Googleが現在の機械学習(ML)をキーワードとするAI(人工知能)ブームの火付け役であることはご存知ですよね。
2012年に猫を「教師なし」学習で認識させることに成功し世界中を驚かせました。また、2017年にはGoogle配下の英ディープマインド社が開発したアルファ碁が世界最強の棋士との対戦で勝利をおさめ、AI(人工知能)が一般に認知されることとなったのです。
クラウド業界ではAmazonのAWSがトップシェアを誇り、これにMicrosoftのAzure、GoogleのGoogleCloud(GCP)が続き、そしてこの3社にIBMを加えて、シェアの半数を押さえている状態。
このように、GoogleはクラウドサービスGCPのシェア拡大を図るべく、最先端のAI(人工知能)機能を製品としてクラウドで提供することに注力しています。
そこで今回は、GoogleがGCPで提供しているAI製品やサービスのうち注目すべきサービス5つをピックアップして、その内容や特徴をわかりやすくお伝えしましょう。
GoogleのAI(人工知能)製品・サービスとは
GoogleのGoogleCloud(GCP)では多様な製品・サービスをリリースしています。
また、GCPアルファ版やベータ版といった製品化以前のトライアル版もあり、それらは日々更新。そしてより使いやすく実用的なものへとアップデートされています。
さて、このGCPの主な製品・サービスは以下の通り。
<機械学習構築>
- AI Hub(アルファ版):GCP上でAIの探索、共有、デプロイを行う。
- Cloud AutoML(ベータ版):カスタムMLモデルを簡単にトレーニング
- Cloud TPU:ML モデルのトレーニング用の専用ハードウェアを提供
- Cloud Machine Learning Engine:MLモデルを構築し、本番環境にデプロイ
- Cloud Deep Learning VM Image:Deep Learning用の事前構成済みVM
<AIソリューション>
- Cloud Talent Solution:人材採用へのAI活用
- Dialogflow Enterprise Edition:会話環境の構築
<自然言語・音声処理>
- Cloud Natural Language:自然言語処理
- Cloud Speech-to-Text:MLによる音声処理
- Cloud Text-to-Speech:MLによる音声合成
- Cloud Translation:MLによる言語間の翻訳
<画像処理・動画処理>
- Cloud Vision:MLによる画像処理
- Cloud Video Intelligence:MLによる動画からのメタデータ抽出
<データ分析>
- Cloud Inference API(アルファ版):型付き時系列データセットの関係付け
- Firebase Predictions(ベータ版):予測される行動に基づいたスマートなユーザー セグメンテーション
このうち、AI(人工知能)製品・サービスをユーザーに身近なものとすることを目指した、Cloud AutoML(ベータ版)、Cloud TPU、BigQuery、AIhubや、また業務提供の事例としてContact Center AIをご紹介しましょう。
GoogleのすごいAI製品・サービス1:Cloud AutoML(ベータ版)
機械学習(ML)を導入するには、自分で対象となる分野のデータを収集し、機械学習(ML)用のモデルを選定し、Pythonなどのプログラム言語を利用してアプリケーションを構築したうえでトレーニングを行う必要があります。
これには、機械学習(ML)に関する専門知識を必要とし敷居の高いものでした。
しかし、Cloud AutoML(ベータ版)は、プログラミング不要で専門家でなくても容易に自分なりにカスタマイズした機械学習(ML)モデルをトレーニングできます。
学習済モデルとしては以下のようなものを提供しており、今後も順次拡張されると想定されます。
- AutoML Visionベータ版
- AutoML Natural Language ベータ版
- AutoML Translationベータ版
GoogleのすごいAI製品・サービス2:Cloud TPU
ソフトウエアライブラリ「TensorFlow」は、Googleが自社での写真検索や音声認識関連技術の機械学習(ML)で使用したライブラリをオープンソースとして公開したもので、機械学習(ML)のアプリケーション構築においてはデファクトとなっています。
そして、Googleはソフトウェアを公開するにとどまらず、さらにTensorFlowを高速に実行可能な専用ハードウェア「Cloud TPU」を開発し公開したのです。また、TPUはバージョンアップも行っています。
GoogleのすごいAI製品・サービス3:BigQuery
ところで、機械学習(ML)を実用レベルで活用するには、良質な大量のデータを収集する必要があります。
ですからGCPでは、ビッグデータ解析プラットフォームとして「BigQuery」を提供し、ペタバイト(PB)といった膨大なデータをの集計や分析を高速処理可能にしました。そしてBigQuery MLでは、RDBのようにレコード単位ではなくカラム(レコード内の項目)単位で処理できます。
これはトレーニングのためにBigQueryから大量のデータを抽出したりする必要がなく、またトレーニングデータの更新により、機械学習モデルを自動更新する機能もオプションとして用意されているためトレーニングの短縮が図れます。
現在、IoTの進展により膨大なデータを入手可能ではありますが、BigQueryを活用することで、それらのデータを鮮度を保ちかつ効率的に利用することができるでしょう。
GoogleのすごいAI製品・サービス4:AI hub アルファ版
機械学習(ML)をはじめAI(人工知能)では高度な専門知識が必要とされますよね。しかしそうした専門スキルを有するデータサイエンティストなどの専門家は限られています。
ですが、もしこうした専門家のノウハウがカタログ化されてユーザーが再利用できるようになれば、AI(人工知能)は使いやすく身近なものになるでしょう。
そこでGCPでは「AI Hub」で機械学習(ML)のためのワンストップカタログの構築を目指しました。現在は、限定ユーザーとアルファ版のテストを実施中。
GoogleのすごいAI製品・サービス5:Contact Center AI
そのAIアプリケーション、「Contact Center AI」はコールセンターにおける通話の情報分析を行い、オペレータに情報を提供したり、指示を出したりすることができます。
内容は以下のとおり。
- 顧客からの問い合わせを分析し、要望を取り出す。
- 顧客との会話から顧客が求めているトピックを抽出し素早く回答を提示する。
- 通話で対応中のエージェントに会話の即した記事、ナレッジ、ドキュメントなどを自動的に提供します。
いかがでしたか。GoogleがGCPにおいて、いかにAI(人工知能)サービスに力を入れていることかおわかりいただけましたよね。
AI(人工知能)自体がどんどん進化しつあり、提供されるAIクラウドサービスもアップグレードされ、また、実システムへの組み込みもどんどん進んでいます。GoogleがこうしたAI(人工知能)の進展と普及を意識したAIサービスメニューを進めているのも納得でしょう。
GoogleなどのクラウドAIサービスの進展により、これまでシステム構築やデータ分析などの専門家がいないと手が出せなかったAI(人工知能)が、AIスピーカーのGoogle Homeに指示するのと同じような手間で導入できる日も意外と近いかもしれません。
これからもAI(人工知能)の実用化の趨勢をフォローするためには、今後もGoogleのAI(人工知能)のクラウドサービス化の進展のフォローが必須ですよね。
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