AI(人工知能)とファイナンス

AIが運用するファンドサービス、儲ける仕組みを調べてみた

ファンドサービスで儲ける人のイメージ

超低金利が続いている日本経済の中で、投資に興味を持っている方も増えてきていることでしょう。近年では、様々なベンチャー企業がFinTechに取り組んでいますが、ロボアドバイザーのようなツールの開発だけではなく、AI(人工知能)を活用して運用するファンドサービスにも取り組んでいます。AI(人工知能)による運用のファンドは以前から一部では行われていましたが、最近のAI(人工知能)の進化により急速に広まってきていますよね。

AI(人工知能)によって運用されるファンドは、大きく分けて二つあり、一つ目はAI(人工知能)を搭載したロボットが様々なデータを取得し、自分で分析を行ったうえで投資対象を選択するファンドマネージャーのようなもの。そして二つ目は、投資家が入力したデータをもとに、リスクの許容度を計算し最適なポートフォリオを提供するアドバイザーのようなものです。

それでは、まずどういったところがそのようなAI(人工知能)を活用して運用したファンドサービスを行っているのか見ていきましょう。

AI(人工知能)が投資対象を選択するファンド

様々はファンドサービスをチェックするイメージ

一つ目は、「AI日本株式オープン」通称「日本AI」。

三菱UFJ信託銀行と三菱UFJトラスト投資工学研究所が運営していて、AI(人工知能)を使って日本株への投資や先物取引を行うものです。現物株と先物を組み合わせた運用によって、絶対収益の獲得を目指すファンド。

二つ目は、「ディープAI」です。

こちらは日本以外の世界の株式に投資します。ディープラーニングを用いて投資魅力度が高いとされる銘柄を抽出し、ポートフォリオを構築するもの。世界経済全体が不景気になったときに対応できるかどうかが不安視されています。

三つ目は、Yahooが運営する「Yjamプラス!」。

Yahooのビッグデータを活用して日本株に投資していますが、日本株に魅力が無くなったら外国株にも投資します。

四つ目は、「GSグローバル・ビッグデータ投資戦略」通称「AIブレイン」です。

2008年とかなり早い時期からAI(人工知能)とビッグデータを導入し改良を重ねた結果、2012年頃からパフォーマンスが向上してきています。日本株を含むグローバル株式に投資。

五つ目は、「日本株ロボット運用投信」通称「カブロボファンド」

カブロボコンテストによって運用を行うロボットを選定し、複数のカブロボによって日本株を運用します。

このように代表的なものを五つ上げましたが、AI(人工知能)によって運用したファンドと言っても具体的にはどのような運用の仕方をしているのか、例を挙げてみてみましょう。

日本AIはファンドマネージャーとAI(人工知能)が運用にあたっている新しいモデル

株式の運用のイメージ

三菱UFJ信託銀行が運営するAI(人工知能)を活用したファンドの運用ですが、現物株のロングポジションと先物のショートポジションを組み合わせて安定的な利益を目指すものです。情報処理やAI(人工知能)による機械学習、ディープラーニングを組み合わせ、国内株式の運用に生かしています。

実際の売買は、AI(人工知能)が大量のデータから算出した取引情報を人間の目でチェックして実施しています。システムやプログラムに取引を任せきりにするのではなく、AI(人工知能)には最も得意とするデータ解析を担当させ、人間が実際の運用を行うことで、資産運用の領域で人とAI(人工知能)が共存することに成功しました。

また、ニュースのデータをテキストマイニングし株価の上昇しそうな銘柄を選定し、現物株式の銘柄選定にテキストマイニングを活用して運用力の強化にあてています。
さらに、
為替や株価の動きや投資家の心理を示す指数などを約300種類以上のデータとしてニューラルネットワークに入力して売買に有用な情報の抽出につなげ、ディープラーニングを用いて相場の短期予測を行うことでAI(人工知能)をアクティブヘッジにも活用。

為替やGDP、原油価格、金利水準などの指数を組み合わせて条件分岐をしていくディシジョンツリーから生まれる複数のシナリオで株式市場の動きを予想したり、フラクタル解析で株価の値動きを分析し転換点を探るなど、ランダムフォレストと呼ばれる機械学習を活用した中長期的なリターン予測を行う手法を組み合わせています。

このように、日本AIはファンドマネージャーとAI(人工知能)が適切に役割分担をしながら資産の運用にあたっている新しいモデルと言えるでしょう。

ディープAIはAI(人工知能)がアナリスト100人分分析

ディープラーニングのイメージ

ディープAIは、ディープラーニングとAI(人工知能)を活用し銘柄選択を行いファンド運用する投資信託です。

約20年にも及ぶ過去の株式や財務データなどをAI(人工知能)が銘柄の投資魅力度を判断し、株価上昇が期待できる銘柄を選別するもので、人間では処理できない量のデータ分析や、見落としてしまうような特徴の発見がディープラーニングではできることが強み。分析対象となっているのは、世界の株式約4000銘柄の20年間のデータ。
大体アナリスト100人分程度の分析をAI(人工知能)がおこなっていると言えるでしょう。

ディープラーニングは、

ニュースデータなどのテキスト解析により選ばれた銘柄の投資妥当性を確認し、過去事例を学んでいくことでマーケット環境に応じてポートフォリオの見直しを行い最良の運用結果を目指しています。

このようにテキスト解析で抽出された情報やアナリストによる銘柄情報を参考に、ディープラーニングによって構築されたポートフォリオに追加、削除をすべき銘柄がないか運用チームによって最終的な確認を行います。

 

ファンドサービスを利用するイメージ

このように、AI(人工知能)やディープラーニングなどの高度な技術はベンチャー企業を中心に進めていますが、三菱UFJフィナンシャル・グループも積極的に行っています。

AI(人工知能)による資産運用のファンドは運用成績が注目されますが、今のところTOPIXの動きを上回っています。一時的には下回る結果になったときでも、トータルでは大きくTOPIXを上回るという結果を出し、AI(人工知能)は人間よりも情報処理に優れているという能力の一端を見せていると言って良いでしょう。

現状ではすべてをAI(人工知能)にファンドの運用を任せるという段階には至っていませんが、将来的にはどこまで技術が進歩していくのか期待が膨らむところです。しばらくはファンドマネージャーとAI(人工知能)がお互いに助け合いファンド運営の得意分野を分担しながら、最良の結果を出していくでしょう。

参照元 三菱UFJ信託銀行が運用する、人工知能を活用した投資信託とは
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AI投資/AIファンド/AI運用/人工知能による投資

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