DX(デジタルトランスフォーメーション)

国内企業デジタルトランスフォーメーション(DX)成功事例【2020年版】

国内企業デジタルトランスフォーメーション(DX)成功事例【2020年版】

企業は、働き方改革や業務改善に力を注ぐ流れとなり、社員の働く時間を削減しつつ、成果を上げなければならないと言う厳しいミッションを課せられています。そのような中、業務をデジタル化することで大きく改善できるデジタルトランスフォーメーション(DX)が注目を浴び始めています。

もしデジタルトランスフォーメーションを導入することで会社の業績が上がる、また業務や生産の効率が格段に改善されるとなると導入したいですよね。もしかすると、たびかさなる残業や休日出勤がなくなり、会社の業績がUP、そして給料UPなんてことも現実になるかもしれません。

その一方で、そんなデジタルトランスフォーメーション(DX)は誕生してから10年以上経ちますが、日本国内で浸透しないのは理由があります。その理由と共に、デジタルトランスフォーメーション(DX)に成功している事例から学べることもあるはず。その企業の考え方、取り組み方はどうしているのか気になるでしょう。

そこで今回はデジタルトランスフォーメーション(DX)とは何なのか、なぜ国内で浸透しなかったのか解説した上、国内企業でデジタルトランスフォーメーション(DX)を導入し、成功した事例を紹介します。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは何か

デジタルのイメージ

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、2004年スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された概念で、「進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにしていくこと」「進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革すること」と説明されています。

つまり、デジタルトランスフォーメーション(DX)とは企業がビジネス環境の激しい変化に対応するため、AI(人工知能)やIoT技術と言った最先端技術を活用し、新しいビジネスモデル、会社の組織自体も変革させることを指します。
近年、日本では長時間労働や残業時間の是正をするために働き方改革がうたわれる一方、海外企業に対しての競争力を落とせないという課題が挙げられています。それらの課題に応えるには企業を変革できるデジタルトランスフォーメーション(DX)が効果的だと言え、日本で注目を浴び始めました。

このデジタルトランスフォーメーション(DX)を活用すると、今までになかった製品やサービスを生み出し、また業務のプロセスを組み替え、生産性の向上、コスト削減、そして企業の在り方自体を見直すことができます。

その見直しができたとき、日本の企業の課題である働き方改革、海外企業への競争力などの課題を乗り越えられるでしょう。

国内でデジタルトランスフォーメーション(DX)が進まない理由

国際のイメージ

2019年における国際DXランキングでは1位アメリカ、2位シンガポール、3位スウェーデンで日本の順位は23位となっています。その際の日本の評価はスマートフォンやインターネットなどのテクノロジーのインフラ整備、普及率の評価は非常に高いが、テクノロジーに対する知識やスキル、ビジネスにおけるデータ活用は遅れていると言う内容でした。

つまり、日本国内におけるツールや技術は十分に普及されているが、使い手がうまく使いこなせていないがために評価が低いという非常に残念な状況でしょう。

ではなぜ、国内企業においてデジタルトランスフォーメーション(DX)が進まないのか一番の理由は企業内、つまり社内調整が難しいという点にあります。

デジタルトランスフォーメーション(DX)は国内企業における社内や上司の説得が難しく、企業のトップから現場担当者まで全てが業務を見直すレベルであるとのこと。たとえばクラウドを利用したデータ管理を上司へ提案するも、まともに話を聞いてもらえない・・・という経験がある人は多いですよね。このように、仮にメリット部分が多かったとしても変化を嫌う日本人ならではの意見が変革の大きな壁となっているでしょう。

しかし、そんな抵抗要因もデジタルトランスフォーメーションの成功事例を見ることで変革への抵抗が和らぐ可能性があります。ではそんなデジタルトランフォーメーションの成功事例を紹介しましょう。

デジタルトランスフォーメーション(DX)成功事例その1:生産計画の考え方を根本的に改善「江崎グリコ」

チョコレートのイメージ

江崎グリコはチョコレート、スナック菓子からレトルト食品まで製造する食品メーカーです。

従来の生産計画の考え方は担当営業の勘とがんばりで売っていくスタイルで、その生産計画の数量はこれだけ売りたいと言う根拠のない数字が反映され、いざ生産すると商品の作りすぎ、在庫が残り値下げ、あるいは消費期限が切れて処分と言ったロスが大きな損害が生じていました。

そこで江崎グリコは2017年6月に商品の売れ行きを予測する需要予測エンジンと生産現場のデータを収集するシステムを稼働させました。

それらのシステムを駆使することで製造数量と言う根底部分の考え方を自社製品の販売実績、類似商品の販売実績、特売した際の投資対効果など様々な面を加味した数字を参考にするスタイルへ変革。その結果、賞味期限間近の値下げ品の数量が大幅に減り始めています。従来の担当営業の売りたい気持ちが先行しての過剰気味の生産数量が削減でき、今後、長い目で見た時に大きな改善が期待できますよね。

デジタルトランスフォーメーション(DX)成功事例その2:業務改革支援ツールを導入「コニカミノルタ」

プリンターのイメージ

コニカミノルタは複合機、プリンター印刷用機器などの大手製造メーカーです。

日本では働き方改革が求められる一方で国際的な競争力の低下も課題で、コニカミノルタはそのどちらの課題もクリアすべく、オートメーション・エニウェア・ジャパン株式会社の「Automation Anywhere Enterprise」という業務改革を支援するITツールを導入。

