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ゲームキャラに命を吹き込む!クリエイター向け「GAME AI」入門

ゲームのイメージ

ゲーム(GAME)はとても楽しい物ですよね。仮想空間に存在する剣や魔法の支配するファンタジー世界や、ロボットや宇宙船が飛び交うSF世界を自由に体験することができます。その世界の中で冒険する際に、仲間となるキャラクター達が自分の知能で考えて行動したら、もっと素晴らしい体験が出来るのではないか、、、と思う事もありますよね。その発想はゲームにAI(人工知能)を導入することで実現することが出来るのです。

ゲームをプレイする事とAI(人工知能)の関係は、ゲームが世界に発表された当初から研究され続けてきた課題でした。その歴史は1941年に開発された「ニム」というゲームにまで遡り、現在では多種多様なゲーム作品で利用されています。分かりやすい物だと、オセロや囲碁などの歴史のある対戦ゲームでは、よくAI(人工知能)を搭載しているというのを謳い文句として使っていますよね。こういったAI(人工知能)を導入することで、より素晴らしい体験が出来る作品が作れるかもしれない、、、と考えると、クリエイターとしてはワクワクしますよね。

そこで今回は、ゲームの世界に登場するキャラクター達を自由に動かし、命を吹き込ませる事ができるゲームにとってのAI(人工知能)「GAME AI」についてお伝えします。早速その詳細を見ていきましょう。

どういう仕組みでキャラクターは考えて行動するのか

思考のイメージ

ゲームにおけるGAME AI(人工知能)は大きく3つに分けることができます。

プレイヤーに合わせて難易度の調整を行ったり、集団の敵のAI(人工知能)やマップの生成の管理を行うメタAI。
固有のキャラクターの思考を担当し、外部から影響を受けることのないキャラクターAI。
キャラクターAIとメタAI、そしてプレイヤーに対してマップ上の進行ルート表示などの有益な情報を提供するためのナビゲーションAI。

これら3つのGAME AI(人工知能)を用いてゲームキャラクターは自由に考え、プレイヤーとは別に行動をするのです。

今回は、特に固有のキャラクターの行動に関わるキャラクターAIについて注目してみましょう。

キャラクターがゲーム上で思考し行動するには、AI(人工知能)が様々な情報を処理して「意思決定」を行う必要があります。

敵キャラクターとの距離、自分の装備などを参照して、接近するか待機するか離れるか、状況に応じて判断をしたり、システムに設定された特殊な勝利条件を達成するために行動したりといった処理です。

こうしたゲーム内に存在する様々な情報を処理し、適切な動作を取ることがAI(人工知能)には可能なのです。

そして、色々な事が出来るからこそ、どういう方法でAI(人工知能)を実装していくか、取捨選択が重要になります。

キャラクターAIを作るための複数の手法

キャラクターのイメージ

では実際にゲームキャラクターのAI(人工知能)を作っていくにはどういう手法があるのでしょう。

キャラクターが情報を処理し、意思決定を行うためのアルゴリズムにはいくつかの種類があり、その中でも7種類の代表的なアルゴリズムが存在しています。

  • 「もし~だったら」というルールを用いて組み立てられるルールベースAI。
  • ゲームの世界やキャラクター達の行動によって生じた「状態」を集団単位で表現するステートベースAI。
  • キャラクターの身体的行動を中心としてキャラクターの行動を考えるビヘイビアベースAI。
  • 一つの課題に対し、抽象的なタスクに分解して解決を目指すタスクベースAI。
  • 目標達成のための行動を最優先させるゴールベースAI。
  • 結果、見返りが最も大きくなる行動を選択することに長けたユーティリティベースAI。
  • ゲーム内での状況に対し、まだ実行に移していない行動を想像して行動するシミュレーションAI

この7つのアルゴリズムがゲーム作りにおいて最も多く使用されている物です。

アルゴリズムというと複雑そうに聞こえますが、こうして特徴を捉えると分かりやすいですよね。

これらのアルゴリズムの中から、そのゲームにとってどの思考パターンが適しているかを選択し、実際にゲームに実装していくことでキャラクターのAI(人工知能)が形作られていきます。

ゲームキャラクターが目指すべきは汎用人工知能(AI)

ゲームのイメージ

現在のAI(人工知能)は特化型人工知能と呼ばれる、指定された特定の問題を解決するために行動するアルゴリズムで生成された物が使われています。

ゲームの世界でも、現在は複数の特化型人工知能をGAME AI(人工知能)として、ゲーム内での問題解決のためにキャラクターを行動させています。

ですが、ゲームキャラクターに搭載するGAME AI(人工知能)が最終的に目指すべき到達点は問題を指定されなくとも臨機応変に対応することのできる「汎用人工知能」という高度なAI(人工知能)技術であるべきだとされており、様々な企業が研究開発を進めています。

ゲームのキャラクターが人間と全く同じ、あるいはそれ以上の知能を有し、自分で目の前の課題について考えて解決のために動けるようになれば、GAME AI(人工知能)、そしてゲームはもっと素晴らしいものになりそうですよね。

汎用人工知能を開発するためには、AI(人工知能)が課題を認識するための記号と、記号の認識と現実に起こっている問題を一致させる必要があります。

この課題をクリアしたAI(人工知能)はゲームに限らず様々な分野での活躍が期待されますが、この汎用人工知能(AI)を開発するために最も適しているのがゲーム(GAME AI)であり、ゲームもまた汎用人工知能(AI)を必要としているのです。

もしこの高度なAI(人工知能)をゲームのキャラクターに宿ったら、ゲームの世界はどう進化していくでしょうか。相手の行動に合わせて自分で行動を考え、もしそれが有効ではなかった場合はそれを教訓として即座に戦法を変えていく、人間と同じような柔軟性と状況対応能力の高さを手に入れることができるでしょう。

目の前の課題に対して、自分で考えて適切な行動を選ぶ。それは現代では生きた動物にしか出来ない行動です。

現代のゲームでも利用されている特化型人工知能との決定的な差はここにあります。

例え特化型人工知能の性能が上がったとしても、汎用人工知能の誕生に直接繋がることはないでしょう。

もしそういった高度な判断と行動をゲームのキャラクターが自然に取れるようになったら、その時が本当の意味でゲームキャラクターに命が宿ったとも言えるのかもしれません。

 

ゲームのイメージ

今回はゲームのキャラクターに命を吹き込む「GAME AI」についてお話しました。

現代のGAME AIでは、3つの種類のAI(人工知能)と、それらの行動を決めるアルゴリズム、そして特定の課題をこなす特化型人工知能を用いてゲームキャラクターの思考、行動は決定されていきます。

将来的にはゲームキャラクターが目の前の状況を見てその場で課題を作り解決する、汎用人工知能が特化型人工知能に取って代わる可能性もあります。

ですがゲーム作りの基本的な構造は変わることはないでしょう。

ゲーム世界を支えるAI(人工知能)と、ゲームの中の情報を伝えるAI(人工知能)があり、それらが生み出す環境を見てキャラクターは判断し、適切な行動を選びます。

ゲームキャラクターを動かすためのGAME AI技術は少しずつ、ですが確実に進歩しています。

キャラクターを作る私たち人間の方もそれに置いていかれないように、ゲーム作りにとってのGAME AI(人工知能)のことを理解して、ゲームキャラクター達に命を吹き込むことが出来ると良いですよね。

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