ブラックボックス化した基幹システムの改善は難しくなります。

既存システムの維持管理費の増幅と、システムトラブルなどのリスク

経営面の課題はご紹介してきた「基幹システムの老朽化・複雑化・ブラックボックス化」と「IT人材の不足」が影響しています。

まず既存の基幹システムがDX化できないことで、デジタル競争で生き残れなくなってしまいます。
そして既存システムの老朽化・複雑化・ブラックボックス化で問題になるのが維持管理費です。

多くの企業でIT予算の約80%までふくらんでおり、DX化の費用を用意できない状況にもなっています。またIT人材の不足はサイバーセキュリティやシステムトラブル・データ減失などのリスクも。

2025年の崖を回避するためには紹介した課題のクリアは不可欠ですが、どの課題も難解な状況になっています。

2025年の崖までに取り組むべき対策4つ

DXした事務所のイメージ

2025年の崖の回避で立ちふさがっている3つの課題は難解ではありますが、すでに解決に向けた対策が確立されています。ここでは日本企業に取り組んでいただきたい4つの対策をご紹介しましょう。

DX推進指標を使用して、今後の行動計画を立てる

2025年の崖を回避するためには、企業のDX化は必須項目です。そこで使用していただきたいのがDX推進指標。

DX推進指標とは経済産業省が取り決めたチェックリストで、企業がDX化に向けて自社の「現在位置」「抱えている課題」を把握できるようになっています。
そのため何から始めるべきかが分かるので、この結果をもとに今後のDX化に向けた行動計画を立てましょう。

既存システムの調査で必要な機能を残す

複雑化・ブラックボックス化した基幹システムの機能のうち、本当に必要な機能はほんの一部である可能性があります。

そこで基幹システム内の調査を行い、必要な機能・不必要な機能を明確にして必要な機能だけを残します。
これは不必要な機能を残してしまうと無駄なコストも残してしまうからです。

また順を追いながら調査することで、ブラックボックス化したシステムの全容も明らかになり解消することができます。一度に刷新するのが難しい場合は段階的に行いましょう。

この調査を行い刷新していくことで、これまで難しくなっていたデータ活用が容易になり、既存の基幹システムのままDX化も可能になります。

新しいシステム・技術の導入

既存システムの調査により内部構造が明らかになることで刷新でき、新しい技術導入も容易になってきます。

そこで、これからの業務で大きな役割を担ってくれる最新テクノロジーのAI(人工知能)やIoTなどの導入も検討しましょう。

「2025年の崖で理解しておきたい課題3つ」でも紹介したように、現在多くの企業で既存システムに使用されている「SAP ERP」はサポートが2027年に終了します。ですから新しい基幹システムの導入も検討すると良いです。

しかし新たにシステムを導入するとなれば、大きなコストが必要ですよね。その場合は「中小企業経営強化税制」(基幹システムの導入などの新規設備投資に利用できる税制優遇措置です。)などの公的支援を利用しましょう。

自動化・育成で人材不足を解決する

人材不足を解決する方法の一つは、基幹システムの運用・保守業務などの自動化です。そして自社でもIT人材の育成を行い、DX推進とこれからのために最先端のデジタル技術分野に人員を充てましょう。

またどうしてもIT人材を確保できない場合は、アウトソーシングの利用も検討してみてください。

2025年の崖を超えた後について

今後のイメージ

それでは「2025年の崖を超えた後どうなるのか」日本の企業人にとっては、とても気になることですよね。

「⽇本のDX(デジタル・トランスフォーメーション)の現状」でお伝えしたように、日経BP総研イノベーションICTラボの「デジタル化実態調査」でDXの推進を全くしていない企業が61.6%、そして約半分の企業は基幹システムの問題がネックとなり、DXが推進できていないという結果が出ています。
ここから推測すると2025年の崖を超えた後は、企業によって大きく明暗が分かれるでしょう。

すでにDXの推進・既存システムの刷新など、2025年に向けた対策に取り組んでいる企業であれば、2025年の崖の後もデジタル競争の中で生き残る可能性は高くなります。

しかしDXが全く推進できていないようであれば、脱落していてもおかしくないでしょう。

また同調査の結果からDXの推進状況は企業規模が大きいほど推進されており、小さくなるほど低い傾向が分かっています。

そのため企業規模によって、2025年の崖を回避できるかできないかの明暗が分かれる可能性も考えられます。そして現状のまま行くと、予測されている最大12兆円まではいかなくても大きな経済損失を日本が受ける可能性が高くなるでしょう。

 

システムのイメージ

「2025年の崖」とは、2025年以降に日本が受けはじめる年間で最大12兆円の経済損失のことを指しており、DXの推進は2025年の崖を回避するために不可欠な手段になります。

しかし日経BP総研イノベーションICTラボの調査によると、6割を超える企業が全くDXを推進しておらず、約半分の企業は基幹システムの状態がネックとなりDXが推進できていないことが分かりました。

そして2025年の崖を回避するために立ちはだかっている主な課題は次の3つになります。

  • 基幹システムの老朽化・複雑化・ブラックボックス化
  • IT人材の不足
  • 既存システムの維持管理費の増幅と、システムトラブルなどのリスク

これらの課題は難解ですが、すでに2025年に向けての対策が出されています。

  • DX推進指標を使用して、今後の行動計画を立てる
  • 既存システムの調査で必要な機能を残す
  • 新しいシステム・技術の導入
  • 自動化・育成で人材不足を解決する

そして日経BP総研イノベーションICTラボの調査結果から推測すると2025年の崖を超えた後は、現在の時点で「DXを推進している・していない」や「企業規模」によって明暗が分かれ、現状のまま行けば日本は大きな経済損失を受けることになるでしょう。

2025年の崖への対策とDX化は、これからデジタル競争で生き残っていくためには避けられない道です。

日経BP総研イノベーションICTラボの調査結果からも分かるように、DXの推進自体がまだだという企業は数多くあります。企業によって事情は異なるでしょうが、DXの推進がまだだという企業の方には今回紹介した2025年の崖の課題や対策を参考にしてください。

そして少しずつでもいいのでDX化に向けて前進し、デジタル競争社会で勝ち残りましょう。

【お知らせ】

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