DX(デジタルトランスフォーメーション)

これからはDX!国内デジタル・トランスフォーメーション事例まとめ

ビルのイメージ

「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」という言葉、最近よく耳にしますよね。ひょっとしたら「何となく聞いたことあるかも」くらいの方のほうが多いかもしれません。

DXの事例はいろいろありますが、その方法は業種によってさまざま。でも、どれも時代の先端を目指しているだけあってその内容は興味深いものばかりです。

5年後、10年後、私たちの生活がどんなふうに変わっていくのか、まるで未来を垣間見るようなワクワク感。DXの事例は、そんなあなたの知的好奇心を満たしてくれる新しいアイデアがいっぱいです。

でもいざ「DX(デジタル・トランスフォーメーション)の意味は?」と聞かれてすんなり答えられる方、案外少ないのでは。それに「今DXに取り組まないと大変なことになる」などと危機感をあおるような報道もよく見かけます。本当のところはどうなんでしょうか。

ここでは「DXの意味」と「今なぜ重要視されているか」、あと「DXの事例」も交えてご紹介します。

では早速みていきましょう。

そもそもDX(デジタル・トランスフォーメーション)とは

デジタル(AI)イメージ

DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、ごく簡単に言うと「デジタル技術を活用して企業やサービスのあり方そのものを変革し、新しい価値を作り出しましょう」という意味。
もともとは2004年にスウェーデンで生まれた言葉で、「ITが浸透することによって、生活のあらゆる面に良い変化を与える」といった意味合いでした。

日本では2018年に政府がDXについてのレポートや推進ガイドラインを発表してから、認知度が一気にアップ。DXの対象は「企業」として、多くの方に知られるようになりました。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)によって企業が具体的に変革を目指すポイントは次のとおり。

  • 製品やサービス
  • ビジネスモデル
  • 業務のしくみ
  • 組織
  • 企業文化・風土

これらを改革することによって、企業は競争で優位に立ち、収益が安定。そしてユーザーに新しい価値を生み出し、これまでになかった便利さを提供します。

私たちの生活の中で一番身近なDXの成功事例はAmazonでしょう。1994年に小さなオンライン書店としてサービスを開始してから20年もたたないうちに、世界の主要IT企業にまで成長しました。

このような偉業を成しえたのはAI(人工知能)、クラウド、ビッグデータといった最新のテクノロジーをどこよりも早く活用してきたから。確かにAmazonは「新しい価値」「これまでになかった便利さ」を私たちに提供してくれていますよね。

しかし、このような世界を代表するIT企業は今の日本では見当たりません。日本が徐々に世界から取り残されつつある現状は、おそらく皆うすうす感じているでしょう。

政府がDX(デジタル・トランスフォーメーション)に乗り出してきたのもこのような理由から。その内容を次でご説明します。

なぜDX(デジタル・トランスフォーメーション)なのか

2025年の崖

そもそも「デジタル化」と言われてもう随分たつのに、どうして今さらDX(デジタル・トランスフォーメーション)なのでしょうか?

今DXが大きくクローズアップされている理由・・・その答えは2018年に経済産業省が発表した「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」を見ると明らかに。

レポートのテーマには、いきなり「2025年の崖」というインパクトのある言葉が登場しています。

このレポートでは「今DXに取りかからないと、2025年以降最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性がある」としています。

そしてこの損失は「レガシーシステム」が原因、とレポートにはあります。

レガシーシステムとは「老朽化、肥大化・複雑化、ブラックボックス化したシステム」のこと。

レポートでは、このレガシーシステムの保全やトラブルが原因で、現在も年4兆円の損失を出し続けているというのです。

確かに企業には古いシステムがたくさん残っているし、それによるトラブルも頻発しているはず。システムサポートの終了も次々と押し寄せてくるから、このままでは不安ですよね。

この古いシステムを新しくすると、政府の試算では「2030年には実質GDP130兆円超の押上げを実現」できるというのです。

「年12兆円の損失」から「130兆円超の押上げ」とは・・・この差を見ると「崖」という言葉が気を引きたいだけの大げさな表現ではないことがわかります。

たなべ

た、確かに、これは崖かも

今すぐDXに取り組むかどうかで、日本の将来は想像以上に大きく変わってきそうです。実は、日本でも一足早くこのDXに取り組み、成果を出している企業があります。その成功事例を業種別にみていきましょう。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)成功事例:医療介護

