DX(デジタルトランスフォーメーション)

システムの運用形態オンプレミスとは?クラウドと比較しながら解説

サーバーのイメージ

企業のシステムには、2種類の運用形態「オンプレミス」と「クラウド」があります。

「クラウド」と聞くと、身近なもので「iCloud」とか「クラウドワークス」、「クラウドファンディング」などいろいろと想像できますが、これらはすべて「クラウドコンピューティング」というシステム運用形態を利用したものです。

身近に聞く名称だけに、どのようなシステム形態か知っている人も多いですよね。

反対に「オンプレミス」という言葉は聞いたことがない方もおられるのではないでしょうか。

実はこのオンプレミスは、クラウドよりも以前からあるシステム形態であり、大抵の企業が取り入れて運用しています。

一体どのようなシステム形態なのでしょう。そこで「オンプレミス」についてお伝えいたします。

そもそもオンプレミスとは

企業のイメージ

オンプレミスは英語で「On-Premises」と言い、「社内・敷地内・店内」などの意味があります。

「オンプレミス」とはサーバー、ネットワーク、ソフトウエアや機器等の設備を自社内で運用・管理するシステム形態。

以前から企業のシステム形態として運用されている「オンプレミス」ですが、実はその名前は2000年代後半に生まれた「クラウド」の言葉の後に付けられました。

当時、企業のシステム運用形態は「オンプレミス」のみで、名前はありませんでしたが、しかし、1990年代から2000年代前半にブロードバンドインターネット接続が普及し、オンデマンド形態である「クラウドコンピューティング」の名称が現れ始めたのです。

そして2006年以降に「クラウド」の名称が社会に浸透し始めた際に、従来の運用形態と区別するために「オンプレミス」の名前が使われるようになりました。

オンプレミスとクラウドの違い

クラウドのイメージ

オンプレミスとクラウドの2つのシステム形態は何が違うのでしょうか。

システムの違い

まず基本的な違いとして、運用の仕方です。

オンプレミスは自社内ネットワーク内で顧客情報やデータ転送が可能ですが、クラウドはインターネット上のサーバーを使用してデータのやり取りを行うことができます。

他にもさまざまな違いがありますが、ここでは大まかな違いを紹介いたしましょう。

導入時の違い

オンプレミスはサーバーやソフトウエアおよびその他の機器をそろえた上で、長い工期を経てシステムが構築されます。
その反面、クラウドは機器などの購入はなくインターネット上のサーバーを使用するので導入がスムーズで工期も必要なく始められます。

セキュリテイの違い

オンプレミスは自社でネットワークを構築しているため、データ流出もなく安全です。さらにウイルス対策用のソフトやアクセス制限などが自由に導入できるため、セキュリテイの強化が図れます。

クラウドはいろんな人が利用するネットワーク上にサーバーがあるため、ウイルスやハッキング攻撃を受ける可能性もあり、オンプレミスに比べるとセキュリテイ面に劣ります。

保守管理面での違い

オンプレミスは自社内で運用が必要なので、トラブルが起きても自社内で対応しなければいけません。トラブル対応や保守管理するためにコストが上がるケースがあるため、長期的な保守管理予算を見通しておかないといけません。
クラウドはトラブルが起きてもクラウドサービス側で対応し、保守管理自体もクラウドサポートが担うためコストも低く抑えられ運用しやすいメリットがあります。

オンプレミスのメリット

メリットのイメージ

クラウドと聞くと最近の技術だから、オンプレミスより良いイメージを持たれがちですが、今でもオンプレミスを使っている企業もあり、そのメリットはクラウドには届かない機能もあるので一概に古いシステムとは言えません。

カスタマイズの柔軟性

オンプレミスは柔軟なカスタマイズできます。業務上サーバーやソフトウエアを頻繁にカスタマイズしなければいけない場合や、システム連携が必要な際などにカスタマイズ機能は便利です。

予算に応じて、必要なカスタマイズを行えば無駄のないシステム強化につながります。

安全性が高い

実際にセキュリテイソフトを連携させて安全性を高めるのはもちろんですが、社内だけでネットワークを完結させて、パソコンも有線接続のため盗聴やウィルスでのハッキングなどのリスクを低減できます。

システムの処理効率が高い

クラウドはインターネット上でサーバーを利用するため、使用している通信回線の性能によって「通信の速度が著しく遅い」「処理が遅い」などの問題が生じる場合がありますが、オンプレミスは内部ネットワークで完結できるので、ネット回線の処理速度の影響もなく処理効率が非常に高いのがメリットです。オフラインでもシステム利用が可能です。

オンプレミスのデメリット

ポイントイメージ

オンプレミスは以前から使用されていた経緯があり、単一のシステム形態であったためデメリットに目を閉じていた企業もありました。しかし、現在クラウドのシステム形態が成長し続けている中、オンプレミスのデメリットが少しずつ明るみに出ています。

初期費用が高い

オンプレミスでは自社ネットワーク構築のため、どうしても初期費用が高くなります。
具体的には、ライセンス購入、導入費や開発費など初期にかかる費用は、それぞれが高額なので予算を十分に取れなければ導入は難しいデメリット。
また導入費は、ハードウエアなど基本費用とサポート費用、そして操作方法などの教育費用などがあります。