このITツールはAI(人工知能)を組み込んでおり、単純な作業をロボットに置き換えるだけでなく、非定型プロセスさえも自動化してしまう優れものです。このITツールは製品開発、製造など製品ライフサイクル関連部門やコーポレート部門などで年間約24,000時間を削減したという実績を残しました。

その削減により、もちろん時間外労働が削減され、それだけでなく規格・戦略、設計、製品、品質の向上につながる成果につながり、経営に大きな変革がもたらされました。

デジタルトランスフォーメーション(DX)成功事例その3:RPAを活用「ディップ」

記事作成のイメージ

ディップ株式会社は労働力の総合商社という名前のように、人材サービス事業とAI・RPA事業を提供。

日本最大級のスタートアップ専門メディアである「スタートアップタイムズ」においてRPAを活用し、記事作成時間を大幅に減らすことを実現しました。RPAとはRobotic Process Automationと言い、人がパソコンで行う簡単な作業をロボットに記憶させて全自動で対応させる新しいテクノロジーのことです。

RPAを駆使することで最も改善できたのが記事作成の自動化です。これは取材記事を専用フォームに入力するだけで自動で記事を作成できるシステムなのだとか。その結果、1記事の作成時間120分に対し約5分に短縮できたという恐るべき改善に至っています。

その削減した時間により残業時間の削減、また付加価値の高いサービスを提供するきっかけにつながるでしょう。まさに経営に変革をもたらしたと言えるデジタルトランスフォーメーションの良い例ですよね。

デジタルトランスフォーメーション(DX)成功事例その4:業務の自動化と簡易化を実行「ベネッセインフォシェル」

ITのイメージ

ベネッセインフォシェルはベネッセグループの情報システムの運用・保守を担う会社。

ベネッセインフォシェルは日立の統合システム運用管理ソフトウェア「JP1」を採用し、業務の自動化を図りました。「JP1」はIT環境全体の運用状況などをリアルタイムに集約し、経営層やIT部門など立場ごとの目的に合わせて必要な情報を可視化する機能に加え、業務プロセスの自動化を手助けする機能を搭載しています。

その「JP1」をITシステム運用業務で導入することで業務の自動化だけでなく、業務をわかりやすくする業務の簡易化が実現され、2018年度には14種類の業務自動化、2800時間の工数削減に成功したとのこと。

デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるには

今後のイメージ

デジタルトランスフォーメーションの成功事例を見てわかるように大きな改善が期待できます。それではどのようにして進めたらよいのか、気を付けるべき点を紹介しましょう。

ITツールやサービスの導入を目的にしない

業務改善のためのツールが近年普及されてきています。もちろん業務改善ツールの導入で業務効率化はできますが、それはデジタルトランスフォーメーションとは言えません。

例えばクラウドサービスを導入するにあたり単なるデータの保管や共有という改善にとどまらず、顧客データや業務プロセスのデータを収集、ITシステムの基盤を構築し、どのようにビジネスモデルを変革させるかと言ったようなゴール設定が重要となります。

そのゴール設定を経営層がしっかりと把握すること、そして社員全員に浸透させることも大切なプロセスとなるでしょう。

IT人材を重要視しつつ、自らもスキルを手に入れる

デジタルトランスフォーメーションは仕事の片手間で対応できるものではありません。ビジネスモデルの変革に欠かせないIT技術に詳しい人材は必要となります。そのIT人材とは特にデジタルトランスフォーメーションに関する技術(AIやIoT)やデータ解析に精通した人材が好ましいでしょう。

またデータの収集、そして扱い方も重要で、それらのデータを分析し、ビジネスに活用できる力も求められます。そのような人材は社内から育成するのか、それとも優秀な人材を採用するかの対応が不可欠となるに違いありません。

もちろん私たちもデジタルトランスフォーメーションに対応できるように知識をつける必要性がありますよね。

まとめ
さて、今回はデジタルトランスフォーメーション(DX)とは何なのか、なぜ国内で浸透しなかったのか解説した上、国内企業でデジタルトランスフォーメーション(DX)を導入し、成功した事例を紹介しました。

紹介した内容を振り返りましょう。

  • デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応するため、AI(人工知能)やIoT技術と言った最先端技術を活用し、ビジネスモデル、会社の組織自体も変革させること
  • 国内企業においてデジタルトランスフォーメーション(DX)が進まない一番の理由は企業内における社内調整が困難
  • デジタルトランスフォーメーションの成功事例として、生産計画の考え方を根本的に改善「江崎グリコ」、業務改革支援ツールを導入し年間24,000時間業務改善した「コニカミノルタ」、RPAを活用し記事作成の時間を120分から5分に短縮した「ディップス」、業務の自動化、簡易化を実行し、2,800時間削減した「ベネッセインフォシェル」がある
  • デジタルトランスフォーメーションを進めるにあたり重要なことは「ITツールやサービスの導入を目的としない」「IT人材を重要視」がある

今回、デジタルトランスフォーメーションの成功事例を紹介した通り、その改善の大きさからは、まさに変革と言えるレベルでしょう。しかし、国内企業ではまだまだ浸透しきれていないのが現実です。

AI(人工知能)、IoT技術が普及する中、このデジタルトランスフォーメーションに挑戦する企業も今後増加することが予想できます。もしかすると皆さんの企業も取り入れて、この大きな変革を体験できる日も近いかもしれません。

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