医療のイメージ

DXの事例1例目は、大塚製薬の「服薬支援システム」です。薬を飲む時間になったら、錠剤が入ったケースが光の点滅でお知らせ。薬を飲むと、スマホのアプリで家族に「服薬完了」メールを送信することも可能。

服薬の履歴を見て医療関係者が指導に役立てることもできます。

毎日同じ薬を飲んでいると、「今日はお薬飲んだかな?」と忘れてしまうことありますよね。高齢者だとなおさら。

これがあれば飲み忘れ防止はもちろん、周囲が状況を把握することができるので安心。そして結果的に病気の再発・悪化を防げます。
たなべ吹き出し
たなべ

おじいちゃん、おばあちゃんにぜひ使ってほしい!

このシステム、今は主に薬の飲み忘れによるリスクの大きい脳梗塞患者に使用されています。使用方法はまだ限定的ですが、今後データが積みあがってくるとそれを元に新たな知見が生まれてくるでしょう。

そして将来、個人の医療データが各医療機関で共有されるようになったら、もっと活用の幅が広がりそうです。

次は金融業界のDX成功事例をご紹介。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)成功事例:金融

金融のイメージ

DXの事例2例目は、金融業の三井住友銀行。年間35,000ものお客様の声を、「テキスト含意認識技術」を使って要約・分類しています。
たなべ吹き出し
たなべ

単語の重要度や主語述語まで考えて分析しているんですって

システム導入前は、お客様の声を人が1件ずつ手作業で仕分けし、それぞれの担当部署が対応してきました。

それがこのシステムを使うと作業時間の効率化だけではなく、「一定期間内でどのような要望がどのくらいあるのか」「長期的に内容がどのように変化しているのか」などがわかるように。

今まで見えなかった改善ポイントが可視化されるようになるので、顧客の満足度が高まること間違いなし。

また、各部署が個別に対応して終わりではなく、データを総合分析すると新しいサービスを生み出すヒントにもなるでしょう。

次は飲食業界のDX成功事例。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)成功事例:飲食業

スシローのイメージ

DXの事例3例目は、回転ずしのスシロー。スシローのITによる効率化はもう有名ですよね。

スシローは2002年から皿にICチップを付けてリアルタイムで需要を予測し、廃棄ロスを減らしてきました。レーンを一定距離移動したネタは自動廃棄され、常に新鮮なネタだけが流れるようになっています。

そして今。最新のテクノロジーを駆使した新たなサービスを次々と導入しています。

  • 自動受付案内システム:チェックインから席まで無人で案内
  • 自動案内機:待ち時間がある場合、順番がきたら音声とモニターで席まで無人で案内
  • テーブルオートウェイター:オーダー品の取り間違いを防ぐ専用レーン
  • 自動皿会計システム:皿を画像認識し、皿の数から価格を計測。
  • セルフレジ:受付時に渡されるQRコードで客が画面をタッチして清算
  • 持ち帰り用自動土産ロッカー:スマホで事前に注文し、時間がきたら店舗のロッカーにQRコードをかざすと中の商品が受け取れる
  • キッチン内オートウェイター:厨房内にもレーンを設けてスタッフの移動を軽減
この中で特に面白いのは画像認識技術を使った「自動皿会計システム」。テーブルの両端に設置されたカメラが自動で皿の数から価格を計測します。これなら数え間違いもなくなるし、待ち時間の短縮にもなり、顧客の満足度アップに貢献しそうです。
また、持ち帰り用の自動土産ロッカーもうれしいサービスですよね。スマホで注文しておけば、店員さんを介することなく商品を受け取ることができるのでレジが混んでいても関係なし。サッと受け取ることができます。

スシローでは、これらさまざまなサービスを各店舗のスタッフ状況にあわせて、フルスペックで導入したり部分的に導入したりして、柔軟に対応。スシローがDXに成功した秘訣はここにある、と言っても過言ではないでしょう。