開発費は自社システムに適合するようにカスタマイズや拡張機能を追加する費用です。

購入後に固定資産税がかかる

オンプレミスはサーバーを資産として購入するため、減価償却で会計計上する必要があり、固定資産税の課税対象になる可能性があります。

取得価格の条件で課税対象外となる場合があるほか、リース資産や中小企業特例にも対象外となるケースもあるので税理士に相談することをおすすめです。

保守運用と管理

サーバーの保守期限は4〜5年のサイクルでやってきます。

期限間際でOSアップデートなどの対策をされたとしても、数年に蓄積されたホコリなどでサーバーダウンを起こす可能性も。トラブルを起こせばデータを失う可能性もあるため、日々の保守管理には専門知識をもった担当者を雇用しなければならず、それなりにコストもかかります。

オンプレミスは、こんな場合におすすめ

セキュリティのイメージ

オンプレミスは個人情報などの機密データをビッグデータとして扱う企業にはおすすめです。

金融機関や官公庁は機密データも多く、強固なセキュリテイシステムが必要なので現在もオンプレミス形態を使用しています。

クラウドではインターネット経由でデータ転送を行うため、情報を盗取される可能性がありますが、オンプレミスは自社ネットワーク内でデータのやり取りが完結するので、情報の盗取やウイルス感染のリスクは低いです。

セキュリテイソフトの連携やカスタマイズ機能でさらに強固なセキュリテイを構築することも可能。

オンプレミスを使うときの注意事項

エンジニアのイメージ

オンプレミスを使用するときの注意しておきたいのが、エンジニア人材の確保です。

オンプレミスは基本的に自社でネットワークを構築し、データや個人情報などを蓄積していきますが、ネットワーク構築にはさまざまなソフトウエアや機器を使わなければいけません。

そこで、専門知識のあるシステムエンジニアのサポートが必要になります。もしエンジニアの確保が難しい場合、ソフトウエアの連携や機器の設定などに加え、保守管理も継続できない状態になってしまいます。
自然災害などが発生した際にシステムがダウンした後の復旧作業についても自社で行わなければならなりません。昨今の少子高齢化におけるエンジニア不足の問題があるように、人材確保もそれなりに時間とコストもかかるので、導入の際には注意点を踏まえた計画を立てることが必要です。

 

仕事のイメージ

「オンプレミス」についてお伝えしてきまし。それでは最後にまとめです。

オンプレミスとは?…サーバー、ネットワーク、ソフトウエアや機器等の設備を自社内で運用・管理するシステム形態のこと。
オンプレミスとクラウドの違い…それぞれの違いがありますが、大まかに以下の違いを説明しました。
システムの違い…オンプレミスは自社でシステム、ネットワークを構築して運用しますが、クラウドはインターネット上でシステムを運用します。
導入時の違い…導入時におけるそれぞれのハードルの違いがあります。

オンプレミスはネットワーク構築の工期が長く、クラウドはインターネット上のサーバーを使用するため工期もなく導入がスムーズ。

セキュリテイの違い…オンプレミスはセキュリテイソフトの追加や制限をかけるなど自由に設定が可能。その反面、クラウドはネット上でデータのやり取りを行うため、オンプレミスよりセキュリテイ面では弱い。
保守管理面での違い…オンプレミスはトラブルが起きた場合、自社内で対応しなければいけません。トラブル対応や保守管理するためにコストが上がる可能性が高いと言えます。

クラウドはトラブル発生時クラウドサービス側で対応し、保守管理自体もクラウドサポートが担うためコストも低く抑えられます。

  • オンプレミスのメリット

カスタマイズができる…オンプレミスは業務上サーバーやソフトウエアをもっと使いやすくする場合や、システムの連携が必要な時などに自由にカスタマイズできるメリットがあります。必要なカスタマイズを行えば無駄のないシステム強化につながります。

  • 安全性が高い

セキュリテイソフトを追加し、パスワード管理などで制限をかけたりのカスタマイズも可能なので、盗聴やウィルスでのハッキングなどのリスクを低減できます。

オンプレミスのデメリット

  • 初期費用が高い

オンプレミスでは自社ネットワーク構築でITリソースが必要になるため、初期費用が高くなります。ライセンス購入、導入費や開発費など初期にかかる費用など高額な物が多くなります。

  • 購入後に固定資産税がかかる

オンプレミスはサーバーを償却資産として購入するため、固定資産税の課税対象になる可能性があります。

取得価格の条件で課税対象外となる場合があるほか、リース資産や中小企業特例にも対象外となるケースもあるので税理士に相談することをおすすめします。

  • 保守運用と管理

サーバーの保守期限間際でOSアップデート対策をされたとしても、数年に蓄積されたホコリなどでサーバーダウンを起こす可能性も。日々の保守管理が重要になりますが、専門知識をもった担当者を雇用・確保が必要なため人件費などのコストがかかります。

オンプレミスはこんな場合におすすめ…オンプレミスは個人情報などの機密データをビッグデータとして扱う企業にはおすすめです。
金融機関や官公庁は機密データも多く、強固なセキュリテイシステムが必要なので現在もオンプレミス形態を使用しています。
オンプレミスを使う時の注意事項…オンプレミスは基本的に自社でネットワークを構築し、データや個人情報などを蓄積していきますが、ネットワーク構築には専門知識をもったエンジニアが必要です。
しかしながら、昨今の少子高齢化におけるエンジニア不足の問題があるように、エンジニア人材の確保が困難になっています。

このように人材確保に向けた計画や戦略を踏まえた上で、オンプレミス導入を検討をしましょう。

 

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