「システムの導入ありき」になってしまうのがよくあるDXの失敗事例ですから、スシローのように目的に応じた活用は、DXのお手本と言えそうです。

利用客の待ち時間を徹底的に減らすことによる顧客満足度の向上と、従業員の負担軽減、そして商品レベルの向上により、スシローは競合を圧倒的に引き離して独走状態を継続しています。

次は観光業界のDX成功事例。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)成功事例:観光業

観光のイメージ

DXの事例最後はJTBが提供する訪日外国人向けの旅行ガイドアプリ「JAPAN Trip Navigator」。英語と中国語に対応しており、ユーザーの興味関心に応じて最適の観光スポットを案内。

その特徴は次のとおり。

  • 詳細な経路検索で最適なルートを提示。タクシーの配車も可能
  • 宿泊予約機能、その地域のレジャー施設やイベントチケットの購入も可能
  • JTBが厳選した観光情報約10,000件は47都道府県を網羅、ここからモデルプランを作成
  • AIのチャット機能で、困りごとがすべて解決
  • 画像翻訳機能
この中で最近追加されたサービスは「 AIによる画像翻訳機能」。ユーザーが飲食店のメニューや街の標識画像をアップロードすると、翻訳された画像が返信されます。観光地での看板など身近な情報を気軽に翻訳できるから、外国の方にとって心強いサービスでしょう。

「JAPAN Trip Navigator」アプリを利用することによって旅行の段取りがすべてスマホ1台で完結。現地では時間を無駄にせず快適な旅行が楽しめます。ダウンロード数は100万を超える人気アプリに成長。(2019年11月時点)

日本でもルート案内や宿泊予約など、それぞれの目的に特化したアプリはありますが、1つのアプリで全部できてしまうのはありがたいですよね。

たなべ吹き出し
たなべ

海外旅行する時、私もこんなアプリがあったら使いたいな

では最後に、DX(デジタル・トランスフォーメーション)のこれからについて考えてみましょう。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)のこれから

ロボットのイメージ

もし、日本が今国をあげてこの問題に取り組み、理想的なDX(デジタル・トランスフォーメーション)が実現するとどんな未来が待っているのでしょうか。

  • 朝は自動運転の車に乗って通勤。車同士がデータ送信しながら走行するので渋滞はありません。
  • 車内ではバーチャル会議、商品は3Dで確認することができます。
  • 職場に着くと人とロボットが行き交い、海外で起こったトラブルには遠隔操作で対応します。
  • 仕事帰りにスーパーへ行くと、自分専用のおすすめメニュー、自分だけの価格が提示され、食材が適量組み合わされてパッキング。レジはなくそのまま持ち帰って決済完了です。
  • 体調が気になったら、自宅でオンライン診察。薬はすぐにドローンが届けてくれます。

このような生活、今すぐ社会全体でDXに取り組めば、実現は意外と近いかも。なんだかワクワクしますよね。

しかし、今投資を躊躇していると企業の経営状態は数年後目も当てられない状況に。政府が警告する「2025年の崖」、この悪い方のシナリオが実現することになります。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)は日本の未来を左右する最重要課題だと言えるでしょう。

 

まとめ

今回はDXについて、その意味と成功事例をご紹介しました。DXは業種によってその方法はさまざまですが、目標とする「あらゆる面で生活が良い方向に変化する」という点においては同じです。

DXの成功事例はどれも、トップが自ら指揮をとって変革をリードしています。ビジネスモデルから企業文化まで、根底から改革に乗り出すのですから当然と言えば当然ですよね。

逆にDXの失敗事例によく見られるのは、社長が部下に「DXに取り組むように」などと丸投げすること。それではただの「デジタル化」にとどまり、「企業を根底から変革」するには及びません。やはりトップが先頭に立って取り組むことが何より大切です。

目先の売り上げも大切ですが、視点をほんの少し未来に向けて行動することによって、結果は大きく違ってきます。何もせず「2025年の崖」を転がり落ちるのを待つのか、方向転換して高みを目指して上り続けるのか・・・企業は今、その大きな岐路に立っていると言えるでしょう。

日本全体が順調に成長していけるように、ユーザーである私たちができることはITリテラシーを高めておくこと。目新しいデジタル関係のサービスを見かけたら、しり込みせずに挑戦してみるところから始めましょう。きっと新しい未来が見えてくるはずです。

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